__Walk_in_the_moonshine,_and_drink_like_a_jellyfish.__ [02.04.01] ■ 〜海月の放流〜 008
□前回までのあらすじ: ●『沖縄の離島 - 八重山、宮古の巻 -』 沖縄タイム、という独特の時間の流れがある。いや、沖縄とひとくくりにでき ないほどたくさんある島々ごとに違うようだ。いやいや、沖縄に限らずあらゆ る土地土地で時間の流れ方は違う。 個々の旅人にも各々の時間感覚がある。 旅をするというのは空間の移動ばかりではなく時間の流れを漂うことなのかも しれない。 ・(023)02/04/2002/沖縄・那覇(〜石垣島)/ いつも昼まで寝ていたが今朝は早く起きて船会社に電話。今夜の石垣行きのチ ケット確保。 シャワー浴びて屋上に上がるといい天気。日記書いてると宿の泊り客が洗濯物 を干しにくる。石垣や竹富の情報をもらう。下調べもガイドブックもなく始め た旅だったが、こうして人から伝えてもらうことで何とかなるし、むしろそっ ちの方が面白いものだ。 那覇で安くメシ代を抑えるなら牛丼屋だな。沖縄料理を安く喰うには地元民が 行く食堂に入ればいいが¥500はかかる。安くてボリュームもあるのだが。コ ンビニは結構使える。沖縄限定弁当が¥360くらいだったりするし。 電器屋のネット体験コーナーでwebチェックしたり船内で喰うもの調達したり まだ時間あるな宿に戻って煙草ふかして・・・那覇新港まで歩くか。柏屋さん の世話になりました。(また戻ってくると思います) ちょうど1時間くらい歩いて港に到着。チケット受け取りいざ船へ。船は基隆 から乗ったのとまったく同じものだった。今度は台湾に向かっているのだ。 違うのはもっと乗客が多いことだった。 海から昇る月の出を見るチャンスがあるかもと期待していたが月齢からいって 日付が変わるまでは出てこないはずなのでメシ喰って酒飲んでちょっと一眠り。 午前2時半に起きたらすでに月は昇ってた。しまったぁ。計算間違った。 缶ビール買ってきてしばしデッキで月見酒。 ・(024)02/05/2002/沖縄・石垣島/ 朝10時半、石垣港。すぐに船を乗り換えて与那国にでも渡るかと思ったが、 船が出るのは明日だと言う。野宿でもして1日待つか?雨が降ってきた。 離島に渡るにはすべて石垣を基点にしなければならない。それなら街を歩いて 情報集めるか。同じ船に乗り合わせたO君も与那国へ行くということで港で途 方に暮れていたので自然に行動を共にすることに。地図など集め昼メシ喰って 石垣の街を観光気分でブラブラ。 ¥800の安宿(コヨーテ・ゲストハウス)があるらしい。1階はBAR。2階は仕 切りもなくコンパネの上にパンチカーペットを敷き詰めた広いスペース。どこ にでも好きなとこに陣取って雑魚寝というスタイル。シャワーとトイレと洗濯 機は1階にある。いいじゃん。充分じゅうぶん。即決。そこにもう一人旅人が やってきた。今夜は計3名の泊り客。 3人で晩メシ喰いに行く。近所には安食堂が見当たらず急遽方針変更。魚屋で 刺身、弁当屋でのり弁、酒屋でビール!これが大正解。安上がりなのに大満足。 宿の看板猫?に刺身を奪われないようにしながら旅や音楽の話も盛り上がる。 下のBARは夜中から朝まで開店。でも今夜はまったく客がいないようで。3人で 冷やかしに降りて行く。元はナイチャー(内地:本土出身者)だがこっちに移 り住んでしまったネーネー。宿と店を任されることになった顛末をおもしろお かしく聞きながら酔う夜。 ・(025)02/06/2002/沖縄・石垣島〜与那国島/ 雨は上がっているが天気がいいとは言えない。荒れやすいがゆえに「渡難(ど なん)」とよばれる与那国行きの船は欠航しやすいと聞く。しかし今日は無事 に渡れそうだ。4時間の船旅。揺れに抵抗しても無駄なのでずっと寝ながらマ ンガ読んだりTV見たり。途中からTVが写りづらくなってきたと思ったら台 湾の放送を受信。もうここは台湾の方が近いのだ。なんだか台湾の旅の続きの ようであまり違和感はない。 与那国上陸。さて宿はどうしたものか。ブラブラしてみると安宿が目に止まっ た。値段だけでも聞いてみるか。素泊¥2000+晩メシ¥500。オッケー即決。 民宿奥作。ここを仕切ってるネーネーの気風の良さ、男前度も良し。(笑) 荷物置いて「日本最西端の碑」を見に行く。思えば遠くに来たもんだ。芝生で ヒルネ。これから先のことはなーんにも考えてない。 与那国馬に遭えないか?晩メシまで間があるので当てもなく歩いてみる。牛や 馬の糞はあちこちにある、というより踏まないようにするのがやっと。なのに 牛や馬はどこへ行ったのか?しばらく歩いて牛発見!こうなりゃ馬見るまで帰 らんぞぉ。馬発見!!モンゴル馬のような小型の馬。初めて会うのに懐かしい。 なでなで。 品数豊富な晩メシ。ウマい!ああこりゃしばらくここに居付こうかな。 同宿者の中の押しの強いウチナンチュ(本島出身)Kさんが酒を持って帰って くると宴は始まった。 HS君との共鳴。SK君とのシンクロ。鳥肌が立つ。求める者と伝える者との 出会い。与那国にやってきたのはコレか。コレに呼ばれたのか? うれしくて大酔っ払い。 ・(026)02/07/2002/沖縄・与那国島/ 来た。場に順応しようとする身体の変化が。ノドが痛い熱っぽい寒い。もう1 日中寝てるしかない。 晩メシの時にようやく起きあがる。食欲だけはものすごくある。今日は1日こ の1食だけだが元気出てきた。あとはまた明朝までおとなしく寝てれば直る。 ・(027)02/08/2002/沖縄・与那国島/ 体調回復のためにも外に出る。あいにくの天気。祖納という島の反対側の町ま で歩こうと思ったが(8km程)雨も降ってくる。途中で車が拾ってくれてあっと いう間に連れて行ってくれた。 祖納の方が大きい主要な集落のようだが街ではないな。相変わらず当てもなく 歩いていると泡盛「どなん」の蒸留所にたどり着いた。飛び込みの客に仕事の 手を休めて丁寧に案内・説明してくれた。蒸留した最初の一滴一杯。アルコー ル度数60度を超えるものを試飲。ふわーっ。口の中で蒸発しちゃうほど。そし て華やかな甘い香り。すごい!だから花酒と呼ばれるのか。 日本で60度の酒の製造が許可されているのは与那国の三つの酒造所だけだとい う。一通り説明を聞いて帰ろうとする頃、外は土砂降り。しばし雨宿りしてけ とすすめられ泡盛までコップに。まぁ急ぐ訳でもないし。邪魔にならぬよう気 長にくつろいでしまう。 山梨時代の友人Mちゃんがかつて働いていたマルキ食堂でそばをすする。刺身 が二切れ付いてるのが嬉しい。喰い終わって帰り間際にMちゃんの友達である ことをおばーに伝えると喜んでくれて嬉しそうに缶コーヒーまでいただいてし まった。僕が仕事を探しに来たのかと勘違いされたようだったが、一瞬僕もこ の島で働くことを考えたりしてしまってた。それも悪くないかな、と。 宿にはマイクロバスで戻る¥100。1日の便数は少ないが手頃手軽な島の足だ。 今夜の飲み会は場が負に傾いていたのでちょっとつらかった。Kさんが無理に 盛り上げようともがくほど負の渦は加速していった。一気飲み大会になってし まってはもうダメだ。こんな時もあるさ。 一応お開きにして片付けて気を取り直して残り酒をチビチビ飲っているとネー ネーたちが仕事から帰ってきた。奥で寝てた主は起きてきて何やら「神懸り」 な除霊を始めた。この島には普通に当たり前に神や霊や呪術があるのだ。 それも素直に当たり前に受け入れてる自分もそこに居た。 なぜこの島に自分が来たのかはよくわからないが「呼ばれる」という感覚はあ ると伝えると、「それなら誰かと出会うだろう」と言われた。そうなのだ!! ・(028)02/09/2002/沖縄・与那国島/ 久しぶりに太陽を見る。洗濯して風呂入ってフトン干して海岸へ。たまってる 日記(だいたい1週間以上前の日記をいつも付けてる気がする)を付けつつ綺 麗な青い海を眺めてボケボケ。今日こそは「日本で最後の夕陽」を見られるか も? ありゃ雲が出てきた。僕は今回の旅で自分が雨男であることをつくづく思い知 らされた(笑)。 新規の客が3人。宿主である剛さんも初めて交えて宴。珍しい(新種?)亀や ヤシガニも登場。 Kさんがまた荒れだす頃、場から撤退。(その後、大変なことになったらしい) ・(029)02/10/2002/沖縄・与那国島/ 雨。もう寝てるか、今日は。と思っているところに宿主が起こしに。島観光行 くぞ、と車でラチられる。同乗者は昨夜から徹夜で飲み続けてたらしい。早速 ビールが手渡される。酒飲みながらネムケナマコで大雨の島一周。結局、飲ん でただけで観光なんかしてはいない。 宿に戻ると晩メシまで眠る。 夜更けて。酒はもういらない。って気分だから水飲みながら語り足りないこと を静かにゆっくり語り合う夜。やはりここには呼ばれて来たのだろう。明日の 船に乗らなければきっと長居して1ヶ月、半年、1年と居座ってしまいそうだ。 そのように宿主に誘われもしたし。迷ったがやはり次に歩みを進めよう。 ・(030)02/11/2002/沖縄・与那国島〜石垣島〜竹富島/ 4時間の船旅。天気良好。石垣着後次はどうする?ところが所持金ピンチ。 祝日で金を下ろすこともできず。石垣の¥800の宿で1日つぶすことも考える が、せっかくの好天の時に船移動しておいたほうがいいだろうと判断。 竹富島には30分もかからなかったか。小さな島。歩いて全て巡れる。各家々は 珊瑚の石垣で囲まれ町並みは巨大迷路のよう。集落を外れるといろんなものが 潜んで棲んでそうな林。それを抜けると海!珊瑚礁に囲まれた島なので青も 様々なグラデーションでとても美しい。 宿の名はジュテーム(樹庭夢)。なんとも怪しげだが竹富では最も安い¥1500 (ドミ)。旅に沈没したか島に働きに来た若者が集まりそうな宿だ。こういう 宿が全国各地にもっと増えて欲しい。 しかし島のおじーやおばーの話を聞いたり手料理も喰える民宿もありがたいの で明日は移ろう。 ・(031)02/12/2002/沖縄・竹富島/ まず郵便局で金を下ろす。所持金は230円しかなかったのだった。しかもそれ は昨日、自動販売機のつり銭ポケットに忘れられていた天からの恵み(笑)。 これでオリオンビールが1本買えるとほくそえんでいたが昨晩は飲まなかった。 それにしてもどんな離島や僻地にも人が暮らしているところなら郵便局がある。 ブラボー郵便局。 基本的に「予約」というものはしない。だから宿は当日飛込みで決める。 「のはら荘」には看板がなかった。が二食付¥5000。昔ながらの民家で理想的 な宿だ。縁側があって花があって落ち着く。三國連太郎に極似のおじーの話も 楽しい。 1日歩けば島の全ての道を踏破してしまえる。あわてることはない。のんびり。 夕食はジャスト18時(朝食は8時)厳守!それだけがこの宿の「おきて」(笑) なのだった。そういえば今日は昼メシ喰ってなかった。っつうか朝メシも喰っ てない。モーレツに腹減ったぁ。メシ!うまい!そして泡盛はあるだけ飲み放 題!ブラボー。 ・(032)02/13/2002/沖縄・竹富島〜石垣島〜波照間島/ 7時50分起床8時朝メシ。朝もモリモリ食欲満点。 今日も天気良好。午前中の船で石垣島に戻って最南端の島・波照間島に渡って みよう。高速船は海面を飛ぶように波を蹴散らして突き進む1時間。 波照間の港で一服して地図でも確認しようかと思ってたら予約客待ちの宿のお ばちゃんが声をかけてくれた。宿が決まってないならうち(けだもと荘)に来 れば素泊¥2500でも食事の残りを分けてあげるよ。とのこと。ちょっと迷った フリしてからお世話になることに決める。 持て余してしまうほど部屋は広くて風の通りもいい。気に入った。2泊しよ。 さんぴん茶(ジャスミンティー)をごちそうになりながら他の客とおばちゃん と沖縄や30年前(返還の頃)の話しなど。 ご飯の残りで握り飯を握ってくれたのでみんなでむさぼり昼メシ完了。 さて。天気もいいし。ぶらっと散策。最南端の碑でも見に行ってこよ。 保育園幼稚園小学校中学校まで全部並んでる。校庭は芝生のグラウンド。こん な所でのびのび育つ子らはうらやましくもある。 サトウキビ畑と牧場が広がる道を延々と歩く。炎天下。暑い熱い。もう夏だ。 最南端の碑のある場所には観光客達がマイクロバスで乗り付けてくる。ガイド の説明を聞いてとっとと立ち去る。それを横目にごろりとヒルネ。 空が広い。雲がまるで流氷のようにギシギシと音を立ててせめぎあってる。南 の島の空に北の海のことを連想してしまう不思議。 立ち止まって横たわって空を見下ろせば視界には青空と白い雲しかなかった。 この島にあるものは何もかも「最南端の・・・」と形容されている。 宿に帰ってボケボケしているとおばちゃんがノック。晩メシを運んできてくれ る。他の客は¥5000で泊まっているのに何だか申し訳ない。それにしてもたっ ぷりの品数と量。ええっ?こんなにも?これが残り物?きっとわざと余分に作っ ておいたに違いない。うれしい。ありがとう。感謝。さらに下手な食堂で喰う よりも格段にうまい!感動。大満足。さらにさらにあの入手困難な幻の「泡波」 も1杯付けてくれた。うおーっ! ・(033)02/14/2002/沖縄・波照間島/ 午前5時。静かに起きて外に出てみるが一面の雲で星は一つもない。南十字星 見られず。寝直す。 朝食もたっぷり。ありがたや。さらに残りメシをでっかいおむすびにしてくれ た。これを持って海へ。 日がすっかり昇りきる頃には快晴。これはもう海に入るしかない。水温と風が まだ冷たいかなと思って服のまま水の中へ。1ヶ月洗ってないジーパンを染ま りそうに青い海水で泳ぎながら洗う。水温にもすぐに体が順応。気持ちいい。 木に囲まれてるところに陣取り洗濯物を干し、後は綺麗な海と空を眺めて1日 ボーっと過ごす。この時期泳いでるのはダイバーくらいなものだが、今日が僕 にとっては初泳ぎ。 時折風に乗って甘いにおいが漂ってくるのは近くの精糖工場か。 ジーパンがすっかり乾く頃またぶらぶら歩き出す。最終便が出た後の港にはも う地元民しかいない。車座になって地面に座り込んでるおぢさんたちがいる。 中央には新聞紙が敷かれ採れたての貝が山積み(海のものでも山積み)。片手 には酒。もうすでに今日の仕事は終えて飲り始めてる。興味深くて首を突っ込 んでみたら「ここへ座って喰え」とお声がかかる。待ってましたとばかりに貝 に手を伸ばす。うまく砂袋を取り除かないとじゃりじゃりと砂を噛んでしまう。 食べ方に慣れてくる頃にはうまさの虜。海で獲れたものを海ですぐ喰う仕合せ。 今夜の宿メシはまた豪勢。八重山そばがプラスされ、さらにウナギの蒲焼まで。 うわーい。酒が進む(笑)。 ・(034)02/15/2002/沖縄・波照間島〜石垣島〜西表島・大原/ 朝一の船で波照間を去る。お世話になりました。すごく嬉しい時間を過ごせま した。 石垣市立図書館。本に囲まれてるだけでわくわく。一日中居ても飽きない。 ところでこれからどうしよう?コヨーテは2月末まで休みを取ってるらしい。 西表島に渡ってしまうか。 西表のジャングル・ツアーにも興味はあるが、島の周囲を走る県道が目に付い た。この島には1周道路はない(大部分が手付かずの森)。この主要幹線全長 50kmくらい。2、3日で歩けそう。県道の終点から先には船でしか行けない集 落があるようだ。よし、そこまで行ってみよう。 今日のところはまず島に渡って安宿に泊まって翌朝出発としよう。 ・(035)02/16/2002/沖縄・西表島・大原--大見謝川展望台/ 7時起床。34km先の町まで今日中にたどり着くのは難しいだろうな。この2週 間すっかりだらりら生活でなまりきった身体。1時間も歩いたらもうよろよろ。 牧草地で昼メシそしてヒルネ。草の青いにおい。夏を思わせる日差し。 「乗ってくか?」と車を止めて声をかけてくれる島の人々。「いざというとき には他の車に声をかけるんだぞ」と。ジーンと来た。 イリオモテヤマネコのフンらしきものはある。ヤマネコ飛び出し注意の看板が 一定区間毎にある。歩くペース、休むペースを知らせてもくれる。 暑い。危うく熱射病になりそう。何度かぐらりときた。 道はUp&Downが激しく、疲れたひざには下り坂さえもキツイ。 そろそろ日没。寝所を決めねば。ちょうど川があり展望台があった。水と寝床 確保。ここならハブも来ないだろう。 真っ暗闇の中、手探りでわずかな食料を酒で流し込んで寝る。森からは色々な 鳥や動物の声、木のざわめき、そして海からは波の音。不思議と怖くはなかっ た。この闇の主の機嫌を損なわないように懐中電灯などの人工的な灯りは使わ ない。雲間に月が見え隠れ。あぁそれだけでも明るい。 ・(036)02/17/2002/沖縄・西表島・大見謝川展望台--上原--白浜〜船浮/ 日の出とともに起床。川で顔洗って出発。今日も暑くなる。 蛇発見。ハブではないがビビる。ひも、ロープの類など長いものを見るたびに キンチョー(笑)。 星砂の浜の砂は偽りなく星型だった。裸足になって海辺を歩く。新しい水ぶく れが足裏にできてる。海水に浸けとけばすぐに直る(と信じてる)。 東経123°45’6,789”の子午線モニュメント。 トンネルを抜けると白浜という集落。道の終点。予想より早く着いた。岸壁で へたり込んでいると、虹が!なんだか祝福されたような気分。 船浮へ渡る船の最終便に間に合いそうなので飛び乗ってしまう。「雨降るぞ」 と船長が行った5分後にスコール。 10分で船浮。陸の孤島?の集落。船長に宿なんてないぞと言われたが、港に 着いてからあの家で聞いてみろと言われ雨の中ダッシュ。早速聞いてみるとそ こがまさに素泊宿「かまどま荘」だった。今日の泊り客は僕お一人様だけらし い。ここに2泊することにする。 食堂などない集落。唯一の売店でラーメンや酒を調達してTV見ながら晩酌。 ・(037)02/18/2002/沖縄・西表島・船浮/ ゆっくり寝てるつもりだったが日の出とともに目覚めた。 昨夜、売店で弁当を頼んでおいたので取りに行く。ついでに集落をブラブラす る。が10分で全て見終わってしまった。狭い。 ここはイリオモテヤマネコ発見の地であるらしい。 港を出入りする個人所有の船をただ眺めて過ごす。 まるで自転車でも乗るような感覚でお手軽に乗りこなしている。島の人々の足。 それにしてもヒマを絵に描いたような時間。 今日はM君と宿で再会。売店で酒も調達してTVに突っ込みいれながら次はど こ行くか話す。 ・(038)02/19/2002/沖縄・西表島・船浮--大原〜石垣島〜宮古島・平良/ 早朝の船で白浜へ。船会社の無料送迎バスで石垣行きの港へ。西表にある2つ の港のうち一つは欠航になったらしく大原までぐるりと走る。 徒歩で2日かかった同じ道のりをバスでたった1時間で戻ったことになる。 石垣島との相性がどうも良くない。石垣に来ると天気が悪い。んもういっそ宮 古島に進んでしまうか。となると八重山の島々ともお別れか。まだ行ってない 島もあるけど動いてみよう。 宮古は街だ!しばらく離島巡りをしてて信号もないところに居たからものすご い都会に感じる。那覇に戻る前のリハビリ気分(笑)。 居心地の良い安宿(鶴美荘)発見。ひとまず一泊するが延泊することになるな。 宮古圏に入った祝いに生ビールで乾杯! そう言えば沖縄に来て初めてオリオンの生を飲んだ。うまし。 ・(039)02/20/2002/沖縄・宮古島・平良/ “おかみ”の案内で無料でネットに繋げるマルチメディアセンターに行く。 メールのチェックと日記の打ち込み。2時間。集中しすぎてへとへと。 町を散策しながら図書館にも行ってみる。 渡り鳥の旅。視点の高さは視野の広さ。 冬のオリンピックをTシャツ姿で眺めながら酒盛りする茶の間。いろんな経路 いろんな経緯いろんな状況で集う一期一会の仲間。夜は更けゆく。 ・(040)02/21/2002/沖縄・宮古島・平良(--来間島)/ 島の地図の距離感覚を歩いて確かめてみる。とりあえずビーチまで。あぁ歩け るあるける。こりゃもっと遠くまで行けそうだ。身軽なのもいい。 てくてくてくてくてく。まひるの白い月。青空に映える。精糖工場から甘い煙。 人工物のうちで月と相性がいいのは煙突くらいなものじゃないのか? 帽子もサングラスも焦がす暑い日差し。キビ畑を吹き抜ける風は強し。 来間島は1.6kmの橋で繋がってる。青く透き通る珊瑚の海。海面から20m浮き上 がって歩く。未来カーが飛びすさぶ。僕は人力で浮遊する。 たどり着いたら竜宮城が待ってた。ただしお出迎えはダチョウだったけれど。 日が落ちる前に帰りつかないと。往復20kmくらい。 宿で島酒(泡盛)を流し込んでやっと現実世界に着地した。 ・(041)02/22/2002/沖縄・宮古島・平良(--ドイツ村・空港)/ 今日も往復20km程歩いてみる。目指すはドイツ?寂れたテーマパークらしい。 歩け歩け。昨日より暑いぞ。歩け歩け。畑の農道。ずんずん成長したサトウキ ビは歩道も越えてずんずん伸びる。荒くれ野道を越えれば畑。曲がれば畑。キ ビキビキビ。海まで続くキビ畑。ずんずん歩くキビキビ歩く。 海に出たらばドイツ城。鋭利な塔が雲を切る。 遮るものが何もない直射日光畑。あーつーいー。 宮古空港で乗客気取ってみたり出迎えのフリしたり実は休んでるだけ涼んでる だけ。滑走路を離着陸する飛行機。空の旅もいいな。飛びたい。 明日からの徒歩野宿旅用の食料と大事な酒を調達しとく。 おかみとはやっぱり気が合った。お互いに説明なしでキーワードだけで会話が 成立した。きっと僕を宮古に呼んだのは彼だったのだろう。島酒を酌み交わし ながら想う。 ・(042)02/23/2002/沖縄・宮古島・平良--東平安名崎/ 7時に起きて出発。天気は上々。昨日までと違って荷は重い。 おかみに紹介された丸吉食堂でソーキそば。うまい! 海沿いの道。芝生の公園。日陰で30分ほどヒルネ。 精糖工場からの甘いにおい。潮の香り。草のにおい。乾いた土のにおい。焼け るアスファルトのにおい。木陰の風のにおい。牛舎のにおい。様々なにおいが 風に流され漂い僕が歩くことでかき回される。 熱射の中で足を止めて一服したところで大して休憩にはならなかった。 左右を海と風に削られた細長い2kmの岬の先に灯台がある。今夜はこの辺で野宿 にしよう。そう決めて身軽になると疲労は安堵と開放感に置き換えられてった。 岬の東から月は昇り西に日が沈んでゆく。 縦横無尽に根を伸ばすアダンの木々の空間に寝床をセッティング。一晩ここで お世話になりますと木々と闇にいつもの挨拶をしてからパンを噛み締め酒をち びちび。木々の葉陰から月が見え隠れすれば島酒もこの夜を引き立てた。 夜中、雨が降りあわてる。頭上に葉が密集している位置に少し移動しながら浅 い眠りを繰り返す。野宿ではいつもレインウェアを着たまま寝るので雨が降っ ても身体は濡れることはないが足だけは冷たかった。ザックを濡らさない工夫 も要する。夜明けはまだか・・・。 ・(043)02/24/2002/沖縄・宮古島・東平安名崎-(東海岸)-狩俣/ 本格的な雨にはならないが強風に小雨が交じる冴えない日。寒い。畑か防風林 ばかりが延々と続く道。集落もないから店もない。真正面から風を受け、ただ 黙々と歩く。ラジオだけが救い。 天気が悪い。気を滅入らせるにはそれだけで充分だった。 今夜も林の中で野宿。宮古島にはハブはいない。だからできること。 夜になって月が出る。やっと雲が晴れてきた。 ・(044)02/25/2002/沖縄・宮古島・狩俣-西平安名崎-池間島-砂山ビーチ/ 夜明けとともに起きるといい兆し。太陽!昨日までのペースで歩いたら予定よ り1日早く今日中には島1周して平良の街に着いてしまう。ここはあえてペー スを落としてのんびりゆこう。 早朝の西平安名崎。ここにも日本在来馬・宮古馬がいた。与那国馬に似た小型 馬。人なつっこく差し出した草に集まってくる。 池間島は1.4kmの橋で繋がってる。同じ道をまた戻ることになるので橋の手前 で荷物を草むらに隠して身軽になる。橋の上からでも魚が見える透き通る海。 タクシーや観光バスがじゃんじゃん走り去る。身軽になった開放感と海と太陽 はステップを軽くする。歩きのほうが気持ちいい道。 島はぐるっと1周歩いても1時間くらいの小さい島。 再び橋を渡り草むらから荷物を引っ張り出すと丁度昼メシ時。おかみオススメ のすむばり食堂で「タコ丼¥600」を喰う。うーまーいー。このタコのやわらか さはなんだ!? 砂山ビーチで夕暮れをのんびり眺めてるつもりだったがすぐ横でグラビア水着 撮影をやっててちっとも落ち着けない(笑)。 砂浜は風が冷たいので浜の入り口の駐車場の芝生に寝床をセッティング。灯り もトイレもシャワーもある。しかし夜になっても車でやってくる人は結構いて うっとおしいのでしばらくガジュマルの木に登ってちょうど昇ってきた十三夜 の月を眺めてる。ガジュマルは登りやすくてとても居心地がいい。沖縄の精霊 キジムナーがこの木に好んで棲んでるというのも納得。 1時間ほど木の上に居ただろうか。おかみがビールを差し入れにやってきてく れた。予め今夜はここに居ることを伝えておいたので。 いい月いい夜いい友いい旅に乾杯!程よく酔いが回ればうたをうたう。二人で 大声でうたってると昔からの友のような気になってた。ありがとう。 ・(045)02/26/2002/沖縄・宮古島・砂山ビーチ--平良(〜沖縄本島)/ 砂山ビーチから平良市街までは地図で見る限りそんなに距離もなさそう。日の 出とともに起きはしたが、夜露に濡れた装備を干しながらボケボケ過ごす。 バスで乗り付けてくる団体観光客達に気付かなかったのは二度寝してたから。 歩き出し、もうちょっと行ったら休憩もう少しもう少し・・・と歩いてたら、 あれ?平良の街に着いちゃった。1時間くらいの距離しかなかった。 昼メシには少しだけ早かったので、今夜、那覇に向けて出航する船のチケット を入手しておく。港でブラブラしてると地元のおぢさんが声をかけてくる。 「どっから来たの?せっかく来たんだから宮古の女の子と見合いしていきなさ いよ。」だってさ。 夜まで時間は寝るほどあるのでパイナガマビーチでヒルネ。 やっと夜。鶴美荘を再び訪ね、おかみの帰りを待ちながら今日は客でもないの にリビングでTV見ながらカップラーメンすすり泊り客と話をしてる。 おかみが帰ってきた頃はもうそろそろ港へ行く時刻。船まで見送ってもらい握 手。餞別までもらって。手を振り別れる。出会えてありがとう。 船のデッキに上がると丸い月。明日は満月だな。出港前にシャワーを浴びとい て缶ビール片手に月見酒。機関室のそばでエンジン音がうるさいのをこれ幸い に大声でうたって宮古にさらば。明朝には那覇再上陸。 ・・・(つづく)[02.04.01] 海月 |
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