| 【旅人たちのカイコー】
旅から戻ると常に訊かれる。「どうだった?」いつも返答に困る。そして生返事で応える。「うん、よかったよ」
 
 印象的な旅であるほど、その消化には時間がかかり、
 気付きや大事なことは時間差でやってくる。
 
 旅の終わりは旅の始まり。
 旅の始まりは旅の終わり。
 
 何をしていても。何もしていなくても。
 どこに行っても。どこにも行かなくても。
 旅は、つづく。
 
 遠方から友が会いに来る。遠方から友に会いに行く。
 空間的、経済的な困難を乗り越え、時間的な制約を超え、再び出会う。
 なんという奇跡だろう!
 
 それがうれしくて、うれしすぎて、時に空回りしてしまう。
 語り始めるには助走が必要で、
 たった一つのことでも様々な前振り、準備を必要とする。
 口をなめらかにする酒や肴。くつろげる場・所。
 そして。
 立ち会いの間合い、タイミング。
 
 友が来てくれたことがほんとにうれしかった。
 いまわしに出来ることは準備したつもりだった。
 しかし。
 友が去った後、ぽかりと空いた空間と時間はとても寂しくて
 わしは果たしてあれでよかったのだろうかと自問自答を繰り返す。
 ああすればよかった、こう言えばよかった。
 後悔はしないが反省を反芻。
 正解など無いし、友に問えば決まって良かったと言ってくれるに違いない。
 けれど。それでも問うてしまう。「この寂しさはなんだ?」
 
 ・・・
 なんともローテンションになってしまったねぇ。
 別に落ち込んだり、哀しんだりしてるわけではないのだよ。
 もっと陽気に「楽しかった!また来てねぇ、また行くよ!サリュ!」
 とだけ書きたかったのだ。
 でも。わしは月であって陰であって。名もなき者であってナニモノでもなくて。
 どんなに明るく振る舞っても太陽にはなれないし、太陽になる必要もないのだ。
 
 今度の日曜日9/14は中秋の名月。
 月の裏で会いましょう LET'S GO TO THE DARKSIDE OF THE MOON
 
 
 
 
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