__Walk_in_the_moonshine,_and_drink_like_a_jellyfish.__

[04.06.01] 

〜海月の放流〜 059


かつて山梨で学生だった頃。家庭教師のようなものをしていたこともあった。
そのうちの一人・タカシくんと出会ってからかれこれ10年になろうか。
(そのことは以前vol.16でも書いた)
家庭教師とは言っても2時間の枠のうち、1時間半くらいは一緒に遊んだり
地球儀や地図帳や写真をひろげて旅先で見聞きし感じたことを語っていた。
もともと頭のいい子だったから特に何かを教えることもなかったし
そもそもわしがヒトに何かを教えられるはずもなかった。

それから月日は流れ小学生だった彼はいまや大学生になっている。
わしより背は高いし男前だ。なんとも不思議なものだ。

その彼から先日メールが届いた。

いろいろ書きたいこともあったが
むしろ書きたいことが山盛りでまとめきれずにしばらく放置してた。
が。ようやく返事を書くことができた。

今回はそのメールの抜粋をもとにまとめてみるの巻。



●『Don't trust over 30's!』

> いよいよ4年になって周りの友達は就活に明け暮れてます。
> 大体決まり出したようですけど。
> 僕は、このまま卒業してしまうのも怖く、
> 秋から海外インターンシップに行く予定で今休学中です。
お!わしも似たような気持ちだったよ。
4年になったら夏には就職決まってて、そそくさ卒業?
ってのがなんか嫌で、3年終わってから一年間休学したんだ。
> 来月からインターンに行く前の8月末まで
> 東欧を歩き回ろうと思って、
わしが休学中に行ったのがユーラシア大陸一周だったわけだ。
横浜から船で当時のソ連、今のロシアのナホトカ港に上陸して
シベリア鉄道で大陸横断してロンドンまでたどり着いてから
ヨーロッパ、中東、アジアをバスで巡った、あの旅ね。

4ヶ月くらい日本で働いて半年くらい浮遊してた。

あれが1990年のこと。
帰国したのが1991年1/14で。
その三日後に湾岸戦争が始まった。

当時はソ連崩壊、ドイツ統一、ユーゴスラビア内戦、
中東は湾岸危機(戦争直前)、アジアも民族宗教紛争、
(日本ではバブル崩壊
・・・とまさに激しく揺れ動いていた(ようだ)。
そんなニュースの現場に知らずに踏み入り通過してた。
たまたま運良く危険な目にはあわなかったが。
> 久々に心のそこからワクワクして、行くのが楽しみだけど
> 同時に1人で長い間旅行するなんて事は初めてなのでちょっと
> 緊張したり。
うんうん。そうだよね。わしもそうだった。
いや。いまだにわしは旅に出るときはキンチョーする。
もう旅なんか出るのやめようかとさえ思ったりする。
けど。一歩はじめちゃえば旅に出てよかったと思うのだけど。

1人。お一人様だからいいんだよ。ひとりだとヒトと出遭いやすい。
三人以上のグループだとその内輪だけで盛り上がれるけど
外部とはまったく接触できなくなる可能性が大きい。
土地のヒトもそういうグループには声を掛けにくい。

一人で出発してもずっと一人で居る必要はない。 むしろ、一人もん同士が呼ばれあって、時に 行く方向が同じであれば一緒に移動したりメシ喰ったり 時間や宿を共有したりする。 それがもしかしたら一人旅の醍醐味かも知れない。
> やっと僕も自分で出発できそうです。すごく楽しみ。
>
> ただ、なんか本やネットばかりの情報を基に行こうとしてるので
> 何か[海月]さんが行って当時「ビビ」っときたところがあれば
> 教えて欲しいなぁと。
旅の計画と実際の旅とは、まったく異なる、わしの場合。
端から意図的に、ではなく。
なぜか初日、はじめの一歩から
寝過ごしたり乗り遅れたり違う道行っちゃったり、とか。

準備計画はそれだけでも充分楽しい。
タイムスケジュールを考えたり調べたり地図やガイドブックひろげてみたり。
それも楽しい。
けれど。
一歩踏み出したら、まったく計画通りに行ったためしがない。
それがまた愉しい!

しかし。
わしの現在の旅では目的地も期間も予算もほとんど決めないので
自分でも「もしかしたらもはや旅ではなくなってるかも知れない」
と思ってるとこ。

東欧はじっくり見て回れなかったので なんにも参考になるようなことは言えないけど。
まぁヨーロッパを旅するなら 国際学生証(Student ID)を日本で用意しておくべし。
(これは常識的過ぎるな。とっくに持ってるだろう。 しかしこれは使えるよ。 ヨーロッパなら美術館、博物館、乗り物等が 半額か無料になったりするからね。)
> ドイツとブルガリアで知り合いに会うことになっている以外は
> 特に会う人もいないので、自分のペースで歩くことになりそうです。
>
> 予定では、6月18日にフランクフルトに入ってチェコ、ポーランド、
> スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、ギリシャまで
> たどりつければいいなぁとか勝手に妄想してますが、
> 現時点で詳しく情報収集したのは、チェコとポーランドだけ。
> チェコは絶対行きたい!って感じです。
>
> ここおもしろかった!とかあれば、ぜひぜひ教えてください!!
ドイツのミュンヒェン(ミュンヘン)よかった。
キャンプ場で寝泊りしてたけど。大学の学食でメシ喰ったりしたなぁ。
オリンピックプールは一般にも開放されてて(有料だと思うけど)
そこのシャワールームを風呂代わりに利用したこともあるよ。
(ビールとソーセージも忘れずに!うひひ。
たまたまオクトーバー・フェストにぶち当たったのはラッキーだったよ。)

ヨーロッパを流浪するなら最後にトルコにも寄って欲しいな。
オススメ!
ヨーロッパと中東とアジアの地理的文化的接点。
ヨーロッパとは、中東とは、アジアそして日本とはどういうところか?
というのが俯瞰して見ることができるかもよ。

渦中にいると自分がどこに居るかなかなかわからないものだけど。
いったん外に視点をもってゆくとよく見渡せる(ような気がする)のだ。

タカシくんは日本に居ながらにして国際交流をしているし。
頭のいい連中にもまれてるし、タカシくん自身頭の回転いいから。
外国人も含めて多くの友人知人がいることだろう。
わしなんかよりもたくさんいろいろ知ってるだろう。

でもね。わしは思う。
友人をつくること、交流をもつこと、視野や知見をひろげること。
それらはとても大切なものだろうけれど。
それらと“旅”とはまったく別のもの。

旅に無闇に目的を持たせてはいけない。
もし出立前に目的とか意義とかを背負い込んでしまったら
その時点でそれは“旅”ではなく、
「用事で出かけるだけ」になってしまうからだ。

旅を必要とするヒトとそうでないヒトがいるようだ。
だから旅が大切なものかどうかは知らない。
でも。わしには必要。と言うより。
わしは旅人という役割として生まれたのだとやっと気付いたとこ。

いろんなもの(者、物、事)に出会うだろう。
いいことばかりじゃないけどわるいことばかりでもない。

旅の間に考えたり感じたことの意味とかいろんなことは
それが衝撃的であればあるほどずーーっと後になってから「わかる」。

情報や知識は杖になるかも知れぬ。
が。杖が歩くのではない。

・・・
まぁとにかく。耳を澄まして流れ流れてみるがいいさ。
なにかにとらわれずこだわらず。
愉しんできてね。

またお互いの旅の話をしよう。

「よい旅を!」(これは旅人にとって最高の言葉だよ! Bon voyage!)

ぢゃまた。
...Qurax2(海月)

追伸:20代には20代にしかできない旅がある。
そして。20代の時には「30以上のヤツは信用するな!
ちなみにわしは1968/7/9生まれね。(笑)


・・・(つづく)[04.06.01]...Qurax2海月
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