WNUWF

(World Nekoneko Underground Wrestling Federation)

〜世界ねこねこ地下格闘技団体〜

ディスタバンス(7)

放送日:2004/08/28



 特番『ディスタバンス』をお送りしております。
 リング上はまだタイガーVSケンちゃんの余韻が残っております。
 2人の戦いは想像以上に過酷なもので、両者とも立ち上がることが出来ません。
 今は両セコンド陣が入ってきまして手当てをしているところです。

キング「ああ、激しい戦いだったな。30分を超える試合はプロレスでは
 滅多に無いことだぞ。」

 おっと今ようやく両者立ち上がり、まずケンちゃんがタイガーの元に歩み寄りました。
 おっと、こちらもようやく立ち上がったばかりのタイガーに手を差し出しましたよ!!!
 握手!!!両者がっちりと握手そしてケンちゃんがタイガーの腕を挙げて祝福です!!!
 よく激闘を交わした2人の間には友情が芽生える、と聞きますが、今がそんな感じなんでしょうか???

 そして、ケンちゃんに促され、タイガーはコーナーに上がって観客にアピール!!!

“タイガーーーーー!!!タイガーーーーー!!!”

 観客からはタイガーコール!!!久しぶりにクリーンなファイトを見ましたよ!!!

♪朱/NANA

 ???この曲は誰のテーマ曲ですか???聴きなじみの無い曲ですが・・・。

キング「聴きなじみが無いということは・・・。」

 !!!入場口から何かの一団が入って参りました〜〜〜!!!
 先陣を斬るのは異様に体格の良い男、傍を歩くのはこちらはちょっと小さな女の子。
 雰囲気からは大人しそうですが、どこか芯を持っていそうです。
 その後ろには、わぉ神輿ですよ!!!下では男たちが神輿を担いで、その神輿の上には
 黄髪の女の子!!!恐らくあれがルタ本人でしょう!!!ルタと思しき女の子は冷たい視線で
 周囲を見渡すと観客からはブーイング。

 その神輿の両隣を歩くのはやはり女の子2人。しかし、2人から受ける印象は
 全く違いますね。神輿を正面から見て右隣には元気がありそうな女の子。でもちょっとドジそうですね。

キング「ああ、あれは多分だが日和と良い勝負のポンコツと見たぞ。」

 ええっ、そうなんですか???私にはそうは見えないですが・・・。
 でも、普段は元気がありそうなのですが、どこか疲れているようにも見えます。

 一方左隣を歩くのは逆に無表情な女の子ですね。
 どことなく香里に似ているでしょうか???

 そして、神輿の後、しんがりを務めるのは・・・ねーちん???

キング「いやそんな馬鹿な!!!っておい、よく見ろ。確かに雰囲気はねーちんだが、
 髪の色は赤だし格好も全然違うだろ。」

 あ・・・確かに。でも、一瞬ねーちんかと思いましたよ!!!

 ルタの神輿は一旦リングサイドで止まると、先頭を歩いていた男と最後を歩いていた
 ねーちん似の女がさっとリングインすると今試合を終えたばかりのタイガーとケンちゃんに襲撃!!!
 2人をあっさりとリング下に突き落としてしまいました!!!

“Boooooooooo!!!”

 観客からは当然のブーイング!!!しかし、それにも構わずにルタ達をリングに招き入れます。
 どうやらリングを占拠してしまったようですよ!!!

キング「・・・女の子は可愛いがそのやり方は気に入らないな。俺たちのリングを
 勝手に占拠するなど・・・。」

 おっ、キングにしては珍しい意見ですねぇ。

キング「ここは・・・俺が行って体を持って教育をしないとな。v( ̄― ̄)」

 ・・・全然珍しくなかったですね。w
 おっと、ルタと思しき女の子が何かしゃべるようですが。

ルタ「・・・我が名はルタ。幸福を望む者である。
 我は人々の幸せを望む・・・。幸せとは、憎しみ傷つけ合う戦いの無い
 恒久的な平和・・・。だが、我の望む世界とは対極に位置する世界も
 残念ながらある・・・。我はここに居る眷属に連なる者、守護者に命じて
 それらの世界を望む者たちに警鐘を鳴らし続けた・・・。
 だが・・・残念ながらここの者達はそれに応えようとはしなかった・・・。」

 ・・・一体何が言いたいんですか???

ルタ「我が自ら赴いたからには、今までのようには行かぬ。
 速やかに争いをやめるのです。さもなければ我とこの者たちが戦いを望む者たちを
 還すことになるでしょう。」

 ・・・「還す」???何を訳の分からないことを!!!ねぇキング。

キング「・・・意外とまともな意見を持ってるじゃないか。
 俺はもっと幼稚な理由だと思ったぞ!!!」

 どこがまともですか!!!プロレスと戦いを一緒にしないでください!!!

キング「俺に言うな。それはルタに言え!!!」

 しかし、このままでは特番の進行に関わってしまいます。
 ルタの主張の正否はともかく、リングを降りていただかないと・・・。

「ちょっと!!!何の騒ぎですかこれは!!!」

 ほっ、やっとWNUWF側コミッショナーのゆかりさんが駆けつけてくれましたよぅ。
 一歩遅れてですがいたる連合軍側コミッショナーの秋子さんもセキュリティを何人か連れて
 到着しました。

ルタ「黙れ・・・。お前は何者だ・・・?ここの責任者か?」

 ゆかりさんからの大声にもルタは動じません。

ゆかり「・・・オーナーは私ではありませんが、私がここの現場責任者です。」

秋子「ちょっと、勝手に決めないで頂戴。ここの責任者は私よ。」

ゆかり「何言ってるんですか!!!WNUWFの責任者は私ですよ!!!」

 あららら・・・いきなりいつものごとくゆかりさんと秋子さんでもめだしましたよ。

ルタ「・・・下らぬ。この際どっちが偉いかなど。それよりも、今すぐに戦いをやめよ。
 戦いからは何も生まれぬ。さもなければ・・・」

ゆかり「ちょっと、私たちがやっているのは戦いではないわ。立派なプロレスの試合よ。
 ただの喧嘩や戦いと一緒にしないで下さい。」

ルタ「人が傷つけあう行為に何の意味があるのだ。そこから新たな憎しみが生まれるのだ。」

秋子「ただの戦いなら、ね。でも、私たちや選手は契約の下に互いの同意を得て
 プロレスというルールの元に試合をしているの。あなたの言う戦いとは違うわよ。」

ルタ「ふむ・・・・・・。様々な警鐘を鳴らし続けたにも関らず動じずに活動を
 続けていた訳が分かったような気がするな。不遜であるが、我に集った眷族に連なる者、
 守護者の手によって還ってもらうしかないようだな。」

ゆかり「還る?どういうことなの?」

ルタ「お前が知る必要はない・・・。カダン、レムニム。・・・やれ。」

カダン・レムニム「御意。」

 わわっ、ルタの命令で体格の良い男とねーちん似の女がゆかりさんたちの元に近づいていきますよ!!!

キング「男の方がカダンで女の方がレムニムみたいだな。」

 セキュリティが慌てて秋子さん達の前に立ちはだかりますが、カダン達はあっさりと
 手刀を落とし、片付けていきます。おっと、2人の右手がなにやら光り、それぞれ秋子さんと
 ゆかりさんの額にその光を当てだしましたよ!!!何をするんですかっ!!!

 あっと、リングサイドから慌てて男子王座の浩平とその挑戦者の儀助が入って
 カダン達にタックルで倒した〜〜〜!!!カダン達は慌てて距離を取ってルタの方に
 戻っていきます!!!

ルタ「あくまでも我らに歯向かうというのか・・・!!!愚かな。
 眷属に連なる者とただの一般人ではそもそも生きる次元が違うのだ。
 我らにかなうはずが無い・・・。」

 な!!!今度は差別ですかっ!!!許せないですよっ!!!

キング「お前は確かに一般人だからな。俺はキングだから一般人ではないがな。w」

 そういう問題じゃないでしょ!!!

浩平「ルタと言ったか。確かに、あんたの言うとおり、ただの一般人では勝てないかも
 しれないがな・・・。だが、俺は最強のチャンピオンなんだ!!!このベルトが
 俺の元にある限り、お前らには遅れは取らん!!!」

儀助「眷属だか何だかは関係ねぇ。強いものが勝つ、ただそれだけだ・・・。」

 わぉ、普段「ずるして頂き」の姑息な浩平も今日ばかりは頼もしく見えますよ!!!
 それに儀助も頼もしいですよ!!!

ルタ「あなた達2人で何が・・・」

 おっと・・・・・・。この騒ぎを聞きつけて、WNUWF、いたる連合軍両軍の
 ほとんどの選手が入場口に集結しましたよ・・・。
 普段の遺恨関係は置いといて今はリング上のルタ達に睨みを利かせます。

ルタ「数で勝負か?面白い・・・。」

 しかし、ルタの言葉とは裏腹に傍に居た香里風の女の子がなにやら耳打ちをします。

ルタ「なに、そうか・・・。ここを一旦退くのは本意ではないが、水鏡の者が言うなら
 仕方が無いな・・・。アラミス、チュチュ、行くぞ。遅れるでないぞ。」

アラミス・チュチュ「・・・はい。」

 ルタの視線からすると、体の小さい方がアラミスで、ぽんこつさんみたいな方が
 チュチュのようですね。

「ちょっと待ってくれ!!!チュチュ!!!」

 おおっ?今度は観客席の方から誰かが入ってきたぞ!!!見た目には普通の青年のようですが・・・。

チュチュ「ターサッ!!!・・・うっ!!!」

 チュチュが慌ててターサと呼ばれた男に詰め寄ろうとしますが、ルタの念がチュチュの
 動きを封じてしまいました・・・。
 と、チュチュの目から生気が失われてまるで人形のようになっちゃいましたよ・・・。

キング「それだけルタに力があるということなのか・・・。」

 一方のターサはルタの元に戻ってきたカダンに一撃入れられてしまいました・・・。

ルタ「長居は無用だ。行くぞ。」

 ルタの一声とともに強い光が会場を襲いますっ!!!ま、眩しっ!!!

 ・・・・・・光が消えたらルタ達の姿はすっかりと居なくなってしまいました・・・。

ゆかり・秋子「・・・・・・。」

==========会場裏廊下==========
 先ほど道場破りの達也にツリーストーム パイルドライバーを食らってしまった
 ドラゴンはあのあまりにも強力な技を食らったお陰で首を痛めてしまったようです・・・。
 なんとかかんとか歩くことは出来ているようですが、首を痛そうにしています。
 その横を雪希ちゃんと進藤さんは心配そうにしてついていきます。

雪希「うう・・・大丈夫?ドラゴンさん。」

ドラゴン「痛つつつ・・・だ、大丈夫・・・これぐらいの怪我など、つきものだから・・・。」

雪希「でも、かなり痛そうだよ?」

ドラゴン「心配・・・しすぎ・・・だぞ。」

進藤「で、でもっ、・・・見ていて辛そうです・・・。」

ドラゴン「そんなこと・・・うう・・・。」

雪希「ほら、無理しないで病院に行こうよ。」

進藤「あ、片瀬さん見てください!!!あそこに診療所がありますよ?」

 ・・・見ると『Dr.Fou 診療所』って看板が立ってます。

ドラゴン「な・・・?こんなところに診療所なんてあったか???」

進藤「でも、丁度助かりましたね♪」

ドラゴン「い、いや、どう考えても怪しいだろ・・・。」

雪希「とりあえず、入ってみようよ。」

ドラゴン「めちゃめちゃ怪しいのだが!!!というか、何て読むんだ???
 『ドクター フォウ』か???」

雪希「そんなことどうでも良いよ。早く行こっ!!!」

 いささか最近の雪希ちゃんはどこか強引な気が・・・。(汗)
 雪希ちゃんに引っ張られる形で入室。w

「お加減は如何ですか?」

 入室してみると、女の子が患者さんの面倒を見ているみたいです。
 その横にはいかにも無表情な男が見守っています。

「ファウ、患者だぞ。」

 男の方がドラゴンたちに気づいて女の子に話しかけます。

ファウ「あ、は〜い、今日はどうされましたか???」

ドラゴン「い、いや・・・俺は別に何とも無いのだが・・・。」

雪希「もうっ!!!あの・・・ドラゴンさんの首が痛そうにしているので
 診ていただけますか?」

ファウ「ええ、良いですよ。ちょっと待っててくださいね。」

ドラゴン「ちょっと待て。診てもらうって誰に?そっちの男にか???」

ファウ「いいえ、私が診ていますよ。」

ドラゴン「はぁ???看護婦さんが???ってナースの服着てないな・・・。」

ファウ「む〜〜〜、私は看護婦じゃなくて薬師ですよっ!!!」

ドラゴン「また聞いたことが無い職業だな・・・。おい、どう考えても怪しい。
 行くぞ、雪希ちゃん、進藤さん。」

進藤「で、でも・・・!」

ファウ「もうっ、そこまで言われると薬師としてのプライドが許しませんっ!!!
 先に診てあげますから大人しくしていてくださいっ!!!」

ドラゴン「だ〜〜〜〜っ、ちょっと待て〜〜〜!!!俺は別にそんなに悪く・・・。」

ファウ「私だって医学の心得はあるんですよ?あなたの首が痛そうなのは見れば分かりますよっ。
 ウェズさんっ、この人押さえててくださいっ!!!」

ウェズ「お、おう。」

 結局羽交い絞めに遭うドラゴン・・・。w
 それにしても、ウェズさん、あのドラゴンの動きを止めるなんて意外と力強いのかも。w

 ゴキッ!!!グキッ、ゴキゴキッッッ!!!

 ・・・な〜〜〜む〜〜〜。w

(続)