セキノヨルタチ・・・ ■ DOME TOUR 2005 "WHITE ROAD" ■


= 2005.03.13 in 東京ドーム =

昨年の3月から始まった「GLAY 10th Anniversary Year」、 この後の大阪と沖縄のライブには参加できないので、今日のライブで私自身の「デビュー10周年」イベントファイナルとなる。 アルバム「THE FRUSTRATED」発売から始まったこの1年、 メンバーや大勢のファン仲間と共に、走って走って走りぬけた1年ももう終わり。。 さみしいような、悲しいような・・・それでいてある種の達成感みたいな感情もわいてくる。 「今日は泣いちゃうかも知れないけど放っておいてくれていいから」と初の2days参加の夫に言っておいた。


開演時間を大幅にすぎて、やっと客電が落ちたけれど、 東京ドームの外光を通す素材の屋根のおかげで、ドーム内はまだまだ明るく、 映像が見づらいんだけれど、それでも伝わってくるものは変わらない。 初めての武道館ライブ、懐かしい曲のPVのワンシーン、大粒の涙、心からの叫び、最後はたくさんの笑顔。 GLAYと一緒に歩いた時間が長いとか短いとか、ライブに行った回数が多いとか少ないとか、 そんなことは一切関係なくて、心の中のアルバムのページをゆっくりとめくっているような気分に浸っていた


大きなスクリーンが引き落とされると同時に、鐘の音が鳴り響く。 昨日と同様に中央に組まれた教会風のセットの扉からメンバーが姿を見せて、 ふわふわと舞う雪のような照明に照らされて「ホワイトロード」で幕をあけた。 TERUの抑えた声がドーム内に響いて、心地よい余韻に浸っていると、 そんな雰囲気を一気に変えてしまう、派手なSEと照明、レーザー光線が扇状に走っている。 教会のセットが回転し、その間にメンバーはゴンドラのようなもので降りてきて、一気にそれぞれの定位置に走りだした。 TAKUROとHISASHIのギターが絡み合うような「Freeze My Love」の間奏がかっこいい。 あまりライブで演奏されないのがもったいないような気がする。 曲が終わるとTERUが花道のサブステージに向かって歩き出した。


「昨日スタッフに"こんなにパンパンな東京ドームは久しぶりに見た"って言われて、スゲー、うれしいよ。 俺はすでに感動してます!」


明るくなった会場を見渡すと、ほんとに人がいっぱい。 アリーナはもちろん、1F席も2F席も上の方まで人がパンパン!で、 「生きてく強さ」「STAY TUNED」「ここではない、どこかへ」と盛り上がる曲が続くと、 突き上げられるこぶしでステージは見えなくなるし、降ってくる声はまるでシャワーのようだった。


「今日は東京でも雪がちらついてね・・・」と「Winter, again」の前のMCをはじめたTERUは クールにかっこよく話をして次の曲に進みたかったらしいけど、 かなりのハイテンションになってきたのか、噛んで噛んで噛みまくってMCが全然進まない。 言いたいことは伝わってくるんだけど、噛んでしまうたびに客席に笑いが起きて、 TERUが求めるクールさよりも、ほのぼのとした暖かさが勝っていた気がする。 何度目かの笑いが起きたとき、TERU自身も「なんかねえ・・・決まらないんだよねぇ」と苦笑いをしていた。


「次の曲でね、みんなを函館につれてってあげるよ」


そう言って、いつもの人懐っこい笑顔で顔をくちゃっとするTERU。 思わず息をのんだ。文字にしてみれば、20文字くらいのなんでもない言葉だけど、 どうしてこの人が言うと、こんなにも人の心をぐっと掴むんだろう。 他のメンバーが言ったって、もちろんうれしいだろうけど、きっとこんなにきゅんきゅんしないと思う。 もしこんな恥ずかしい言い方を許してもらえるなら、「胸きゅん」な一瞬だった。


寒そうな青い照明に包まれたステージに対して、アリーナ席をぐるっと柔らかな炎が灯ったトーチが囲う。 先日行ったばかりの真っ白な雪に覆われた北海道が目に浮かぶ(函館じゃないけど)。 自分が生まれた街がこんなにも白く美しかったら、大切な人にも見せてあげたいと私も思うかもしれない。 「Way Of Difference」に続いてステージが暗転、柔らかなメロディーにTERUの声が重なる。 「ずっと2人で・・・」が始まる。 照明が落ちたステージにTERUがひとり、いつものようにマイクスタンドに体を預けるように立ち、 マイクを両手で包み込むようにして歌う。 今までキーキーと甲高い声を上げていた後ろの席の女の子たちの声もさっぱり聞こえなくなって、 いつの間にかポロポロと涙があふれてくる。 今日はバックネット裏の席だから、ステージまではかなりの距離があるのに、 まるですぐ隣で、すぐ目の前で歌ってくれているかのような近さを感じる。 歌詞を噛み締めたり、照明がどうのこうの、なんてことは考える余地もなかった。 何も考えず、何もできず、ステージからまっすぐ届いてくる歌声をただただ受け止めてるだけだった。


曲があけると再び暗転。 周囲の人が鼻をすする音や、涙を拭く衣擦れの音、隣の人と「いいね・・・」と感想を話しあう声が聞こえる。 しばらくして花道の先端のサブステージにTERUが一人で現れて、椅子に腰掛け、「BELOVED」をゆっくりと弾き語る。 2F席の上までいっぱいの人で埋め尽くされた会場の真ん中で、5万人の注目を一身に浴びて たったひとり、ギター1本で歌を歌う気分はどんな感じなんだろう。


ここからは一気に雰囲気が変わって明るく激しい曲に。 機械的なSEと共に「GLAY NAVI」作動!「GLOBAL COMMUNICATKON」スタート! 途中TAKUROが思いっきり転んでしまうアクシデントがあったけど(転んでも天井を指差し確認!)大事には至らず、曲は「サバイバル」「グロリアス」と続く。 昨日は見えなかった演出が、今日は良く見える! メインの大きなビジョンをGLAYジャンボが飛んでいったり、HISASHIが恐竜の頭の上でギターを弾いていたり。 楽しかったのは「グロリアス」。 イントロスタートともにビジョンに懐かしい2001年のエキスポの映像がうつる。 しかも「グロリアス」を演奏している!映像と演奏の音がリンクしている! たとえばモニターの中の昔のHISASHIが額に両手をかざして客席を眺める仕草をすると、 ステージにいる今のHISASHIが同じように両手をかざして客席を眺める仕草をする。 モニターの中の昔のTERUにTAKUROが絡んでくると、ステージ上のTERUのそばにTAKUROがよってきてモニターと同じ動きをするという具合。 あのときの衣装に合わせて、この曲だけTAKUROはテンガロンをかぶっていたのか。細かすぎて気がつきませんよ。 「RAIN」をはさんで「SOUL LOVE」「彼女の"Modern・・・"」「誘惑」とテンションは最高潮に。 今日も「SOUL LOVE」の途中でウェーブにチャレンジ、スタンド席のウェーブはスピードが速くて驚きました。


「もしかしたらね、こっち(ステージ)で歌ってみたい!と思ってる人もいるかもしれないね。 最高に気持ちいいんだけど、俺にも絶対かなわない夢があるんだよ。それはGLAYのライブを客席で見ること! 絶対かなわないでしょ?みんなは俺の分までライブを楽しんでね。そんな夢を追っかけてる人に、 聞いて欲しい曲があります」


と、もうすっかりおなじみになったMCの後、 「BEAUTIFUL DREAMER」の疾走感あふれるイントロと共にストリングス隊が登場して大きな歓声が上がる。 曲が終わると溝口さんの紹介する。 昨日は会場を埋めた客席の迫力にちょっとばかり緊張気味だったように感じたけど今日は違う。 ビジョンに映し出されてる溝口さんは余裕ありげな笑顔で、TERUに負けじと右手で優雅に投げキス、左手でも華麗に投げキスでご挨拶。 「わー!」と客席が盛り上がると、すかさずTERUがビジョンにアップになって両手でかわいく投げキッス(^3^)/~Chu! 隣で腰砕けになってる妻を横目に、夫はあまりもの歓声に耳をふさいでいました。 そして「時の雫」を経てライブはクライマックスへ。


「今まで出会ったすべての人のために歌います」


「泣いちゃうかも・・・」なんてかわいらしいものじゃなかった。 我慢しても、ハンカチでぬぐっても後から後から涙がでてくる。 東京ドームの中は肌寒くて指先も冷たくなっていたのに、指でぬぐった涙はとても暖かかった。 涙でステージが見えない分、TERUの声がストレートに胸に届いた気がする。 こんなに魂をゆすぶられる歌声は、これから先もあまり聞けないかもしれない。 メンバーがステージを降りるときには泣きながら手を振り、 姿が見えなくなったとたんに「はあ〜あ」と席に座り込む私を 「泣いたり笑ったり飛んだり跳ねたり・・・忙しいねぇ」と夫は笑ってみていた。


優雅なアンコール待ちが終わると、トイレにたっていた人も次々に駆け戻ってくる。 スタンド席は勝手にウェーブで盛り上がり、ぱらぱらとあちこちで、バラバラな「アンコール!」の声がする。 見事なタクトさばきだった溝口さんをもってしても5万人の声をひとつにするのは難しいと思う。 なのに・・・なのに・・・誰も指揮する人がいない状態でだんだんと声がそろってきて、 時間がかかったけど、「アンコール」の声と手拍子はひとつになった。 身震いがするような光景だった。


「今日はね、見ての通りビデオシューティングなんです。いずれ今日のライブの様子がビデオになりますからね。 お父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも・・・彼氏も彼女も思いっきり楽しんでください」


他のメンバーがサブステージに用意された椅子に腰掛け準備をしている間にTERUが話を続けてる。 「HOWEVER」「逢いたい気持ち」と順に曲が演奏されて、次の曲に入ろうとTERUが「カモン!TO・・・」といいかけたそのとき!事件は起こった。


「てるっ!てるっ!」


HISASHIの声がした。そのあわてた声は文字にすると決して「TERU!」ではなくて「てるっ!」だった。 ステージ上にも、客席にも緊張が走る。サブステージ周りにいたスタッフがHISASHIの元に駆け寄っていく。


「弦がきれたぁ!」


ステージも客席もどっと笑いが起き、TERUにも安堵の表情が見える。 スタッフにギターを預けて弦を張り替えてもらう間、 「せっかくだから、メンバーの声聞いてみる?」と思いがけず他のメンバーの声が聞けることになった。 一番手のTOSHIはスティックを持ったまま両手をあげて歓声に応えた後、 TERUがよくやるように人差し指を口元にあてて客席を静かにした後、「東京ドーム最高!」と叫んだ。 TOSHIさん、声でかいっ!びっくりした。


続いては有太さん。有太さんは近くにあったマイクを引き寄せ、中腰のまま話出そうとしたんだけど、 あまりにも無理がある体勢だったため、TAKUROが席を立ち有太さんがTAKUROの席に座って話し始めた。 「こんな大きいところで演奏できるなんて最高です!」それだけ言って立ち上がると、TAKUROから熱い抱擁で迎えられる。


続いてはJIRO。「俺なんてGLAYのベースやってなかったら、ちっぽけな男だったかもしれないけど」・・・このひと言で 客席からものすごい歓声がわいてきて、続きの言葉が聞こえなかった。あと2言3言付け加えると、じっと会場をみあげてて、 「ウンウン・・・」と小さくうなづいていた。


TAKUROは「昨日は感情が高ぶって思わずTERUからマイクをぶんどってしまったけど・・・」と前置きをして、 昨日の「つづれ織り」の前と同じ話をしてくれた。


そしてギターの弦の張替えが終わって準備万端整ったHISASHIにTERUが「準備OK?」と話を振る。 「昨日からずっと気になっていたんだけど・・・」とHISASHIがこちらを指さしている。 え?何??何??とHISASHIが指差す方向の延長線上にいる人たちがキョロキョロしている。


「あの"曙ブレーキ"って何の会社だろう?・・・・(重くて)すっげーききそう」


たったそれだけ・・・。でも会場大爆笑! どうやら東京ドームに出されている「曙ブレーキ」という企業看板をみて言っているらしい。 「曙ブレーキ」→「曙」→「元横綱の曙関」→「大きな体」→「重たい」→「ブレーキがよくききそう」という図式らしい。 いつもはTERUの天然具合におなかがよじれそうだったけど、今日はHISASHIに笑わせてもらった。 大きく脱線したけど、ようやく「Cynical」演奏スタートで本編に戻った。


メインステージに戻ったアンコール後半。ここからは「ピーク果てしなく ソウル限りなく」、「SHUTTER SPEEDSのテーマ」「ACID HEAD」とノンストップ。 HISASHIは華麗に舞うし、TAKUROは激しくエビゾるし、JIROは「昨日の方がもっとすごかったぜ!」と煽るし、 TERUは手をTシャツの内側に入れて、自分の胸元をまさぐるし、おへそは見えるし、もぉ、たいへんっ! 「確かジャンプ禁止なんだよな〜」と思いつつもジャンプをやめられなかった。


「ACID HEAD」を派手な特攻で締めて少し間をおくと、いよいよドームツアーのラストナンバー「南東風」。 今日もTERU先生のダンスレッスンが始まる。「みんな右手を上げて〜」でビシッとそろったアリーナ席や周りを見て夫が言った。


「お、俺もやらなアカン?」


「やってみれば?じっとしててもつまんないでしょ?」と返事をすると夫は「こぉ?」と右手を上げた!快挙だ! ステージ上ではTERU先生が「今日はこっち向いてやってみようかなあ」と客席に背を向け、ステージ上のビジョンに向かってポーズをとる。 ビジョンに客席の様子がまるでTERUのバックダンサーのように映り込んでいた。TERUの背中しか見えなくなるので客席からは軽くブーイング。 「いやいや、じゃあまずはこっち側の人ね」とTERUが花道より1塁側の人に向かってダンスレッスン。 その後3塁側にもレッスンをしてダンススタート!


「ビデオシューティングだからねっ!カメラさん!みんなの醜態をしっかり撮ってください!」


・・・と言った直後、言った本人が大きく派手に思いっきり間違える。 TERUの醜態ととびっきりキュートで恥ずかしそうな笑顔がビデオに収録されていることは確実でしょう。 アリーナ席を青い紙ふぶきが飛び交い、警備スタッフはやけくそ紛れにジャンプしてて、スタンド席はいっせいにタオルをまわす。 隣の夫はとうとうダンスはこなせなかったらしいけど、楽しそうに手をたたいてリズムをとっている。 ジャンプ!ジャンプ!ジャンプ!あっちもこっちも楽しそうに飛び跳ねていた。


「南東風」が終わり、サブステージ上でドームツアーを締めくくる最後のジャンプをした後、 TERUが白いジャケットを脱いで自分のマイクスタンドに引っ掛けてこう叫んだ。


「10年後、必ずこのジャケットを取りに戻ってくるからなっ!」


メンバーがいなくなったステージに、マイクスタンドに掛けられた白いジャケットがぼぉっと見える。 着席をうながすイベンターさんのアナウンスをかきけすような鳴り止まないアンコールの中、GLAYの3回目のドームツアーは終了した。 10年後、私もここに戻ってくるよ。


ライブが終わった後、水道橋駅の近くの飲み屋に入った。 ビールが底抜けにおいしかった。きっとメンバーもおいしいお酒飲んでるんだろうなあ、なんて私が一人でしゃべってた。 黙って聞いている夫に「もしあの4人の中の誰かと1日変われるとしたら誰がいい?やっぱりTERU?」と聞いてみると、 「あんな天然、いやや!」(失礼なやつ!)とバッサリ。


「でも・・・あの人、人気あるのわかるわ、絶対あのキャラはわざとじゃないやろ? なんか性格ってゆーか、雰囲気ってゆーか・・・絶対嫌いになれへんタイプやな」


だって。わかってるやん! この2日間、チケ代も往復の交通費も飲食代も全部私のおごりで、懐寒くしてまで連れてきた甲斐があったというもんだ。 ひとりGLAYファンを増やせた・・・かも・・・ね。

■ セットリスト ■

ホワイトロード
Freeze My Love
生きてく強さ
STAY TUNED
ここではない、どこかへ
Winter, again
Way of Difference
ずっと2人で・・・
BELOVED
GLOBAL COMMUNICATION
サバイバル
グロリアス
RAIN
SOUL LOVE
彼女の"Modern・・・"
誘惑
BEAUTIFUL DREAMER
時の雫
つづれ織り〜so far and yet so close〜

■ アンコール ■

HOWEVER
逢いたい気持ち
Cynical
ピーク果てしなく ソウル限りなく
SHUTTER SPEEDSのテーマ
ACID HEAD
南東風


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