| ●『くらくら』
だいたい何故にこんなだらりらと過ごしてきたかと言えば。働く当てはあったからなのだ。
 
 この春まで働いてた酒造所に気に入られて、お誘いがかかっているのだ。
 酒の仕込み期間の秋冬から春にかけての半年間だけ働くというスタイル。
 季節労働者ではあるけれど、技能労働者でもある「蔵人」という生き方。
 
 海月が旅人から蔵人へ。
 くらげ×たびびと→くらびと
 なんか妙にそこに惹かれちゃってさ。
 
 仕事のない夏の間は他の仕事をしててもいいし
 倹約してれば遊んで暮らしてたっていい。
 なんかわしの最も望んでた形のような気もしてる。
 
 もちろん様々な不安や心配がないわけでもない。
 すっごく迷ってた。この5ヶ月の間、考えてた。
 ビンボー暮らしには慣れてるんで
 こんな生活でも喰ってゆくことはできることだろう。
 
 いや。そうじゃない。迷いの焦点はそこじゃない。
 経済的安定とか社会的信用とかそういうところじゃなくて。
 どうして高知に来たか。何に呼ばれたのか。
 そこが迷いどころ。
 ここか?これなのか?
 もしくは冬に蔵人しながら夏半年遊んでる期間を確保し、
 ナニカと繋がる準備をすることなのか?
 うーむ。
 
 そんなこんなでココロゆらゆらしてる間に
 就業の手続き、打ち合わせが近々始まるとの報せが届く。
 期間日程も既に告知されており意欲も高まっている。
 開始まで約1ヶ月。
 
 日本の、酒を、造る。
 非常に興味深い。
 やっぱりわくわく感の方が大きい。
 
 まぁこの先どうなるかはわからないし、
 わからないからおもしろいのかもしれない。
 いままでだってこれからだって。
 「変わり続けていることだけは変わらない」
 そういうのでいいんじゃないかなぁ。
 
 
 
 
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