【翳りゆく脳】
いまこの時代に死が当たり前に眼前にさらされている国や地域や人々が存在することは知っているつもりでいる。しかし、それはここでこうして安穏と暮らしている限り、すりガラス越しの風景。においもしないし味もない。
傍観者ですらなく、関心も知恵もない。何も見ていないし何も見えない。
現実逃避としての感情移入や優越感に満ちた同情は何も解決してこなかった。
生々しい血痕や死体、残虐な殺戮、そんなシーンを生中継したところでそれがリアルであると実感できるわけではない。
いま目の前で起こっている事件事故でさえも、TVニュースで、知る。
想像力はもう死んだ。
どんどんわかりやすくなってゆく。どんどん考えなくて済む。
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