トニセン主演3部作短編小説『日常カフェ』をお読みくださりありがとうございました。

 今回の小説は、本来ならば東京グローブ座でトニセンが3部作を演じた時と同時の発表といきたかったのですが、それも叶わず(T_T)今更の短期集中連載となってしまいました。お恥ずかしい・・・!それどころが内容の方もイマイチで・・・お恥ずかしさ2倍であります。
 とりあえず感覚を取り戻す為と書き始めた小説のクセに、ホントに難儀なものになってしまい、自分が一番苦しむだけの結果となってしまいました。かなり四苦八苦、いっぱいいっぱいであります。申し訳ない。

 さてとりあえず解説と参りましょうか。

 まず3部作タイトル『日常カフェ』ですが。
 これは「3人が主演の些細な日常話が書きたい」という思いから、一番最初に決めたタイトルでした。日常の中にある小さな恐怖が描けたらいいな、と軽い気持ちで乗り出したので、タイトルがライトな感じになっています。途中で何度か他の候補も考えたんですが、1番言葉としてまとまっていたのでこれを採用。一見してホラーチックなイメージじゃない所が気に入ってます。

 そして今回は、とにかく『トニセン3部作』ということを年頭においてあった為、連載順序も東京グローブ座公演と同じにさせてもらったり(坂本→井ノ原→長野のリレー)、その3作品をそれぞれ違ったつくりで書いたのです。
 そして、それぞれの作品の内容を決めたのは、舞台3部作をモチーフにしたキーワードでした。

 坂本昌行=『シェルブールの雨傘』⇒王道

 井ノ原快彦=『トイヤー』⇒古典

 長野博=『フォーティンブラス』⇒恋愛

 もちろん舞台3部作は共通テーマとして『愛』というのがありましたが、私の受けた印象は上記の通りで、それぞれのキーワードを元にして今回の作品を書き始めたのです。

 その結果、『サイゴの乗客』『その指が望むもの』『赤』という3作品ができあがったのでした。

 ところが、そうそうすんなり書き上がったわけではありません。私の場合は最初に頭に映像を浮かべて、それを小説として書き上げていく戦法を取る為、その「文章化」という作業が、今回ほど困難なことはなかったのです。何しろ映像にしちゃえば5分〜10分くらいの短いお話。それをうまく言葉にしていくのが、本当に大変な作業でした。短い中に、どれほどの言葉を駆使して表現していけば良いのか?!それは今でも私の課題として残ってしまいましたが、読んでくださった方の頭の中で、再びうまく映像化されることを願うばかりであります。

 ではそれぞれの作品についての解説を。

 『サイゴの乗客』(坂本昌行)
 これは、一番最初に浮かんで、結構さらさらと書けた作品です。ただし、言葉がうまく選べなくて、校正の段階で結構苦労してしまいました。《校正》作家様、その節はありがとうございました。
 内容はまさに王道。シンプルです。わかりやすい展開でしたね。だから恐怖もシンプルに。しかしその分、テンポ良く書くのが大変でした。タクシードライバー役・・・『Hard Luck Hero』でもやってますね。うぬぅ、発表が前ならこっちの方が先だったのに・・・!って、今更言ってもしょうがないですけど。これがもしかしたら一番『世にも奇妙な〜』系かもしれないですね。

 『その指が望むもの』(井ノ原快彦)
 タイトルが二転三転した苦労作品。そのおかげで《校正》作家様にはタイトルのみ好評・・・うう、ありがとうございます。これは一応「古典」というスタイルなんですが、読み方によってはまったく違った捉え方も可能な作品です。それによって怖さも様々。何が怖いのか、考えながら読んでもらえると嬉しいです。ここらへんが『トイヤー』意識してますね。

 『赤』(長野博)
 タイトルも内容も、じつは一番あっさりと決まった作品。ただし、それをどう書いていくかが一番の問題でした。いかにしてこの作品に恐怖を描き込むのか―――映像だったら一発なのにな・・・と、もどかしい思いいっぱいで書いていきました。《校正》作家様曰く「一番どーしよーもない作品」。うう・・・精進します。長野くんのキャラあっての小説といった感じでしょうか。これが他のメンバーだと怖さ半減かな、と。長野くんの正体がわかってから、ふと前の方を読み返すと・・・ちょっと怖さが増すかと思われます。

 

 というわけで、とりあえず言い訳めいた作品解説はこの辺で終わりにしたいと思います。最後までお付き合いくださって本当にありがとうございました。また次回の作品でもどうぞ宜しくお願い致します。

 

ばふ@BLUE PASSION 【2003.8.29】

 

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