__Walk_in_the_moonshine,_and_drink_like_a_jellyfish.__

[05.10.01] 

〜海月の放流〜 090

高知での2週間のアパート暮らしも今夜でひとまず終了。
部屋を掃除してゴミ出して部屋自体にあいさつして。いざさらば。


●『高知を発ち松山へ』
ふたたびの徒歩旅。
松山目指してまた山越えルート。
120kmの行程。
久しぶりに担ぐ荷物が異常に重い。
ほんとに行けるのか?
とりあえず半歩ずつ。

中秋の名月は夜露に濡れる山中野宿の空に灯る。
旅路を祝福するような月。
翌日には山を下り街へ舞い降りる。
街でもいい月が出迎えてくれる。

前回一週間滞在した松山。
知った街に戻るうれしさこそばゆさ。
奮発してうなぎ屋で一献。
はしゃいで屋上観覧車。

海の月、山の月、里の月、街の月。
旅の思い出は月とともに。
月を仰ぎあおる缶ビールに旅の終わりを想う。

そして。
「旅」というものをやめることはないのだろうという確信。



●『サヨナラからはじまること』
一日中ラジオを聞きながら歩いている。
県や地域をまたぎ越すたびにチューニングを合わせなおし
雑踏やノイズに紛れ込んでしまいそうな微弱な電波をとらえては
うたに耳を傾け、口ずさんで歩く。

ヒットチャートとは無関係に時折流れてきては
僕を打ちふるわせ立ち止まらせるうたがある。
今回の旅のテーマソングのような気分で一緒にうたって歩く。
サヨナラCOLOR」。

そのうたの作者である永積タカシ=ハナレグミ
のフリーコンサートが行なわれることを知ったのは
とある夜。無人駅をその夜の野宿場所に決めて落ち着いた頃。
ラジオの入りが悪いなか届いたその素敵な情報は
僕を小躍りさせそわそわと落ち着かない気分にさせる
と同時に明日に控えた山越えのハードな道のり
を乗り越えてゆこうと鼓舞する。
この道のりを無事歩き通せれば
そのライブに間に合うように東京に戻ることも可能かもしれない。

漠然と。いつまで続けるのか?どこで終えるのか?は決めていたようでいて。
終わってしまうことも切なくて。決めかねている。
ナニカ、キッカケが欲しかった。

そんな時にラジオは語り始めた。
サヨナラからはじまることがたくさんあるんだよ。

・・・
9/21。夜行バスで東京に戻る。
早朝の駅は帰ってきたと言うよりも
まだ旅の最中のような気配に満ちていて。
2ヶ月ぶりに開錠する部屋もなんだかよそよそしい。

念願のライブは台風接近の雨模様ながらも
盛況の波にもまれゆられながら堪能した。
さらに。うたをキッカケにしてつくられた映画も観てきた。
サウンドトラックまで買って何度もリピート。

東京に戻って十日。
都内を旅してる気分で出かけたりしながら
うれしいたのしい余韻と切なさを引きずりながら
ふわふわと過ごす猶予時間。

でも。やっと今回の旅に区切りをつけられる。
サヨナラトーキョー。

よし。また動き出す準備をはじめよう。
夢の続きをはじめるとしよう。



・・・(つづく)[05.10.01]...Qurax2海月(=)彡
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