__Walk_in_the_moonshine,_and_drink_like_a_jellyfish.__

[02.09.14] 

〜海月の放流〜 018

□前回までのあらすじ:
関西圏を西へ東へ。嬉しい愉しい人々との出会い。偶然の連続。
ところが突然。
最悪の体調。もういよいよダメかもしれない。ダメでいいやって気分。


●『嵐からの隠れ家へ Shelter from the storm - 岐阜,愛知,三重の巻 -』

血を吐く様な辛い もう一つの世 泥んこ道の旅は なお続きゆく・・・

どんなに浮かれてたって悩んでたって心臓打ち鳴らし息はいて吸って。ラジオ 聴きながらメシは喰らうしあくびはするし。巧妙なる並列処理。

右へゆこうか左にゆこか。先に進もかここ留まろか。選択肢の指数爆発。

YesでありNoである。最強の矛と無敵の盾。考えてる脳について考える脳。
ベクトルの違う事を同時に考える。

並行/併行宇宙(パラレルワールド)について想う。

我々が認識する『世界』というものはいわゆる“現実”と呼ばれるモノ以外に も同時に多数存在している(認識されていないものも含めて)、と思う。
同時に並行して僕がこの瞬間にも別の世界で別の言動をしている。

人生の上でのあらゆる瞬間に多くの選択肢があり、僕はそのひとつを選択し続 けて、今、ここにいる。この今の状況、これまで選んできた選択肢に関しては 僕は全く後悔などなく、むしろ最良の選択をしたと自負したい。
別の選択をしたわしとか俺とか私というものも実は存在し、やつらもまた同様 なことを言うはずだけど(笑)。

話の拡張と飛躍。
前世来世。因果応報。輪廻転生。という思想がある。時間の順序と連続。
たとえばこれを時間軸のシリアル事象(まるで一本の線上に乗って進むような) ではなくパラレルに進行し同時併行して起こるものと考えたらどうだろう?
別の選択肢の次元で現在に起こっている、と。

デジャビュや夢やシンクロニシティ。
こういうところでパラレルワールドは交錯してるんじゃなかろうか?

初めてなのになつかしい場や人との出会いがあるとこんなことも思う訳です。 別の僕がどこかで出会っていたんじゃないのかな、と。

旅をしてるとき歩いてるとき何を考えてるの?と訊かれることもある。ので。 こんな応えではどうですかね?

まぁこんなことを考えてるのは。国境線から遠い異国の地に居て時代の軸から 遠い刃を歩いてる時だけですけどね。なんの話やらわからんでしょう(笑)。 好きなうたの話でした。

酔っぱらってる時と酔っぱらってない時との境界線上ではまぁこんな塩梅です。


・(228)08/28/2002/岐阜県・中津川市+(+名古屋+)+愛知県・音羽町/
夜明け前の最も暗く寒い時間帯に最悪の状態にあった。が。それが峠というも のだったのかもしれない。
明るくなりだすと「なんとかしてみる」気分がガサゴソしだした。

そうだ。ここから近いわけでもないが豊橋の方に大学同期の友人家族がいたぞ。 そこでしばらく静養させてもらおう。今日は平日だけど。こどもらは夏休みだ し誰かいるだろう。
8時半頃電話してみると(あーあー、腹に力なくうまく発声ができない、自分 の声さえよく聞こえないが)なんと今日まで仕事は休み中だと言う。しかも。 昨日まで旅行に行ってたが今日は家に居る、と。

なんとまたもやすごい絶妙のタイミングで電話したもんだ。

静養したいならいくらでもしてるがいいよ。
俺は明日から仕事だし、客扱いもしないし、こどもらの遊び相手になってもら うけど、それでいいならね(笑)、って。

いいさぁ!っつうかどこにも文句のつけようのない理想的な待遇じゃないか。 ありがとう。うれしくって涙出そうだ。ははは。(腹に力入らないけど)

・・・あぁ助かったぁ。(振り返ってこうして書いていると大袈裟だけど)
ほんとに助かったって絶大な安堵感に包まれた。
その気持ちがからだにも反応して体調も急速に回復に向かってゆく。

すこしずつ、ひとつずつ、からだに、意識を、集中させて、動きだす、準備。 よし、動けそうだ。電車に乗れればあとはもう、嵐からの隠れ家、がある。

名古屋経由で乗り換えながらトイレに駆け込み下痢も治まった。
2時間半くらいで最寄り駅にたどりついた。
車が来た。なつかしいそして変わらぬ笑顔で山口高正が迎えに来た!
やぁ、ありがとう!ほんと助かったよぉ。

もうここに来るまでに「行く」っていうモチベーションで体調も回復しつつあ るけど、動き回る金もないししばらく世話になるよ。

たかまさとかみさんの美幸さんに会うのも10年ぶりくらいになるんだなぁ。 一番上の子が赤ちゃんだったんだから。
山口家にはこどもが4人いる。もうみんなわいわいわいと大騒ぎで大歓迎して くれてさらに元気もらう。すぐにでも横になろうかと思ってたけど。なんだか、 ほんとに元気になってきた。

人の力って本当にすごいよ。結局、医者・薬なしで今回も乗り切れた。感謝。


・(229)08/29/2002/愛知県・音羽町/
山口家の全員、出掛けてしまって少なくとも夕方くらいまで帰ってこないので 一人留守番しながら、日記を付けたり、こどもらに頼まれたおもちゃクラッシ ュギア3台の組立に取りかかる。熱中しだすと止まらない。5時間くらい集中。 おもしろくなってきた。
こどもらが帰ってきて喜んでくれてるとさらにうれしい。
僕は「おぢさん」から「くらげはかせ」「ドクター・クラゲ」に格上げ(笑)。

寝る前に過去の「放流」記を読み返していたらどんどんさかのぼって夜更し午 前3時。

人に見せる日記、ってのは生春巻きみたいなものだな。
中身が丸見え。もちろん書いた本人しかわからない隠し味のような部分もある が。読んだ人はその具の構成や味のバランスなどから僕を想像するかもしれな い。より内部の芯・核の部分を見出すかもしれない。
でも。もしかすると。
僕本体というのは。ぢつは外皮・ライスペーパーだけかもね(笑)。


・(230)08/30/2002/愛知県・音羽町/
今日も一人留守番しながら日記付ける。もう8月も終わる。ってのに。8/1から 思い出していかなければならない。忘れてはいないがこりゃあホネだぞ。

周りの田んぼで稲刈りはじまる。季節はうつろふ。


・(231)08/31/2002/愛知県・音羽町/
山口家のこどもらも宿題残して四苦八苦。彼らの自由研究などを見てやりなが ら僕も自分の宿題片付けなきゃ。それは日記を完成させて寄稿すること。
今夜は徹夜だぁ。


・(232)09/01/2002/愛知県・音羽町/
昨夜は午前3時半に耐え切れず寝てしまったぁ。宿題終わらずぅ。9月、かぁ。 8月は強烈な出会いが続いたもんでまとめるのも大変さぁ。毎日ちゃんと書い てればいいんだけどね。でも。
人と会ってる時には書けないし。一人の時は歩いてるし。夜はあかりもなしで 過ごしてるし。ほらね。書くタイミング難しいでしょ?
・・・と言い訳を重ねたところで。結局好きで書いてる訳なんだから、ちゃっ ちゃと書いてしまいなさい。ふえーい。

ふぅ。終わったぁ。こどもらもみんな宿題終わったようだ。
宿題終わって食べるごはんはおいしいねっ!(笑)

今日は食卓にケーキが。高正&美幸さんの結婚記念日だって。おめでとう!
そんなタイミングに居合わせるなんてのもなんだか不思議なもんだ。こっちま でうれしくなるもんだ。11年前の今日。そう言えば。僕も友人たちと君らの結 婚式に出席していたんだよね。


・(233)09/02/2002/愛知県・音羽町/
こどもらは今日から二学期はじまる。僕の新学期はいつからはじめようか。
宿題は終わったけど。手紙やメールをまとめて書いたり荷物のシェイプアップ したり本読んだり。なにより体調を万全に整えたり。やっておきたいことは山 盛り。今週一杯くらいゆっくり居させてもらおうかな。なんやかやでたっぷり とは睡眠とれてもいないし。

しばらく手書きで文字を書いていなかったので大量の文字を書いてたら手がつ りそうになった(苦笑)。


・(234)09/03/2002/愛知県・音羽町/
本をゆっくりじっくり集中して読むのは久しぶり。


・(235)09/04/2002/愛知県・音羽町/
三食ヒルネ&読書付き。


・(236)09/05/2002/愛知県・音羽町/
メールをまとめて大量に書き送信。ある一通にだけは数時間を要した。


・(237)09/06/2002/愛知県・音羽町
雨の降る日は眠くてしょうがない。そう言えば久しぶりにまとまった雨。
台風の影響だろうか?まさか秋の長雨に突入なんてことにゃならんだろうな。

メールをまとめて大量に書き送信。もっとも重要な一通には全霊をこめて。
昨日、数時間もかけて送ったメールの返事がきた!うれしくて小踊り。


・(238)09/07/2002/愛知県・音羽町/
明日、出発することにする。こどもらからは最後だからたくさん遊んでくれと せがまれる。

こどもらにも手伝ってもらって髪を切る。バリカンで丸坊主。たかまさうまい なぁ、床屋になれるんじゃないの?おお、さっぱりした。うれしい。こどもら もわいのわいのと喜んでくれたみたい。わははは。

最後の夜ということでごちろうまでふるまってもらってみんなでワイワイ食べ 飲む。
名残惜しいねえ。


・(239)09/08/2002/愛知県・音羽町--渥美町・伊良湖岬/
山口家の全員と車に乗っていざ出発。渥美半島の突端、伊良湖岬にドライブ& 行楽?がてらお見送りとなった。
ちょうど今日、伊良湖トライアスロン大会が開催されていたので突端まで車で 進入できるか(交通規制があるんじゃないかと)心配していたが。ちょうど終 了したところのようで問題はなかった。
海でこどもらが波とたわむれてるのを見ながら、これからどうしたもんかなと 一人ぼけーっと考えてる。

フェリーターミナルでしばらくみんなと船見たりメロンソフトクリーム食べた り。また来てね。おう、今度はわしのとこに遊びに来なよこどもらだけで。

たかまさたちと別れて野宿場を探しに港の前の小山に続くサイクリングロード を歩いてみる。愛知教育大の教授やってたという人と道で出会いしばし立ち話。 なんだかおもしろい話しになってくる。これもなにかの縁だからと名刺の他に 小銭を餞別にいただいてしまう。ありがとうございますぅ。感謝。

まだつくりかけの新しい灯台設備?の横で今夜は寝る。
芝生の上でなかなか寝心地良し。


・(240)09/09/2002/愛知県・渥美町・伊良湖〜三重県・鳥羽/
朝6時ではまだ港は開いてない。近くの芝生公園で寝て待つ。気持ちよくって 始発はやりすごし9:10発の第2便で三重県鳥羽に向かう。およそ一時間の航路。 天気もよく海風も心地いい。船旅はまた格別だねぇ。わくわく。

さて鳥羽水族館の真横に船は乗り付けた。水族館ファンとしてはラッコはそっ ちのけでもクラゲさえいれば入りたいところだが。金が、ない。
あきらめて郵便局、百円ショップ、スーパーと巡って旅の準備を整える。
これからしばらく山の中に入って行くことになりそうなのでその準備。

お伊勢参りもしとくか。でも。今日は鳥羽でなかなかいい公園をみつけたので 一日ここでのんびり過ごそうかな。ここで一泊野宿して明日から歩こうか。

それよりなにより岡山でのバイト代の入金がないことには厳しいなりー。

日中は公園の木陰でヒルネしてすごす。
このままこの公園で野宿しようと付近を歩き回る。図書館があるなぁ。心踊る。

腹の調子が悪いな。夜は風も強くなり寒くて何度か目が覚める。


・(241)09/10/2002/三重県・鳥羽--伊勢/
夜明けともに起きては見るが一時間くらいはぼえぼえ。
朝9時を待ってから図書館に行ってみる。「熊野古道」に関する資料を数冊ひ っぱりだして手元の地図に書き込みしながら今後の予定など空想してみる。
結構おもしろくなりそうだぞ。問題は紀州の雨。紀州の梅ならいいけど。

地図に没入してたら午後になってた。銀行とネット屋探しに鳥羽の街の中心へ 歩いてみる。どこが中心なんだかわからないうちに街を抜けてしまった。
雲行きもあやしくなってきたし同じ道戻るのもイヤで。伊勢方面に歩を進める ことにしよう。

線路沿いに県道と川が走ってる。いざ雨となっても線路に沿って歩いてれば橋 もあろう。

雨がなんとかしのげそうな鉄橋がある。川の水がすごく綺麗。あぁ今夜はここ にしよう。川で手足顔を洗ってさっぱり。今夜いっぱいなんとか雨は降らない かもな。川と木の塩梅がちょうどいいところに寝床用意してくつろぎ体勢。
真っ暗になる前に落ちてたペットボトルでロウソクの風よけをつくる。完璧!

いよいよ真っ暗闇の森の夜。たまにやってくる電車の明かりがまぶしい。ロウ ソクの灯りで晩メシ。
灯りに虫が寄ってくる。もう蚊もいないので別に邪魔でも厄介でもない。そこ へ川からあがってきたか4、5cmくらいの蛙がやってくる。じーっと観察してる と火に集まる虫をパクリ。おおっ!瞬間見ちゃったぁ。ナイスキャッチ!

ウオトカをちびちび飲りながら何時間も、蛙と虫と炎をぼやぼや眺めてる。
川の水音に包まれながらなんだかすごく仕合わせな気分で満ちてる。


・(242)09/11/2002/三重県・伊勢/
夜明け前。雨降り出す。寝たままの姿勢で5分ほど雨にあたりながら様子をう かがう。ダメだなこりゃ。特急撤収。橋の下に待避。もう一度寝直してみるが 夜明けとともに土砂降り。川の水量は増してくるし風で雨はじゃんじゃか降り つけてくるし。濡れない所はもう半畳もない。ひざかかえて小さく体育座りで 途方に暮れてみる。
あとちょっと水量が増したら雨の中を歩きだそうと準備だけはしとく。

目の焦点もあわせずただ川を眺めてる。濁流がだんだん澄んできて徐々に水か さも元通りに。空の片隅に青空のカケラ。止んだ。ふぅ。

山を抜けたら町になった。食料調達しなきゃ。スーパー見っけ。店前のベンチ に荷物おろしてへなへなしてたら。焼酎の一升瓶かかえて裸の大将極似のおっ ちゃんが声をかけてくる。猛烈に豪快な笑い声。かはっはっはっはあ。飲んで みるかい?って誘われちゃあこっちも断る理由もなく(笑)ほいほいついてっ てみる。

おっちゃんはワンボックス車の中に家財道具一式乗っけて車で寝て、暮らして る。修行僧の衣装も段ボールに仕舞われてる。托鉢で収入を得てる。
今日は仕事はやめだな。飲んじゃうし。そうでしょ?間違いないでしょ?はっ はっはっは。
衣装をつければ確かに気合いの入った60過ぎの坊主だ。が。パンツ一丁で飲ん で笑ってる姿を見る限り裸の大将でしかない(笑)。

いつも寝ぐらにしてるという公園の水道で頭から水浴びてさっぱりしたところ で。昨日大量につくったというカレーをごちそうになる。そして真っ昼間から 当たり前のように焼酎(麦茶割り)。
米は地廻りの社長から20kgももらったばっかりだからたくさん食べなさい。 うれしいですぅ。おいしいですぅ。

おっちゃんの話しはなんもかんも豪快痛快。若い頃はかなりやばいやんちゃし てたらしい。桜の紋には世話になったことはないらしいが予想屋やったり詐欺 まがいのことしてたり。裏と表社会の境界線上のぎりぎりで生きてきたらしい。 現在は修行僧とは言っても。宗派もなんも関係なく独学の無頼派だ。いやカッ コよく言い過ぎた。なまぐさニセ坊主だ。ただ親戚筋には菊の紋系列の宮司だ かがいるとかなんとか。
詐欺師が「俺は詐欺師だった」と言うのはなんだかパラドクスだな(笑)。

おっちゃんはとにかくしゃべりつづけ。何度も同じことも繰り返すけど。一日 中、飲みながら笑って聞いてるとまるで洗脳でもされてるかのように?口癖を 覚えてしまう。
「ヘチマだ提灯だ」「金は目方で稼げ」「間違いないでしょ?」「どうだ!と」

僕も裏社会をうろついてたんじゃないかと勘違いされる。
あんたは頭がいいね。見ればすぐわかる。そういう相をしてる。でも目付きが 悪い!鋭すぎるし目が座ってる。いやーそんなこと言われたの初めてですよぅ そんなことないですってぇ。わはははは。

何を気に入られたのか。一緒にやってみないか?と誘われる。あんたの頭と俺 の経験が組んだらいくらでも稼げるよ。まぁとりあえず詐欺の手伝いではなく 托鉢。衣装は貸すからと。これから正月にかけて稼げるのだと。
うーん迷う悩むぅ。一ヶ月くらいならいいかもとかなりグラつく。仮にだまさ れても取られるもんはないしね。いやいっそ修行僧見習いってのもいいかも。

真夜中まで喰って飲んで今夜はおっちゃんの車で雑魚寝。


・(242)09/12/2002/三重県・伊勢/
朝7時前に起きてから酒スタート。河原に座り込んで今日も飲みどおし。

確かに二人で組んでみたらおもしろい生活になるかもしれない。おっちゃんも さすがに寄る年波に少なからぬ不安が出てきたのか(去年は洗面器2杯も血を 吐いたらしい)相棒が欲しくなったのかもしれない。

うーん。でもやっぱり今は。僕はひとりで行きたい。
夜まで河原で飲み語りながら去ることのする。

ありがとう、伊勢じい。一休和尚のような痛快な破戒僧だったなぁ。出会えて よかった。

夜8時も回ってるので今夜はちょっと離れた河原で月を眺めて寝る。


・(242)09/13/2002/三重県・伊勢(--伊勢神宮/内宮--外宮)/
早朝。足音で目覚める。もうウォーカーが動きはじめたか。上下白い服の人が 寝てるそばを通るのがちらっと見えた。えっ?この先は川なのに。怖るおそる 起き上がって回りを見回す。誰もいない。ええっ?

これからお伊勢参りそして熊野詣で。神々への敬意を表し気分一新のため、ひ げを剃り落とす。うーむ。なんか見慣れた自分の顔より物足りないがしばらく これでいってみようか。

早朝の境内は清々しく気が引き締まる。
僕はどこの神社や寺に行っても賽銭は投げないし願かけもしない。おみくじも お守りも買わない。ただ手を合わせ頭を下げて旅をしていることを伝え挨拶を するだけ。そんな簡単な感じなのになぜか後から来た人達にじゃんじゃん追い 抜かれてしまう。皆さんずいぶんお急ぎのようですね。

伊勢を離れたらしばらく街を通らないだろうから食料調達やら洗濯やら通信を しとかないと。所持金は3000円未満だけど。
ディスカウントスーパーでバケツ一杯分くらいのパンの耳を40円で手に入れる。 やった。これで山の中でもしばらくしのげるだろう。

夕方早い時間に野宿出来そうな河川敷公園があったのでここで落ち着くことに する。そうだ昼メシ喰ってなかったな。パンの耳の袋をあけて食べはじめると ハムの切れっ端が入ってたりしてなんかうれしい。

この日記を投稿しておかなきゃ。カチャカチャと日記打ちに熱中してると。
公園散歩のおじさんが声をかけてくれる。しばし旅の話。立ち去る間際。これ も何かの縁だからと餞別をくれる。お金!え!?そんな、もらうわけには・・・ ありがとうございます!なんだかおじさんから後光が射してるように見える。 感謝感謝感謝。じんわりとありがたさが全身を駆けめぐる。振り返りもせずに 立ち去る後ろ姿。かっこいい。うう、感動。

夕陽は沈み。おぼろな半月。あと一週間で中秋の名月か。どこにたどりついて ることやら。一晩中でものんびりゆったり月見の宴と洒落こみたいな。
誰か訪ねてきてくれないかしらん。

君がもし月の高みに立ち得れば僕はここぞと手を振ろう


・・・(つづく)[02.09.14] 海月
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