大きな道を挟んだ向かいに高いビルが見えてきた。さて、僕は道のこちら側で待っていよう。

 ちょうどビルを出たところには歩道橋がかかっている。彼女はいつもそれを使って大通りを渡ってくるのだ。だから僕は、わざとこちら側で彼女の帰りを待つ。通りの向こうから僕の姿を見つけた彼女は、急いでこの歩道橋を渡ってくるだろう。もちろん、僕もすぐ歩道橋を駆け上がって彼女の元へと向かっていくよ。そしたらふたりは、あの道路の真ん中の橋の上で落ち合うんだ。

 ああ、彼女はなんて言うだろう?このたくさんのリンゴと、可愛い花を見て―――。

 あ、彼女が出てきた!友達も一緒みたい。ふたりともすごく楽しそうに笑ってる。

 

 ―――その時だった。

 

 僕の目に、再び黒い影が映り込んだ。




 「ミキちゃん!」

>>Next