WNUWF

(World Nekoneko Underground Wrestling Federation)

〜世界ねこねこ地下格闘技団体〜

ドラマスティックモード(15)



==========WNUWF側コミッショナー控え室==========
 ゆかりさんの部屋には先週登場したケンちゃんと日和が呼ばれていますが・・・。

ゆかり「はぁ・・・。私は謹慎って言ったはずですよ。それなのに先週いきなり現れるなんて・・・。
 あの後私が怒られたんですよ!!!あんなことをされると私としても・・・。」

 そういえば、ケンちゃんは先々週の放送で謹慎が言い渡されたのでした。
 それなのに先週はいきなり登場してドラゴンを挑発・・・。結局その時は例の異常現象で
 阻まれましたが・・・。

 ケンちゃんはゆかりさんの言葉を手で遮ります。

ケンちゃん「そのことに関してですが・・・。謹慎を言われてから俺も色々考えてみたんだ。
 先週の行動はそれに対する回答のつもりだったんですよ。」

 言いながらケンちゃんはポケットから何か封筒みたいなものを出してゆかりさんに手渡します。

ゆかり「・・・どういうつもりですか?」

 おっと・・・。VTRはその封筒の正体を捉えてしまいました・・・。
 なんと、封筒には『退団願』って書いてあります!!!

ケンちゃん「そこに書いてある通りです。もし俺たちがドラゴンの元から雪希ちゃんたちを
 取り戻すことが許されないのだとしたらここで団体を辞めてでも独自に活動をし続けます。」

ゆかり「ちょっと・・・お願いだから考え直して頂戴。今あなたに抜けられたら・・・。」

ケンちゃん「良いんです。・・・もう俺には覚悟が出来ましたから。・・・それでは失礼します。」

 ケンちゃんはどうやら本気のようですよっ!!!そのまま部屋から出て行こうとします。

ゆかり「あ、あの!!!これは、預かっておきますからね!!!」

==========メイン会場==========
 本日もWNUWFをお伝えしていきたいと思います!!!
 さて本日はいよいよ次回特番についてオフィシャルから発表されました!!!
 次回特番は『ディスタバンス』。今大会は前回の4つまでは行きませんが、
 女子王座戦以外の3つのタイトル戦が行われることが決定しております!!!

キング「特に既に正式決定なのは男女混合タッグ王座戦の北川&香里組VS頼人&狭霧組だ。
 初代タッグチャンピオンのサブキャラタッグと初代男子王座と初代女子王座の頼人と狭霧の
 強力タッグの激突だ。今からも要注目だぞ!!!」

 さらに、女子タッグ王座戦には朝奈&篠崎 あやめの「新旧ウェイトレスタッグチーム」が挑戦を表明しております。

キング「こちらはまだ正式決定していないが、舞&佐祐理組はどのチームが挑戦しに来ても
 ウェルカム、の姿勢を前回ベルトを獲った直後にメディアには発表したみたいだから
 恐らくこちらもこれで決定だろう。」

 男子王座戦は、どうなるんでしょうかね・・・。

♪輝く季節へ

 おっと、男子王座戦の話をしていたら、へっぽこチャンピオンの浩平が入ってきましたよ。

キング「おい、いきなりそれは失礼だぞ!!!まがりなりにもあいつは現役の男子王座のチャンピオンと
 ブラックネスドラゴンを一夜で倒した男なんだ。」

 ですが、先週はそのブラックネスからしっぽを巻いて逃げてましたがね。w

浩平「次回特番では、男子王座戦の防衛戦が行われるらしい・・・。しかし、
 俺がここに入団する時に秋子さんと交わした約束がある。それは、
 前回大会のあの時にもし俺がベルトを奪取したら、次の防衛戦は好きな相手と
 戦うことが出来る、とな。」

 なっ、なんということでしょうっ!!!そんな約束が交わされていたなんてっ!!!

浩平「というわけで、今日ここでその挑戦者を指名させてもらうぞ。」

♪スタート

 おっと・・・。現時点で一番男子王座に執着する男、ブラックネスドラゴンが遮りに入りましたよ・・・。

浩平「おいおい・・・、今日はお前はお呼びじゃないぞ。というか、誰がお前を指名するか。」

ブラックネス「・・・そう言うと思っているさ。だから、今夜この場でそのベルトを頂く!!!」

 わわっ、言うが早いかブラックネスはマイクを捨てて一目散にリングに向かいます!!!

浩平「待て待て待て、良いのか???背後に立っているお方がそれを許さないぞ!!!」

 おっと・・・いつの間にかブラックネスの背後、入場口すぐ傍に
 いたる連合軍側コミッショナーの秋子さんが立っています。

秋子「ええ。ブラックネスさん。今あなたがここで浩平さんを襲うことがあれば、
 私はあなたを解雇することになるわよ。」

“Boooooooooo!!!”

 解雇の言葉にさすがのブラックネスも動きが止まります、が、観客からはブーイング。
 やはり、浩平とブラックネスの再戦が見たいからでしょう!!!

浩平「で、秋子さん。先ほど私が頼んでおいた挑戦者についてはどうでした?」

秋子「え?ええ。今からそれについて発表をするところよ。浩平さん。
 あなたの選んだ挑戦者からは、O.K.の返事を頂いたわ。だから、今からここで
 カードを発表するわね。次回特番『ディスタバンス』で開催の男子王座戦。
 チャンピオン浩平さんVS挑戦者・・・祐一さん。」

 おっと・・・。浩平が選んだ相手って同団体の祐一ですか???
 なんということ・・・!!!

キング「これなら秋子さん的にもベルトが流出しないからO.K.だったんだろうな。」

 でもいきなり祐一って目だった実績が無いのにそんなことで良いのですかっ???

ブラックネス「ふざけるな〜!!!」

 あっと、ブラックネスも私と同じ意見のようです!!!さっとリングインして
 浩平を殴りかからんとする勢い!!!

「ブラックネスさんっ!!!待ってっ!!!」

 おっと、リング外から呼び止めるのはWNUWF側コミッショナーのゆかりさん。
 会場内での大騒ぎに慌てて駆けつけた模様。

ゆかり「はあっ、はあっ・・・。間に合ったわ・・・。ブラックネスさんっ、お願いだから落ち着いてね!!!
 今あなたにも抜けられると大変なのよ!!!」

秋子「・・・あなたにも?」

ゆかり「・・・秋子さんには関係の無い話ですっ。とにかくブラックネスさん、落ち着いてこっちに来て。
 チャンスは絶対に私が作ってあげますから、ね。」

 ゆかりさんの本気で焦っている様を見てかブラックネスはやけに素直にそれに従います。

ゆかり「・・・ありがとう。今日は戻りなさいな。交渉ごとは冷静にならないと勝てないから。」

 さしものブラックネスもゆかりさんを前には従っていきますね・・・。
 ブラックネスは会場を後にしていきました。

秋子「交渉も何ももう正式発表しちゃいましたよ。次の特番では浩平さんVS祐一さん。」

ゆかり「いいえ。それでは挑戦者として説得力に欠けます。オーナーを説得するのは難しいことですよ。」

秋子「ですけど、現にチャンピオンは祐一さんとやりたい、って言っていますから・・・。」

ゆかり「そんなこと、認められる訳無いでしょうっ!!!」

 リングサイドで秋子さんとゆかりさんの言い争いが始まりましたよ!!!
 これはこれで大変だっ!!!

浩平「分かった分かった・・・。俺の気分も変わった。それならWNUWF側にも
 チャンスをくれてやろう。ゆかりさん。WNUWF側からも挑戦者を一人選出するんだな。
 で、祐一と対戦して勝ったほうが特番で男子王座戦だ。」

 浩平からの提案に観客からは大歓声!!!しかし、秋子さんは納得いかない様子。

ゆかり「よかったわ。それじゃ、挑戦者は・・・。」

浩平「おっと、条件がまだあるぞ。挑戦者に選出出来るのは俺が以前倒したブラックネスと
 頼人以外の人物だ。」

 おっと・・・。さり気にブラックネスを避けてきましたよ。これには観客からはブーイング。

ゆかり「く・・・!!!」

浩平「当然だよな?以前俺は既に倒したんだぜ。」

ゆかり「・・・わ、分かったわ・・・。」

 交渉は成功したか?と思っていたらカウンターを食らってゆかりさんは意気消沈に会場を後にしていきます。

 ブラックネスの夢は叶いそうにありませんが、ゆかりさんは一体誰を挑戦者に指名するのか注目です!!!

==========いたる連合軍女子選手控え室==========
 控え室には名雪とあゆの2人が何やら真剣な表情で話し合いをしています。

 コンコン・・・。

名雪「どうぞ〜。」

配達員「あゆさんと名雪さんにお届け物です。」

名雪「ご苦労さまです。」

 名雪はそれを受け取ると中身を開封。中から出てきたは紙パックのジュース。

あゆ「誰からの贈り物なんだろうねっ?丁度喉乾いていたから飲んでみようよっ♪」

名雪「あ、ちょっと待って・・・。」

 名雪の静止もあゆはごくごくとそれを飲む。

あゆ「な、なにこれ・・・この世にこんな飲み物があるなんて知らなかったよ。
 うぐぅ・・・息が苦しい・・・。」

名雪「大丈夫っ?あゆちゃん!!!」

あゆ「うぐぅ・・・。」

 あゆが持っていた紙パックを見てみると、そこには「苺ジュース」と書かれたラベルが
 貼ってありましたがそれをピッと剥がしてみれば・・・。

『げるるんじゅーす』

 ・・・・・・。

名雪「・・・あゆちゃん。私たちもお返しするわよ。」

あゆ「え?お返しって???」

名雪「犯人が分かったから目には目を、だよ。」

あゆ「目には目をって・・・どこに行くの???」

名雪「お母さんのところ。今丁度リングに上がっていると思うから・・・。」

==========WNUWF側コミッショナー控え室==========
ゆかり「はぁ・・・。完全に失敗だったわ・・・。ブラックネスさんにどう説明したら・・・。」

 コンコン・・・。

ゆかり「入って良いわよ。」

 入ってきたのは雪希ちゃんと進藤さん。

ゆかり「あなたたち・・・!!!丁度良かったわ。ねぇ、お願いがあるの。聞いてくれるかしら?」

 でも、雪希ちゃんと進藤さんからは明らかに追い詰められた表情が・・・一体どうしたんでしょうね。

ゆかり「・・・どうしたの?そんなに浮かない表情をして。」

雪希「ドラゴンさんが・・・ドラゴンさんが・・・。」

ゆかり「え?ドラゴンさんがどうかしたの???あなたたち仲良かったじゃないの。
 喧嘩でもしたの?」

雪希「喧嘩ならまだ良いです・・・。」

進藤「とにかく、こっちに来てくださいっ!!!」

ゆかり「あ、ちょっと・・・。」

 雪希ちゃんたちに引っ張られるようにゆかりさんが連れて来られた場所は・・・。
 そのドラゴンの控え室ですが・・・。

ゆかり「どうしたのですか?一体。」

雪希「ドラゴンさんが前回の特番からずっと自分の控え室にこもったっきり出てこないんです。」

進藤「それで、心配になってずっと待っているのですが、一向に出てくる気配が無いので・・・。」

ゆかり「え、ええっ?どういうことっ???」

 さすがのゆかりさんも動揺してドラゴンの控え室のドアをノックしますが、反応無し・・・。
 開けようと試みるも鍵がかかって開けられず。

ゆかり「う〜ん・・・。前回の特番からずっとなのね?」

進藤「はい・・・。」

ゆかり「分かったわ。今部屋から合鍵を取ってきますからちょっとここで待っていてくださいね。」

 と、ゆかりさんが行こうとした時、

 ガチャッ・・・。

 ずっと、開かずだったドアが開きましたよ。中からドラゴンが思いつめた表情で廊下に出てきます。
 雪希ちゃんたちはひとまずホッとした表情。

雪希「よかった・・・、ドラゴンさん。心配したんだから・・・。」

進藤「あの・・・何かあったんですか?」

 雪希ちゃんたちが交互にドラゴンに話しかけるもドラゴンはそれに答えずに一言だけ。

ドラゴン「次回。次回、全てを話すよ。」

 それだけを言うとさっさと歩いて行っちゃいます。
 いつもだと雪希ちゃんたちの傍に居るはずなのに、ただ事ではないですよね・・・。

 ドラゴンの身に何があったのか、WNUWFは何か不穏な動きが続いております。

(続)