いつの間にか、俺たちを乗せたバンは道幅の広い県道に出ていた。辺りは徐々に夕暮れに包み込まれていく。その時。

 

「?!」

 

 突然、視界の隅に眩しい光が入り込んだ。

 キキッ!!

 慌てて俺はブレーキを踏む。横道から車の飛び出し?!危ねぇなぁ・・・。

 ところが―――
「なんだよぉ、快彦!急ブレーキなんて危ないだろ?!」
シートベルトにイヤと言うほど締め付けられた先輩がビックリして振り向く。
「えっ?だって今・・・」
光が・・・眩しい光が横から―――そう言いかけて、俺は我が目を疑った。そこに横道なんてない。光が見えるわけもない、青々とした田んぼが続いているだけである。誰かのいたずらだろうか・・・?確かに、カメラのフラッシュのような強烈な光があったハズなのに。
 俺は腑に落ちない気分のまま軽く先輩に頭を下げ、また車をゆっくり発進させた。どうやら先輩にはあの光は見えなかったようだ。
「後ろに車いなかったから良かったようなものの・・・いきなり止まったら危ないだろ?!」
先輩は食い込んだシートベルトを戻しながら、ぶつぶつと文句を言う。
「すいませんね、俺の不注意ですよっ」
思わず小さな不平が漏れた。
「ああ?なんか言ったかぁ?」
「いえっ、別に・・・」

 

 のんびりとした田園風景の中、俺は黙々と車を走らせる。もしかしたら、俺、疲れてるのかもしれないな。だからあんな眩しい光が見えちゃったんだ・・・。ああ、もしかしたら対向斜線の車のボンネットに夕日が当たっていたのかもしれないし・・・。

 目の前の信号が黄色に変わる。あーあ、さっき止まらなければ、ここの信号に引っかかることなかったのに・・・。ここは長いこと待たされるからイヤなんだよなぁ。とりあえず俺はゆっくりスピードを落とした。その時。
 突如運転席側をかすめるようにして、後ろからきた白い乗用車がものすごいスピードで追い越していった。
「な・・・っ」
次の瞬間―――!その車は、数メートル行った先の交差点で、前を行く車の後部に追突した挙句、右から走ってきたタンクローリーに激しく弾き飛ばされた。

 

 「マジかよ・・・?!」

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