二口女
『桃山人夜話』における二口女は継子にご飯を与えなかった継母の頭に口が現れるという病だが、昔話に見られる二口女はちょっと違う。
欲深い男が「ご飯を食べない女房が欲しい」と神様に頼んだため、神様が使わせた化け物。昼間は何も食べないが、夫の目を盗んで夜な夜な肩に生えた口から大飯を食らう。夫が正体を暴くと、夫を騙して喰おうとする、素直に去って、後に子供を連れて会いに来てくれと頼むかの二通りが確認されている。(対馬市『鶏頭の枝折り』『食わず女房』)
興味深いのは後者の事例で、女房が素直に去ったのは子供への愛か、それとも子供が育ってから食べたかっただけなのか。異類婚姻譚として描かれていないところを見ると子供への愛とは考えにくいが…。
|
|