「サガは美しい。サガはきれいだ。
とてもとてもきれい、だ。俺とは違う。お前には、汚れなんてこれっぽっちもついちゃいない」
カノンが狂気じみた瞳をして、舌なめずりをしながらサガの頬を撫でた。
そのまま額を寄せ、唇が触れるか触れないかのところでサガへの愛を囁く。
「きれいだ。お前がこの世界で、一番美しい」
サガの首を、胸を、腰を撫で回しながら、口づけをおとしていく。
恭しく、優しく。
「サガ兄さん、兄さんだけを、愛してるよ」
緩やかに腰を打ちつけ、カノンはサガの髪をひと房つかみ、舐めるように唇を這わせた。
「いつまでたっても、お前はきれいだ」
美しい、俺の、サガ。
それはアイオロスが現世に残していった骸。
魂のないただの器。
サガの全てを持っていこうとしたのを、無理矢理体だけ引き摺り下ろしたのだ。
魂のない器は、それでも動物として生きてはいた。
それをカノンは空ろな目をして愛し続けていた。
「生身のサガを抱きたがったって、やるものか。
いつまでも実体のない魂に腰ふってろ・・・・サガは、俺のものだ」
反応を返さない体を抱き、数度果てたところで、カノンは愛しげにサガの唇に触れた。
「ああ・・・兄さん・・・あんたはここにいる。俺のところにいる。
腰を振って、啼いてよがって、はしたない声をあげてるんだ。いやらしいな、兄さん。
あの男のところにあるのは、ただの霞だ。お前に突っ込めるのは、俺だけだ」
「神なんてものよりよほど美しい・・・俺の、サガ」