__Walk_in_the_moonshine,_and_drink_like_a_jellyfish.__

[03.09.30] 

〜海月の放流〜 044

□前回のあらすじ:
根室から野付半島、知床、サロマ湖そして阿寒湖へと道東をぐるり周遊。
火星接近。台風再来。気温差激しい日々。
季節や天候の移ろいとシンクロして最果ての荒涼感に鬱。
道なき道に彷徨い遭難しかけ。
絶好のロケーションで十五夜の満月を愛で。
一体どれくらい歩いたのだろう。ゆけどもゆけども北海道。


●『潜在能力 - 北海道→青森県の巻 -』

ここ数年、カラダというものにどんどん興味の焦点が合ってきている。 肉体と精神といった思想や哲学などもそうだし、脳の活動も含めて。システム としての神秘性や能力や限界という部分も気になる。生き物である限りカラダ を抜きには考えられないし。

徒歩による旅を通して、昔の人の旅の在り方にも興味を持った。昔の人も歩い てたんだよなぁ。実際、僕も歩いてみたら、カラダの使い方に関して体験的に 気付いたりしたこともあった。

そんな時期に(去年だが)出会った奈良の料理研究家・タカノ“かっちゃん” と意気投合、そこで見せてもらったビデオで初めてその方を知った。武術家・ 甲野善紀氏。氏の動きは近現代スポーツの常識とはまったく異なる身体操法だ った。
氏は一般には古武術と呼ばれる日本古来の身体操法を元に研究されているのだ った。

たとえば。普通歩いたり走ったりする場合、手と足は交互に交差するようにカ ラダをねじって繰り出す。右足を出す時には左手を前にという具合いに。みん な当たり前にやってることだ。が。昔の日本人達はそうではなかったらしい。 右足と右手を一緒に前に出していたのだ。(卒業式などで緊張しすぎるとこう なったりするヒトもいた・笑)

これは「ナンバ」という歩き方らしい。

ぢつは僕は知識として知る前に旅の間にこの歩き方になっていたのだった。
より楽により長時間長期間歩こうと思ったら自然にこうなっていたのだった。

で。この甲野さんがまさに、カラダをねじらない動きというものを提唱してい たのだ。そこには無理や無駄が一切排された動きがあった。一見しただけでは どうやってカラダを動かしてるのかわからないような宙に浮いてるような不思 議な動きだった。

強烈なインパクトを植え付けられて、あれから1年以上が経った。
札幌でたまたま立ち寄った本屋で平積みされてた雑誌の中に甲野さんの本を発 見!以前見たビデオをイラストや写真を使いつつ詳しく解説してる本だった。 即買。

それから数日経って今度は青森の書店でまた発見。なんと今度はNHKの「人間 講座」のテキストだった。10月から11月にかけて毎週水曜日に放映されるらし い。うわー、観たいぃ。テレビは宿に泊まった時にしか見られないのでしょう がないが、テキストだけは即買。

甲野さんは現代スポーツのトレーニングにもアドバイスなどなさっておりすご い成果をあげることに密かに貢献されているようなのだ。先日、世界陸上男子 200mで銀メダルを取ったスエツグもぢつは甲野さんと関わってるらしい。

にわかに甲野善紀ブームか?(笑)

飽食しながらダイエットみたいな勘違い健康ブームのようなお茶の間の“ブー ム”に巻き込まれてしまうと困るが。自分のカラダというものにもっと真正面 から向き合うキッカケになったら時代も変わるだろうなぁ。

テキスト表紙にはこう書いてある。
<古来の書物に体に潜む能力を目覚めさせる鍵を見つけ、身体感覚を探求する のは、「人間にとっての自然とは何か」を知ることである。>

自分のカラダと向き合う時、初めて「生きる」ということが見え始めるとつく づく思う、今日この頃。


・(060)09/15/2003/北海道・阿寒町上徹別--釧路市/
阿寒町市街から釧路まで自転車道。釧路まで26km。これをゆけば車を心配せず に釧路にたどりつける。しかし今日ここまでに既に普段歩いてる距離を超えて る。さらにここまで以上の距離を歩くことは可能だろうか。
まだ正午。時間的には行けるかもしれない。街に近付けば街灯も歩道もあるだ ろうし夜中でも歩けないことないかも。

体力的な問題が心配だが今日はなんだか調子がいい。肩は凝りまくりだが足・ 脚は大丈夫。行ってみよう。
今日中にたどりつけたら道東一周の祝杯を“ぼん蔵”で飲ろう!

平坦な道が続く。釧路湿原を横断するような道なのだろうか。空が広い。

デカい夕焼け。そして日没。釧路まで5kmもう目前。ところが!
自転車道から釧路市街中心部までさらに距離があることが判明。
釧路駅まで10kmの標示を見た時に一気に疲れが出た。途端にペース落ちる。

20時には到着できそうな勢いだったのに21時は軽く回る。ラスト2km。
コンビニで肉まん買って缶チューハイで流し込む。疲れた。野良のような犬 (首輪はしてる)が寄ってくる。肉まんをシェア。

さぁもう少し。・・・ついに見慣れた釧路の街。一ヶ月ぶりに戻ってきた。ぼ ん蔵へ行ってみよう。はやる気持ちをおさえつつ路地に入っていく。あ。電気 ついてない。休みかぁ。がっくり。膝砕けそうになる。ぼん蔵で呑む!ってこ とだけで気力を保ってたのに。はぁー。

21時半。こんな時間じゃ宿も取れないだろうからと野宿のつもりでいたけど (前回滞在中に野宿できそうなところの目星はつけてある)。夜になって風は 冷たく強くなってきた。もう気力体力萎えなえなので野宿はつらすぎる。
電話帳で調べたらカプセルホテルもあるようだ。カプセルならチェックインは 遅くまでやってるかも、と電話してみる。オッケー、確保できた。2500円朝食 付き。

重いカラダひきずって宿に入る。風呂入ってとにかく休もう。洗濯は明朝でい いや。

今日は自己新記録の50km以上歩いた。


・(061)09/16/2003/北海道・札幌市/
10時チェックアウト。フィッシャーマンズワーフMOOでのぼのぼしよう。
ここから長距離都市間バスが発着してるんだよなぁ。さて。どうするか?また しばらく釧路に滞在するか。それとも一気に移動するか。・・・バス路線図を 眺めてたらなんだか次の地への想いが高まってきた。動くか。もう札幌へ行っ てしまおう。

夜行バスってのもあるな。寝てる間に移動してしまえるってのは歩く旅とは全 く正反対のようでなんとも不思議な感じ。よし、それで行こう。

幣舞橋眺めながら日記書き、HP更新。

観光市場で旬の秋鮭(子持ち)を買って親に送ることにする。丸々一本、デカ い!ついでに。久しぶりの連絡となるが、手紙を書く。(こんなことで“勘当” が解けるとは思わないが。まぁとりあえず生きてることだけは伝えておこう。)
昼メシもMOO内で調達。釧路でお好み焼きってのもなんだが「釧路スペシャルミ ックス」をチョイス。ブタ、イカ、シャケとこれでもかのボリューム。満腹。 なかなかイケル。

日が暮れたらMOOを離れ大荷物背負って街なかへ。本屋、古本屋など冷やかし つつ。釧路では有名なライブハウス・ジスイズに寄ってみる。阿寒湖で再会し たピカイアのライブが今晩ここであると聞いていたから。開演直前、店の外に いるナベさんたち発見。いやぁ、あれからほんとに歩いてここまで来ましたよ ぉ。今夜はもう釧路を離れるのでライブを観ていけないけど、また東京で会い ませう。

ぼん蔵にゆく。やってるやってる。ちょうど一ヶ月ぶりだなぁ。こんばんはぁ。 夜勤前だというシュリさんも居る。先日はありがとう。少し話して梨もらって (!)シュリさんはご出勤。

マスターとぽつぽつと話しながらうまい酒と肴を呑み喰いしてると、常連客の お医者さん・イトウさんもやってきた。
旅の話などで盛り上がり酒もごちそうになったりしてるうちにもう23時。
ぢゃゆきます。席を立つとイトウさんが勘定は私が払うからいいよ、海月くん のファンだからと言ってくれた。うれしいぃ。ありがとうございますぅ。釧路 にはまた何度も来ます。

結構、酔っぱらった。その勢いのまま、バスに乗り込み。いざ、出発。
10分後消灯。眠る。


・(062)09/17/2003/北海道・(釧路--)札幌市/
午前6時。くもり。札幌駅に着いちゃった。あっけない。でもちょいと疲れた。 夜行バスは狭っ苦しくてやっぱりあまりよく眠れなかったなぁ。
まだ店なんてコンビニくらいしか開いてない。宿に電話もできない。

大荷物がジャマなのでコインロッカーに突っ込んで身軽になる。インフォも開 いてないの駅構内ブラつき昨夜シュリさんからいただいた梨かじってちょっと 放心しつつ方針を考えてみる。

札幌は釧路より断然あったかいなぁ。場所さえ見つかれば野宿も余裕な気候。 しかし。人が多い大都会では宿に泊まる方が無難だな。電話帳で安宿チェック。

早朝の街を当てもなく地図も見ずに歩く。コンビニでタウン誌、情報誌を入手。 映画やライブなど都会ならではの楽しみを物色。

あ、時計台だ。16年ぶりにここに来たなぁ。出勤中のスーツ族が闊歩する中、 早朝から観光客も集まり記念写真大会が始まってる。僕がカメラを持ってたら むしろそんな観光客の風景を撮りたいくらいだ(笑)。

映画館ではモーニングショーは1200円で観られるらしい。駅ビル内にあるシネ コンで『座頭市』を観てみる。メジャー映画、話題の映画を観るのってなんだ かメディアに踊らされてるようで気恥ずかしい。でも。安けりゃいいや。
平日の午前中に映画を観るってのはちょっと世間に対して優越感があったりな かったり。(社会脱落者の自嘲とも言える?)

映画はなるべく予備知識、批評を見聞きせずに先入観なしで観たいと思ってる のだが。『座頭市』は賞を取ったということがニュースにもなりいやでも情報 が耳に飛び込んできてた。そうなるともう僕は純粋に楽しもうとする一方でど こかあらさがし的な視点になってたりする。うーむ。でも。メディアの紹介映 像、写真、予告などでは表に出なかったシーンで印象的な場面やセリフがあっ たので満足。
(ひどい映画だと予告編だけですべて見えちゃうのもあるからなぁ)

シネコンだと同じ館内でたくさんの映画をやってるので他の映画も気になった りする。続けて他のも観たくなる。迷うぅ。観るか観ないかではなく、次はど れを観るかで迷ってる自分に気付く。おおぉ。これが商業戦略か?(笑)
まだ三日くらい札幌には居る予定なので明日でもいいか。

巨大な本屋で立ち読み。本に囲まれてるとワクワクする。棚から棚へ渡り歩き 無秩序無作為にキーワードがやってくる。

宿決める。カプセル以外では札幌で一番安いと思われる「あおやま旅館」
( http://www.geocities.co.jp/Bookend-Kenji/5062/)
門限なし、トイレ共同、コインランドリーあり、風呂は二軒隣の銭湯(宿代33 00円に込み。風呂に入らなかった場合、銭湯券返却すれば300円キャッシュバッ ク。)
この安さでもすっごく綺麗で気に入った。3日間お世話になることにする。

夜の散歩。テレビ塔が光る。


・(063)09/18/2003/北海道・札幌市/
くもりときどき雨。近くのサッポロファクトリー内をブラつく。

靴屋に安い出物があった。迷うぅ。この二カ月ですでに今履いてる靴はへたっ てきたからなぁ。試しに履いてみたりしつつ散々迷って、結局買わず。

ここにもシネコンがある。ネットカフェもある。また映画観る。一本見終わっ てトイレに寄ってたら次の上映案内。出口をまだ出てないので、そのまま続け てこっそり観る。
2日で3本も映画を観るとは。いっそこのまま札幌中の映画館、ミニシアター 歩き回って気になるのを片っ端から観てみたい気分。しかし。金には限りがあ る。

夜の繁華街散歩。雨ぱらつく。一人で飲み屋に入る気にもなれないし、安メシ 喰ってまたブラつく。あ、使えそうなネット屋発見。会員証や身分証なしでオ ッケーでシャワールームまである。お得なパック料金もある。宿取らず一晩過 ごすのも可能だな。

銭湯帰りにビール買って部屋でテレビ三昧。テレビでも映画。今日はかなり目 を酷使したなぁ。充血気味。


・(064)09/19/2003/北海道・札幌市/
朝から雨。11時まで部屋でぼけぼけ。

駅まで出て函館や気になる方面の運賃調査。バスの方が安いなぁ。動くならバ スだな。

駅ビル内のメキシコ料理屋でランチ。なかなかイケル。札幌でメキシコ料理? と首を傾げるヒトもいるかもしれないが、北海道に居るからって毎日北海道の 名産を喰ってることもなかろう。それに大都市だからこそこういう店もあるの だし。って誰に言い訳してんだろ?(笑)

一番奥の席陣取ってゆっくり喰ってビールも呑んじゃってのんびり過ごす。日 記書いたりこれからの予定を考えたり考えなかったり。

本屋をハシゴ。
サブカル雑貨本屋の商品ラインナップはあれもこれもストライク。ワクワク浮 足立ってる自分がいる。が。サブカルチャー風がメジャー、ファッションと化 してる今となっては商業ベースに乗せられてる気もして、くやしい。(ひねく れ者)

次の正当本屋でもあちこちの棚をホッピング。旅行コーナーで足止め。東北地 方の地図を図書カードで購入。実際に地図を眺めてるともう気持ちは東北に飛 ぶ。いよいよ北海道出て、行くか東北。動くタイミングだな。行こうと思った から本を買ったというより買ったから行こうと思った感じ。買おうと思った時 点がタイミング。

昨日見つけたネット屋へ。狭いが個室ブースになってるので妙に落ち着く。

安メシ喰って宿に帰る。地図と今日集めた情報広げて明日からの作戦練る。旭 川、小樽や奥尻島にも行ってみたいところだが。うーむ。決めた。もう北海道 離れよう。ちょうど二ヶ月になるし。キリがいい。よし。明日は函館へ向けて バスだ。

ん?夜行バスあるな。23:55発か。あと丸一日札幌ブラつけるな。よし。
んで翌朝5時函館着か。その後9時に本州に渡る船に継げられるな。よし。
明後日には本州上陸だぁ!

いつもと同じように荷物まとめてるのに。なんか新しい旅に出る気分でワクワ クとキンチョー(笑)。3時になってる。寝よ。


・(065)09/20/2003/北海道・札幌市(--函館)/
8時半チェックアウト。バスターミナルでチケット入手してから荷物をコイン ロッカーに突っ込んで身軽になって街を歩く。

週末の朝の街はのんびりしてる。ネオン街は素っぴんで照れくさそう。青空に 白い月。信号待ち。ビルよりも高い位置を一人仰ぎ見る。やぁお月さん。北海 道の二ヶ月間、見守っててくれてありがとう。本州に渡ってからもよろしくぅ。

たいていの店は10時開店。まだ10時にもなってないのか。急いでやらなきゃな らんことは何もないしほんとにゆったりのぼのぼ。久しぶりに“休日”する。

弁当買って大通り公園で噴水とハト眺めて喰らう。

近くの茶店に移動。窓の外には公園の木々。相席用の大テーブルの一隅を確保 しのんびり窓を眺めたり日記書いたり。
客はそれぞれのペースで入れ替わり立ち替わり。言葉としては認識できない程 度の会話の音声が心地良い雑踏となって店内を包んでいる。
結局コーヒー1杯で6時間も居座ってしまった。

また本屋に寄って武術家の甲野さんの本を発見。即買。

安メシ喰ってから階段上がってネット屋。23時までサイト巡り。
夜中の狸小路のアーケードにはストリートミュージシャンたちがあちこちでシ ャウトしている。

バスターミナルに戻りコインロッカーを開けようとしたら開かず。制限時間12 時間なのかぁ。しまったぁ。しぶしぶ超過料金投入。
23:55発車までまだ30分くらいある。テレビ塔の灯り見ながら缶ビール。札幌よ、 さらば。

さてと。バスに乗ったら寝るだけだ。


・(066)09/21/2003/北海道(札幌--)函館市--青森県・大間町--風間浦村桑畑/
朝5時函館駅前到着。まだ薄暗いがよい天気になりそうな予感。ここには16年 前に来たことがあったはずだ。その時は青函連絡船で渡ったのだった。台風で 足止めくらったりもしたっけなぁ。あの時とはもうすっかりがらりと変わって しまった。駅舎もリニューアルされ駅前も再開発途中。
市場は残っている。昔通りかどうか、思い出せないが。

朝メシでも喰おうかとブラついてると。声をかけられた。北海道最後だから贅 沢しちゃうか。ウニイクラアワビの3色丼。大盛りサービス。カニ汁、イカバ ター焼きサービス。おかわりにサケフレーク丼サービス。そして学割扱いで百 円引いてくれて1400円!ひゃあ、これなら文句なし。早朝5時半から大満足大 満腹。この店「どんぶり屋」オススメ。

駅で一服してると朝日が昇り月が名残惜しげに居る。だだっ広い青空に豪快な 筋雲。轟々と白波立てる大河のごとく真っ直ぐに流れる。朝日をあびて虹色に 輝く雲。北海道最後の朝は素敵な始まり。

フェリーのりばまで小一時間歩いてチケット買って乗り込む。到着まで爆睡。

あっけなく本州上陸。南下したのに「最北端」(笑)。本州最北端の町、大間。 さてと。第二部東北編は下北半島からスタート。

観光客もバスで乗り付ける本州最北端の碑が立ってる大間崎。北海道がすぐ近 くに見える。
天気もいいし、しばし、ぬぼーっと眺めてるとおばちゃんが声をかけてくれて 食料を差し入れてくれる。メロンバナナリンゴブドウコーヒー。まるでお彼岸 の供物のようだな(笑)。感謝合掌。

今まで2ヶ月使ってた北海道の地図は1/28万。今日から使い始める東北の地図 は1/14万。縮尺と地図と歩行ペースにビミョーな違和感?なんかミョーに歩け る。じゃんじゃん進んでる感覚。体力の問題ではなくただ地図の問題なんだが 気分はなかなかいい。

寝所にできそうなバス停発見。すぐ近くに「湯ん湯ん♪」なる温泉施設がある。 風呂入ってから寝るか。海と夕焼け眺めながらの入浴。ゆったりじっくり。ふ いーっ。気持ちいい。

休憩場でメシも喰える。食券買う。そばと生ビール!本州上陸に乾杯。

日中は暑いほどだったが夜は冷え込む。南下したからと言ってもやはり北の国。


・(067)09/22/2003/青森県・風間浦村桑畑--大畑町--奥薬研温泉/
海岸沿いをひたすら歩く。やたらに腹が減る。イカやホタテやアワビなどの土 地の海産物がうまそうに誘う。にゃあ。お金がいくらあっても足りない。
スーパーで買ったパンとマヨネーズで倹約。

大畑から海を離れ内陸部に入ってゆく。恐山へ向かうルート。途中に薬研(や げん)温泉という無料で入れる露天風呂があることを知り、進む。

“東北自然歩道”なる山道がのびている。去年もよくそういう道を選んで歩い たなあ。熊野古道なんかを思い出しながら歩くあるく。

所々道が途切れてしまっている。崩落のため通行止の看板すら草におおわれて いる。しばらく人が入っていないようだ。しかし。もう引き返すには進みすぎ てて戻る気になれない。迂回しながら前へ前へ。橋が落ちてたり崖が崩れてた り、なんかとんでもないことになってきた。崩れた斜面をビビリながら慎重に ゆく。落ちたら十数メートル下の河原。こわー。
いやぁまったく道なき道をゆくのが好きだなぁ(苦笑)。

素直にアスファルト道を進めば明るいうちにたどりつけただろうが。奥薬研に 着く頃にはもう日没だった。しかし。観光ガイドパンフに載っていない露天風 呂を道端に発見。地元のヒトしか知らない利用しない秘湯ムード。いいぞいい ぞ。川縁の湯は一日の疲れをゆるく流してくれる。

近くにキャンプ場があったが有料なのでやめた。公衆トイレのある駐車場に東 屋があったので今夜はそこで寝る。


・(068)09/23/2003/青森県・大畑町奥薬研--恐山--むつ市・下北駅/
山の朝はさすがに冷え込んだ。カラダが凍ってしまったかのように硬くなって てなかなか動き出せない。のろのろと荷物まとめ、昨日の温泉までなんとか歩 く。朝湯で解凍。これでやっと歩きだせる。

ずるずるへたりながら山を登ってゆく。やっと峠を越えるとなんとも異様なム ード。360度山々に囲まれた湖が見える。恐山か。

近付くにつれ硫黄のにおいが強烈になってくる。湖に繋がる川は不気味なほど 青く澄み切っているが魚の気配はまったくない。川辺が黄色く縁取られている。 硫黄分が堆積しているのか。白く焼けたような川岸の石。異界に足を踏み入れ てしまったのだな。

三途の川を太鼓橋で渡って俗界から霊界へ宇曽利山湖はさっきの川以上に青く 深く誘い込むように透き通っている。
恐山入山。あちこちに石が積まれ風車がカラカラと回り烏たちが舞い飛ぶ。異 様な光景を歩く。地獄に来てしまったか。空には秋晴れの高く澄み切った青空 とまぶしい太陽。そのコントラストが余計に地獄を強調しているような気もす る。雨なんか降ってたら“らしい”かもしれないが、突発的に死んだ場合こう いうギャップこそリアルかもしれない。自分が死んだことに気付ないような。

今日は秋分の日。お彼岸の中日。期せずしてこんなタイミングでここに居ると は。これも呼ばれたんだろうか。

はぁ。恐山おそるべし。

一時間地獄巡りして俗界に戻ると観光バスやらで乗り付けた団体がうじゃうじ ゃ。マイカーでやってくるヒトも多い。確かに今日は絶好の行楽日和。ここが “行楽”に向いているかどうかははなはだ疑問だが。

門の横にあるメシ屋でカレー大盛り喰らって。さぁまた俗界を彷徨うとするか。 なんだか街が恋しくなってむつ市を目指す。市議会選挙が近いらしく選挙カー に何度も何台にも「お願い」される。されても困る。

地図に健康ランドが載っていたので仮眠室で一夜を過ごす作戦でいこうと思っ たら、そこは24時間営業ではなかった。残念。
とりあえずスーパーでメシ買って喰ったら下北駅(本州最北端の駅)に行って みる。ここなら寝られそうだ。よしっ。

人の出入りがおさまった頃、寝る準備を始める。と。(もう電車も終わってる のに)女子高生が一人やってきて途方に暮れたようにため息ついてベンチに座 り込みうなだれている。
こっちも寝られずに困る。

しばらく妙な緊張感が張り詰めた駅舎。「テレフォンカード貸してもらえます か?」と声をかけられ手渡すと彼女は電話ボックスへ。

事情を聞くと。今日の休日を利用して友達と大間からむつに遊びに来たのだが 友達とはぐれ連絡も通じないという。親にも電話をしているが誰も出ないとい う。タクシーで帰る金など持ってないし。明朝のバスでは明日の授業に間に合 わない。
彼女は駅まで自転車で乗り付けたのだがそれは日中友達の友人のモノを借りた らしい。もう日付も変わった真夜中に自転車で帰るわけにもいかず。ましてや 歩いてなんて僕ですら二日以上かかったのだ(ちょっと違うか?)

はぁ困ったねぇ。タクシー代になるほどの手持ちの金は僕にもなかったし。

いざとなったら自転車2人乗りで僕が送ってやるってことも考えたりしたが、 さすがにそれは無理か。

無難なとこで警察に電話して事情説明して送ってもらうのがいいだろうとアド バイス。この頃、誘拐や拉致が頻発してるしそれが一番だよな。
パトカーは静かに即座にやってきた。無事に帰れるといいな。

はぁ。これで寝られる。長い一日だった。なんとも妙な一日だった。


・(069)09/24/2003/青森県・むつ市・下北駅--脇野沢村(観音堂)/
昨日の恐山に繋がるルートの強烈な峠道の所為で今日は珍しく筋肉痛。靴がす り減ってボロくなってることも歩きに負担を強いている。デカい街に着いたら 新しい靴買おう。

さて。むつからどういうルートをゆこうか。選択肢は三つ。東か南か西。デカ い街めざすなら青森か八戸。地図をよく見ると下北半島から陸奥湾横断して青 森へゆく航路発見。これだ!最短ルート。よし。半島南端の港めざして西へゆ こう。陸奥湾北岸をひたすら進む。

日中バテるほど暑く天気がよかったがだんだん風が強くなり雲行きあやしくな る。波も激しく岸壁をたたきつけ時折堤防を越えてくる。おわーっ。やべえ。

日が暮れる。どんどん気温が下がり風も冷たい。寒いぃ。ちょうど観音堂があ り中に入れた。今夜はここに泊まらせてもらおう。宿賃代わりに賽銭入れとこ。

ローソク灯してふいーっと落ち着く。助かったぁ。

今日は予想以上に歩いて40km以上進んだ。さすがに疲れた。


・(070)09/25/2003/青森県・脇野沢村--青森市/
朝5時半。目覚めて荷物まとめてると地元のおっちゃんがお参りにやってきた。 まさか人がいるとは思ってないのでびっくりされた。旅中で昨夜はここに泊め てもらったと言うと。ゆっくり休んでいけばいいとやさしく言われる。

いざ出発、というタイミングでまたさっきのおっちゃんが戻ってきて、これ喰 いなと芋ようかん丸々一本と缶コーヒーいただく。ありがとう。お供えものも らっちゃったみたいで恐縮しつつ感謝。

昨日頑張って歩いたおかげで港にはすぐ着いた。船は何時に出るのか知らない ので早めに着いてよかった。乗船券売場が開くまで本読みながら待機。今日は 雨降りそうだな。

船が入ってきた。あわててチケット買って乗船。出港と同時に雨降り出す。ナ イスタイミング。

青森に着いたら何しようかあれこれ考えながら短い船旅。

青森到着。青函連絡船・八甲田丸が記念に係留されている。今は博物館として 往時を伝えているらしい。この船だったか覚えはないが青函連絡船はなつかし いなぁ。

とりあえず駅で情報収集。安宿発見。まだ10時。チェックイン時刻にはまだま だ早いが電話してみると荷物はあずかってくれるというので「大二旅館」へ。 なんかいい感じの宿だぞ。街なかなのに裏路地入っていって静かだし。部屋も 見ないうちに二泊お願いする。

身軽になって街へ。雨降ってるのでショッピングセンターで過ごす。上の階に は図書館もあるのか。お、無料ネットコーナーまであるじゃん。いいねぇ。こ こで一日過ごすこともできるな。

靴を物色。いいなと思う靴はどれも高い。高くてもいいもの買った方が長持ち するだろうけど。徒歩の旅に長期間耐えきれる靴ってやっぱりないんだよね。 耐久性だけなら登山靴がいいけど柔軟性がないし蒸れるし。結局、次々と履き つぶしてゆくしかないんだ。だったら安いのでいいや。

デパートの“ショップ”のセールものはあきらめて商店街の小さな店を当ても なく目で追ってるとなんと500円の値札。サイズ合えばサイコー。店のおばちゃ んにサイズ探してもらうが合うものはなかった。他の靴にちょうどいいのがあ った。800円。よし、これだ!思わぬところで出物入手。
新しい靴を買うとわくわくするね。

午後4時を回って宿にチェックイン。まずは風呂。それから近くのコインラン ドリーを教えてもらって洗濯にでかける。マシンが止まるまでの時間、街散策。

個人商店、露天市場、個性的なショップが大手資本デパートにつぶされること なく共存していて商店街全体に活気があってすごくいい。駅前再開発の波に古 い商店が移動、改築を余儀なくされてる区画もあるけどまだ昔ながらの古い建 物でがんばってる店もたくさんあり、いい意味であやしげな路地裏があちこち にのびているのがわくわくする。青森かぁ、札幌よりも断然気に入った!カオ スのある街は好きさ。

テレビ見ながら酒呑んで酔っぱらったらおやすみなさい。


・(071)09/26/2003/青森県・青森市/
今日はいい天気。昨日は新しい靴買ったのでついでに新たな旅を始めるキッカ ケに髪を切る。3mmの丸坊主。うひゃー。すっきりさっぱりザリザリ(笑)。 軽くなったぁ。気分一新。

ベトナムなどのアジア料理を出す店「サイゴン」発見。ちょうど昼メシ刻。ラ ンチがお得。うむ。なかなかイケルねぇ。こんな店もある青森、気に入ったよ。

観光物産館アスパムで津軽三味線を聴いて。街ブラついて。図書館で夜まで時 間忘れる。

棟方志功記念館にも行ってみようかとも思ったが。おたのしみは次回にとって おくか。棟方志功の生き様にはすごく興味がある。僕が幼い頃、テレビのドキ ュメンタリーで見たのがあまりにもインパクトがあったからなぁ。1975年に亡 くなってるからそのテレビ放映時はまだ生きていたのだろうなぁ。

棟方志功には、その作品、人物ともにバイタリティ、生命力というものをビシ ビシ感じる。考えさせられる。こんなに激しく“生きる”ことを溢れさせるこ とに憧れと同時に劣等感すら抱いてしまう。僕は何をしているのだろう?まだ 何ひとつしていない・・・。

今回の東北の旅では棟方志功と宮沢賢治の居た土地を感じようと思っている。 だが今は直接的に作品を鑑賞する気はない。ぢつは今までにも一切触れずにい た。あえて自分からすすんで読んだり観たりしたことはなかった。嫌いだから ではない。確実に好きになるだろうから急ぐ必要がなかったというか。あまり にも偉大過ぎて近付くのがこわかったというか。

作品には今やどこででもいつでも手にする目にすることができる。それよりも 今僕がしたいのはその土地の地場/磁場のチカラを感じること。誰もがその土 地で偉大な人物になるわけではないけれど、土地、地形にはそれぞれなんらか のチカラがあるのは確かだ。土地がヒトをつくるのだ。それは風水のようなも のかもしれない。または人や物の流れかもしれない。

僕が同じ土地に足を踏み入れたところで賢治のような生き方はしないしできな い。僕だったらその土地で何を感じることができるのか。そこが興味のもっと も深い根っこ。こんな旅をしてる理由のひとつはそこにある。

そうだな、そうだったな。賢治に逢いにゆこうか。長期的な行き先が決まった。 花巻をめざそう。


・(072)09/27/2003/青森県・青森市--浪岡町(運動公園)/
宿チェックアウトして歩きだす。日向は暑いくらい。でも。日陰になると寒い。 歩いてると暑い。でも。座り込んで休憩してると寒い。

三内円山遺跡に寄ってみる。ここは入場無料ながらとてもしっかりした展示や 施設があって好感度高し。バスで乗り付けてくる団体客のペースに巻き込まれ ないようにしつつのんびり見てまわる。なかなかおもしろい。

三内円山遺跡は全国的にも有名だがこの周辺近隣にはいくつもの遺跡が点在し ている。発掘調査が進んでいないだけでぢつはそれら周辺すべてひとつに繋が る巨大な“都市”を形成していたんじゃなかろうか。
現在の青森市街からはちょっと内陸に位置しているが、かつてはここが海岸線 だったという。海では交易も盛んに行われていたようだ。太古から人の流れが 街をつくっているのだなぁ。

再び歩きだしながら今後のルートを考える。明日どころか今日どのコースを進 むかが決まってない。いずれ花巻にはゆくが、単に最短距離を繋ぐと言っても 道はまっすぐにはのびていない。今は青森県の真ん中を進んでるので分岐点で 大きく方向が変わってしまう。右にゆけば日本海。左にゆけば太平洋。そのま ままっすぐ真ん中を進めば山やまやま。悩みどころ。

山付近では熊注意の看板が!そうかぁ。北海道出て少し安心してたけどここら にもいるんだよなぁ。ヒグマほど大きくはないツキノワグマだろうけど。でも 出会ってしまったら余裕で負ける。

すっかり夜。ひと気もない運動公園に到着。ぽつんぽつんと点在する外灯を頼 りに人目につかないベンチを見つける。今夜はここで寝よう。


・(073)09/28/2003/青森県・浪岡町--弘前市(運動公園)/
歩きながら考える。心地のよい、しかも安い宿について。安心して寝られれば 設備だとか広さだとかはどうでもいいんだよなぁ。野宿なら幅45cmのベンチの 上でさえ眠れるし。それこそ「立って半畳寝て一畳」でほんとに充分なのだ。 それ以外にゆったり過ごせる共有スペース、リビングみたいなものがあれば飲 み食い語らいもできるし。電源とれるコンセントは欲しいな。
ゆったり広いラウンジと一応プライベートは保てる仕切りのある寝床があれば いいな。寝床はカプセルホテルのようなものの二段ぶち抜きサイズくらいかな。 広さではなく空間の高さを利用・・・云々。

弘前駅に到着。観光案内でネット屋や宿情報を聞く。安宿(3000円台以下)が ない。
24時間営業のネット屋とかないかなぁ。

とりあえず30分無料ネットコーナー。次に一時間100円の場所へハシゴ。
あ、雨降ってきた。野宿つらいな。
カプセルホテルありの情報あり。しかし。電話してみると。去年改装して廃止 したとのこと。がっくり。
24時間営業のサウナあり!おおっ。しかしまたしても改装中で使えず。
雨のしのげそうな公園をさがすか。

ショッピングモールの休憩コーナーでしばらく日記書き。
あ、雨止んだみたい。

地図片手に野宿できそうな公園を物色しつつ街を歩く。いっそ弘前城の敷地内 の公園にしようか?

もうとっぷり日も暮れてひと気もない城内。天守閣などは有料だが周りの公園 はタダ。お、ちょうどいい東屋発見。外灯の明かりで日記も書けるかな。
ちょっと暗いか。長時間作業するには疲れる。今日も早く寝て明朝にしようか。 月末が迫ってるけど明日中に仕上げればなんとかなるっしょ。

警備員が見回りにやってくる。おだやかな物腰だったが「園内では寝られない ことになってるから」と野宿断られる。はふぅ。動くか。
地図で目星つけてた運動公園へ行ってみよう。

やたらに広いなぁ。暗くて辺りがよく見えないし。もう日付も変わろうかとい う頃ようやく寝所になりそうな東屋発見。助かった。
途中のコンビニで買った缶チューハイ1本飲んで酔った勢いで一気に寝よう。

弘前では散々ふられっぱなしだったな。ここには呼ばれなかったのかな。


・(074)09/29/2003/青森県・弘前市--碇ヶ関村/
やたらに眠い。歩きながら眠っちゃいそう。ふらふら。天気の所為?
太陽出てるのにさーっと雲がやってきて通り雨。スコールのように土砂降り。 風も強い。
歩道の隅っこで、無人駅の待合室で、座りながら仮眠。やたらに疲れてる。野 宿はもうキツイ季節かなぁ。一日の気温差がキツイんだよな。

青森の南端、峠越えれば秋田県という位置の碇ヶ関村。昔は関所があった所。 温泉街でもあるらしい。道の駅で情報収集。雨も降ったり止んだりだし眠いし 寒いし日記の締め切りだし、ここらで宿探そう。
電話してみたら素泊まり3000円でいいよとの返事。やったぁ。「斎藤旅館」。 お世話になろう。

道の駅から徒歩15分くらいと聞いて歩きだすとまた突然の通り雨。傘出す間も なくずぶ濡れ。あわてて雨宿りできそうな所に駆け込む。
おおっ虹!完全な半円。虹の根っこも見える。駆け抜ける雨雲以外は青空。妙 な天気。しかし久しぶりの虹にココロ踊る。

宿に到着。国道7号と言うより羽州街道に面した外観は場末の温泉街のしょぼ い宿っぽい感じだが(失礼)中は古さが郷愁を感じさせるなかなかのもの。お ばちゃん、もとい、女将さんも気さくでとっつきがいい。部屋は一人では持て 余すほどの八畳間。ん?ふすま開けたら隣にまだ八畳ある!うひゃあ。隣は使 わないけど。
レーザーカラオケマシンと大画面テレビが床の間に存在感をアピール。テレビ に隠れて古い掛け軸と木彫りの立派な鷹。ミョーなアンバランス。野ざらし旅 してる者にとっては格式高い宿はかえって落ち着かなかったりするからこれぐ らいのミョーさ加減がいい塩梅。(笑)

風呂場はそれほど広くはないけど温泉でゆったり。晩メシの仕度は間に合わな いので素泊まりってことなったが。道向かいにこれまた老舗な感じのそば屋。 今夜はちょっと贅沢な気分で風呂上がりビールに天ぷら盛り合わせで晩酌。う ひひ。うまし。

19時半にいったん寝て23時に起きる。さぁ日記更新せねば。
徹夜覚悟でのぞむが翌朝5時。まったく終わらずあきらめて寝る。


・(075)09/30/2003/青森県・碇ヶ関村/
朝。雨音で目覚める。日記もできてないし動く気起きず。連泊しよう。ここ居 心地いいし。女将さんに頼みに行くと、サービスするね、と言っておにぎりと 味噌汁とおしんこの朝メシをいただく。うまいぃ。

外は雨だし日記は終わらないし部屋にこもってると昼メシにとトーストとコー ヒーをごちそうになる。うれしいぃ。
あまり気をつかわれるのも居心地が悪くなるひねくれものの僕だが、ここの女 将さんのざっくばらんさは良いなぁ。

夕食はどうする?と聞かれるが、こっちが答える前に「うちで食べると1500円 かかるけど向かいのそば屋なら1000円以内で食べられるから安く済むよ」との たまう。おいおい、女将がそんなこと言っていいのか(笑)。僕が考えてるこ とそのまんまじゃん。なんかうれしくなっちゃうなぁ。

今日は寒いので部屋ではストーブつけてもらう。こちらはもうすぐ冬が始まる。

居心地のいいおかげで日記は着々と進むが。やたらに文量が増大。自分で読み 返すのも面倒。コレ読んでくれるヒトいるのかなぁ。すまん、長くて。読んで くれてたらありがとう。

9月も今日で終わり。ちょうどこの時期はいろんな節目にあたりラジオを聞い てると番組改変で“最終回”ってのがやたらに耳につく。終わりムード満載な ラジオ聞いてるとなんだか自分も終わりについて考えはじめる。

そろそろこの旅も終わりのタイミングかもしれないな。実際、やりたいことが 具体的になってきたこともあるし。また金を使い果たしちゃう前に帰ろうかな、 とも思いはじめている。
まだまだ行きたい所はあるけれど。あともうちょっとこの旅は続けるけれど。 そして。もうこの先一生「旅」から離れることはないけれど。

そろそろこの徒歩のスタイルの終わりが近付いてる予感。それはどこかにたど りついたりナニカを見つけたりする予感ではなさそうだが。この旅で見聞きし 感じたことを消化吸収するサイクルに移行する時期が来てる気がする。

あと一ヶ月くらいかなぁ・・・。
なんかちょっとそわそわざわざわしはじめてるんだよなぁ。
近いうちに日本が大きく揺れるような気がするんだよなぁ。???

「日本が揺れる」ってのは、土地、地形、地面が大地震や火山の噴火などで揺 れる自然現象なのか、国家システムの政治経済権力の揺らぎなのか、それはよ くわからんのだが。
もしかしたら。阪神タイガース優勝のジンクスから歴史は繰り返すと仮定する と、にわかバブルで浮き足立つ、って方向で経済が揺れたりして。わからんが。

とりあえず、みなさま。緊急避難対策はしておいて損はないですよ。


・・・(つづく)[03.09.30] 海月
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