__Walk_in_the_moonshine,_and_drink_like_a_jellyfish.__

[02.05.21] 

〜海月の放流〜 012

□前回までのあらすじ:
思えばこの旅は雨風気候地形など自然に対して一切の抵抗も出来ず
揺さぶられ叩きつけられ振り回され翻弄されるだけだった。ふぅう。


●『山陰をゆけ! - 島根・鳥取の巻 -』

かなり疲れてます彼は。ってゆうか僕は。他人事にしたいくらい鬱モード全開!

おそらく多くの旅行者が目指すのは見たこともない景色。
僕の旅はもしかしたらそれとは違ってるかもしれない。
いつか(夢で)見た風景、街並み、人々を探し歩いてるのかもしれない。

ノルタルジア。センチメンタル。ナルシスティック。
これらを僕の旅から引いたらたぶん、旅が終わる。あるいは二度と帰らない。 なんてことをふと思ったりなんかして。

ところで。
僕には人から何かをもらうという特殊能力が備わっているのかもしれない。 歩いてる最中にも出会う人々から、「これ喰え」とか「持ってきな」とかやた らにある。よっぽどみすぼらしく弱弱しくもの欲しそうに見えるのだろうか? そうかもしれないがとっても感謝してます。
でも。
世に「与える」人物は偉人、大人物として歴史に刻まれるが「もらう」人って のは聞かないな。

話は変わるが。「いい大人がまったく何やってんだか」ってなフレーズをよく 聞く。が「いい大人」ってどんな? 誰か頓知の効いた答えをプリーズ!(笑)


・(110)05/02/2002/島根県・出雲--大津町・斐伊川河原/
ネット屋は10am OpenなのでCheck Outギリギリまで宿にいて開店と同時にキー ボードたたく。

頭モーローとしてきた。17:00になってしまってた。うわっ。宿はもう予約で満 室だと言ってたし。歩くしかない。野宿しかない。日没までの勝負。

大きな川。斐伊川。この川に沿って歩けば宍道湖そして松江に行ける。出雲路 サイクリングロードなるものも整備されてるから車を心配せずに歩ける。と明 日のことはいい。今夜をどうする。

河川敷はゴルフコースや野球グラウンドがあるほど広い。人目につかなそうな 草むらを見つけよう。そう決めると犬の散歩やジョギング親父がいなくなる日 没が早くきて欲しい。

ふぅやっといい場所見つけた。
真夜中には月!


・(111)05/03/2002/島根県・大津町・斐伊川--宍道湖北岸--長江/
あぁ太陽。気持ちのいい朝。河川敷の草むらが朝露に輝く。ザバザバとあえて そこを分け入って進む、飽きるまで。

土手に走る自転車道路は見晴らしもよく気持ちいい。行き交う人々とも自然に 笑顔で挨拶を交わす。

草花を刈っていたおじさんが声をかけてくる。ニコニコしながら僕のカッコを 見ていきなり「何日になる?」。どこから来たとかどこへ行くとかではないの だ。さらに「お茶くらい出せるぞ」と土地の訛りで誘ってくれた。
おじさんはバイクで一旦家に帰ると車で迎えに来てくれた。

さっき切った草花は早速生けられた。庭といい家といいさっぱりとしていなが らとても風流人のそれを思わせるような雰囲気だ。お茶請けに豆腐も練りこま れた地元特有のかまぼこを頂く。ウマい!チビ缶のビールまで出してもらう。

旅の話をしながら御夫婦を見ていたらなんだか前から知ってる人のような気に なってくる。「泊まっていってもいいぞ」と言われたが、天気もいいし歩きま す、と座を立つ。僕も粋な去り方をしてみたかったのかもしれない。

結局、お互いに名乗ることさえしなかった。どこの誰であるとかどこへ行くか とかそんなことはどうでもよろしい。今ここで出会えたことが大事、というこ とを学ぶために呼ばれたのかもしれない。もちろんおじさんは言葉では何も言 わなかったけれど。へたすりゃ不審者として通報されかねない身なり身分の僕 なのに。
“大きい人“というのは居るものだなぁ。

しばらく感謝と出会いを反芻しながら気分よく歩いてると宍道湖。湖畔にはBBQ やってる家族や水底から何かすくいあげてる人々。シジミがとれるらしい。
あぁ熱いしじみ汁飲みたいぃ。
寒くなってきた。天気急降下。雨かよー。

雨の宍道湖なんてただのデカい水たまりだぁ。んもう歩道はないしー。キィー。

歩きながら眠くなってフラフラ。道の駅で雨宿りしつつ小一時間眠る。ここで 夜を明かせればいいが車の出入りが激しいし管理人が目を光らせてる。ムリだ。

雨は一旦上がったみたい。ゆこう。
宍道湖の夕日はガイドブックにも必ず載るほどの見ものらしい。一瞬だけその カケラを見られた。当たりようのない苛立ちが少しおさまる。

今夜も草むらで蚊に刺されながら寝る。

夜中、雨。逃げ隠れできる所などなくシートを全身に巻き付けて震えながら朝 を待つ。


・(112)05/04/2002/島根県・宍道湖北岸・長江--松江/
朝はちょっとだけ雨が上がってた。あと15kmほどで松江だ。安宿もあるだろう。

土砂降り。もうお手上げ。やっと市役所の軒下に避難。湿った煙草に火を点け るのも一苦労。寒い。眠い。もう、疲れた。

ここに居ても寒いだけだ。松江城の方に県立図書館がある。そこ行こう。移動。

休館日?泣きそう。腹も減ったぁ。

ラーメンと半チャーハン。あったかい。ふはー。じんわり元気が身体に拡がる。 よし、駅の観光案内所まで行ってみよう。

地図、宿確保。Check inまで3時間ほどあるがこの雨の中もう動き回る気力な し。駅を行き交う人々を眺めながら日記を付けてる。

午後4時Check in。荷物置いて日没まで街をぶらつく。足で街の地図をつくる。 城下町っていいなぁ。
あれも食べたい、あっ、これも。でも。GWで金も下ろせないからやっぱりコン ビニ弁当。

熱いシャワー。ベッド。雨も風もない。仕合せ。


・(113)05/05/2002/島根県・松江/
曇天。GWの観光客に雑じって観光する気にもなれず市立図書館へ。一斉に本た ちが語りかけてくるようで本に囲まれてるだけで仕合せ。一冊だけ選んでまえ がきとあとがきだけ読む。なんだか読むのがもったいないような気分。ここに 居るだけで充分。

ネット屋で数時間日記打ち。これだけが僕の唯一の仕事。

この町が特にすっごく気に入ったというほど歩いてもいないし見てもいないの だけれど。ここらに落ち着いて暮らしてみるのもいいなぁと感じる。疲れてる からかもしれない。休日の旅を楽しんでる人たちの横で旅の休日をだらりら。 フッと帰るとこがあるのはいいなと思ったりする。

観光客たちが宿で温泉やご馳走を満喫してる頃、ライトアップされた松江城の 内堀周辺をそぞろ歩き。昔のままの武家屋敷の横を歩いてると以蔵さんが飛び 出してくるんじゃないかとハッとする。土地が違うし斬られても困るが(笑)。

やっぱりこの町で暮らすってのも悪くない。月が昇るにはまだ早い。月明かり に浮かぶ城を見てしまっていたらきっと留まる決心をしていたことだろう。


・(114)05/06/2002/島根県・松江--大根島・八束町/
10am Check outまでのんびりTV見てた。どこに行こうか定まらずなんとなく歩 き出す。隠岐へ船で渡ろうかと漠然と思ってる。

風が強い。強烈な向かい風。祝日で金も下ろせない。もうなんだかいろんなこ とが疲れ始めた。鬱モード全開。

ラジオから沖縄音楽。なつかしい。
番組タイトルはAnywhere but here.(ここではないどこかへ)
そうだった。まさにこの旅は。

明日からしばらく雨が降りつづけるだろう。隠岐(そこがどんな場所かも知ら ないが)へ渡って貸テント借りて一週間くらいぢっとひきこもっていようか。 とにかく動き続ける日々は疲れた。

雨風しのげるバス待合所に5時くらいから居座る。今夜はここで寝よう。元気 があればあと2時間くらい歩いて七類港になるべく近づきたいと思ったが。
船は9am発。明朝ここから歩いて間に合う時刻じゃない。

酒飲んで終バス見送ってラジオDJに笑ってるうちに雨降り出してやんの(泣)。

夜中1時半頃、警官がやってくる。眠ってたので頭モーロー。メガネもかけず 焦点の合わない目で職務質問に応える。荷物盗られないように注意しなよ、と 逆に心配される。かえってこれで安心して寝直せる。


・(115)05/07/2002/島根県・大根島・八束町--美保関・七類港/
雨の中歩きながら、眠い。橋の下で雨を避けながら3、4時間横になる。

雨は止まないが七類港まで行ってみる。もしかしたら待合所で寝られるかも。

18時の最終便が到着すると閉め出された。しかたなく周辺を彷徨う。神社の軒 下でもいいな。

山道野道に点々と地蔵が続く。びしょびしょの竹林で寝るしかないかと思って たら、廃屋があった。床も抜け窓ガラスも割れてる。ちょっと片付ければ寝ら れるスペースができる。あぁなんとかなった。


・(116)05/08/2002/島根県・七類港〜隠岐島後・西郷港--布施村・浄土ヶ浦/
久しぶりに船に乗る。なぜか軽くキンチョーしてたりする(笑)。2時間の船 旅。いつ降りだしてもおかしくない雲行き。今日も風強し。

観光パンフによるとキャンプ場がある。電話してみるが応答なし。1日4本し かないバスが10分後に出てしまう。乗っちゃえ。
50分ほどバスで移動。キャンプ場は閉鎖中。おいおい4〜10月開設って書 いてあるじゃん。テント借りて一週間位寝だめの休養とろうと思ったのにぃ。 水も電気も止まってる。が。水の元栓発見!おっ出る出る。風と冷気は避けら れないが屋根付の炊事棟で野宿するかぁ。考えようによってはテントサイト使 用料など支払わずに済むからいいか。

お茶焼酎パンチーズソーセージチョコレートピーナッツその他まとめ買いして 寝所に運び上げる。
ホコリ、コケまみれのテーブルを拭き寝床にもなるコンクリート床を丁寧に掃 き清め靴下タオルを洗濯して干してしばらくお世話になる場所に杯で挨拶して。

ここ浄土ヶ浦の伝説ってのが面白い。詳しくは書かないがあの一休和尚もここ に来たのかぁ。

周辺をぶらついてみるが天気が悪くて気が滅入る。


・(117)05/09/2002/島根県・隠岐島後・布施村・浄土ヶ浦/
寒いし天気悪いし、んもうムリヤリ昼過ぎまでフテ寝。起きてもパンをかじり ながらヌボーッと山の草木や鳥たちを眺めてるだけ。キジケンケンキツツキコ ツコツ手の届きそうな目の前にいる。半径3m以内の一日。暗くなる直前まで日 記付けたり。

煙草が切れる。里に下りる。往復30分。今日初めての遠出。

ラジオ以外にしゃべってくれるものもなく。なんとも寒い夜。


・(118)05/10/2002/島根県・隠岐島後・布施村・浄土ヶ浦/
今日は物資調達しなくても何とかなりそう。っつうか雨だし動きたくもない。 また半径3m以内の生活。
はぁー。もう梅雨か?(沖縄、奄美では梅雨入りしたらしい)こうなったらこ の島で太陽見るまでは居座ってやるー。ってカラ元気でもないよりはマシ。

天気さえ良ければこの臨海林間キャンプ場はいい所なのになぁ。仲間とサザエ 焼いて昼間っからプシュッカコッと飲んで盛り上がったりして・・・ただの妄 想・・・。

雨風止まず。夜風向き変わる濡れる。半径3m以内で場所移動。ラジオが入りに くくなる。

寝てるとまた風向き変わる。頭びしょ濡れ。んもういいっ!小さく丸まってし のぐ。


・(119)05/11/2002/島根県・隠岐島後・布施村・浄土ヶ浦/
朝5:50に起きたところで何もしようがない。30cmだけ動いて濡れないようにし ながら8:30までフテ寝。

ラジオの電池換えてみる。オッケー!濡れたもの拭いて干す。メシ喰って日記 書き。あっ太陽出てきた。
おおっ!この旅始まって4ヶ月以来初めて日記がリアルタイムに追いついたぁ! (ダメじゃんそれじゃ・笑)

キジはケンケンと鳴いた直後に翼をバサバサ鳴らすものらしい。
おっそろそろ食料調達に行ってくるかな。太陽が呼んでる(笑)。

テブラデブラブラ。ちょっとおつかい、のつもりが往復10km3時間の森歩きに なってた。この島の森を見守る御神木の老杉に挨拶してきた。
毎年この木に大カズラの縄を7回半威勢よく巻きつけるお祭りがあるらしい。 どんな意味があるのか。7回半って何?知らん。

頭が冴えて眠れない。哲学の夜。


・(120)05/12/2002/島根県・隠岐島後・布施村・浄土ヶ浦/
これだ。これを待ってた!朝日が寝床に差し込む。青空。おおっ寝てるのもっ たいない。シャッキリ飛び起きる。が。シャッキリ感が足りない。一週間風呂 に入ってなかった。頭洗う。タオル絞って身体拭く。ふうシャッキリ。

湿々の装備類を日向に広げる。ボールペン1本まですべて陽に当てる。洗濯も する。メシも喰う。ヒルネもするし。手紙も書く。あぁLovely Sunshine!

母の日、だ。今まで何かできたためしはないし今だって何もできない。この旅 の直前の大激怒以来話しもできてない。せめて手紙でも書くか。自分勝手な旅 のわびと感謝。

太陽の下ではTシャツ一枚だったけど夕方になると冷えるなぁ。日が落ちたら 晩メシにしよう。そう言えば日が長くなったなぁ。

浮游生活とはすなわち気分も天気次第自然次第に身を任せることか。
これが自然体とでも?

蚊も人/血を選ぶのか?僕はあまり刺されないような気がする。
1、2ヶ所刺されはするがその後は免疫ができるのかあまり痒くない。
これも野宿環境適応能力か??


・(121)05/13/2002/島根県・隠岐島後・布施村・浄土ヶ浦/
今朝も朝日で目が覚める午前5時半。でも7時半まで二度寝。

郵便局で手紙小包出して商店で食料補給。世間は月曜日なんだなぁ。なんだか 授業抜け出し気分で青い海を眺めてる。

キャンプサイトに移動して日向でヒルネ。新潟、石川、京都などのFM放送が飛 び込んでくる。もうそんな圏内にいるんだなぁ。

宝くじに当たった場合を想定してみる。旅のカタチ自体は変わらないだろうけ ど問題はどこに預貯金するか?親に預けとく?旅するには郵便局が一番便利な んだよなぁ。でも1000万円までしか非課税じゃないんだっけ?うーむ。・・・ 問題は宝くじを買ってもいないということだった(笑)。

宝くじなんて誰でも考えることだが。もっとヘナチョコなものから世界戦略ま で(笑)妄想は加速する。
妄想のスイッチはニュースだったりうただったり。足の痛みや道端に落ちてる 片方だけの靴。雲の形、月や太陽の光線。コンビニで見つけた新商品、100円 ショップの品揃え・・・etc. そこら中にあふれてる。

旅を続けるってのは妄想の暴走と付き合ってくことだ。


・(122)05/14/2002/島根県・隠岐〜鳥取県・境港++米子++島根県・松江++出雲/
5:20起床。6泊7日もお世話になった野宿場に礼を言ってパタパタ去る。
7:00のバスで西郷港へ。
8:30出航。島々を経由しながら鳥取・境港へ。


途中、綺麗なミズクラゲMoonjelly発見。あんな風にはまだ泳げてないなぁ。 やっぱり師匠はスゴイ!(笑)

各島々では団体観光おばーおじーが小旗に導かれ乗船下船。おばちゃんたちの 高笑いは止まぬ。別にこの島でなくてもみんなと一緒なら楽しいみたい。

デッキから見る島々。あぁ沖縄や奄美の船旅の気分になってたけど島の植生が 違うや。海は繋がってるけどここは日本海、なんだなぁ。

13:40境港。なぜか知らぬが「水木しげるロード」妖怪オブジェがあふれてる。 観光ストリート。
あえて観光客目当てでもなんでもないような港町の食堂でチャンポン喰う。す ごいボリューム。うまし。(ちなみに沖縄でチャンポン頼むと中華丼風のメシ が出てくる。メンではない。)

15:48発米子行ローカル線。高校生満載。ルーズソックスは何年続くのか?
16:58発出雲市行に乗り換える。宍道湖南岸を進む。10日程前に歩いた対岸だ。 雲行きが怪しくなってきた。また明日から雨のようだ。つくづく雨男。

18:16見慣れた出雲市駅に到着。

前回と同じ宿・サイクリングターミナル銀輪荘(素泊¥2700)にまた2泊お世 話になる。9日ぶりにゆっくり風呂に浸かる。風呂入っただけで少し体重落ち たんじゃないかってくらいサッパリスッキリ。ふーぅ。
食料持ち込み禁止だがこっそり酒も買ってきて風呂上りに飲む。あっという間 に酔っ払う。

TVも電気もない昨日までの野宿生活では夜がやたらに長くて(9時前には寝た) むしろ早く朝が来ることを願ったものだが。宿に泊まって電気も点いてTVなん か見てるとあっという間に時間が流れてもう24時半を回ってる。TVは電気も喰 うが時間も喰ってんじゃないのか?

あー寝よ寝よ。フトンで寝よ。おやすみ、わし。

乗り物を使う旅は時が切り刻まれる。計り売りの時間の切り身を買ってるみた いだ。(いいとか悪いとかじゃなく)


・(123)05/15/2002(沖縄復帰30年の日)/島根県・出雲/
一日中雨。出雲大社大礼祭、見に行く。傘の花咲き乱れる。何十人もの宮司の 行列。団体観光客が早送りで流れてゆく中、次の予定などない僕は御神楽に足 を止めスロー再生の世界に居る。
苔むす屋根濡れそぼる参道。ループする音がすべてを閉じ込める。雨粒まで止 まって見える。

街に戻って明日からの歩きのための食料調達。生鮮品を眺めてると「今夜は何 を喰おうか?」といつもそればかり考えてた自炊生活時代を思い出す。

ネット屋で5時間Site Seeing、メール返信、日記打ち込み。

一週間歩いてなかったから明日からがちょっと不安。


・(124)05/16/2002/島根県・出雲++松江++鳥取県・米子--日吉津村/
食料どっさりかいこんだから荷物重たいぃ。今日はまず重複するコースを電車 でワープ!
自分が歩いた道を電車から眺める。ここではあんなだった。ラジオではあんな うたが流れてた。録画再生される記憶。

米子駅でかけそばすすってから歩き出す。30分程歩くとネット屋があったので ちょっと寄ってみる。

5時間くらい居座ってしまった。0〜6時までのナイトプランだと¥1500、と いうのに惹かれる。今夜はここで過ごそうか?うーむ。悩んだら前へ進め。

2時間程歩くと海。青空のカケラ。

海の近くの公園で野宿。晩メシ喰ってると雲間に三日月が見え隠れ。明日は晴 れるかなぁ。思ってるそばから雨降り出す。ぎゃふん。
東屋に避難。公園の灯りがあるので夜遅くまで眠くもならない。ラジオにわく わく。

ひと気のない駐車場ってのはカップルには絶大な人気があるようで。ヘッドラ ンプがぐるっと回り込んでくるたびにこっちは寝てらんない。


・(125)05/17/2002/鳥取県・日吉津村--東伯町/
雨の朝でも5時半に目が覚める。7時半まで天候の様子を見るが止みそうもな いので出発。

気温は20℃近くあり歩けば熱も発するから蒸しムシ。んもう。

道の駅で休んでるとバイカーに声掛けられた。久しぶりに旅人に会う。
「何日になります?」あっまただ。どこからどこへではなくいきなり「何日?」 ときた。彼も鳥取砂丘を目指すと言う。どっかテント張れそうなとこあります かねぇ?こっちも訊きたいくらいだが。彼の速度では進めない。

お互いに「気をつけて」と別れる。別れ際にクラクション2つ。

海岸沿いを歩く。浜は風がキツイ。今一瞬雨は上がってるがきっとまた降る。 もうへろへろになった頃、公園の東屋を見つけ落ち着く。

今日は一日中くしゃみ鼻水が止まらなかった。まさか風邪?
認めたくないものだな。
なのでたくさんの人からウワサされてるってことにしとく。(笑)


・(126)05/18/2002/鳥取県・東伯町--羽合町--気高町・魚見台/
ハワイからアロハ。ハワイには温泉もあるらしい。久しぶりにいい天気でハワ イの海も綺麗。あっハワイと言っても羽合町。町役場の制服がアロハシャツ、 ってウワサを聞いたことがあるが今日は土曜日なので確認できず。

狭い歩道で自転車とすれ違うそのジャストのタイミングでくしゃみっ。なぜも うちょっと待てんのだ、くしゃみ(笑)。

今は雨降ってないのでどこでも寝られそうな気分になるが用心して今夜は橋の 下。夜、やっぱり振りだした。

寝る前にタヌキ2匹接近。やぁ。イノシシと違ってキンパク感なし(笑)。


・(127)05/19/2002/鳥取県・気高町--白兎海岸--湖山--鳥取・浜坂(砂丘西端)/
昨日の時点では今日の行程はむっちゃ歩いてやっと砂丘にたどり着けるかどう か、と思ってたが。歩き出したらもうあと20kmを切ってた事を知り、これなら イケル!とにわか元気。

あくまでも“にわか”だった(泣)。くしゃみは出るわ疲れはたまってるわ。 よろよろ。

それでも昼にはあと10kmと迫った。うおー。
さて問題は安宿があるかどうか。道沿いにちょうどネット屋(米子と同系列) 発見。ちょっと調べてみよう。ついでにここで昼メシ。

探せばあるもんだ。素泊¥2520の宿発見!電話してみよう。もしそこが一杯な ら¥4800の宿。その差は大きい。

砂丘の西端にあるサイクリングターミナル「砂丘の家」にたどり着くともう5 時半。こりゃなかなかいい。さて日没前に食料調達しとこう。

8畳の和室独り占め。野宿の時は1畳分も占有してないのに。

TVをつけないでいると夜の時間はたっぷりある。

今夜買ったウナギの太巻ウマい!野菜ジュースとヨーグルトをがぶ飲みして花 粉症みたいな体調を回復させよう。


・(128)05/20/2002/鳥取県・鳥取・浜坂(-砂丘-)鳥取市街++湖山/
鳥取砂丘横断。起伏をUp/Down。谷間を歩いてると視界には砂と空と鳥しかな い。さきう・・・すぐ近くに観光客もいるはずだし海もあるはずなのに取り残 され気分。せめて青空なら・・・。いっそ雪の降り積もる真冬の方が気が晴れ る。

コップ1杯分ほどの砂を靴からたたき出し足洗う。
土産屋を冷やかし休憩してると店のおばちゃんが「昨日歩いてるの見たよ」と 声を掛けてくる。そしてペットボトル1本差し入れ。あぁうれしい。ありがた い。

街に出て映画館チェック。夜、見に来よう。

県立図書館で本に囲まれ仕合せな気分。あれも読みたいこれもそれも・・・。

島根県平田市を舞台にした『白い船』の山陰地区先行ロードショウ。
とてもオーソドックスな映画だ。島根/山陰の自然と人々を淡々と映し出す。 僕が歩いた風景や人々の暮らしがそこにある。僕の山陰の旅を美化するならば こんな感じ、かも。

続けてもう一本観る。『シャンプー台の向こうに』毒にも薬にもならない映画 だけど。がら空きの映画館で貸切気分でボーっと見てるのは悪くない。

旅先で映画館に入るってのも図書館に匹敵する楽しさ。

22:45の終電に一駅だけ乗る。今夜は先日のネット屋のナイトプランで夜明か し。あっ!所持金¥2604しかない。

ネット屋にネットやりに来たのに。サーバー不調で繋げず。おいおい。お食事 券で許せってか?ちょうど金なかったところでカツ丼喰えたから許す(笑)。 スタンドアローンマシンとして日記打ち込みしましょ。

サーバー復活。ちょうど日記も打ち終わった。ようし投稿!

そろそろ空が白みだしてきた。貫徹だぁ。いきなり朝から歩けるかなぁ。
これからの行程は中国山地越えが待ってるからキツそうだなぁ。


・・・(つづく)[02.05.21] 海月
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