WNUWF

(World Nekoneko Underground Wrestling Federation)

〜世界ねこねこ地下格闘技団体〜

ドラマスティックモード(12)


==========いたる連合軍側コミッショナー控え室==========
 秋子さんが真剣な表情をしながら選手の体調を管理するトレーナーの言うことを聞いています。

秋子「・・・そう。佳乃さんの症状はそこまで・・・。」

トレーナー「ええ。我々でも全力を尽くしたのですが、足首の怪我は思ったよりも深刻で・・・。
 このまま無理をさせると選手生命にも関わります。」

秋子「そう・・・。それで、本人はどうすると・・・やっぱり出るって言うわよね。」

トレーナー「ええ・・・。」

秋子「・・・プロとしてのあなたの意見を聞きたいわね。佳乃さんは試合に出られそうなのかどうか。」

トレーナー「私の意見は先程も申し上げましたとおり、無理をさせると選手生命に関わると・・・。」

秋子「そう・・・。分かったわ。佳乃さんに伝えて頂戴。ゆっくり休みなさい、って。
 あ、それと、これはコミッショナーからの厳命ですから、と・・・。」

トレーナー「分かりました。」

 秋子さんはそう伝えたものの、渋い顔です。

==========メイン会場==========
 WNUWFはいよいよ次回から特番『ラブ フォース』が開催されます!!!
 今週は特番直前放送と称して、何やら上からは私とキングでの特番の予想を
 話せ、と言われているのですが・・・。全く、どうしたものか・・・。(-_-;)

キング「それは何か?俺達だけで今週の放送は繋げって言ってるのか???」

 ま、まぁ・・・ぶっちゃけて言えばそう、なんですかね・・・。

キング「全く無責任な脚本家だな!!!まぁ、良いか。そうなら好き勝手に
 話させてもらうぞ。」

 あ、あんまり過激な発言は遠慮してくださいませ〜。(-_-;)

 何時までも愚痴っていてもしょうがないので、仕事をしましょうか。
 次回特番は男女各王座戦、その第1挑戦者決定戦、そして初代女子タッグ王座戦、
 更に初代男女混合タッグ最強決定戦の準決勝・決勝戦と行われます!!!
 まさに豪華なカード!!!

キング「さらには儀助VSブルーVSイーグルの互いの遺恨に決着をつける
 完全決着方式の3WAYダンスマッチも行われるぞ!!!」

 まずは女子王座戦。現チャンピオンの狭霧に挑戦するのは果たして誰になるのか???
 第1挑戦者決定戦ですけれども・・・。我々の手元に届いている情報によりますと、
 変則バトルロイヤル戦による決着、と書いてありますが・・・。

キング「変則バトルロイヤル戦ってどういうことだろうな・・・。」

♪砂のモチーフ〜「坂道と交差点から」〜

 おや、今日は誰も来ないはずなのですが、登場はWNUWF側コミッショナーのゆかりさんです。

ゆかり「いよいよ『ラブ フォース』も来週に迫ってきました。ご来場の皆様も
 楽しみにされていることと思いますけれど、特番のカードで1つ疑問に思われている方も
 多いのではないでしょうか???現にそちらの実況席のお二人も悩んでおいでのようですしね。」

 ・・・観客からは大爆笑・・・ほ、ほっといてください・・・。(-_-;)

キング「・・・情報収集を怠ったお前が悪い。俺はそのとばっちりを受けていい迷惑だ。」

 情報収集はキングの仕事でしょっ!!!

キング「俺は選手専門だ!!!」

 はいはい、どうせ女子選手専門なんでしょ?(-_-;)

ゆかり「女子王座戦第1挑戦者決定戦の変則バトルロイヤル戦についてですけれど、
 基本的にはバトルロイヤル戦なんですけれど、『変則』って頭につくからには
 普通のバトルロイヤル戦とは当然違います。これは番組オリジナルの試合方式で、
 正式に試合形式を発表するならば、『ゲット 1レスト バトルロイヤル戦』と言います。」

 ・・・ゲット 1レスト バトルロイヤル戦???

ゆかり「まず選手全員がリングに上がって同時に戦います。そして、決着方式は
 3カウントもしくはギブアップ、そして取られた選手から退場してもらいます。
 ここまでは普通のバトルロイヤル戦と同じです。そして、ここからが違うところですが、
 3カウントもしくはギブアップを取った選手も一旦試合権利を剥奪されます。
 これは敗北、ということではなくて、1レスト、即ち1回休む権利が与えられます。
 即ち、3カウントもしくはギブアップを取った選手は立て続けに負けることは無い、
 ということになります。この休み時間は他の選手が決着をつけるまで続きます。」

 なるほど、これならスモールパッケージホールドなどの丸め込み技に持っていっても
 自らも負ける心配が無いってわけですね。

ゆかり「こうして戦っていき、最後の一人になったものが当然勝ち、となります。」

 ゆかりさんの説明の間にも大型のスクリーンには簡潔にまとめられたルールが
 表示されて、観客もこの時ばかりは静かに聴いていたようで・・・。

♪つかぬまのアンチテーゼ

 !!!一通りの説明が終わったらその女子王座戦に出場のねーちん登場!!!
 場内は一気に緊迫感に包まれます!!!

ねーちん「ルールは分かったわ・・・。で・・・1つ質問。」

ゆかり「何でしょうか???」

ねーちん「・・・最後は立て続けに決めちゃっても良いのね?」

ゆかり「・・・最後?」

ねーちん「2人だけになったらどっちか一人休むって訳にはいかないでしょ?」

ゆかり「ええ、そうね。あなたの言う通りよ。」

ねーちん「・・・そう。」

 ねーちんは、それだけを聞くと満足したかのようにゆっくりと引き上げていきます。

 ・・・さ、触らぬ神に、というところですかね・・・。(汗)

==========佐々井亭−WNUWF支店−==========
 先程までねーちんがリングに来ていたということはこっちは・・・。
 ・・・あらま。厨房には「やる気無し。ねーちん」の紙が・・・。

 さすがに沈んでいる朝奈に常連の鍋島もうな垂れています・・・。

タイガー「・・・さすがにあの試合はマズイ、よな・・・。」

鍋島「サブキャラだと油断してしまいましたね・・・。思いっきり恥かいてしまいましたよ。」

朝奈「お姉ちゃん・・・。」

鍋島「朝奈ちゃんは悪くないよ。だって僕が取られたんだしね。」

朝奈「でも・・・!!!」

鍋島「夕奈さんにはそう説明すれば良い。」

 こまり顔の給仕の朝奈にウェイトレスの篠崎 あやめ。
 と・・・何か一人やる気満々に腕をまくっている某巫女が居るのですが・・・。

頼人「狭霧、何をする気だ?」

狭霧「折角のお店ですから、このまま開店休業状態にしておくのは勿体無いですよ。
 お料理を作る方が居ないのでしたら私が・・・。」

頼人「・・・おい。」

狭霧「何ですか?頼人様。」

頼人「どうでも良いが、お吸い物の味はちゃんと確かめろよ。」

==========メイン会場==========
 なんと!!!先程ねーちんがこっちに来ていたのは佐々井亭は放り出して、だったんですか???

キング「どうやらそうらしいな。wというか、あの後狭霧が本当に料理作るのか???」

 やる気は満々みたいでしたけどね・・・。

 というか、我々は我々の仕事をしましょうか。
 女子王座戦、試合形式は分かりましたけれども、冒頭でもお伝えしましたが、
 正式発表が我々の元にも届きました。どうやら佳乃さんは残念ながら足の怪我による
 欠場が確定したようです。

キング「選手生命に関わるとか言っていたから恐らく特番後もしばらくは療養だろうな。」

 これで、女子王座戦にはWNUWFからは雪希ちゃん、ねーちん、石切の3人、
 いたる連合軍からは名雪、栞、マダム美凪の3人となりました。

キング「奇しくも3人ずつ、そして、ここは特に互いに遺恨関係があるわけでもなく、
 かと言って仲良しでタッグを組むような仲も無いから純粋に個人闘争、単純に実力の
 ある奴が勝ち上がって来れそうだな。」

 単に体力的な実力もそうですが、試合形式の性質上、頭も切れる選手が有利、
 といったところでしょうか?バトルロイヤル形式に強い名雪、栞に実力なら1つ飛びぬけている
 ねーちんこの辺りが中心ですかね。

キング「だが、バトルロイヤル戦は何が起こるか分からないからな・・・。誰が勝っても
 おかしくはないがな。」

 一方の男子王座戦は初代王座の頼人に挑むのはブラックネスか浩平か?

キング「ブラックネスは『破壊』の帝王、実力は折り紙付きだが、心理戦では浩平が
 1歩リードだ。浩平の戦いのスタイルは分からないが、奇襲が決まるなら浩平にも
 勝機はあるだろう。」

 女子タッグ戦は舞&佐祐理組 VS 清香&麻美組。チームとしては舞&佐祐理組の方が
 磐石な気はしますが・・・。

キング「だが、勝ち上がりを見る限りは清香&麻美組も侮れないぞ。」

 確かに、もう1つの優勝候補、とも言えた神奈&裏葉組のタッグを見事に翻弄しての
 快勝でしたね。舞&佐祐理組も油断をしていると足元を掬われるかもしれません。

 そして、最も注目は初代男女混合タッグ最強決定戦。
 残ったのはドラゴン&進藤組、タイガー&篠崎 あやめ組、北川&香里組、ケンちゃん&日和組。
 いたる連合軍としては思わぬ主人公タッグの連敗に団体の名を賭けてのサブキャラタッグが
 どこまで奮闘できるか?といったところに注目が集まりそうです。

キング「ドラゴンとケンちゃんの間に交わされたタッグパートナーを賭けた争いにも注目だな。」

 それも見所ですが遂に実現はドラゴンVSタイガーの遺恨バトル。
 タッグ戦ながら特番一の見物カードかもしれませんよ!!!
 この2人の遺恨の歴史を綴ったプロモの映像が入ってきましたのでまずはそちらをどうぞ。

==========プロモーションビデオ==========
−2002年1月25日− 〜三井君宅〜
「虎だ、虎になるんだ、三井!!!」
(語り:タイガー)
 ―――俺はそれまでは銀色の中でもしがない主人公三井君だった・・・。
 ―――人々は銀色の主人公と言えば儀助や頼人・・・。
 ―――いつしか誰も相手にしてくれることのなかった俺・・・。
 ―――だが、この日以来俺は虎となり、あやめちゃんを守らんとするために、日の当たる世界に繰り出した・・・。

−2002年2月1日− 〜WNUWFオーナー室〜
「なに?奴が虎に???あのあやめちゃんを独占する気か!!!・・・分かった。
 奴が虎になるなら俺は龍になってやる!!!」
(語り:ドラゴン)
 ―――奴が虎となって私の溺愛するあやめちゃんを独占しようとは・・・。
 ―――1オーナーとしてそれを見過ごすわけにはいかなかった・・・。

〜オーナー会議〜
「現オーナーのとしこう氏のやっていることはオーナーの権限を逸脱するものであり、
 もしこれを継続する場合は、WNUWFの団体の存続自体が危ういものと考えます!!!」

としこう「む・・・選手に介入しすぎ、というのが言いたいのか???
 ならば、あのアメリカのプロレス団体WWEはどうなるのだ???」

「あそこはあそこ、家は家、ですよ。」

としこう「むぅ・・・ならばどうすれば良いのだ???」

「このままオーナー職をお続けならば、タイガー選手には無用の手出しはしない、
 あるいは、そのドラゴン何とかとなって一選手として戦うならオーナー職は辞職、ということで・・・。」

(語り:ドラゴン)
 ―――俺は迷わずにオーナー職を捨てた。
 ―――何故ならば奴のあやめちゃん独占が許せなかった・・・。
 ―――オーナーとしての立場より、奴との決着が俺の生きる道だと思った・・・。

〜旧WNUWF解体〜

(語り:タイガー)
 ―――しかし、ドラゴン登場から間もなくしてWNUWFは解体した・・・。
 ―――正直、オーナーとしての奴には敬服している。
 ―――だが、個人的な都合で団体を潰し、俺にもとばっちりが来たのにはかなり腹を立てている。
 ―――俺もあやめちゃんも路頭に迷いかけたのだからな。

(語り:ドラゴン)
 ―――旧WNUWFの解体は正直ショックだったが、俺にとっては後になって考えてみれば良い充電期間となった。
 ―――新生WNUWFの誕生までの間に、
 ―――最強の必殺技『ドラゴンバスター』を開発することが出来たからな・・・。

(語り:タイガー)
 ―――旧WNUWFの晩年の頃を俺は思い出す。
 ―――団体が解体する直前の頃には俺と奴は3回ほど直接対決をしている。
 ―――結果は俺の2勝1引き分け。率で言えば俺の圧勝だ。
 ―――本来ならばライバルというのも笑止の結果だが・・・。
 ―――旧WNUWF解体の最後の試合の1引き分けが俺には印象強い。

(語り:ドラゴン)
 ―――実は俺は奴には1度も勝ったことが無い。
 ―――だがそれは昔の話だ。あの頃はこれと言った必殺技も無く、ただ殴る蹴るだけだった。
 ―――それでも、俺は最後の試合で引き分けに持ち込むことが出来たことによって更なる自信を得た。

(語り:タイガー)
 ―――最初はまぐれだと思った。
 ―――だが、それはまぐれではなかった。
 ―――試合では引き分けに終わったが、気迫では完全に奴の勝ちだった・・・。

−2002年11月26日− 〜新生WNUWF誕生〜
「ついにやって参りましたWNUWF旗揚げ戦です。」
(語り:ドラゴン)
 ―――新しいWNUWFが誕生した時はさすがに鳥肌が立ったな。
 ―――この新しい団体は俺が背負って頑張ろう、そう思えた。

(語り:タイガー)
 ―――新生WNUWFの誕生は俺達の生活に活気を取り戻すには充分だった。
 ―――最初に奴が飛び出して観客に挨拶をしに行った時には今だから正直に明かすが、
 ―――嬉しさすら覚えた。だが、それと同時に決着の機会を今か今かと待っていた。

(語り:ドラゴン)
 ―――最初に挨拶をした時、すぐに奴は食いついてきた。
 ―――俺も奴もその気迫は変わっていないようでホッとしたのを覚えている。

〜旗揚げ戦〜
「ドラゴンはタイガーを持ち上げてのドラゴンバスター!!!しかし、
 タイガーはすぐに立ち上がると逆にドラゴンにタイガードライバー!!!
 両者の必殺技が激突しています!!!」

(語り:ドラゴン)
 ―――久しぶりに奴の必殺技を食らった。
 ―――相変わらず痛かったが、やってやれないことは無いとも思えた。

(語り:タイガー)
 ―――ドラゴンの新必殺技は噂には聞いていたが、思ったよりも威力充分で驚いた。
 ―――だが、奴の過ちはこれで俺の闘志に炎を灯してしまったことだ。

〜そして・・・。〜
(語り:ドラゴン)
 ―――こうして正式に戦う機会を与えられた。俺は・・・。
 ―――旧WNUWFでやり残したこと、タイガーからの勝利を勝ち取る!!!

(語り:タイガー)
 ―――旧の頃の結果など今となっては関係ない。何故なら俺も奴もあの頃から成長しているからだ。
 ―――だから、『今』強いのはどっちか、決着をつけてやる・・・。

==========メイン会場==========
 ・・・・・・。

キング「・・・・・・。」

 2人の長きに渡る遺恨も、この戦いで1つの『答え』を見ることが出来るのでしょうか?

キング「はっきり言ってこればかりは2人の世界だ。何人たりとも
 邪魔は出来ないだろう。」

 WNUWF次回特番『ラブ フォース』、いよいよ来週開幕です!!!

(続)