きみは あたしのこと きらい?
あたしがきみに 何か 求めるとするなら
普通に、見つめあって、話がしたいだけなの
もうひとつ 望んでもいいなら
一度でいいから、あたしに、
笑ってほしい
それだけ。
きみを、想う。
きみがすき。だいすきなの。あいたい。今すぐ会って大きな声で、きみのこと呼びたい。
でもほんとうはきみのこと目の前にしたら何も言えなくなってしまうの。すきすぎて。すきすぎて溢れて、ほんとうに。言葉にできないの。
昔はあんなにきみの名前叫べたのにね。いつからだろう、あたしは、あたしがきみに何かをもたらして、そしてきみがあたしに返す言葉によって傷つくのを恐れてしまうの。
ばかだよね、あたし。
きみが何か言い返してくれるかさえもわからないのに。
もしかしたら冷たい眼差しで何も言わずに背を向けられるのかもしれない。きっと、笑ってなんかくれないね。それともあたしの知るきみじゃなくなっているかもしれない。
背、伸びたんだってね。ずっと男らしくなったんだろうね。
あたしも、少しは女らしくなったよ。みんなに、可愛くなったって言われるんだよ。きみのためだけに頑張ったんだよ。きみに会えないあいだに、あたしは臆病になってしまったけれど、きみのために頑張れることはあたしの小さな誇りなんだ。だから、そのことを直接会って伝えたい。
冷たい言葉ではぐらかさないで。あたしもふざけないようにするから。
すぐに遠くに行かないで。あたしも会話が途切れないようにするから。
あたしをちゃんと見て。あたしもきみの目を見て話すようにするから。
お願いだから、お願いだから、あたしの話をちゃんと聞いてください。
あたし、きみを笑わせるから。からだ全部使って、きみを笑わせるよ。
だから無視しないで突き放さないで。あたしの目を見て話してほしい。
こんなこと思うのはわがまま?
きみはあたしのこときらい?
あたしはこんなにすきなのに?
あたしが思い出すすべてのことを、あなたは覚えてなくていい。
あたしがした悪戯も、愛の告白も、みんなみんな忘れてていい。
ただ、あたしの名前を聞いたら、あたしのこと想い出して。
苦い顔してもいいよ。だけど、あたしのこと、想い出して。
あたしは忘れないよ。
きみがあたしのこと「きらい」と言ったこと。「もう来るな」とか「二度と近寄らないで」とか言った言葉ぜんぶ。笑えない冗談だって、少し寂しそうな顔したことも。あたしに得意げに話したことも。少し高い声も。低く悲しい声も。一度だけ見せてくれた満面の笑みも。
何も忘れないよ。
たとえきみが忘れてしまっても。
きみは知らないでしょう?
あたしが毎晩きみのことを想って眠りにつくこと。夢に出てくるきみは素直だったこと。きみの家の前をわざわざ遠回りして通ること。いつでもきみに会えるかもしれないって期待していること。……今、こんなにもあいたいこと。
だけど会っても、想いの100分の1も伝えられないこと。
きみに、あいたい。
いつでもきみを想い叫んでるよ。いつかはこの喉も潰れてしまうのかな。とっくにぺしゃんこになったこの心のように。
きみに、あいたい。
きみだけだよ。あたしの心をこんなにも踏み荒らせるの。こんなに傷つけて、泣かせて、それも知らずにどこかで生きてるの。
だけどきみに、あいたいんだよ。
きみがすきなんだよ。だいすきなの。
この世でいちばんきみをすきなのはあたしだって胸を張れる。
だから。
あたしの溢れる話を、微笑んで聴いていて。
fin.
040920
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