__Walk_in_the_moonshine,_and_drink_like_a_jellyfish.__

[06.02.05] 

〜海月の放流〜 098

カレンダーからすればまだまだ冬真っただ中。
それでも季節の移ろいはそこかしこに見え隠れ。
ここ数日は最高気温20度に届く勢い。ハルの陽気の高知。
寒さのぶり返しは何度もやってくるのだろう。けど。
なんだかもうカラダがハルモードに移行しはじめちゅう。


●『月の輪』
仕事上がって夜。駐輪場で空を見上げる。と。
まるい月のまわりに光の輪っか。見事な円。

それは
なにかのシルシのようで。
なにかのシラセのようで。

居ても立ってもいられなくて。
「見えますよ」「見えますか?」
と誰かに伝えずにはいられなかったんだ。



●『生暖かく湿った空気』
雨とともに妙な空気がやってきた。

すべては天気の所為、にしたい時ってのがある。
今日は調子がよろしくなかった。
気圧の変化はカラダやココロにも確実に影響する。
なんだかそわそわと落ち着かないような。
それでいてぬぼーっと立ちすくんで
次に何をすればいいのかのとっさの判断ができなくなったり。
仕事上でもぽっかりミスしてしまうし。_| ̄|○

そんなこんなで一日中うつうつくよくよ考え込んだりふさぎ込んだり。
はふぅ。

まぁこんな日もあるさ。
と、なんとか仕事終わって帰る頃には雨も上がり
海岸沿いをバイクで駆け抜けてゆくと。
暖かな空気が海からやってきた。
南の海の匂いがした。
少しとろみがあるような濃厚な匂いだ。
キレのある北の大地の匂いとは明らかに違う。
寒さにめっぽう弱いわしとしては暖かくなってくれるのはうれしいけれど。
さすがにまだちょっと早すぎ。
ハルのカタチがまだ半ナマな感じだもの。

冬眠中のハルが寝ぼけてびくんっと跳ね上がったような突発的な陽気。
ハルは一体どんな夢を見ていたんだろか。

こんなヘンな陽気、気分の時は
応援歌シャウトして酒呑んでとっとと寝ちまうに限る。
ソーレ!!



●『屋根の上から』
トタン屋根の上は
ベニヤ板敷き並べた物干し場になってて
洗濯物と一緒に空に飛びたてる


午後5時から6時までの一時間は、休憩時間。
その日それまでの疲れを癒しつつ、
あと3時間の残り仕事に向けて段取りを脳内整理しつつ、の時間。
軽く何か食べたり、本読みながらうたた寝したり。

そんな夕方の休憩時間をこのごろはまず屋根の上から始める。

この酒造所での仕事を始めた当時は。
冬至へと向かうそのころは。
どんどん日が短くなっていった。
休憩時刻の午後5時ともなれば既に真っ暗だった。
寒風吹きすさび外に出るのが辛かった。

気付いたのは年末のバタバタとした頃だったか。
日が暮れる前に洗濯物を取り込んでおこうと、屋根の上に駆け上がると。
ちょうどユウヒが沈むところだった。
周辺にはここよりも高い建物はほとんどなく
小さな町の屋根の波とそれを遠く近く囲む山なみがぐるりと展望できる。

燃える雲が白、橙から金色にそして紫へと変化してゆく。
飛行機雲が急ぎ足にユウヒを追い抜いてゆく。

あわただしい喧騒からほんの少しの距離にありながら
洗濯物を両手で抱きかかえてのんびり夕焼けを眺め回す速度域。
あぁ日が長くなったなぁ。

仕事にも慣れてきたこのごろは、自分なりの段取り、仕事運びで
休憩時刻までにちょうどよいキリをつけて。
午後5時になったらまずは屋根の上で、一服つける。
ふぅ。

空には電線によって刻まれた多角形の折れ線が縦横に走っている。
それは町の秩序のような顔で境界を主張するが
太陽はそんなことにはまったくお構いナシで横断してゆく。

echoが一本分の灰になると、北風が冬を思い出させる。
うぅ冷やい。
今日の空の散歩はここまでにしとこうかね。



・・・(つづく)[06.02.02]...Qurax2海月(=)彡
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