紙切れ。

まえがき  原型  成型

水槽の底


凍えた森の氷嚢に伏す
施錠されたつめたい夜は
ブロンヅに凪ぐ巨きな水槽の
黙想する底のようです

病んだ魂は緑藻に凭れ
稀に共通する時間の中で
回転し、唾する
真空の中で自由な声
ゆらめき煙る姿や形
盲信した眼に付着する
塩素を啜る円鱗は
饒舌なむらを保ち続ける

そしてすべてが神聖なこの夜は
独りで眠るほかないでしょう

(2007.06.22)
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