四国横断を締めくくり松山に入る。
一泊￥2800〜3000の安宿が駅前に見つかったので
ここに１週間逗留することにする。

#松山に越してきた気分で日々過ごす

旅先で月を見る。
むしろ月を見るために旅に出たのだ、
と言ってしまってもよいほどに月とともに暮らす。

あぁこの同じ月を誰かも見ているだろうか。
そんな想いを月に飛ばす。

同じ月を見る。
遠く離れていてもふと見上げた先に同じ月がいる。
僕は月に想いを反射させて通信する。

ネット上での心ザキザキとあわめく言葉のやり取りを。
俳句甲子園で応酬される批評眼を。遠くから近くから観る。

情と景。ただの観察記録に終わらないもの。
・・・

#破り出る月ぬ

あと数日したら松山を離れる。
今日は雨模様。先日来と打って変わって肌寒くすらある。

雨宿りを兼ねて図書館に入り浸る。
本のタイトルだけたどっていても満足な気分。
ぢっとしてられないようなぢっとしていたいような
なんだか宙ぶらりんな旅の休日。
天気がよければ公園ベンチでヒルネもできようが。この雨では・・・。

#本手にするも窓外の雨すじ
#濡れとらんベンチ渡り歩く雨か我か
#予報に聞くふるさと

この一週間の松山滞在でおおかた街の地図も頭の中にできてきた。
今日はデパートの屋上でぼんやりと天と地のはざまにたたずむ。
屋上に観覧車も回る。
まだ容赦のない夏の日差し。生ビールでも一杯引っ掛けたいところ。
しかし一人だとなんとも乗り気になれない。

そんな気分のところにネット上でのみ繋がっていた仲間と邂逅。
うまい肴は魚のみにあらず。ココロほぐれる。

#はしゃぐ声も白く焼ける屋上遊園地
#地上８階育ちのアゲハ域
#懐かしき初対面者との邂逅

１週間逗留した宿をチェックアウト。
大荷物は駅のコインロッカーに放り込む。
すっかり通い慣れた図書館にて開館から閉館まで一日中過ごす。
一冊の本をずーっと読みふける。時折うたた寝。時折窓の外を見やり。

適当に手にした本ではあったが。
ここ数日考えていたこととシンクロすることしきり。
そのためもあってそれらキーワード、キーフレーズを目にするたびに
天井仰ぎ思考浮遊。

#行間に天井を泳ぐ

相棒Ｒとの１０日間の別行動も終了。丸亀駅で再会。
互いに駅でニヤける。なつかしいような。気恥ずかしいような。
とりあえず「よぉ！」「やぁ！」とはじめる。

#あれもこれも話せば長い　まずは祝杯

相棒Ｒの友人の縁で瀬戸内の小島・粟島に渡る。
夏の日差しにきらめく水面と木漏れ日とビール。ヒルネが似合う午後。
探検気分で山に迷い。地の人々と呑み語り。
夕焼けの荘厳。ウミホタルの不思議。

#何があってもうれしくなれるビールおかわり

前回通過した阿波池田まで汽車乗り継ぎ移動。
今度はここから高知をめざし徒歩南下する。
川をさかのぼるように渓谷を見下ろす道をゆく。
天候はあいにくの雨。
この旅での最大の難所かもしれない。
照れば暑い。降れば寒い。天候に左右されるココロ。
体内毒素を吐き出すような愚痴、八つ当たり。
すまぬ相棒。
精神的にも越えてゆかねば。この峠を。

#雨の中泳ぐように歩く

降ったり止んだり不安定な山の天候。
ふてくされながらも半歩ずつ歩みは止めない。

峠を越える。上空から滑走するように下ってゆく。
山間から平野へと拡がってゆく視界。
空が。広い。
太陽が出迎え。

町の声を拾い走るラジオカーに声をかけられる。
突然の取材。ラジオ生出演。
「なぜ高知？」
何度も訊ねられる問い。自分でもわかってはいない。
けれど、あえていうならば。こう応える。
土地地形のチカラ、
そしてそこから立ち上がるエネルギー、ヒトに惹かれるから。と。

荷を置き街に繰り出すと解き放たれたうれしさ。
着いた。ここだ。ここからまた新たなナニカがはじまる。予感。
街に受け入れてもらえそうな気配。
うれしすぎて呑みすぎる。

#呼ばれるままに千鳥足


追伸：高知市街にアパートを借りた。２週間の契約。
これからここに暮らすように街で過ごしてみる。