__Walk_in_the_moonshine,_and_drink_like_a_jellyfish.__

[02.10.12] 

〜海月の放流〜 038

□前回までのあらすじ:
梅雨入り。/昼夜逆転生活。/
寺田町Live、詩の朗読、大切な友人たちに呼ばれるなど
呑む口実を見つけてはどこへでも出歩く。
呑めばいつでも朝まで。最初から帰る気なし。(笑)/
呑んでない時は頭が妙に冴えて肉体を離れる。幻覚?


●『夜ニ想フ - imagine -』

たとえば。よく観るために目を閉じる。いったん一部の感覚を閉じてみる。
それによって今まで気づかなかったことが他の感覚器官で感じとれる。
そういうことってある、といつも思ってる。

てっとり早いことで言えば。
夜、電気を消す。
ってこと。

野宿の旅ではまさに暗闇の中で一日の終わりを過ごしているわけで。この状態 で味わえるものはとても貴重なものだった。けれどそれは貴重ではあっても難 しいことではなく。
夜、電気を消す。
それだけのことで誰にでもできることなのだった。

そんな想いをどういう風に人に伝えようか考えていたとき友人の店・お〜くぼ 食堂からちょうどイベントのお知らせメール↓が届く。
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Date: Tue, 10 Jun 2003 20:57:23 +0900
Subject: くぼ食的キャンドルナイト


今年の夏至は 6/22(日)
この日 夜8時〜10時 電気を消して ロウソクを灯して 過ごしてみよう!って いう全国的なイベントがあります
*詳しくは http://www.candle-night.org/index.html を みてください
ああ これはいいなあって思ったので
くぼ食でも 便乗イベントを やっちゃうよ〜


「ぴーすろーそく」
この言葉に くぼ食は びびっときました
「ピース」「スロー」「ロウソク」
これを くぼ食風?に解釈しちゃおーっと!


ゆらり 揺れる ロウソクのあかりのもと
ゆったり いい気分の音が 流れるよ
時間をかけてつくられた素材を もういちど手をかけて作る 料理を楽しんで 時間と空間を楽しんでいるうちにね
みんなが穏やかな笑顔になったら いいなあ
そんな日に なったら いいなあ

(以下略)
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あーなんて素敵なシンクロニシティ。
全国的にも各地でこの夏至の日のイベントが催されるようだけど。
イベントじゃなくても個々人が意識する、想念のチカラっていよいよ動きだす 兆しなのだろうかねぇ。

夢かも知れない でもその夢を見てるのは 僕一人じゃない・・・
(ってことで夏至の頃のことは日記本編で↓)


・(B155)06/16/2003/神奈川県・相模原市(++東京・町田)/
昨日メルマガ発行日だったはずだが。日記原稿アップできてないし。ってこと で海月の都合で発行遅れる。すまん、いま出ましたぁ。

夜、わたるとバイト先のお姐さま(おばさんとは言わないでおこう)と3人で 町田へ呑みに繰り出す。19時頃だがなんだか通勤者たちと入れ替わりに街へゆ く足がなんだかスキップ気味に浮かれてる。なんせ今日はタダ酒!7500円分も のタダ券があったから。うひひ。

当初はわたると2人で行く予定だったのでたっぷり呑めるかと思ったが。お姐 さまには先日さんざん呑ませてもらったので、お礼ということで、ご一緒に。

やっほー!っと調子にのって生ビールジョッキなんぞを一瞬で流し込んでいた が3人となるとあっと言う間に予算オーバー。この店で現金を追加して呑み続 けるよりは好きな店に行った方がいいなぁ。

ってことでホームタウンに戻る。この前行ってお気に入りになった葡萄屋に行 こう。リクエストしておいた酒など一気に充実入荷してるぅ!おわっ!泡波ま であるぅ!よく調達できたなぁ。すごい。(しかし単価が高いのでどなんの60 度を注文。これだってすごい。うひひ)

今夜は早めに帰る。が。まだまだイケル。部屋でちびちびやりながら、PSION のセッティング始める。ハマった。朝6時。寝る。


・(B156)06/17/2003/神奈川県・相模原市/
昼12時半起床。昨夜ハマったPSIONのセッティング再開。もう一度フォーマット からやり直し。バックアップ取るだけでも時間かかる。翌朝8時半、寝る。


・(B157)06/18/2003/神奈川県・相模原市/
13時半起床。着実に昼夜逆転。っつうか完全な夜型生活。
梅雨の雨がしとしと降り続く。一歩たりとも外には出ない一日。


・(B158)06/19/2003/神奈川県・相模原市/
昼過ぎに起きてメシ喰って一日外にも出ずにコンピュータいぢって、また朝。


・(B159)06/20/2003/神奈川県・相模原市/
去年1年間にもらったメールを分類整理始める。旅の間はいろんなところから いろんな手段でメールを送受信してたのであちこちに分散してしまってる。

電話だとその場限りで残しておくことはできないけど。メールだといつでも読 み返すことができる。旅の相棒PSIONがあればどこででも読み返せる。

忙しいヒトは日々の生活の中で次々にやってくる大量のメールを再び読み返す ことなどなく読んだら削除してしまうのだろうが。
僕はちっとも忙しくないし、たまに整理したりするこういう機会に読み返すと その時の状況情景が思い出されるばかりでなく、メールの内容主旨とは関係な くそこに居並び連なっている言葉たちがまた新たなことを語りだしたりするの で放っておけない。っつうか野ざらしの宝の山のようにアイディアが詰まって る。紙の手紙と違ってかさばることもないしね。

ただし。その昔のメールや言葉たちとの再会もやっぱり必要な時に必要なもの とだけ繋がるんだけどね。人と同じだね。


・(B160)06/21/2003/神奈川県・相模原市++東京・下北沢++豪徳寺/
幼少の頃暮らしていた街の(割と)近くで寺田町さんのライブがあるというの で、友を誘ってゆくことに。せっかくなので昼間はその下北沢を散策してみる。

その街を離れて20年後に訪れた時に既に通っていた幼稚園はなくなってた。
さらにその10年後の今日もまだまだ消失しっぱなしだった。今の東京には珍し い草っぱらだった。30年前にはそんな草っぱらは当たり前にそこらじゅうにあ ったから、ある意味、時が止まってるような感覚。

街はどんどん変わってゆく。けれど30年間ちっとも変わらない面影を残してる 部分も多々あった。東京を規定するものは新しいもの変わりゆくものとの対比 におけるノスタルジアだ、とも想う。

静かな住宅街散歩の後。この暑さにはビールだね、って当然、なる(笑)。
人々があふれ転がってる繁華地域(しかも今日は土曜日)へ。迷いに迷ってふ らふらと足が向いたのは沖縄料理を出すBar。外の喧噪が嘘のようにここには 人がいない。人気ないのか?。夜から盛り上がるのかもしれんな、バーだし沖 縄だし(うひひ)。でも。なかなかいい雰囲気の店。歩き疲れてたのでむしろ このゆったり感がいい。

遅めの昼メシのつもりで喰い始めたが、気が付きゃオリオンビールから泡盛に 移行して、昼間っから酔っぱらい。

店を出るとまだまだ暑い。また街をぶらぶら。迷路のような道を何度もぐるぐ る。あ、さっきここ通ったなぁ。ちょっと休もうと、さっき見かけた公園へ行 こうと思っても、なかなかたどりつけず。世田谷ラビリンス。

さてそろそろ夜。
ライブのある町へ移動しよう。初めてのとこだったけど、おっ発見!ちょっと 遅刻気味かと思ったがジャストのタイミングだったみたい。
しばらくすると見知った顔もぼちぼち集合。

会場は飲み屋っつうより小料理屋。つまみがおいしい。酒もおいしそうなのが ありそう。

ライブ。寺田町を初めて聴く人も今夜は多い。テラさんもそれがあってか自己 紹介的にゆっくり始まる。第一部はちょっと場自体が緊張気味だったが。幕間 から酒の注文が多くなり第二部はすっかりリラックス。そしてうたの世界に入 り込む。テラさんも言っていたように人にはうたが必要なんだ。それと。テラ さんのうたは酒がすすむ(笑)。

店は広いわけではないしステージがあるわけでもないのであちこち客席を動き ながらうたう。そのうち、ギター抱えたままカウンターのなかに入っちゃう。 わははは。おもしろすぎ。ここでしかないライブ。まさに生。

何度かのアンコールの後は余韻を楽しみながら呑み続ける。そこに遅れてきた お客(最近顔見知りになった連中)が到着。せっかくだからとテラさん再びギ ター抱える。僕はひとつリクエスト。「旅立つ気配」
テラさんも近々長いライブツアーに入るし僕もそろそろ旅を再開するから。
僕の中では旅のテーマソングになってもいる。
第三部?最後にすごく楽しげにうたってくれた。すごいかろやかな気分。

友が終電間際となったので駅まで見送る。僕はすでに帰れる時刻ではないので また店に戻って呑み続ける。

店も閉めなきゃならないし場所を変えようとのことで移動。はじけたいチーム は街へ。語りたいチームはテラさんの知人宅へ。

語りたいチームはほんとに朝まで語り続けた。ふと窓の外を見ると綺麗な朝日。 また新しい一日が始まる。新しい旅が始まる。
長い一日にありがとう。テラさんも良い旅を!


・(B161)06/22/2003/東京・芝公園++神奈川県・相模原市/
朝。今日も天気良さそう。電車に乗ってはみたが、まだ帰らない。今夜はまた イベントがあるのだ。とりあえず東京駅構内で朝メシ喰って水分も摂ってアル コホールを薄めとく。

今日は夏至。昼が最も長い日。夜が最も短い日。そんな夜を電気を消してすご してみようという呼び掛けからはじまったイベント。東京では東京タワーも照 明を落とす、とのこと。
その真下の増上寺で忌野清志郎(!)のフリーコンサートもある、らしい。との 情報を友人から聞いていたので行ってみることにする。

がしかし!イベントは午後5時半から開始。現在、午前6時。徹夜明けで猛烈 に眠い。どこかで寝たい。イベント会場近くの芝公園で寝てようか。

山手線で浜松町へ向かう。座席に座った途端、爆睡。あぁこのままここで寝て ようか。タイミング良く?浜松町を乗り過ごしてしまう。
内回りで3周。次に戻ろうとして外回りで3周。いやー6時間もぐるぐる回っ てた。6時間も電車に乗ってたのに、このたどりつかなさが結構愉快。

腹も減ったのでやっと電車を降りる。牛丼かきこんで東京タワー下の芝公園へ。 日射しから逃げる。ちょうど静かな木陰にベンチ。ごろりと横になると街の音 も遠ざかる。その静寂の中へ落ちる。zzz

友からの着信に気付いたのは30分後だった。こっちへ既に向かってるとのこと。 東京タワーで待ち合わせ。
いつの間にかあれほどの太陽が雲に覆われてる。雨降らなきゃいいけど。

昼頃は増上寺の会場は準備のスタッフしかいなかったのに、ライブ始まる1時 間前にはすごく人が集まってる並んでる。まぁそんなに近くで見なくてもオー プンなとこだから、あわてなくてもどこからでも見られるわ。

さて。いざ始まる。日も陰り夕闇迫る。これだけ大人数を動員するイベントと もなると進行とかも大変だなぁ。主旨とかどうでもいい人も多くなるし。
主旨に賛同して集まった人々にも空回ってる人多いし。

元々は草の根運動的な呼び掛けから始まったものだろうけど。それがこう大々 的になるとどうしてこう胡散臭くなるのかなぁ。

でも。うたのチカラってやっぱりすごい。それはメッセージソングである必要 なんて全くなかった。誰がうたってようがうたが立っているとき、それは素直 に響いた。気が付いたら僕は涙を流してた。

うたうたいが自己主張を超えて一本の筒(ちくわ)になってうたを通過させ、 またそれをちくわになって自分の内部を通過させる時、ただその場を満たし行 き交ううたが共振共鳴して僕を打ち震わせた。

あぁ、この感覚感触、カラダというものを通して得られる確かにここに在ると いう感動。これがちゃんと伝わりわかりあえる時代になったら、平和だとか愛 だとかわざわざヒステリックに叫ばなくても済むだろうにな。

興奮余韻冷めやらぬ会場。しかし。アンコールも終わるとざわざわと客たちは 帰り始めた。

タダでコンサートが見られるからってだけで集まった客のあまりにも多いこと。 否。キッカケはそれでもいいんだ。でもね。やっぱりマスをどうにかしようっ てのは難しいんだな。やっぱりマス相手じゃ何も変えられないのかも知れない。

それにしても忌野清志郎はすごかった。見事に場の胡散臭さを解体してくれた。 が。あまりにも見事すぎて解体されたものを再構成するのを忘れて帰っちゃう 客が多いのが残念でならない。

これからこの暗がりの中でゆっくりそれを構成しなおすことこそがこの場に来 た醍醐味だと思うのに。

そしてこのイベントの試みの本当の主旨(と思われること)は“客”になるこ とではなくて当事者になること、自分が感じることを改めて見つめなおすこと だったはずなのに。他人に楽しませてもらうだけのお客さんではせっかくこの 場に来たのも、ただ「楽しかったねぇ」で終わってしまう。

・・・(かなり批判的っつうより愚痴っぽくなってしまった、いかんいかん)

20時直前。なんかバタバタしながらカウントダウンが5秒前から始まりついに 東京タワーの照明が、消えた!

ライブの間ずっと視野の中に煌々と立ち伸びていた鉄塔が一瞬鮮やかなマジッ クのように闇に紛れた。
周囲のビルのいくつかも照明を落とした。おおーっ。一同から歓声があがる。

明かりが突然消える。それは興奮だった。
イベントとしてはこれからが本番。キャンドルを灯してゆっくり2時間すごし てみようってわけだ。

本腰入れるために酒食料調達にいったん場を離れる。東京タワーがもっと見え る位置に立つと、あーなんだかほんとに不思議な光景(光ってないのに光景)。

あっ、トーシャさん!なぜにここに?お互いにびっくり。今日はそれぞれに連 れがいるのでゆっくり話すはまた今度。ぢゃ。

しかし。やっぱり東京は明るい。夜空が明るすぎる。街の大半はギラギラと灯 ってるし。信号も煌々として車のヘッドライトテールランプは川のように流れ 連なっているし。
無闇に明るいコンビニで並んでいるとなんだかもうさっきの場所にも戻りたく ないな。あそこですら明るすぎる。
もっと暗いとこに居たい。
昼間ヒルネしてたベンチに行ってみよう。

向かいのベンチに猫の先客。結構広い公園なのにここを選んだ僕の鼻もまだま だ鈍っちゃいないな。猫が居るってことは居心地の良い場所だって証拠だもん。

買ってきた食パンを猫たちともシェアしながらゆっくり夜を味わう。

街燈は灯ってるけどむしろ一個だけつっ立ってるその姿は、闇の中の一点の希 望の光明のように頼もしくありがたい。(“の”多過ぎ)。

電気を消してロウソクを灯してみるってのも、そういう感じ。

・・・
旅の間に体感した本当の闇ってものを時々思い出す。腕を伸ばして自分の指先 が見えないほどの闇。密室に閉じ込められた暗さではなく外気にさらされたね っとりとまとわりつくような濃密な闇。疑心暗鬼にもなるさ。自分のカラダさ え見えないなんて。自分がここに居るってことを自分自身さえも認めきれない。

目をつぶってる方が明るく感じるほどで自分が目を開けてるのか閉じてるのか すらわからなくなってくる。

そんな山の中に居ると突然他の感覚器官が目覚める。音や匂いばかりではなく 皮膚感覚として闇に潜む“気配”を感じ取れる。

それは恐怖かと言えば。そうでもなかった。むしろ「あぁ居るね」って認め合 う感じ。おそらくその気配を発してるケモノやモノノケたちの方がもっと早く から僕を察知してこっちの様子を観察していたんだろうけど。やっと僕の方が 気付いたことで向こうもなんだか安心したように遠ざかってゆく。
それもすべて気配でやり取りしてる。

僕はそこにただ座ってるだけだった。逃げ隠れもできなかったし何も手出しな んかできなかった。その必要もなかったし。

余所者ではあるけれど(多少アヤシイ奴かもしれないけれど)悪さをしにきた んじゃないんだよって意味を込めて、そんな闇の中で手探りで酒を呑みながら ひとりでよくうたをうたった。

なんだなんだ?とケモノたちが遠巻きに集まっているのがわかる。この距離間 隔はかなり絶妙。そして緊張と弛緩のギリギリの線上。さすが野生。逃げるも 攻めるも一瞬でカタがつく距離感覚。

ナマミノニンゲンなんてどうしようもなく無力なものだ。でも幸運なことにニ ンゲンにもうたがあった。一節うたってみる。あきれて立ち去るモノ。座り込 んで聴き入るモノ。

逆に彼らのうたや遠吠えをマネて叫んでみる夜もあった。向こうはかなり意表 を突かれて動揺してるのがわかったりする。ニンゲンモシャベレルノカ?って。 ふふふ。

でも。僕は彼らの言葉をわかっているわけではないのでとんちんかんなことを 叫んでいたかもしれない。

たいてい野宿の夜には灯りをつけない。懐中電灯どころかロウソクも。けれど たまにロウソクを灯したくなる夜があった。手元や周囲を照らしたいというよ りもちろちろと揺れる炎を見たくなる時だった。
少し弱っていた時だったかもしれない。人恋しい時だったかもしれない。
あるいは自分を見る鏡として炎を見ていたかもしれない。

その炎にはいろんなものが揺らめいていた。懐かしい友たちの顔もあったかも しれない。あたたかな部屋で鍋でも囲んでいる風景だったかもしれない。

僕が持ち歩くロウソクは5分でなくなるとても小さなやつだ。なくなりかける とまた次を継ぎ足す。まるでマッチ売りの少女のように炎の中にいろんなもの を見た気がする。
とはいえ、3本も燃え尽きる頃には一日の疲れと酒の酔いがもっと浮かれた夢 の世界に連れてってくれるので、そっちへ誘われるままにロウソクは消した。 ・・・
あぁ。今夜はちょっと現実逃避入ってるかもな。東京タワーが22時にまた点灯 した頃、雨が降ってきた。けれどこのベンチの周囲は木々の葉っぱたちのおか げでほとんど濡れずに居られる。

友がうたってくれるというので聴き入る。そして。上↑で書いたようなことを 思い出していた。僕も友に触発されてうたった。

東京でも闇を楽しむことはできる。街でも旅ができる。うたがあればなおさら いい!


・(B162)06/23/2003/神奈川県・相模原市++山梨県・韮崎市++明野村/
昨夜は終電で帰り着いた。長い週末だった。わたるは「もう旅立ったのかと思 ったよ」らしい。てへへ。ただいま。でも。今日からまた出掛けますぅ。
今度は山梨。お〜くぼ食堂が呼んでいる!

あんまり寝てないまま夕方にはまた電車に乗ってる。

19時オープンと聞いていたが一時間近く前に到着。駅周辺でぶらぶらしてみる が15分前にはじっとしてられず店へ。
まだ誰もいない。っつうか店の人間すら見えない。アローアロー。

あ、のんちゃん、こんちわ。まだ早い?大丈夫。海月くんの席はカウンターね。 ってことでしばし仕込みや客たちの集まるのを待つ。

この店は通常営業の時もとても落ち着く明るさに照明を抑えているのだが、今 夜はさらに電気を消して和蝋燭を灯してみる夜なのだ。

さらにこのキャンドルナイトを楽しむ仕掛けとして、友達でもあるあゆみちゃ んがアコーディオン抱えて気が向いた時にうたってくれるって寸法。

20時に電気を消す。ロウソク点火。揺らめいてるのは炎か酔いの所為か?

ゆったりと落ち着いて客たちの声のトーンも抑え気味になるかと思いきや。軽 い興奮の所為でみんなかえって声が大きくなってる。少し暗がりでさっきより 相手が見えにくくなっているためにちゃんと声が伝わってるか不安になるから かも知れないなぁ。

そんな場の雰囲気をちょっと一歩引いた位置で観察してる自分が居た。初対面 の人ばかりなので(メシ屋なんだから当たり前なんだが)ちょっと緊張してい たのかもしれん。

あゆみちゃんは僕の隣でいつうたい始めようか場の様子をうかがってる。僕が そそのかすと、じゃあそろそろと立ち上がる。「ピース、スロー、ローソク」 ととてものんびり今夜のテーマを復唱しながらうたが始まる。

ふはぁ。いいねぇ。あゆみちゃんもすごくいいちくわになってるねぇ。 何曲か演ってまた「ご歓談」時間。そして第二部。さらに興が乗ったか僕のそ そのかし作戦が成功したのか第三部まで続いた。

うたをカラダに通すごとにだんだん僕の緊張もゆるみ、とろけだす。
第四部。特別に飛び入りで僕もうたっちゃう。こんな素敵な場を用意してもら ったお礼の意味も込めて。旅でうたってたうたを一曲。

うたい終わったら。しーんとしてしまった。
僕はよく場を凍らせるような駄洒落を言い放つことがあるのでまたやっちまっ たかと一瞬動揺。だが。どうやらみんなこの夜の闇のスピードをようやく落と しただけだったらしい。

今日は月曜日だったし、仕事上がってから駆け付けた人たちばかりだ。仕事モ ードのスピードから急激な減速はできないのは僕にもわかる。
きっとそういうスピード感と違うところで生きてる僕がうたったことで立ち止 まってくれたのかもしれない。

一瞬の静寂の間の後にはみんなすごいいい笑顔になってて僕は単純にうれしか った。

店はここで一旦お開き。客たちは明日の仕事のためにも寝に帰らねばならぬ。 が。店ののんちゃんとももちゃんは明日は定休日なので僕を家に誘ってくれる。 店の主としてはやっとここからスローな夜が始まる。おつかれさまでした。
ありがとう。

・・・とここで軽く呑みなおして、おやすみ。とは行かない。ぢつはここから がやたらに長い夜の始まりなのだった。泡盛呑みながら語り始めたのは午前1 を回った頃だったろうか。


・(B163)06/24/2003/山梨県・明野村++韮崎市/
一体何をそんなに語ることがあったのか?いや語ることは尽きなかった。たま にしか会えないから積もる話は山ほどある。かと言って大あわてでまくしたて るようなことじゃあない。

ゆっくりゆったり。呑み語り明かした。お互いの言葉に触発されて新たなひら めきや気付きがまた言葉になっていった。ぽつぽつと一つひとつ言葉を並べた。

僕はここ数日まともに寝ていなかったしももちゃんたちは店で疲れているはず だった。けれど。ちっとも眠くなかった。時間もとてもゆっくり動いていた。

で。気が付いたら午後1時だった。ってもう朝どころか昼じゃん。12時間も話 し込んでたのか?すげー。

時計を見た瞬間にお互い猛烈な睡魔に強襲された。電池が切れたかのように、 ばったりと事切れた。僕は用意してもらったフトンにすら到達できずに床に寝 てた。

夕方。
やっとみんな動き出す。まずは風呂にゆこう、ということでなかなか素敵な施 設に行ってみる。
ふひぃ。さっぱりしたぁ。酒も抜けたようだ。さぁ、ビールがうまいぞ。(笑)

のんちゃんたちのお気に入りの焼肉屋へ直行。火照ったカラダに冷たいビール が効くぅ。食い放題で肉もわさわさかきこむ。うまし。

帰り道寄り道。ホタルを見にゆく。ひとつふたつ見つけると闇に慣れた頃、た くさんいることに気付く。ほわー。今夜もなんて素敵な夜。

これこそスローな夜のおたのしみ。ほんとはこういう時間の過ごしかたこそみ んな伝えたいし味わってほしいのだが。大勢でがさがさ寄り集まってしまって はできないことだしなぁ。

東京のイベントに違和感があって愚痴っぽくなってしまったのはそういうこと なんだよなぁ。少数と多数。それぞれにできること、難しいことってある。 やり方次第だとも思う。でも基本は一対一で語り合うことなんじゃないかな。

少数で楽しんだことを大きく伝え拡げるのは大人数を集めて一気に効率よく短 時間でカタをつける方法じゃなくて。その最初の少数が一度ばらけて別の少数 を再形成して楽しみ、またそれをおもしろがった人達が別のところで別の人達 に伝え楽しむ。

効率的ではないかもしれない。時間もかかる。けれど。時間をかけるからこそ 確実にソレは伝わるんじゃないかなぁ。

スローフード、スローライフなどと流行のスピード感の中でいくら叫んでも、 やっぱり定着しにくいと思うなぁ。だって実際にそれを体験する時間をつくら なきゃ経験できないんだもん。その前後には忙しい毎日の仕事があってさ。そ の忙しい合間をぬってスローを楽しんでみる、ってんじゃなくて。スローの合 間に忙しく働いてみるってならならいと、実感がわかないんじゃないかなぁ。

否。これはスローライフこそ正しい!って前提があった場合のハナシ。
僕はスロー大歓迎だけれど。ことさらスローライフこそ人間のあるべき生活だ とは思わない。
いろんな人間がいるんだからいろんなやり方があっていいんだ。ただ、自分の 一番しっくりくるスピード感ってきっとある。それに気付ないまま暮らしてい る人々があまりにも多いように感じる。

自分の体内時計で暮らせたらとても気持ちがいいのになぁ。

気付かせてあげたい。それには極端なくらいに遅いのを感じさせたり速いのを 感じさせる場があるのもいいのかもしれない。速いのは得意じゃないので、僕 は遅い方を担当しようかなぁ。って生意気に何かを教えるつもりもないけど、 僕がこうして何か書いたり旅を続けることで何かしらキッカケになることもあ るのかもしれないし。

少なくとも僕はいろんな生活の中の日常の旅人たちとの出会いの中でいろんな キッカケをもらったし。
・・・
のんちゃんちに戻るとまた八重泉で呑み語り。気が付きゃまたしてもロングト ーク。今夜は6時間コース。それにしても長い夜。上等さぁ。
明野村は日本一日照時間が長い場所なんだけどね。


・(B164)06/25/2003/山梨県・韮崎市++神奈川県・相模原市/
ロングトークで朝を迎え昼まで寝てから昼メシ喰いに出つつ店を開ける準備。 仕入れ買い出しを済ませ、店へ。

僕はどうせ暇なので掃除やら仕込みのお手伝い。

この店があったからこそ出会えたのんちゃんとももちゃん。二人がいたからこ の店があるんだけど、僕にとっては店が二人と会わせてくれたって感じ。
今となってはどっちでもいいんだけど。やっぱり店にも感謝。だから掃除もと ても楽しい。店が綺麗になってゆくのがなんだかはにかみながら喜んでいるか のようでうれしい。

夜6時半になると早速お客さんもやってきてにわかに忙しくなってくる気配。 そして予約含めて満席となる。不馴れな僕が居ても邪魔になるだけなのでここ らでおいとましよう。

ありがとうねぇ。しばらく旅にも出てしまっていつまたここに帰って来れるか わからないけど。またふらっと遊びにきまーす。

のんちゃんが今日のバイト代だと言って封筒を差し出す。いや。そんなつもり で掃除とかしてたわけじゃないし、もらうわけにはいかないとつっぱねるが、 旅の足しにしてくれと言われると素直に受け取るしかない。さらに忘れ物手渡 すみたいにあれもこれもと食い物とかわけてくれる。

うぅ感謝の言葉もうまく言えないよぉ。ほんとにありがとうねぇ。

帰りの電車では腑抜けてた。あまりにも愉しいことがあるとその反動で寂しく なって急激にブルーになる。鈍行電車を乗り継ぎ乗り換えてやっと最寄り駅ま でなんとかたどりついたけれど、部屋までの道のりは背中丸めてひとりとぼと ぼ歩いてた。

先日買ったばかりのテラさんのうたがとてもしみた。何度もリピートを繰り返 して朝になってしまってた。

いよいよ旅が呼んでいるのかもしれない。


・(B165)06/26/2003/神奈川県・相模原市(++東京・町田)/
ちょっとあやしげな天候なので普段なら一歩も外に出ないところだが。今日は 急に靴が欲しくなった。もちろん旅のための準備。

街に出るのでついでに旅に必要そうなものも物色。

数時間歩きどおしだったがコレ!というものがなかった。今日はダメかなと帰 りかけてたところに妖怪アンテナ(笑)反応!
おっ、なんかちょっとよさげな靴発見。よし、これに決定。

新しい靴ってほんとにうきうきする。新しい傘もそうだな。早く実際に試して みたくなる。


・(B166)06/27/2003/神奈川県・相模原市/
昨日手帳用の日付なしカレンダー用紙を買ったので7月からの日付と月齢を記 入したりしてる。
手帳が厚くなってきたので部分的に抜き取って整理する。そんなことしてるう ちに部屋にある物たちの整理もしなきゃとだんだん手が伸びて、逆に部屋が散 らかり放題、足の踏み場しか残らなくなる。ちっとも片付きゃしない。思想の ない片付け整理と研究開発は何も生み出さない(持論)。今日は思想なし。

そんなところに今日は電話が3件もあった。電話がかかってくること自体僕に は珍しいのに。しかも今日はめったに会えないし連絡が来ない人達からの電話。 な、なんかあったのか、今日は?
まぁ僕の今の部屋の惨状を見てもみんなそう言うかもしれんが。

こういう意味ありげな偶然の一致をシンクロニシティと呼ぶ。

夜から朝にかけてはネット上でフリーサーバー(無料HP置き場)を探す。無料 となるとどこも一長一短。バナー広告が入るのは当然だがどこにどう入るかが カギ。凝ったレイアウトを考えてるからではなく、むしろものすごくシンプル にしたいからこそ広告だけがやたらに派手にちかちかされるのがツライ。

悩み迷って結局選びきれない。っつうかそれ以前にHPの構想やたたき台もでき ちゃいないんだが。(全然ダメじゃん)


・(B167)06/28/2003/神奈川県・相模原市/
手打ちでhtml書き始める。コンテンツとなるべきものはもともとtxtとして保存 してあるから、あとはトップページと、それらをどうナビゲートしてリンクさ せるかが考えどころ。
朝7時。ようやくたたき台的なものが完成。公開までにはまだ時間はかかるな。 っつうか公にヒトにURI教えたり検索エンジンに登録する気はさらさらないのだ が。
宝探しみたいにたどりついたヒトだけが見られる、ってのもいいじゃないの?


・(B168)06/29/2003/神奈川県・相模原市/
晴れたりくもったり。
うわっ。もう6月も終わりじゃん。月末じゃん。日記原稿送らなくちゃ。この 2週間まったく何も書いてない。しかもこの2週間イベント的なことたくさん あったし、書くこと山盛りだよ。間に合うのか?

echoカートン2箱買い。7/1より値上げのためまとめ買い。もともと150円のecho だが、値上がりすると170円。たった20円と言えども他の煙草に比べるとこの値 上げ率はちょっと痛い。
(煙草なんかやめちゃえばいい、と言うヒトは多いんだろうなぁ)

晴れたら暑い。窓、玄関ドア全開にして風を呼び込む。シャケ(近所のノラ猫。 僕が勝手に命名)も遊びにやってくる。煮干シェアしてふたりでポリポリ。

テスト前の学生のように日記を後回しにして片付けしたり猛烈な睡魔に強襲さ れて爆睡したり。(笑)
日が落ちて少し涼しくなってきた頃、やっと日記に着手。
ふっと左手見たら血がついてる。「なんじゃこりゃ?!」蚊にさされてかさぶた になってたところをひっかいたからだった。ちょびびっくり。

数カ月ぶりにラジオをつけてみる。普段はわたるMacに手持ちのCD全部落とし 込んであるのでCDプレーヤーも使わずにずっと気分に合ったアーティストやジ ャンルを流し続けてるのだが。今日はなんか気分がラジオだった。呼ばれたん だろう、たぶん。

ラジオでかかる曲は好きなものばかりとはかぎらないし。曲間のDJのおしゃべ りは日記書きの邪魔になることもないわけではないが。たまに書いてることや 考えてることとシンクロしたり、アイディアが浮かんだりもする。
TVだとこうはいかない。TVは無いので見ることもないのだが。
(TVが嫌いな訳ではない。逆にものすごいTVっこだったから、見始めると止ま らないのだ。ヒトんちで見ててもTVにツッコミ入れたりしながらかなりうるさ い、らしい・苦笑)

今日もいいうたに出会えた。しかし。曲名聞きそびれたぁ。
(NHK-FMなら曲の前後にちゃんとゆっくり曲名演者紹介してくれるのにぃ。)

なんかやたらに腹が減る一日。カラダ動かしてる訳じゃないのに。一日に何回 メシ喰ってんだろ?起きてる時間も長いんだけどね。

う、また朝になってしまった。まだ終わらない。朝9時。一旦寝るか。
(ここでようやく日記がリアルタイムに追いつく。2週間って長い。)


・(B169)06/30/2003/神奈川県・相模原市/
僕が使わせてもらってる部屋は朝日がどっさり飛び込んでくる。今の季節だと 7時になれば昇りたて熱々の日射しがまっすぐやってくる。夜には寝てた頃は ちょっとくらい夜更かししてもこの朝日のおかげで暑さにびっくりして目が覚 めた。
でも。この頃は朝になってから寝るので汗かいてたりする。うひょー。今日も 太陽、やる気満点だな。あれっ?梅雨ってどうしたっけ?

朝9時半に寝て午後2時、暑さと空腹で目覚める。起き抜けでもラーメン丼で メシが喰える。快調!(異常?)

6月も今日で終わりか。この一ヶ月ほんとに呑んだくれてたなぁ。御無沙汰だ った人々との再会の連続。それがまた呑み歩きを加速したなぁ。

さてと。そんな人々とも一通り顔合わせられたことだし。そろそろ旅に入ろう か。なんだかとてもそわそわし始めている。痛切に旅に出たい!のとも違うし 今までガマンしてたわけでもないし。旅立たねば!という義務感、強制でもな い。軽い切迫感というか。ひとところに長く居座って馴れてしまったり安定し 始めるとどうもムシが騒ぐのだ。

嫌いになったわけじゃない。居心地はとてもいい。でも。いつまでもぢっとは してられない性分なのだ。それを一言で言えば「放浪癖」と呼ぶのだろう。

最近、会話の節々に旅について語ってる自分が居る。去年の旅のフラッシュバ ックが唐突にやってくる。

以前と同じ旅は二度とできない。今度はもうあんなにうまくはいかないかもし れない。

だんだん緊張してきた。こわくなってきた。わざわざそんな旅しなきゃいいの に。いつもの自問自答始まる。いつもこうやって旅が始まる。

次回は旅先からの送信になるかもしれない。まだ出発日も決めてないし地図さ え広げてないんだけど。とりあえず、今度は“北”から・・・かもしれない。


・・・(つづく)[03.06.30] 海月
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