まずはじめに・・・・
私が早期胎盤剥離について書かせてもらうことにより、 現在妊娠されている方、前回常位胎盤早期剥離された方の不安を助長させてしまったり、不快な思いをさせてしまったとしたら、申し訳なく思います。 これは私が実際に早期胎盤剥離を経験し、その恐ろしさを知り一人でも多くの方に、こんなことがあるんだと、知ってもらいたかったのです。 私は医学的知識も何もない素人です。 不明な点などは、お医者様等にお聞きくださいますようお願いします。 私の自己満足だと思われる方もいるかもしれません。 その通りかもしれません。だけど願いはただ一つです。 「これ以上、同じ経験をする人が増えませんように・・・・」 おなかの命を守るために。。お母さんが後悔しないために。。。 |
常位胎盤早期剥離
通常の分娩では、赤ちゃんが生まれてからしばらくして、後産として胎盤がはがれてくるのが正常です。胎盤早期剥離という病気では、まだ赤ちゃんが子宮の中にいるのに、胎盤が子宮から剥がれてくるのです。 胎盤が剥がれると子宮の壁から出血し血の塊が作られます。 お産の最中におこることもあれば、まだ臨月にもなっていない時に突然おこることもあります。胎盤が子宮から剥がれてくると、胎児への酸素と栄養の供給がストップしてしまいます。 剥がれる面積が小さいうちは胎児は何とか生きていますが低酸素のため弱ってきます。広い範囲で剥がれると胎児は死んでしまいます。 剥離で作られた血の塊のために母体の血液の状態が変化して、血が止まらなくなることがあり、出血のために母体の生命を奪うこともあります。 自覚症状としてはまず腹痛。痛みの強弱は個人差があるようです。典型的には動けなくなるぐらい強い腹痛があり、お腹は板のように硬くなります。 また性器出血がみられることもあります。これも個人差で、多いこともあれば少ないこともあり、また全く無いこともあります。 また胎盤早期剥離のために胎児が弱ってくると、胎動が減少または消失します。 要するに腹痛や出血や胎動の減少などが胎盤早期剥離の症状ですが、どれも決め手になるものが無く、切迫早産や通常の陣痛と区別がつきにくいこともしばしばです。 上記のような症状があった場合には必ず診察を受ける・・・早期発見するにはこれしかありません。 妊娠9〜10ヶ月の妊婦さんは胎動がしっかりあるかどうかに注意して下さい。胎動がしっかりとあれば赤ちゃんは元気であることに間違いありません。 胎動が少ないと感じたら危険信号です。この時も必ず診察を受けて下さい。(よくマタニティ雑誌などには「陣痛が近づいてくると胎動が少なくなる」と書いてありますが、 胎児が弱っているために胎動が少なくなることもあるそうです。陣痛が近づいてきても2〜3時間に10回程度の胎動があるのが正常とのこと。) 非常にこわい病気で、いつ、誰におこるのか全く予想ができないところが、医者が最も恐れる病気となっているそうです。 いかに医学が進歩し超音波などの機械が発達したとはいえ、この病気を予測することは未だに不可能です。 強い妊娠中毒症がある場合におこりやすいといわれていますが、実際には中毒症と関係なくおこってくることもめずらしくありません。 きっちりと妊婦健診を受けていても予測は不可能です。そして適切な予防法もありません。おこった場合にできるだけ早く診断して帝王切開を行うことが最善の道です。 仮に来院した時にすでに胎児死亡であったとしても、直ちに帝王切開で胎盤及び胎盤後血腫と胎児を子宮から取り出さないと、母体に危険がおよびます。 この病気はおよそ200〜300人の妊婦さんに1人ぐらいで割合で発症します。早い時期に見つかれば赤ちゃんもお母さんも無事助かりますが、 来院時にすでに胎児が弱りきっていると、生まれても脳に障害が残ることがあります。脳は胎児の体の中で最も低酸素状態に弱いのです。 胎盤早期剥離は予測が不可能な病気の代表格です。気になる症状があれば、自宅で様子を見ることなく病院に連絡しましょう。 常位胎盤早期剥離と診断がつけば、多くの場合、胎児の生死にかかわらずただちに帝王切開術が行われます。 血液が子宮の筋層内にしみこみ、止血できないなど重症の場合では,母体の救命のために子宮を取ることもあります。 早剥の予後ですが、母体死亡率1〜2%、児の周産期死亡率は20〜80%といわれています。 本症は、最近の周産期管理においても予知が極めて困難であるため、周産期死亡や母体死亡に密接に関与する重要な疾患です。 なお、前回本症を発症した場合には、反復率が5〜10%と極めて高率となるので厳重な管理が必要です。 帝王切開での出産の場合、次回の妊娠は半年の間隔をおいてと言われますが、早期胎盤剥離の場合その間隔は1年とされています。これは、子宮の回復に時間がかかるからだそうです。 |