__Walk_in_the_moonshine,_and_drink_like_a_jellyfish.__

[03.10.14] 

〜海月の放流〜 045

□前回のあらすじ:
釧路に戻って道東一周を完了した時点で
長距離都市間バスで札幌そして函館と移動。
さらにフェリーで北海道離れ青森県下北半島から本州上陸。
恐山経由して陸奥湾を船で横断。
青森再上陸から一気に秋田県境付近まで徒歩南下。
旅は東北編スタートって訳で(?)新しい靴を買い髪もばっさり丸坊主。
だが。そろそろこの徒歩のスタイルの終わりが近付いてる予感(?)。


●『イーハトーブ - 青森県→秋田県→岩手県の巻 -』

イーハトーブ、イーハトブ、イーハトヴ、イーハトーヴォ。
宮沢賢治は、この地名を冠して“ドリームランド”と称した。

幸運にも月に祝福されたかのようにその地に居た。
歩きながら。地べたに横たわりながら。夢見がちに。

夢の世界夢物語詩歌うた。

僕は宮沢賢治を知らない。石川啄木を知らない。柳田國男を知らない。松尾芭 蕉を知らない。

歴史、伝承、記録、記憶。人の歴史は都合のいいように創られてゆく。
本人が死んだ後に発見され創られてゆく。
残したものや語った言葉や遍歴、行動からしか推測できない。
本当のところは誰も知らない。本当のことは語らなかったことのなかにある。
本当のことは目を閉じてうたいながら見に行くしかない。

虎は死して皮を残す。歌人詩人は死してうたを残す。旅人は死して何を残す?
死して死屍拾う者なくただひとり道にて朽ち果てるのが似合う・・・、
ソウイフヒトニワタシハナリタイ。


・(076)10/01/2003/青森県・碇ヶ関村--秋田県・鹿角市・柴平駅/
昨日の雨もなんとか上がってぴかぴかに晴れる(・・・朝だけは)。よしっ。 出発しよう。

青森、秋田の県境の峠を越える頃きゅわきゅわ雲が集まってくる。
あ、降り出してきちゃった。まいったなぁ。傘出すか。

小坂の街まで下ってきて食料調達&雨宿り。
郵便局で金をおろして荷物をかつごうとしてるとき、おばちゃんに声かけられ る。「さっき歩いてたの見たよ。車に乗せてあげようかと思ったんだけどね」
秋田県に入ってから二人から声をかけられた。天気や疲労で気分が下降気味だ ったのだが少し元気が出る。

すっかり日も暮れて暗い雨道をゆく。無人駅・柴平駅発見。なんとか雨風しの げる場所が見つけられた。ふぅ。今夜はここで寝る。


・(077)10/02/2003/秋田県・鹿角市・柴平駅--湯瀬渓谷/
朝から雨。もうここから電車に乗っちゃいたい。が。小降りになったので出発。 降ったり止んだり。気が滅入る。

今日は一気に岩手県に入るつもりでいたが天候不順のためあきらめる。雨は突 然強くなったり、上がったかと思えば青空が広がり、また雷鳴ったり突風吹い たり・・・。んもう。天気に気持ちも振り回され精神的にまいる。

まだ午後1時半。だが。山の中に、ひと気はないが水道やトイレや野外ステー ジもある立派な公園を発見。東屋がなかなかいい感じ。もう今日はここでおし まいにしよ。

くるくるめぐる天気の晴れ間にびしょ濡れになった靴や靴下洗って干したり東 屋の掃除したりゆっくり過ごす準備。

雨はしのげるが風が厄介だなぁ。山の中だから寒いし。眠れるかなぁ。アルコ ホールはあとわずか。

夜中もびうびう風吹き荒れる。寒い夜。何度も寝返りうって風に当たる面を変 えながら耐える。朝は遠い。


・(078)10/03/2003/秋田県・鹿角市・湯瀬渓谷--岩手県・安代町・貝梨峠/
太陽!青空が広がった!と思って歩き出す。一時間もするとドバーッと通り雨。 また晴れ間。歩く。通り雨。雨宿り。晴れ間。歩く。強風をともない天候に気 持ちは振り回されっぱなし。日が照りゃ暑いし脱げば雨風が寒い。んもう。気 分的にへとへと。

岩手県に入る。秋田県は二日間で抜けてしまった。また改めて日本海側などに は行きたいものだ。

東北の川は、日本海に流れるものと太平洋に流れるものとに大きく別れるが。 そのちょうど分岐、境目にあたる「分水嶺」に公園があった。またちょうど雨 が降ってきたので雨宿りに立ち寄ると。八角形の建物・休憩小屋があった。お おっ!雨風完全に防げるし、いいぞ。まだ3時半だが今日も早めにおしまいっ と。明るいうちに寝床セットして日記書いてゆっくり休憩。

晩メシも喰い酒も回って、さぁ寝ようと横になったら窓から上弦の月。やぁ! おやすみ。

真夜中。目が覚め、眠れなくなる。寒すぎるので横になったままシートにくる まったまましばらくとりとめもんなくいろんなこと考える。今度はどこに住も うか暮らそうか。私設図書館のようなヒルネ場のような空間、店?でもやろう かな・・・。


・(079)10/04/2003/岩手県・安代町・貝梨峠--西根町・大更駅/
朝は、いい天気。しっかし、かなり冷え込んだなぁ。
一気に峠下ってコンビニでカップラーメンで朝メシにしてたら、また急に雨。 今日もまたこの天気パターンかよぉ。

降ったら雨宿り照ったら進む。何度も何度もなんどもこれの繰り返し。
しかし!
突然カラダが軽くなった。荷物のかつぎ方と歩き方を若干変えたら急に歩ける ようになった。

すごいすごい!じゃんじゃか歩けて疲れも少ない。おおっ!ついにカラダの変 化が始まったか。うれしくてどんどんスピードと距離が増大。すごいよ、我な がら。楽しくなってきた。
周りの景色も色彩も広く遠く鮮やかに見えるようになった。おお、いままでは なんだったんだろ。

開眼か?歩き方、荷物の重心を高くし、あえて不安定にさせることで荷物のポ テンシャルエネルギーを積極的に前進に活用。

安定でも不安定でもなく“非安定”。
これだ!これこそが理想的な生き方、在り方、居方でもある。

まだまだ改良の余地もあるがどんどん改善してゆくことも楽しみになってく。 辛く苦しく重い荷物痛い足をどうにかしたいとずーっと一年以上考えつづけて きたからこその変化だったのだろう。

そろそろ日も暮れる頃。岩手山の方に太陽が傾くと東の空に虹!見上げながら、 まだ気付いてないひとに言いふらしたい報せたい衝動。見て見て虹だよ綺麗だ よすごいよ。

スーパーで食料調達して、さて今夜も駅寝しようかと行ってみるが終電までは まだ3時間ある。人の出入りもけっこうあるな(でも18時以降無人駅)。
酒呑みながら待つことしばし。終電見送って寝る。雨風は防げるが今夜は冷え そうだ。


・(080)10/05/2003/岩手県・西根町・大更駅--盛岡市/
冷え込んだぁ。むっちゃ寒いけど始発前には出発せねば。今日はやっと天気が 安定しそう。青空広がり不隠な雲なし。目の前にそびえる岩手山に雪かぶって る。ひゃあ。寒いわけだよ。日が昇って3時間もしたら、溶けて消えてたけど (あとで天気予報を聞いたところ初冠雪だったらしい)。

昨日の開眼(?)から歩みは順調。だが。昨日はハイスピードに乗りすぎて筋 肉痛になってやんの。まだまだ改良の余地があるな。疲れない痛まない無理無 駄のない動きが目指すところだが、それ以外に靴に砂粒が入り込まないように するにはどうすればいいのだろうか。今後の課題だ。

予想より早めに盛岡入り。おおっデカい街だなぁ。街の中心に川がたゆたって いるのっていいなぁ。流れる水がある街は好きだ。城下町ってのもまた気に入 った。

宿取って風呂&洗濯。夜になり晩メシは名物のじゃじゃ麺か冷麺でも喰おうか と思ってたのだが。
ぶらぶら街を歩きながら店を物色。開運橋に月!やぁやぁ。
常備食料も調達しとかなきゃとスーパーに入ったら弁当など半額シール貼られ てる時刻だったので。結局名物は喰わず調達品を宿で喰らう。

宿に泊まったらあれこれやりたいこともあったのだが。メシ喰いながらテレビ 見てたらハマってほとんど何もできない手につかない。わかってるのにテレビ つけちゃう。だめだな、まったくもう。


・(081)10/06/2003/岩手県・盛岡市--紫波町・城山公園/
チェックアウトしてから盛岡の街を足の向くまま気の向くままに浮遊。盛岡は 石川啄木や宮沢賢治も過ごした街だったのだなぁ。ところどころに当時の面影 を残してると思われる建物や風景に出会う。

城下町特有の街のつくり。道がくねくね入り組んでる。ついつい横道、路地裏 に迷い込みたくなるね。次の角を曲がったらまた新たな風が待ってるようでさ。

賢治さんはエスペラントを文字って盛岡のことをモリートと呼んでいたようだ。 仙台のことは、センダートか。イーハトーブを南下しつづけモリートからセン ダートへ。今後、当面の目標地点はセンダート。仙台にはいつ到着するかなぁ。

日本の四季、春夏秋冬。そして今、秋。秋は“深まる”という表現を慣用句、 常套句として使うが。なぜ他の季節には使わず、秋だけ深まるのか?

北上川に沿って南下。盛岡を離れるのは午後も回ってから。
天気もよくてのぼのぼとビールでもひっかけてヒルネでもしてたいね。
あ、川にぼろぼろになった鮭が!

北上川沿いのサイクリングロードから国道4号に。歩道がしっかりあるので夜 になっても歩き続けられないこともない。が。夜になると途端にカラダが動か なくなるなぁ。太陽電池仕様か(笑)。

徒歩のスピード、距離感覚からするとかなり大雑把なツーリングマップを頼り に今夜の寝所になりそうな場所を探す。公園あるなぁ。城山公園ってくらいな ので城跡なのだろう。ってことは登っていかないといけないのね。はふぅ。
でも。ちょうど月も昇ってきたし頂上からいい月が見られそう。

ほとんどひと気もない公園にやってくると、うん、いい月。寝所になりそうな 場所を探すと。お、汽車の客車がそのまま休憩所として開放されてる。車内の 座席で寝られる。車窓から月!ストーブもついた食堂車のような車内。いいな ぁこれ。

街の夜景を見下ろす高台にあるこの列車はまるで銀河鉄道だね。


・(082)10/07/2003/岩手県・紫波町--花巻市・大沢温泉(自炊部)/
賢治さんが名付けたというイギリス海岸にやってきた。花巻にやってきた。宮 沢賢治については作品もほとんど読んでいないし予備知識も持っていない。が。 伝え聞く生きざまはやはり惹かれる。僕は決して賢治先生のようにはなれない し、なろうともしないけれど。尊敬しちゃうなぁ。

イギリス海岸と呼ばれた北上川の川岸でぼーーっと水の動き、雲の動き、釣り 人の動きを眺めてる。水のように雲のように人のように想いも考えも感情も流 れゆく。

花巻ではのんびりしようかなぁ。駅で安宿を尋ねると湯治客用の温泉宿を勧め られた。大沢温泉山水閣自炊部。駅から無料送迎バスも出るという。オッケー。 そこにしてみよう。

ほどなくしてマイクロバスに乗り温泉宿へ。豪華な旅館部とも繋がっているが、 むしろ自炊部の方が趣きがあって抜群にいい!バスを降りると玄関には仲居さ んと番頭さん。そのフロント、ではなく事務所のある建物はなんと江戸時代か らの建築物だという。おおっ。もうこの入口時点でノックアウト(笑)。

番頭さんに部屋まで連れてってもらいながら館内の案内を聞く。増設増改築を 繰り返し、江戸、明治、大正、昭和、平成がぐねぐねと迷宮のように連結した “隠れ家”。素敵すぎるぅ。即座に3連泊決定(三日居ても一万円以内。食費 別)。

部屋は広く冷蔵庫もある。天井も高い。
布団や毛布、枕からシーツにいたるまですべてがレンタル別料金。寝袋使えば それらを使わなくてもいいしレンタルとは言ってもみんな安いのだが。
寒けりゃストーブやこたつも借りられる。今回は布団だけ借りる。

自炊部というだけあって共同炊事場も充実。売店では食材も調達できる。
その他に食堂も利用できる。

全部で4つの風呂が利用できる。川が横に流れる混浴露天風呂がまたいいんだ。

旅に入って80日を過ぎてたなぁ。80日間と言えば世界一周だってできる(笑)。 さすがに疲労は蓄積してる。ここでのんびり湯治しますか。

今夜は風呂上がりに食堂を利用。何はなくともまずビール!こんな素敵な宿に 巡り会えたことに乾杯!


・(083)10/08/2003/岩手県・花巻市・大沢温泉(自炊部)/
花巻の街との間を無料送迎してくれるシャトルバスで街へ。
花巻散策を兼ねて、食料調達。自炊まではする気はないが(炊き出しとして飯 と味噌汁を安く給食してくれることがわかったので)おかずになりそうなもの を調達。もちろん滞在中のビールもたっぷり用意。にひひ。宿の売店でももち ろん売ってるけど街ならディスカウント価格だし。

今夜は十三夜さん。山合い谷筋の露天風呂からは、微妙にタイミングを逃して しまって、角度的に見られなかったが、風呂上がってから部屋でビール片手に 窓辺でお月見。
みんなおんなじ月を見てるかなぁ。アローアローこちらはご機嫌ですよ。


・(084)10/09/2003/岩手県・花巻市・大沢温泉(自炊部)/
今日は宿から一歩も出ない。温泉三昧。腹が減ったら喰う。眠くなったら寝る。 一日中酒もちびちび。快適湯治ライフ。

年季の入った湯治ばあちゃんとかには洗濯場や炊事場で会うと道具類の使い方 や場所を教えてもらったりする。なんかここに引っ越してきたみたいな気分。 それくらいじいちゃんばあちゃんたちはここでの生活に馴染んで暮らしてた。

湯治とは言っても、ここぞとばかりにがつがつと長風呂なんぞはしない。あっ さりざぱっと浸かってビールに駆け付ける(笑)。でも。一日に3回は風呂に 浸かる。
温泉の効能が目当てではなく、ビールをおいしく呑むために温泉に入るような もの。うひひ。

今夜も月が綺麗。


・(085)10/10/2003/岩手県・花巻市・大沢温泉--新花巻--宮守村・岩根橋駅/
もう三日経っちゃったのか。一週間でも一ヶ月でも居たいくらいだったなぁ。 冷蔵庫の残りもんと炊き出しのご飯と味噌汁をかき込んで、いざさらば。

送迎バスで新幹線の止まる新花巻駅まで送ってもらう。この駅の周辺に宮沢賢 治記念館をはじめとする施設など集まってる。共通入館券を購入するとかなり 割安。
賢治さんを感じにゆく。

改めてすごいヒトだなぁ。科学者にして詩人。理想的なスタンス、だなぁ。
ドウイウヒトニワタシハナリタイのかまだ僕には見えてないのだけど。

5時間以上集中的に賢治ワールドに浸ってから、ほわほわぼやぼやと歩き出す。 遠野まで足をのばしてみるかな。二日で行けるだろう。花巻から遠野、そして その先の海まで続く釜石線は銀河ドリームラインの愛称があり賢治が描いた銀 河鉄道のモデルになった岩手軽便鉄道が走ってた路線。あぁ、それにも乗って みたいな。遠野まで歩いたら列車で花巻に戻るってのもいいな。よしっ、それ で行こう。

今夜も道みち月が綺麗。満月に導かれて歩けるとこまで歩いて。釜石線の無人 駅・岩根橋(フェルボイポント;エスペラント語:鉄道橋)で寝る。


・(086)10/11/2003/岩手県・宮守村・岩根橋--遠野市++花巻市・城址公園/
山合いをくねくねと遠野に近付く風景は“ニッポンの正しい田舎”な感じ。ど こがどういう風にそう感じさせるのか?山の形と刈り入れ始めた田んぼと茅ぶ き屋根の家も所々に残る木造の家々。あ、瓦屋根もある!

そういえば。北海道には皆無だった瓦屋根。青森でも見なかった。3ヶ月近く 旅を続けててやっと瓦屋根を見たなぁ。

遠野は物語の里と呼ばれてる、らしい。柳田國男の「遠野物語」で一躍有名に なったわけだが、またしても読んでない。とりあえず町並みを冷やかしつつ資 料館や博物館でお勉強。昔話の語りべの話にも耳を傾ける。

観光客が足早に巨大バスで駆け抜けてゆくなかをのんびり気ままに漂う。花巻 行の終電20:17までまだまだ時間がある。

夜になり寒くもなってきたので遅くまでやってるショッピングモールでメシ喰 ったり日記書いたり。

酒調達してからいざ銀河鉄道に乗り込む。遠野駅はフォルクローロ(:民話) の愛称が付いてる。そうかぁ。この釜石線・銀河ドリームラインの各駅にはす べてエスペラントで愛称がついてるんだ。車内アナウンスのはじめになんか聞 き取りにくい意味不明な言葉で駅名を言っていたのはこれかあ。

月が列車と同じ速度を保って併走。僕はやぁやぁと缶チューハイを掲げる。銀 河鉄道は、昼間歩いてきた田舎道、真っ暗闇になってしまった風景をがたぴし とやかましく進んでゆく。お月見列車走るはしーる僕らを乗ーせーてー♪

およそ一時間で花巻駅:チェールアルコに終着。“虹”という名を持つ駅かぁ。 素敵だね。
今夜はそんな素敵な街を見下ろす高台の城址公園で月と一緒に野宿。


・(087)10/12/2003/岩手県・花巻市--北上市--水沢市/
朝起きて街に下りると24時間営業のネット屋。ちょっと寄ってくか。熱いコー ヒーも飲めるし。かなり充実した設備と丁寧すぎるほどに親切な店員さん。年 会員にならなければならないのがつらい。この先一年以内にまた利用すること があるだろうか。全国各地でネット屋の会員になりつづけてるので会員証ばか り増える。

8時に出発。国道4号を主軸に旧奥州街道をゆく。横道に逸れると時々「新奥 の細道」なる名のもとに東北自然歩道の看板。あ、そっか。ここから南下を続 けると芭蕉の歩いた道に出会うんだなぁ。(とはいえ今では奥まで舗装道)

花巻を離れる前に。宮沢賢治詩碑を拝んでくる。高村光太郎が書いたという石 碑の下には賢治さんの遺骨も埋められてるという。石っこ賢さん石の下。
雨ニモ負ケル風ニモ負ケル僕だけれどもう少し歩いてゆきます。

ネットで検索かけたら北上市街と水沢市街には安く泊まれるところがあるよう だった。日記原稿締め切りまでもうちょっとあるし、花巻からだと近すぎる。 迷いどころ。そろそろ旅資金の残高も気になるところだし。そう頻繁に宿にも 泊まってられない。落ち着いて原稿書くには宿にこもらないとならんし。ジレ ンマ。
一関まで行ったら泊まるか。

今日は行けるとこまで行こう。距離かせごう。センダートまでまだ120km以上 ある。

夜になったら月が昇る。腹減ったなあ。疲れたなぁ。弁当と酒買ってホロ酔い 気分でもうちょっと進む。
無人駅はあったけれど。終電は23時過ぎまである。東北本線だもんなぁ。ディ ーゼルの汽車じゃなく電車だもんなぁ。ここはダメそうだな。

地図確認。近くに運動公園。行ってみるか。
月は出てるが朦月。雲が速い。雨の心配しないと。予報でも明日は雨。

どうにか雨だけはしのげそうな場所発見。月見酒に酔ったら寝る。


・(088)10/13/2003/岩手県・水沢市--前沢町--平泉町--一関市/
今朝はあたたかいなぁ。と喜ぶのも束の間。雨降り出す。はーあ。

イーハトーブの締め括りは中尊寺。時代が一気に遡る。あいにくの雨だが、連 休中ということもあってか観光客であふれかえっている。
観光の目玉の金色堂は拝観料取るのでやーめた。金が惜しいのが大きな理由だ がこの人混みのなかでは金払ってもゆっくり観ることはできそうもない。

境内には静かなところもあった。雨に濡れた木々がひっそり感を増している。 紅葉にはまだ1、2週間はかかるのかな。芭蕉の時代にはここはどんなだった のかな。

栄華を極め贅を凝らした平泉文化かぁ。

義経はここで死んだとされる。が。その後の北行は各地に言い伝えられていた。 モンゴルにまで到達してたらおもしろいのになぁ。

一関に着いたので安宿探す。が。ここでは4800円が最安値かよ。まったくぎゃ ふんだ。途端に疲れが出た。この先、2日くらいで行けるところに大きい街は なさそうだし。こまった。明日も雨降りそうだし霜注意報出てるし無人駅じゃ ないし野宿はキツイなぁ。5000円出すかぁ。

ユニットバス付ビジネスホテルに久しぶりに泊まった。風呂入って手動洗濯し てビール呑んでいったん小一時間仮眠。起きたらさて。日記書くか。

センダート:仙台まで100kmを切った。国道4号をまっすぐ進めばね。まずまっ すぐは行かないのだが。次は仙台からの発信だぁ(・・・きっと、たぶん)。


・・・(つづく)[03.10.13] 海月
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