呪うように降り続く雨は、辺りを闇が支配して一層強まった。
サガは一人、暗い室内で横たわっていた。
カノンに裂かれた内部は、時間がたつにつれて鈍い痛みへと変わっていったが、
それでもとても起き上がる気にもなれず、
サガは血とサガとカノンが放った体液に汚れたまま天井を仰いでいた。
どれくらいそうしていたのか、ぼんやりとしていると人の入ってくる気配がした。
「兄さん」
優しくそう呼ぶ声は、カノン。
しかしその声の優しさとは裏腹に、カノンの瞳は冷め切っている。
「大丈夫か、兄さん」
サガは答えられなかった。何か返事をしなくてはと思うものの、
何もかも億劫で声も出てこなかった。
カノンは黙ってサガの傍へ寄ると、血と白い残滓のこびりついた内腿をそっと撫でた。
サガは思わずぶるりと震えた。
カノンはそのままサガの膝と足の付け根の間を指で行ったりきたりさせながら、
労わるようにサガに囁いた。
「傷を、見せてみろ。治してやるから」
サガはカノンの言葉に僅かに目を見開いた。
「ほら、兄さん」
腰骨の辺りを手の甲で軽く叩かれる。
サガは何度か口をあけたりとじたりしていると、搾り出すように声を出した。
「・・・・やめ、ろ・・・」
カノンは顔色はそのままに、器用に片方の口の端を持ち上げて笑ってみせると、サガの頬を撫でた。
「そういうわけにもいかないだろう。このままじゃ、用も足せないぞ」
「自分でやるから・・・・放っておいてくれ・・・」
サガは自分の両手で顔を覆った。
カノンはダメだ、と言うとサガの体を無理矢理うつぶせた。
「っ・・・!」
「ああ、すまない。痛かったか?すぐに治してやるから許してくれ・・・」
カノンはサガの背骨を辿るように唇を滑らせた。
そして白い双丘を手で撫で回すと、両手で開いてその間に鼻先を近づけた。
「ひっ・・・!」
べろりと、カノンの舌がサガの窄まりを舐めた。
そこを中心に、血のこびりついた敏感な箇所を血が落とされるまで舐め続けた。
「ああ・・・カノン・・・やめろ・・・やめて・・・!」
カノンは黙々とサガを舐め続けた。
サガがぐったりして動かなくなってしまった頃に、
カノンはようやく舐めるのをやめた。
サガが拒絶から流す涙をべろべろと舐めると、耳たぶを食んだ。
「大丈夫か?」
カノンはそうやって腰を撫でると、長い指を、赤くなってしまった窄まりに伸ばした。
「・・・カノン・・・?」
サガが首をひねってカノンの様子をうかがおうとするが、
カノンは無表情のまま指をそこに押し当てたりしている。
「・・・カノン・・・なにを・・・・」
サガが体を起そうと肘をたて力を入れたときに、
カノンはずぶりと指を3本挿しいれた。
「う・・・ああっ・・・・!」
カノンによって裂かれたそこは、再び指が挿入されたことで新しい血を流した。
カノンは何度か出し入れすると、指に小宇宙をためて、サガの中をかき回しはじめた。
「や・・・やめ・・・カノン・・・カノン・・・!」
熱い指が傷を辿る感触に、サガは体を震わせた。
「治してやるって言っただろ」
3本の指にこめられた小宇宙は、熱さを伴いながらサガの傷を癒していった。
それどころか、覚えのある感覚まで引き起こしていた。
「ああ・・・あ・・・やめ・・・」
「なんだ、感じてるのか、兄さん」
カノンはわざとサガの弱い場所を指で突いた。
傷がすっかりふさがっても指でかき回し続け、サガの反応を楽しんだ。
やがて耐え切れないように腰が揺れ始めたのを見ると、
カノンはずるりと指を引き抜いた。
「ひぁ・・・・!」
収縮する窄まりを見つめ、乾いたほうの指で何度かサガの昂ぶりをそっと撫でると、
カノンは黙って立ち上がり、サガに背を向けた。
「・・・カノン・・・?」
サガは思ってもいないカノンの行動をいぶかしんだ。
ここまでして、おとなしく去っていくような弟ではなかったのだから。
しかしカノンは、サガを置いてそのまま部屋を出ていってしまった。
サガは未だふるふると熱を溜めている己と、熱いものを求めてひくつく後孔を自覚して、
しかしどうすることもできずに体を丸めて熱が過ぎるのをひたすら待った。