セキノヨルタチ・・・ ■ ARENA TOUR 2000 "HEAVY GAUGE" ■


= 2000.04.16 in 名古屋レインボーホール =

混雑する原宿駅をさけて渋谷駅についたのは午後4時をまわっていた。 日曜の午後の渋谷は本当に人ごみにあふれ、右に左に人をさけながら急ぎ足で代々木に向かう。 会場の代々木第一体育館についたのは5時すぎだっただろうか? 物販には長蛇の列、 チケットを持っていない人が「チケット譲ってください」と書いた紙を高くかざして通りすぎる人をすがるように見る。 開場時間がすぎていたので入り口にはたくさんの人があふれかえっていた。 5時30分ごろ、会場に入って驚いた。狭い!とにかく狭い。 卵型をした会場の一番奥がステージだった。 小さい!何もない! 「まるで小学校か何かの体育館の舞台みたい」とは一緒にいった友達の言葉だが、ほんとに何もない。 見えているのは、まるでステージで演奏するメンバーをふちどるかのような、鉄骨(?)組のフレームだけ。 TERUが自分のラジオ番組などでさかんに「今回のセットはすごいんだよ」と言っていたので、 かなり期待していたのに、あまりにも何もないので、 ドームとか幕張とかの巨大セットしかしらない私はいささか拍子抜けした、ライブが始まるまでは・・・。

開演時間が刻々と近づいてきた。席もほとんど埋まっただろうか? 開演を待つファンのみんなはそれぞれ思い思いの服装とスタンスで開演を待つ。 やがてアリーナ席の照明が落ち、「きゃー」と大きな歓声があがって、いっせいに立ちあがった。 SEが流れると手拍子が起きる。 観客の中には私と同じように、今日が今年はじめてのGLAYのライブという人もいるのだろう。 みんな「どれだけこの日を楽しみにしてたことか」と言わんばかり、 やや体が前のめりに見えるのは気のせいなんだろうか?

おそらく次の瞬間、観客みんな、度肝を抜かれたことだろう。 あの何もないステージの後ろに巨大なモニターがあった。 並大抵の大きさじゃない。 あんな大きなモニターは見たことがない。へたすりゃうちの家より広いかも(^^j) 「巨大」というより「建造物のような」と言うべきかもしれない。 真っ暗なステージにはうっすらとスモークがたかれていた。 やがて、アリーナの前の方の席からまるで水紋のように歓声が広がり、メンバーが姿を見せた。 全員黒っぽい衣装。 HISASHIはいつもの通りアヤシイ雰囲気いっぱいで、ひざがチラッと見えていた。 いつもびっくりするような衣装やヘアスタイルのJIROもやはり黒。 ゆるくウェーブのかかった金髪が中性的なイメージかな? TAKUROは黒の長いコートを着ているが、襟元から赤いインナーが見える。 TERUはTAKUROよりもやや短い黒のコートを着て、JIROよりも明るい金髪だった。

1曲目はツアータイトルにもなっている「HEAVY GAUGE」。 右手でマイクを握り、左手はマイクスタンドの中ほどに添えて歌うTERU。 時にマイクスタンドを客席につきだすように、時にマイクスタンドに絡みつくように・・・。 曲の中盤で張り上げられたTERUの声は、ずっとまっすぐ進んで行くような気がした。 他のメンバーも所定の位置からほとんど動かず、観客も息を呑むように聞き入っていた。 2曲目はみんなお待ちかねの「FAT SOUNDS」。 軽快なギターのイントロが聞こえた瞬間、会場全体が爆発したよう。 すばやくマイクスタンドからマイクを抜き取ったTERUが体を「く」の字にしてシャウトするが、 「待ってました!」とばかりに「ひゃ───→っ」とシャウトする観客の声にかき消されて聞こえなかった。 もちろん、私もかき消したひとり・・・。 「だいたいオマエ気にいらねーっ!」ではTERUも諦めたのか、マイクを客席にむけて、 せっかくの聞かせどころを観客に譲った。 堅く握った拳を天井に突き上げ、日頃たまったウップンを吐き出したことは言うまでもないでしょ? この曲からは他のメンバーも右に左に走りまわる。 足の怪我が完治した(なおったんだよね?)HISAHSIが飛んだりはねたり踊ったり、 本当によく動いていたのが印象的だった。

ここでMC・・・と言っても、今日のライブでは「MC」らしい「MC」はなかった。 ここでも「みんな元気か!」と数回客席をあおった後、 「昨日はどちらかと言えば"聞かせる"ライブだったけど、今日は"ぶちきれる"ライブでいくぜー!」 と短いMCで3曲目の「誘惑」にうつった。 4曲目「ビリビリクラッシュメン」と激しい曲が続いた後、 数十秒の間があって5曲目は「生きがい」。 去年の「ミレニアムライブ」(LUNA SEAとの対バン)でこの曲をはじめて生で聞いたときは、 鳥肌が立つほど感動したが今回もやっぱり同じだった。 あのとき「みんなの生きがいって何ですか?僕たちの生きがいはライブをすることです」 とちょっと恥ずかしそうに言ったTERUの姿を思いだし、ぐっと目頭が熱くなった。

6曲目の「ここではない、どこかへ」の後、TERUがギターを持ち、再びMC。 「今度発売する新曲を昨日は"代々木の歌"っていう仮タイトルだったんだけどね、 今日の仮タイトルは・・・"ジャックダニエル"」 サポートメンバーSHIGEのキーボードから曲が始まる。 次の新曲の発売は夏頃の予定だと言う。 これは私の個人的な意見と前置きした上で言わせてもらえば、 「summer FM」っぽいさわやかなミディアム調の曲だった。 「恋は真夏のように〜」というフレーズが繰り返しでてきたように思う。

曲の終了とともにいったんステージの照明が全て落ちる。 少し間があって(TAKUROのキーボードを用意している)、やがてピアノの音が聞こえてきた。 8曲目は「HAPPINESS」。 この曲は個人的にかなり思い入れがあるので、最も聞きたい曲のひとつだった。 真っ暗なステージにピアノの音が響き、1筋のピンスポットがTAKUROを照らす。 やがて甘くかすれたTERUのハミングが重なって、もう1筋のピンスポットがTERUを照らす。 前半お休みのほかのメンバーの姿は見えない。 中盤に入って全員での演奏が始まっても照明は、黄色がかったピンスポットがメンバーそれぞれを照らすだけ。 曲の盛り上がりに合わせて、いろんな色の照明があてられたが、この曲の照明は実にシンプルだった。 曲の終盤になるとまたステージ全体の照明が落ち、ステージを囲むフレームを数本の光の筋が照らす。 それまで銀色の冷たい光を放っていたフレームが、黄色く浮かんで柔らかく見えた。 GLAYのライブと言えば、最新鋭の機材とテクニックで、 見ている全ての人をアッと驚かせるような演出がウリだと思っていたけど、 「HAPPINESS」に使われた照明は実にシンプル。 私は専門家ではないし、照明などの舞台演出にくわしいわけでもないから、 もしかしたら、裏でびっくりするような「ハイテク」が駆使されているのかもしれないけれど、 私にはとてもシンプルでわかりやすい照明だったと感じた。 必要最低限の演出で、最大限の効果を生み出す、照明さんの腕の見せ所だったのではないだろうか。 せっかくステージが真っ暗なんだから・・・と、私は途中で目を閉じて歌を聞いていたけれど、 いろんな想像を掻き立てられて、聞きがいのある1曲になった。 TAKUROがソロでピアノを弾く後奏では、再びピンスポットがTAKUROだけを照らしていた。



シーンと静まり返った会場内に再び聞き覚えのあるピアノの音が響く。 長い長いイントロのあと、9曲目は「LEVEL DEVIL」。 この曲は面白いアレンジがされていた。 テンポが速くなったり遅くなったり・・・うまく説明できないので、実際に聞いて感じていただきましょう。 ・・・というか、申し訳ありません。 この曲でぶっ壊れてしまった私は、ここから先はあまり覚えていません。 なんとか演奏した曲だけは思い出したんだけど、曲順は確かではありません。 予めご了承ください。 そして10曲目はなんと「月に祈る」。 昨日は「FREEZE MY LOVE」なんて懐かしい曲をやっていたけど、これも意外な選曲で驚いた。 メンバー紹介を兼ねた11曲目は「COME ON!」。 メンバー紹介もとてもあっさりというか、短かかった。 ドームツアーで見られたような、それぞれの長いソロや客席との掛け合いもほとんどなく、 「エンターテイメント」ではなく「ライブ」を目指す、とメンバーの誰かが言っていたのを思い出した。 12曲目「彼女の"Modern・・・"」はライブではすっかりおなじみの曲なので、 客席のあの手振りがばっちりそろっていて上から見ていると、気持ちいいほどだった。

そしてまた短いMC。 「それじゃ、ここで・・・」とTERUが話はじめたら、それまでざわざわしていた客席の音がピタっと止んだ。 びっくりするぐらい静かで、今日のライブではじめて「はははは・・・」と笑い声が聞こえた。 どんなにクールでかっこいいライブを目指しても、必ずどこかで「はははっ」と笑い声の聞こえるGLAYのライブ。 GLAYというバンドの普段の雰囲気とか、暖かさが伝わってきてうれしいね。 「さっきはさわやかな曲だったけど、今度のはクールでカッコイイ曲だから、ガンガン頭振っていいよ」 とTERUは続けた。 始めのTERUのMCは「行くぜー!!」「もっと揺らせー!!」 と言ってみれば「命令口調」のMCだったが、 ここでは「頭振ってもいいよ」と普段の何気ない会話のようになっていて、 TERUの人柄がかいま見えたようだった。 この曲のタイトルは「マーメイド」。 さきほどの「ジャックダニエル」とは違ったハードなナンバー。 私はこっちの方が好きだな。(GLAYのみなさん、参考にしてね)。

14曲目「サバイバル」を歌った後、「今日は本当に楽しいライブでした」とTERUが切り出した。 え?もうおしまい?時計を見ると1時間30分しかたっていない。 「みんなも感じてくれたように、次の曲がラストです」と続けると、 客席からいっせいに「いやだー」と声が上がった。 「今日のライブの想い出に、この曲を聞いて下さい、"Will Be King"」 ステージの背後にある巨大なモニターに真っ赤に染まった空が映し出されていた。 夕日か朝日かわからないけど、その後も海や空、ビルの明かりが美しい都会の夜景、 流れる雲などの美しい空の様子が次々にモニターに映し出されていた。 残念ながら私の席からモニター全部を見渡すことができなかったので詳しくお話できないが、 次のライブではもっと注目したい演出だった。

メンバーが裏に消えるとすぐにアンコールの声が上がった。 観客もお茶を飲んだり、イスに腰掛けたりするから、 アンコールの声は大きくなったり、小さくなったり、バラバラになったりしたが、 やがて声と手拍子がそろってきて、会場全体がそろってアンコール!!と声を張り上げる。 こんなに一生懸命呼ばれるとすぐにでもでてきたくなるよね、と思ったがメンバーはなかなか出てこない。 きっと裏で着替えたり、お茶を飲んだりしているんだろう。 アンコールが5分ほど続いたとき、ツアーTシャツに着替えたメンバーが再びステージに現れた。

「みんな、アンコールありがとう」とTERUが話しはじめる。 「そりゃ、電気がつかなかったら(アンコール)あると思うよね?」また小さく笑い声が聞こえた。
TE 「まあ、これは俺たちからみんなへの感謝の気持ちって言うか、プレゼントみたいなもんだから気楽にやってよ。 じゃあ、ちょっと懐かしめ曲やろうかな?これやるの久しぶりだよね」
といって始まったアンコール1曲目は「BE WITH YOU」。ほんと久しぶりに聞いた。 でも今回はアルバムバージョンとでも言うのだろうか、TAKUROが再びピアノを弾いていた。 「BE WITH YOU」のラストでJIROがステージ中央に出てきた。これは! 予想通りアンコール2曲目は「SHUTTER SPEEDSのテーマ」。 ひときわ歓声が大きく、1オクターブぐらい高くなったように感じたのは私の気のせいかな? アンコール3曲目の「口唇」はちょっと「I'm yours」っぽいアレンジのイントロ付きで、 いったい何が始まるのか、ワクワクした。 そして「次が本当にラストだぜーっ!」とTERUが客席をあおりまくった後、 「More Than LOVE」でライブは終了!するはずだった。

「ドーン」と大きな爆音がした後、メンバー全員が前に出てきて客席に手を振る。 北スタンド側、中央、南スタンド側・・・順番に両手を上げて歓声に応え、 名残惜しそうに深深と客席に向かって頭を下げてステージ裏に消えて行くのかと思ったら、 全員でステージの中央に集まって、何やらヒソヒソ話をしている。 何が始まるのかと思えば、みんなで再び楽器を用意する。 まるで狐につままれたような気分でステージを見つめる観客たち。 「今、PAでいったい何はじめるんだ?ってあわててるだろうね。」 頃合を見計らってTERUが笑う。

TE 「昨日、ライブが終わってからオフィシャルのBBSを見ていたらね、 目の病気かなんかで悩んでいる子がいて、 その子が"本当はライブになんか行ったらヤバイかもしれないんだけど、 どうしても見たいから、今日見に行きます"って書きこみをしてくれてたんだよね。 きっと今日、この会場のどこかで見てくれていると思うから1曲プレゼントします。」

会場から拍手が沸きあがった。 「何の曲がいいかな・・・」TERUが続けると、あちこちから「BURST!」と声が上がる。 会場全体が「BURST!」と盛り上がっている中、演奏された曲は「ACID HEAD」。 突然の思いがけないステキなプレゼントをもらったそのカキコの主は、 いったいどんな気持ちで「ACID HEAD」を聞いていたのだろう。 もしかしたらやっぱり会場にくることができず、家で悔しい思いをしていたかもしれないけれど、 あなたのメッセージはちゃんとメンバーに届いていたよ、と教えてあげたい。

■ セットリスト ■

HEAVY GAUGE
FATSOUNDS
誘惑
ビリビリクラッシュメン
生きがい!
ここではない、どこかへ
ジャックダニエル(新曲、後の「とまどい」)
HAPPINESS
LEVEL DEVIL
月に祈る
COME ON!(メンバー紹介付)
彼女の"Modern・・・"
新曲(MERMAID)
サバイバル
Will Be King

■ アンコール ■

BE WITH YOU
SHUTTER SPEEDSのテーマ
口唇
More than LOVE
ACID HEAD


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