船幽霊
川の妖怪の代表が河童なら、海の妖怪の代表はこの船幽霊だろう。長崎でも壱岐、対馬、小値賀など各地で語り継がれている。
夜釣りをしている人の船に取り付き、「柄杓を貸して」と言い続ける。貸してしまうと船が沈むまで海水を入れ始めるので、船には穴の開いた柄杓を載せておくというのはよく聞く話である。
さてこの船幽霊、海で溺死した人の霊が道連れを求めて船を沈めるのだ、との説明をたまに聞くのだが、その割には『桃山人夜話』をはじめ、船幽霊が皆死に装束で描かれるのはどういったわけなのだろう。溺死した人ってまず死に装束は着てないはず。もしかすると水葬あたりが絡んでくるのかもしれない。
…単に「幽霊だから死に装束」という話で、全然深い意味が無い気もするが。
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