__Walk_in_the_moonshine,_and_drink_like_a_jellyfish.__

[04.05.01] 

〜海月の放流〜 057


2ヶ月ほどやった夜勤のバイトも4/17朝で期間満了となった。
また次の仕事を探さねばならぬが。せっかく時間があるので。
一週間ほどマタタビ。

当初は「メシも喰わずにどこまで歩けるか実験」
なんぞやってみるかと企んでいたが。
果たしてそれは予定に反して(予想通り?)・・・



●『ヤマナシへ行くの巻。前編その1:ヨッパライのマーチ』

バイトが期間満了する数日前から。どこに行こうか思案していたわけさ。
(作業中にそんな余計なことを考えられるほどには仕事に慣れてきていた。
ので。もう少し働きたかったが、まぁしょうがない。)

今後の引越しや次の仕事が決定するまでの生活費等も考えると
それほど長い期間は旅に資金投入もしていられないわけで。
ならばいっそ
「メシも喰わずにどこまで歩けるか実験」
ってな感じで断食でもしてりゃあ金はかからんだろ、
ぐらいの大雑把な計画を深夜の作業中に考えたりしていたわけさ。

丸2日48時間の断食はやったことがある。
水分さえ摂ってれば大したことはなかった。
ならば一週間くらいはできるかな?と。
それを歩きながら、となるとかなりハードだとは思うけど。
近場で人目のつかない山でもあればそこにこもって
のぼのぼと野ざらしで過ごすのも悪くないな・・・。
ってなことを考えてるとかつて暮らしていた山梨辺りが
距離的にも地理的にも良いのではないか。との結論に達したわけさ。

となれば。山梨でぜひ訪ねたいお店があるからそこを目指して歩こうか?

期間も短いし季節をまたがるわけではないので大した荷物はいらんわけで。
まぁそれでも雨と野宿の対策は考えつつ身軽な準備を進めてゆこうか。

・04/17/2004
さて。いざバイト終了となった4/17土曜の朝。
御苦労様、と社員様にウィスキーなんぞもらったもんだから。
帰宅後小一時間後には既に酔っ払いだったわけさ。

夜勤仕事上がりでさすがに眠くなっちまうだろうと思いきや。
しばらく仕事しなくていい!マタタビに出る!という興奮から
目が冴えまくって眠れないどころかぢっとしてられないわけさ。

まずは洗濯機ぐるんぐるん回す。
そのかたわら旅の準備をしたり部屋の片付けをしてみたりするわけさ。

同居人わたるが今夜は早上がりと言うので。
夜は外に呑みに繰り出すわけさ。
駅向こうの店にゆくこと自体珍しいのだが。
それがまた遠足気分でミョーに足取り軽いのさ。
へたすりゃ走り出すかスキップでもしかねない有り様。
店に入る前から浮かれ気分なのさ。

一軒目で充分てろてろに酔ったので。帰るわけさ。
でもやっぱり。帰り道、気持ちいいハルの夜風にあたって
ほろ酔い程度まで酔いが覚めてくれば。
一番ご近所のお気に入りの焼き鳥屋「月夜亭」にも寄りたくなるわけさ。

んで。気がつけば午前2時半だったりするわけさ。
30時間起きっ放しで17時間呑みっ放しだったことになるわけさ。
さすがに部屋に帰り着くなりバタンQだったわけさ。


●『ヤマナシへ行くの巻。前編その2:行楽ノスタルジア』

・04/18/2004
4/18日曜。旅に入る。予定だったけど。
んもうまるっきり使い物にならないヒトと化していた、と。
ただただ惰眠をむさぼり
(前・中・後編3部にそれぞれ3節あり、全部で9パート構成の)
長編の夢の中を泳いでた、と。


・04/19/2004
4/19月曜。
予定を変更して。
まずは電車で山梨に行っちゃうか?
帰りに歩いたっていいんだし。
片道100km以上はあるんだし。
往復歩くのは当初も予定はしていなかったんだし。

結局、昨日も。寝てるばっかりでは飽きて疲れて。
起きあがるなり部屋で呑んでた。ので。
まだアルコホールリッチな脳みそではあるけど。
ハルの陽気に誘われ出る準備。相変わらず出発直前のドタバタ。
さていざ出発。
最寄駅まで歩いて即、電車に乗り込んでしまうには惜しい天気だった。ので。
さらに2つ先の駅まで足を伸ばす。
(ここに電車賃を浮かせようというビンボ臭い動機がないわけでもない)

ハル、というよりも初夏、ナツを予感させる気温。
駅ホームで電車を待つ間に服をバサバサ脱ぎにかかる。

ザックに仕込んでおいたペットボトル入りウィスキーを迎え酒にちびり。
天気のいい日にこうして鈍行電車で過ごす時間は行楽ムードを盛り上げる。
車やバイクを自分で運転操縦していてはこうはいかない。
(酒気帯び運転はさすがにマズイし)

「行楽」ってなんかいい言葉だなぁ。
ピクニックってのも好き。PicNicと表記するのが好きだなぁ。
東京に住んでる頃は一人でもPicNicをよくしていたなぁ。
パンとチーズとワインをザックに放り込んで
近くの井の頭公園まで歩いたり
水上バスに乗って葛西臨海公園によく行ったなぁ。

・・・追憶が車窓を飛び出して脱線してるうちに。
列車はいくつものトンネル抜けて甲府盆地に入る。
盆地を見下ろし見渡すこの風景が好き。
「帰ってきた」って気分になる。

僕には故郷とか地元と呼べる所は、ない。
旅先や仕事先で知り合う人々には「出身はどこ?」と訊かれるのが常だが。
生まれた場所と育った場所と長く暮らした場所と現住所がそれぞれ違うので
いつも答えに窮する。
「出身は日本です」くらいが僕にはちょうどいいのだが。
それで納得してくれるヒトはまずいないだろうし。
それが初対面であればなおさら言えないし。

そんな僕だが。
山梨は。これまでに住み暮らした中で一番長く居た土地であるからか
ココロノフルサト、と呼びたいようなノスタルジアがある。
この心境には盆地を中心とした山梨の“土地のチカラ”も関与作用している
に違いない。
だからなのか。「帰ってきた」って気分になる。

・・・とまた脱線してるうちに午後4時甲府駅に到着。
今日の目的地はここから3つ先の韮崎駅なのだが。
韮崎に行く前に甲府で、差し入れ用の酒を調達しておきたかったのだ。

甲府にはお気に入りの酒屋がある。市街地からは離れているので
観光客はおろか地元民ですら歩いて行くやつぁいない。が。
このハルの陽気の中を散歩するのにはちょうどいい距離のような気もする。

懸念は一点のみ。目的の酒屋の定休日を把握していないことだけだ。


●『ヤマナシへ行くの巻。前編その3:野ざらし』

ワインブームだの本格焼酎ブームだのと
騒いでは飽きられていく巷間の流行とは一歩も二歩も先を行っていてしかも
目先の奇をてらっただけではない
こだわりを持った“変わりモノ”ばかりを取り扱っている店。
それが「イソベ酒店」だ。
ここでどんだけこの酒屋の宣伝をしても僕には一銭の得にもならんし
酒屋側にとっては放っといてくれぐらいのスタンスかもしれんが。
まぁとにかく僕は甲府在住時からまた離れてからもこの店のファンなのだ。

んで。店は開いてた。まずは第一関門クリア。こっからが本当の難関。
酒の種類が多すぎて選べないのだ。呑ん兵衛には堪らない関門。

まずは一升瓶入りのワインを物色。これは遠方の友への贈答用に発送する。
ここですでに20分くらい逡巡してる。
それから今夜訪れる韮崎のお店への差し入れ用に
めっぽう珍妙な酒(笑)の物色に入る。

あったあった。おもしろいそうなのが。クマ笹焼酎?!
長野は佐久の酒、か。
んもうラベルからしてやられた感、炸裂。
和紙ラベルに手書き筆調でさらりと妖しく描かれたるは
枯ススキに曝れ頭(:髑髏;しゃれこうべ)。
そして裏ラベルには口上とさらに蔵人達が綴った文(ふみ)までがついてて
興味をそそり舌と咽喉に幻惑を誘う。
(ラベルの絵などはググればすぐに見つかりますぜ)

その名も「野ざらし」。
うぉーー。僕の旅の在り方のテーマそのものぢゃないくぁ!

その口上は呑む前から僕に鳥肌立たせた。
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クマ笹焼酎「野ざらし」

人生とは、はかないものだ。
人も、いつか土となり、野にかえる。
その意味で、生きるとは、何事にも
かえがたく、ありがたいものだ。
ならば、その生は活動的にいきたい。
その時、「くまざさ」の神秘性に頼るのも
よいかもしれない。
そんな人生の有限性を考えた時、
この焼酎の名は決まった。
野ざらしと・・・。
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この酒を名刺代わりに携えて人を訪ね歩くのも悪くない。


●『ヤマナシへ行くの巻。中編その1:黄昏』

甲府の酒屋から韮崎まではおよそ15kmほどの距離。
うまくすれば4時間くらいで歩けるか?
土地鑑はあるのでルートはわかる。が。
在住時は基本的に車かバイクで移動していたので
時間的距離的感覚が徒歩とはまったく異なる。
でもまぁ。店がオープンする時刻にはまだ間があるし
懐かしい街並みを散策気分で歩くのもよし。

雲行きが怪しくなってくる。
・・・降り出す。
傘は一応持ってきている。が。既にこの傘の寿命は見えてる感じ。
100円均一な傘はやっぱりこんなもんか。

春の嵐。
この不安定な天候もハルらしいと言えばハルらしい。
「野ざらし」の心境そのものでもある。
天候に左右されるココロは不安定だが。静かな気分でもある。

破れ傘を風にあおられながら
フラッシュバックする旅の記憶。

黄昏(たそがれ)時。
誰そ彼と問う刻限。
あるいは彼は誰(かわたれ)時。

歩き疲れて座り込みイップク点けてると。
帰宅途中の勤め人の車は渋滞を始め、
下校中の中高生達はまっすぐ家には帰りたがらない。

雨が激しくなってくる。
あと一駅分の距離だけれど。
都会の一駅と地方の一駅では比較にならない。

疲れたな。もう電車に乗っちまおうか。このままじゃ夜中になっちまう。
最も降りの強い時にかろうじて電車に飛び乗る。


●『ヤマナシへ行くの巻。中編その2:ユルリウム』

韮崎駅近くにあるその店「お〜くぼ食堂」(通称・くぼ食)については
これまでの放流記にも言及しているけど。
店主達にゃあ悪いがあまり宣伝したくない。(笑)
この店は僕の興味アンテナ的に絶対のオススメ!!!
なのだけれど。誰も彼もには教えたくない。
そういう大事な店ってあるんだよね。

さて。韮崎に到着し。雨も小降りになってる。
もうすっかり夜の闇の中。
くぼ食の明かりはチェシャ猫のようにニヤニヤしている。
僕もニヤニヤしながら外から窓の内側を覗くと。満席のようで大盛況。
お客の笑い声にあたたかな温度を感じる。

場の渦を崩さないように、そーっとドアを開けて入る。
アロー、こんちくわ。
一体どこの山から下りてきたんだというような旅の風貌の僕に
客達は一瞬だけ視線を投げてきたが。
この店にやってくる客のほとんどが変わり者なので(笑)
あまり気にもかけない御様子。

店主のんちゃんとアイ・コンタクト。
満席かと思われた店内のカウンターにひっそり1席「予約席・くらげ」の紙。
おぉ!うれすぃー。助かった。

くぼ食に来ると僕が初めに呑むものはいつも決まっている。
「ハーフ&ハーフでお願いしますぅ」

ぷはーっ、と。息をつくと。やっと店内に目が慣れてくる。
あ、なんだ。見知った人達も居るじゃんけ。

お久しぶりですぅ。
とまぁなんとも気の抜けた言葉を交し合う。
一年近く会ってないので実際久しぶりではあるのだが。
くぼ食で出会う人とはあまり久しぶり感を感じない。
昨日も会ってたような気がしてくる。
どうもここは磁場だか時空だかがねじくれてて
そういうのもどうでもよくなっちゃうのだった。(いい意味で、です!)

ほぼ毎日変わる手書きメニューを見てあれこれ迷うこと自体楽しいのだが。
一杯目のビールで既にほろ酔いのいい気分になってるので
なんだか注文のタイミングを逸している。
が。
そこは店主のんちゃんとももちゃんのこと。僕の状態はすっかりお見通しで
他のテーブルの注文の合間合間に適当に見繕ってあれこれ出してくれる。
うーん。うまいっ!ありがたい。
何喰っても呑んでもどれも間違いがないので安心していられる。

僕はこのくぼ食の“常連”なわけではない。
地元民ではないのだからそうしょっちゅうは顔を出せないわけだし。
また常連というスタンスも難しいもので。
やはり店主との距離感覚はわきまえなければならないとも思ってるから。
他の客の前では馴れ合いではない距離感覚をキープしていたい。

のんちゃんとももちゃんにしても
その距離感覚がわかる人達だからこそ僕らは仲良くなれたと思うし。

まぁそんな堅っ苦しいことは置いといて。

ゆるーく居るのが一番いいんだよね。
それにはある程度の滞在時間は必要になってくる。
「場」にカラダが順応するための時間だ。
チェーン居酒屋のような90分か2時間程度の時間では
まだまだカラダが順応しきれない。
仕事や移動のモードをチェンジしなければやはりゆるーくはなれない。

客達のほとんどはそれを直感的にわかるようで。
だからみんなやたらに長居する。
おかげで店としては回転が悪く、遅く来た客は相席か断られる羽目になる。
難しいねぇ、商売ってのはさ。

頃合を見計らって差し入れに用意した「野ざらし」をおもむろに取り出す。
どう?いい感じでしょ?
コドモがお気に入りのおもちゃを見せびらかす気分である。うひひ。

顔見知りの客達も交えて試飲会。
うむ。イケル!(良かったぁ。内心ホッ。)

・・・
もうすっかりゆるりゆるゆる。あぁここはほんとにうれしい場所だ。

夜も更ける。
月曜の夜であるから。たいていの客は明日も朝から仕事だ。
名残惜しみつつ皆引き上げてゆく。

けれど僕にとってはこれからがはじまり。
くぼ食は明日、定休日。
お疲れ様でした。と片付けの手を少しゆるめた店主達と杯をあわせる。

のんちゃんは昨日ぎっくり腰になっちゃったらしく大変そうだったけど。
なんとか乗り切ってよかった。
店を開けた限り店主は納得のいく仕事をしなければならないし、
客も下手な同情や手出しはしてはいけないと思う。
でも。
もうオフタイム。ゆっくり休むといいさぁ。

・・・
あ、この夜まで店内でコラボレーション開催されてた“かん子展”のこと、
書いとこ。んーと。店の各テーブルに陶器でできた人形を飾ってあってさ。
とにかくもう表情がすっごくいいわけ。お人形さんなんてものにはまったく
興味もなかったガサツな男子である僕だが。
もうこの人形の表情には無条件幸福だったね。
ゆるさ全開!うひょひょひょひょ。

んで。製作者本人が当日アルバイトとして店で働いていたので顔を見合わせて
注文頼んだりするわけだが。これがまた人形の表情とまったく同じなわけさ。
笑顔も、ちょっと戸惑うような顔も、あらゆる作者の表情が人形のカタチに
表現されていたわけさ。すごいぞ、かん子!(実人物はもっとゆるい!笑)

(追記: お〜くぼ食堂ではこういう企画イベントがちょくちょく催されてる)


●『ヤマナシへ行くの巻。中編その3:ホリデイ・ムード』

特急で店の片付けを済ますと明野村の家まで車飛ばす。
人んちなのになぜか、ただいまぁな気分。
さて。ほんとにお疲れ様でした。
でわ。と当然のように呑むわけさぁ。


・04/20/2004
4/20火曜昼。
昨夜は何時まで呑んでいたのか全然覚えてないけど。
目覚めはすっきり。
太陽が呼ぶのさぁ。風が呼ぶのさぁ。
いつまでも寝てられないわけさぁ。
で。ベランダに出ると。
んもう素晴らしい空。遠くの山々も一歩前へ踊り出る。

風は。ごうごうと強い。けれどとても清清しい。
この風に乗ってどこへでも飛べそうな予感をはらんでいる。
あぁこれはナツのシマのカゼだ。

ももちゃんがすかさず冷蔵庫からオリオンビールを出せば。
すぐ近くに海がやってくる!そう確かにそこには海があった!

のんちゃんの腰はかなりひどいようだが
腰の曲がり具合とかなんだかシマのおじーだ!

おじー自慢のオリオンビールで「あっりカンパーイ!」
3人で風と太陽をたっぷり浴びながらベランダで過ごすゆるい時間。

それから車でおでかけ。
車は窓全開!風がいいねぇ。

まずはくぼ食に行って休み明けからの店内企画「こいにょぼり」の準備。
あのひらひらしたこいのぼりを店の壁や天井に吊るす。
風を送ってみるとこれまたいい塩梅に泳ぎだす。

一段落して店の外にイス出して夏モードの格好で瓶コーラなんぞ飲んでると。
かん子ちゃんも昨日で終了した展示(売り物でもあった)品を梱包、片付けに
やってくる。やぁやぁ。

ガラスの腰のおじーとかん子ちゃんを店に置きざりにして
車を借りてももちゃんと買い物に出かける。
ちょっとしたドライブ気分。
いやーほんとに気持ちのいい日だねぇ。

帰ってきて店を戸閉めると。じゃそろそろ出かけるよぉ。
と声はかかるが。僕には行き先を教えようとしてくれない。
「だって拉致だもんね」
っていつもこうさぁ。(笑)

風を感じて、風になって、うたを感じて、うたになって
大事な友と車の外を流れる風景を追いかけ眺める。
あぁなんとも素敵な正しい休日の過ごし方。

明野村からさらに標高の高い所にやってきたようだ。
(あ、ここ 連れてきてもらったことある!)
そして。いろんな人たちが既に集結している。

今日は月に一度の宴、
明野須玉周辺の変わり者もとい個性的な人達が集う宴、だったのだ。
今回は珍しくみんなの都合がうまく合ったのか総勢20名ほども集まった。
元々地元の人もいればこの地に呼ばれて移住してきた人もいる。
僕のように友だちの友だちのような繋がりでやってきた人もいる。

みんな気さくなおもしろい人達。
みんな一癖も二癖もありそうだけど(笑)
田舎暮らしには大変なこともたくさんあるだろうけど
すっごい愉しそうに活き活きしてる。

男も女も年齢はバラバラだが
心持ちが若い衆(甲州弁だと発音は“わけぇし”)ばかり。
人見知りな僕もすぐにゆるむ。
呑めば仲間。いちゃりばちょうでぇ。(;ウチナーグチで出会えば兄弟の意)

そして今夜も笑って呑んで酔っ払って夜は更ける。


●『ヤマナシへ行くの巻。後編その1:風になりたひ』

・04/21/2004
4/21水曜。
今朝もいい天気。
またベランダでのぼのぼだらりらとゆるーくはじまる。
のんちゃんが甲府の病院に行く用事があるので今日もくぼ食は休み。

店の入り口には貼紙が幾パターンも用意してあって。
定休日や突発的な休み(あるいは計画的な逃亡・笑)などによって
差し替える。
で。本日は「やぼよう」だってさ。

今日も窓全開で風に包まれながら大声でうたいながら車を走らせる。
♪風にーなりーたいー

ももちゃんは足にネイルアート を施してもらうため途中下車。
のんちゃんは病院。
僕は甲府駅近くの舞鶴城公園でヒルネ。

舞鶴城公園は最近リニューアル工事が完成したようで。
見違えるようにずいぶん綺麗になってる。
市街地の中では一番高い位置で盆地を見渡すことができるので気持ちいい。
ここへは昔よく授業や研究室抜け出して来たもんだ。

富士山も綺麗。空も綺麗。太陽も風も気持ちがいい。
下界を忙しなく行き交う車がだーんだんスローモーションになってゆく。

のんちゃんの用事が済んだのでピックアップしてもらって。
せっかく甲府に出てきたからと、例のイソベ酒店に案内することに。

のんちゃんも大喜び!
予定外の出費になったとうれしそうに言う。
酒屋の主とのんちゃんが名刺交換なんぞやり始めると
ここの主もまたこだわりのある呑ん兵衛なもんだから
「ちょっと試飲してみますか?」と誘惑するわけ。
んで。一口味わったら次々におもしろそうなものを出してくるわけ。
どれもこれもうまいからまいる。
終いには、これも試しに、って「豆腐の味噌漬」を手渡してくれて。
帰ったら早速試してみたくなるわけ。
とにかく。ここの主も自分の好きなものにはとことん入れ込んで
お気に入りのおもちゃを見せたがるコドモそのものなんだよね。うひひ。

ももちゃんをピックアップしに行って
そこでしばし薫り高いハーブティーをご馳走になったりしてから
買い物して帰る。
今日はイソベで新たな酒を何種類も買っちゃったからね。
くぼ食で出す前に味見ておかないとね。ってわけで買い物も酒の肴。
クジラの刺身なんかも奮発しちゃう!ひゃっほう。

帰り道。夕空にものすごく鋭利な月!空のはがれ目みたいな薄っぺらさ。

今夜はビデオで「ナビィの恋」観ながら沖縄モード全開!
今日仕入れた石垣の泡盛・白百合がすごい個性で拍車をかけてくれるもんで
もう止まらないわけさぁ。
4回も5回もビデオをリプレイして3人ともすっかり
言葉がウチナーもどきさぁ。
セリフも暗記しかねない勢いさぁ。うひひ。


●『ヤマナシへ行くの巻。後編その2:日本一熱い日と人』

・04/22/2004
4/22木曜。
今日はさらに暑さ増量。
そしてやっぱりベランダからはじまる一日。

今日はくぼ食開けるから。仕入れ仕込みの時間も考えて出発しないとね。
ぢゃあ僕はそろそろ旅立ちますか。

のんちゃん達の畑でうたって別れる。
今度またいつ来れるかわからないけど。ぢゃまた!

急ぐわけでもなし目的地があるわけでもなし。
明野をぶらりとまいりましょ。

太陽はすっかりナツだ。
Tシャツから出た素肌をぢりぢりと焦がす光線が妙にうれしい。

ほてほてとあてもなく歩く。歩くあるく。
暑いと言うより熱いね。
さすが日照時間日本一と言われる明野村。日当たり良好!

耐え切れなくなったら木陰でヒルネ。
1時間半ほどウトウト。

あてもなく彷徨ってはいるのだが。
日がかげって月もやってくると。
やっぱりナニカが呼ぶ。
だんだん街に降りて行く。
どんどん見慣れた景色。
これを曲がってここを進めば。
あ。

「えーっとぉ、予約はしてないんですが、一人分空いてますかぁ?」
のんちゃんももちゃんがニヤニヤ出迎えてくれる。
「ふふふ。来ると思ってたよ。」読まれてたか。
僕はハーフを頼んでこれが呼んでたんだよと言い訳する。うひ。

1杯呑んだらすぐにでも出ようかと迷ってはいたのだが。
ありゃりゃ。2杯目に手を伸ばしちゃったよ。
頼んではいないけどうまそうな料理も出てきちゃうし。
はぁ困ったなぁ困ったこまった。(笑)

今日の山梨は最高気温33度もあったんだって。全国で最高記録だって。
熱いわけさ。

今夜も店が終わるまで居座ってそのままのんちゃんももちゃんちに帰る。
またナビィと泡盛。デジャビュのような日々。(笑)

・・・
何を話し込んでいたのか?
それは出会う前からずっと語り続けてきたことのようでもあり。
言葉を言い換えてるだけで何度も伝え合ってきたことのようでもあり。
具体的な言葉は結局よく覚えていないのだが。
気がついたら。朝になってた。
明るくなったら朝の空気と太陽を浴びながらベランダでまだまだ語り合う。

午前9時。さすがに寝ないと“今日”もくぼ食でしょ?(笑)


●『ヤマナシへ行くの巻。後編その3:センチ/先知/浅知』

・04/23/2004
4/23金曜。
のんちゃんに起こされると既に午後2時を回ってる。
そうだった。朝までロングトークしてたんだっけ。
もうそろそろくぼ食に行かないといけないよね。

また明野から歩き出したら韮崎で夜になっちゃうから昨日の繰り返しだぁ。
ってことでのんちゃん達の仕入れに付き合いくぼ食まで行ってそこでお別れ。
ぢゃあ行ってみます。

今夜あたりから天気は崩れるらしい。
韮崎駅からすぐに電車に乗ってしまえば
雨が降り出す前に帰り着いてることだろう。
が。まだ日は高く雨の気配もない。
んじゃあ行けるとこまで行ってみるか。

今日も風が強いけれど。
幸運なことに追い風が続いたので歩けるあるける。
2時間3時間歩き続けてもあまり疲れを感じない。が。
座り込んで休憩をとってはじめて疲労の度合いを知る。

かつて通学にも使っていた懐かしい道をゆく。
そうそう。ここからの富士山の眺めが好きなんだよなぁ。
で。ここで振り返ったときの甲斐駒ケ岳がまたイイんだ。
そんなこと思い出しながら歩いてゆく。

日も傾き家路を急ぐ人や車が増えてくる。
甲府市内に入る頃、夕焼けが背中をくすぐる。
ハッとして振り向くと。
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空がね。すごく。綺麗だよ。
刻一刻と変化してゆくんだけど。
綺麗なもも色なのん。

ちょうど月もおでましで。
金星をお供につけて。
すごくわくわくする空だよ。

よっぽどこの場でメールを打とうかと思ったけど。
くぼ食が始まる時刻だったからやっぱりやめとくよ。
でも。テレパシーでは送ったつもりだけどね。うひ。

センチメートルな足取りで
センチメンタルに歩いていたけど
この空を仰ぎ見てたら
僕も始めなくちゃと思ったんだ。
何を始めるかはまだわからないけれど。
いっぱい元気をもらったから。
大丈夫だいじょうぶ。

いつも濃密な時間をありがとうねぇ。
話し足りないことは山ほどあるけど。
呑み足りないって気分も海ほどあるけど。
また次回のお楽しみってことにしとこう。
--------------------------------------------------
・・・こんな文面が脳裏に浮かんだ。
やっぱりその場ですぐにはメールを送らなかったわけだけどね。

日が暮れてゆく。
甲府市内も抜けてゆく。
このまま一晩中歩き続けてもいいような気分だったけど。
中央本線の列車の灯りを高台から眺めてたらなんだかまた切なくなって。
迷いに迷った挙句。
石和温泉駅20:58発の電車に乗ってしまう。

それでも韮崎から20km、5時間くらいは歩いたってことか。
もうその場で既にちょっと足が筋肉痛っぽい。

ガラガラの車内。ボックス席で靴脱いで足伸ばして。
列車の振動に身を任せる。

なにげなくもらってきてしまった山梨のバイト情報誌。めくってみる。
相模原で働いてたのと同じような内容/条件の仕事もあるもんだね。
寮付きの仕事先なんてのもあるんだねぇ。

いま。また職探しと家探しをしなくちゃならなくなってるが。
山梨で探すってのも選択肢に入れてもいいかなぁ。
お〜くぼ食堂があるし・・・。

ただの感傷からかもしれないけれどしばし山梨生活も想像してみたりしてる。

やっぱり山梨は。
すり鉢のようにぐるぐるぐるぐる渦の中に
螺旋の繋がりとヒとビトを呼び寄せるね。
それが山梨の土地のチカラなのだったね。

今後山梨にまた住むかどうかはわからないけど。
山梨で思い出した土地のチカラというものを。
日本全国世界各地で感じたはずの土地のチカラを。
僕は僕のやり方でカタチに繋げていけないものだろうか?
歩みはのろいスロースターターな僕だけど。

・・・されども。
すべてはヨッパライの戯言。夢をカタルだけなら誰でもできる・・・。
が。しかし。でも。だけれども・・・。

いつの間にか眠っていた。
夜を泳ぐ列車は、こんな煮えきれない僕にも夢を見させてくれる。


・・・(つづく)[04.05.01] 海月
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