WNUWF
(World Nekoneko Underground Wrestling Federation)
〜世界ねこねこ地下格闘技団体〜
エイム アット ザ トップ(7)
==========狭霧の控え室==========
 初代女子王座でありました狭霧ですが・・・。控え室に何やらお供え物やら
 備えていてお祈りをしていますね・・・。一体何をやっているんでしょう・・・。
コンコン・・・。
狭霧「はい〜、どなたですか〜???」
 入ってきたのは頼人です。先程初代男子王座決定トーナメント準決勝を戦ったばかりでありますが・・・。
頼人「狭霧・・・、思ったよりも元気そうで良かったよ。王座から転落したからちょっと心配だったぞ。」
狭霧「そんなこと・・・。それよりも、私は他の皆さんが怪我も無く無事でいてくれた方が
 何より嬉しいですから・・・。王座の地位はその次です。」
 くぅ〜〜〜〜!!!これがやはり人気No.1のコメントですね〜♪
頼人「その事なんだが・・・。」
狭霧「あ、そういえば、頼人様の男子王座戦の方はどうなったのですか???」
頼人「あ、ああ・・・。何とかね・・・。ブラックネス相手によく無事でここに立っていられると
 今でも不思議に思うよ・・・。」
狭霧「では・・・!!!」
頼人「いや、それがだな。・・・ブラックネスは怪我をして担架で運ばれた・・・。」
狭霧「え・・・そんな・・・。」
頼人「しかも、俺がリングのロープを切ったと疑われて今審議中なんだ。
 ブラックネスが倒れた後一応3カウントは俺が取ったのだが。」
狭霧「・・・頼人様。本当にロープを切ってブラックネスさんを怪我させたのですか?」
頼人「そんなことは断じてない!!!神に誓ってそう言えるよ!!!だが、
 状況が状況だけに正直俺にとっては不利なんだ・・・。」
狭霧「大丈夫です。神様は真実をちゃんと見ています。今は信じて待ちましょう・・・。」
==========メイン会場==========
 WNUWFは特番『エイム アット ザ トップ』をお伝えしています〜!!!
 男子王座戦はただ今準決勝第2試合、ブラックネスドラゴンVS頼人の裁定について
 審議中でありまして、中断中であります!!!
 リング上にはWNUWF、いたる連合軍両コミッショナーがその結果を今か今かと
 待っているところであります!!!
キング「この結果によってはいきなり今特番が終わるかもしれないからな!!!
 しかも、いたる連合軍にとってはそれは非常に重要なことだぞ!!!」
 そうです。というのも、この中断中は女子王座戦のハード・コア戦も中断されます。
 現女子王座は美坂 香里。このまま特番が終了すれば男子王座は国崎 往人、女子王座は
 香里の男女共いたる連合軍がベルトを持っていくことが出来ます!!!
 それにしても番組冒頭では狭霧がお祈りをしていましたが・・・、今回は
 お祈りは実らずにブラックネスが怪我ということになってしまいましたね・・・。
 しかも、加害者が頼人である可能性が大であります。
キング「大も何もここの会場の皆が証人だからな。もし故意だとしたら間違いなく
 頼人が加害者だぞ!!!」
 それも含めて全ては審判団の裁定一つ。
 おっと・・・、その審判団の代表が会場に入ってきましたよ!!!いよいよ
 決着が付くようです!!!会場内は再び歓声に包まれました!!!
秋子「会場内の皆さん〜〜〜!!!いよいよ、準決勝の裁定が下るそうですよ!!!
 裁定の発表の前に当事者には登場願いましょうか。と言ってもブラックネスさんは
 先程ご覧の通り怪我をして無理は出来ませんので、頼人さん、出てきてください〜!!!」
♪木々の声と日々のざわめき
 さあ、秋子さんの呼びかけに応じて頼人が入ってきました!!!
 その表情は神妙な表情でしょうか・・・。
 リングインする頼人にゆかりさんが話しかけています。
ゆかり「いい?もし、裁定があなたにとって不利なものになったとしても、がっかりしないで。
 必ずチャンスは訪れるはずだから・・・。」
 頼人はそれにうんうん頷いています。さて、いよいよ裁定ですね・・・。
審判「え〜、男子王座戦準決勝ブラックネスドラゴンVS頼人戦の裁定を発表したいと思います。
 VTRを確認の結果、頼人選手はリング上のロープを切断したことが確認され、
 ルールにより、頼人選手の失格、ブラックネス選手の勝ちと致します!!!」
 これには秋子さんは両手を挙げて大喜び。
 一方のゆかりさんと頼人は審判に詰め寄ります。
”Booooooooooo!!!“
 会場からの反応はブーイング。
キング「まぁ、これで特番が終わってしまうからな・・・。」
♪スタート(作:hiroto)
 おおっと、このクールなサウンドは!!!
キング「ブラックネスドラゴンのテーマソングだぞ!!!作者の知り合いの方が
 この曲を作っていたのだが、作者が気に入ってブラックネスのテーマソングに
 決めたんだ。作者のHPに行けば色んな曲が聴けるぞ!!!」
 私も時々hirotoさんのHPに行ってはそのクールなサウンドに魅入っていますが、
 将来期待されますよね・・・。しかし、ブラックネスのテーマソングが流れても
 本人は登場出来るんでしょうか・・・?
 っておおっ!!!入場口から入ってきたのはまさにブラックネス本人です!!!
 さすがに首にはギブスが巻かれていて首の固定は必要なようですが、それでもあの怪我の後の
 入場は奇跡的であります!!!しかし、一体何の用なのか???
 リング上のゆかりさんのマイクを借りて・・・ってブラックネスがしゃべるんですか?(^^;;
 当のブラックネスは頼人と秋子さんを順番に凝視・・・。
 あ、としかし、すぐに審判の方に向き直り迫ります!!!
ブラックネス「頼人が失格・・・?お前ら審判は節穴か???
 今会場内のモニターにでかでかと流してやるからもう一度確認しやがれ!!!」
 おっと・・・、ブラックネスの言うとおり会場内の特大モニターにそのVTRが流れているところでありますが、
 頼人が確かに刀を使ってロープを切っているように見えますが・・・。
ブラックネス「おっと、ストップ。ほれ、よく見てみい。頼人の刀は切れない方がロープに
 当たっているぞ。しかもだ。頼人が刀で触った部分と違うところから切れているぞ!!!
 ここからはスローで流してくれ。よ〜く見れば分かる。」
 VTRはスロー再生されていますが・・・あ!!!本当です!!!
 ブラックネスの言うとおり頼人が刀で触った部分よりもブラックネスが立っていたコーナーの
 辺りからロープが切れているのが分かります!!!ということは頼人の刀が
 どうやら直接的な原因とは言えそうにありません!!!
キング「だが、頼人の刀がロープ切断のきっかけにはなったんだろ???」
 ですが、それはどちらかというとリング設営の責任ではないかと・・・。
ブラックネス「・・・見ての通りだ。この試合、頼人に非は無い。
 そして、悔しいが俺は3カウント取られた。この試合は頼人。
 お前の勝ちだ。な、審判。」
 審判団は有無を言わずに頷くしかないようです。
 しかし、それまで黙っていた秋子さんが今度は詰め寄ります。
秋子「ちょっと、ブラックネスさん。あなた今何をしているのか分かっているんですか???
 あなたにとって不利なことをしているのよ!!!一体何故・・・。」
ブラックネス「分からんか???俺は正直腹が立っている・・・!!!
 何故なら、『破壊』は俺の専売特許だからだ!!!」
 ブラックネスのこの一言で会場内から大歓声!!!
ブラックネス「頼人!!!今回はお前の勝ちだ。だが、2つ約束しろ。
 1つは、俺は今回は敗北とはいえ、こんな形での決着は納得が出来ん。
 近いうちに俺にリベンジさせろ。そして、2つめ・・・。
 ・・・・・・決勝は絶対にお前が勝て!!!お前が勝って初代男子王座に就け!!!」
 ブラックネスはそこまで言うとリングを去ります!!!会場内からは相変わらずの大歓声!!!
 頼人はうんうん、とブラックネスの言葉に応えています!!!
==========佐々井亭−臨時出店所−==========
鍋島「さすがはブラックネスですね・・・。あそこで男らしい決断。
 僕も出来れば見習いたいものですね。朝奈ちゃんもあんな男性に憧れるよね?」
朝奈「確かに格好良いとは思いますけど、破壊はして欲しくありません・・・。」
鍋島「ははは・・・。(苦笑)」
タイガー「ブラックネスか・・・。どうせドラゴンなのだろう・・・?」
 バタンッ!!!
 おっと、誰か入って来ました・・・ってねーちん???
ねーちん「はぁ、はぁ、はぁ・・・。朝奈!!!あなた一体ここで何をしているの???」
朝奈「お姉ちゃん・・・。」
鍋島「夕奈さん。朝奈ちゃんをあんまり責めないで下さい。朝奈ちゃんはこんな時でも
 健気にお店を開かないと、と思って今まで切り盛りしていたんです。」
ねーちん「あら、志郎さんもいらしたのですか・・・。ふ〜ん。
 朝奈にしては殊勝な心掛けね。他にもお客さんもいらっしゃるみたいだし、今日のところは許しましょう。」
 許すも何も・・・。(^^;;
朝奈「お姉ちゃんは何をやっていたの?」
ねーちん「な、何でも無いわよっ!!!全く・・・。」
鍋島「???何かあったんですか???機嫌が悪いみたいですが。」
ねーちん「志郎さん聞いてくださいな。今、女子王座はいた連の香里さんなんですけどね。
 私が女子王座に挑もうとしたら『女子王座戦は中断しているから無理』って笑うんですよ!!!
 あ〜、今思い出しただけでも頭来た。朝奈!!!店は私が切り盛りするわ。
 あなたはいつもの仕事やって・・・って・・・朝奈!!!
 お醤油はこれだけしかないの???みりんも・・・。」
朝奈「・・・ぅ〜、ごめんなさい・・・今日は臨時だったからあんまり用意してなくて・・・。」
ねーちん「全く・・・。殊勝な心掛けかと思ってれば抜けてるんだから。
 はい。すぐに買い出しに行く!!!これだけ買ってきなさい。」
 というが早いかねーちんはすぐに買い物リストを作って朝奈に渡して追い出します。
 ・・・・・・。(^^;;
鍋島「あ、朝奈ちゃん。大丈夫???僕も一緒に行こうか???」
ねーちん「志郎さんっ!!!お客様を買い出しにいかせるわけには行きませんっ!!!」
==========会場裏駐車場==========
日和「ねぇ、清香ちゃん。そろそろ休憩しようよぉ。」
清香「あんたねぇ。怪我してる健二でも文句言わずに付いてきてるのよ。
 しっかりしなさいよ。」
日和「そ、そんなこと言ったって〜・・・ぐすん。」
ケンちゃん「雪希と進藤さんを取り戻したくは無いのか?・・・って。」
 ケンちゃんはすぐにしゃべるのを止めて他の皆に「待った」のポーズ。
日和「健ちゃん、どうしたの?」
ケンちゃん「しっ!!!・・・あそこの影に誰か居る!!!」
 !!!雪希ちゃんと進藤さんがもう見つかったのか???
ケンちゃん「麻美先輩。そ〜っと近づいて確認してきてくれる???」
麻美「分かった・・・。そ〜っと、そ〜っと・・・。」
 ・・・普段の麻美先輩はただでさえゆっくりなのに、さらにゆっくりで、
 向こうに辿り着くのに物凄く時間がかかりそうな気が・・・。
 って!!!その物陰からいきなりダッシュで現れたのは現女子王座の香里!!!
 麻美先輩を突き飛ばして一気にやり過ごそうとしたのですが、麻美先輩にぶつかった
 途端に勢いつき過ぎて図らずとも麻美先輩が香里を持ち上げる格好に!!!
 麻美先輩は勢いを利用してパワースラムの格好!!!そのまま押さえて・・・。
 どこからともなく現れたレフェリーがカウント!!!1、2、3!!!
 な、なんと!!!麻美先輩が女子王座に就きました!!!
 みずいろ勢図らずとも王座奪回ですが・・・おっと、これを見て清香の目の色が変わりましたよ!!!
清香「麻美先輩・・・。いいものを手に入れましたね♪
 是非私も王座の気分を味わいたいわ。そのベルトこっちに渡してもらえる???」
麻美「ふるふるふる・・・。」
清香「まぁ、そう言わずに♪」
 言うが早いか清香は麻美先輩に飛び掛りますが麻美先輩はかつてないぐらいに素早い動きで
 それをかわすと一目散に逃げていきます!!!
 清香はそれを追いかけて行きます!!!そして、それを呆然と見つめる2人・・・。
ケンちゃん「・・・は、早っ!!!と、とにかく俺たちは雪希ちゃんと進藤さんを探すぞ。」
日和「う、うん。」
 それにしても、『かくせい』もしていないのに早い早い。(^^;;
キング「これがベルトの力って奴だな。w」
 ともかく女子王座は麻美先輩が奪回!!!
 いたる連合軍の思惑とは違う方向性に進んでいますが果たして???
(続)
