__Walk_in_the_moonshine,_and_drink_like_a_jellyfish.__

[04.03.14] 

〜海月の放流〜 054


ハルらしい陽気に衣服の重ね着が一枚ずつ減る。
バイトもようやく一ヶ月が経過して初給料も入る。
だんだんいろんなことへ順応し慣れてくる。
生活や気持ちが落ち着いてくる。
安定に向かっている。

・・・かと思いきや!
またまたゆらぎがやってくる。


●『日曜日の朝の訪問者』

2/29。4年に一度しか巡ってこない日付。
・・・こう書き出した前号。の原稿をupして一息ついてると。

ピンポンピンポンピンポンピンポン。
執拗に鳴らされるドアチャイム。
寝ていたわたるが起きだして応対する。

裁判所の者だと名乗るおっちゃん二人。

ふすま戸越しに聞き耳を立てる。

あがり込んでくる二人。
手には書類の束とカメラ。

部屋の間取りを撮らせてもらっていいですかね?
と、寝起きで大して片してもいない部屋を撮られまくる。

・・・
で。何かと言うと。
ここのアパートが「差し押さえ」になったらしい!
ここの大家の持ってる物件は駐車場をはさんで全部で四棟ある。
それがゆくゆくはすべて人手に渡ることになるようだ。

詳しい経緯や今後の動向についてはよくわからないが。
いずれ競売に掛けられることになるだろう。
競り落とした人がこのまま賃貸物件を維持するなら
改めて再契約した後、このまま住みつづけられる。かもしれない。が。

すべてつぶして更地にして
新しくでかいマンションでも建てたり
他の用途に転用するようなことでもあれば
もう立ち退かなければならない。

どっちに転がるにせよ実際にその動きが始まるのは、半年後以降、
との話。

いずれにせよ。
こちらも何か考えなくては。
わたると二人、訪問者が去った後。
しばしネットで賃貸物件情報など見ながら
どたばたに巻き込まれる前に引越すことも考える。

ただ、引越しについては。
とりあえず。いますぐどうこうするってことはないし、できない。
金銭的に初期費用のまとまった金がわしもわたるも用意できないし。
いま物件調べてもこの3月の引越しシーズンで
状況はまたがらりと変わるだろうし。

でもまぁ。
今日のことがナニカのひとつのキッカケにはなるだろう。
わしにも。わたるにも。

今の生活環境(通勤、買い物、駅、部屋の間取り、家賃、駐車場など)は
わたるとしてもかなり当たりと感じており
そうそう他の物件が対抗できるものでもない。

わしは居候の身であるし
どこにでもいつでも動く気になりさえすれば
荷物も少ないし動きやすいが。
わたるは定住を基本にしているから
家財道具一式が多いしデカイ。
(普通、単身者でこんなデカイ冷蔵庫は持たんだろ・笑)

わたるはその後、昼から仕事に出る。
わしも同じタイミングで本屋に出かけて
無料の住宅情報誌を手に入れつつ
有料の情報誌もパラパラとめくってみる。

大変なことになった。
けれど。
ぢつのところ、わくわくしてる。
わしもいろんな引越しを経験しているが
立ち退き話が身近で体験できるとは。

ひとまずは笑い話のネタにするだろう。わしもわたるも。

その後はかなり真剣に考えないとなぁ。

わしはまったくもって“安定”とは無縁なヒトなのかねぇ。
安定してないことだけは安定してる?


・・・(つづく)[04.03.14] 海月
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