キセキノヨルタチ・・・ ■ GLAY EXPO '01 "GLOBAL COMMUNICATION" ■
= 2001.07.29 in 東京スタジアム(現在は味の素スタジアム) =
暑い、暑い・・・ジリジリ肌がやけるのが良くわかる。
気温34度、弱風、晴れ。東京スタジアムのバックスタンドは西日がさしこんで、目もあけていられない。
日陰ではファンが少しでも涼しく、と座り込んでいる。
いつかどこかで見た風景。あの日から・・・あの笑顔に魅せられてから、ちょうど2年。
「オンタイムで開演しますから、席についてください」と係りの人の声がして、私の回りの席の人たちも続々と帰ってきた。
そのとき、目の前がフッと暗くなった。それまで容赦なく照り付けていた太陽の光が、厚い雲にさえぎられた。
まぶしくて頭からタオルをかぶったり、手で光をさえぎっていた人々から安堵の声がもれてきた。
GLAYマジック?心配だった台風の影響もなく、初日は涼しいぐらいの天気の中でのライブ。
今日は晴れて暑くなったが、開演と同時に陽がかげって風が心地よく吹いてきた。
潮のにおいはしなかったけど、あの時と同じようにみんなの日焼け止めクリームの匂いがした。
今回のライブのタイトル曲「GLOBAL COMMUNICATON」のイントロが流れる中、
「GLAY EXPO 2001」スタートのお祝いメッセージが各界著名人から贈られる。
トップバッターは石原都知事。会場から「おお〜!」と感嘆の声があがる。
ガレッジセール・オセロ・ウッチャンナンチャン・いかりや長介・志村けん・関根勤・小堺一機
といったお笑い界のメンバーが次々登場するかと思えば、
一方でサッカー選手や野球選手、俳優・女優、もちろんミュージシャン仲間(ネバマイ含)もいる。
D・I・Eさんも元気な姿を見せてくれた。
挙句の果てにはホンダの2足歩行ロボット「ASIMO」くん、バーチャルアイドル、アニメの主人公、
メンバーの健康管理を一手に引き受ける病院の先生や看護婦さん、TERUが通う大阪の歯医者さん、
街のホットドッグ屋サン、たいやき屋サン、サーカス団、小学生、担当イベンターさんのご両親まででてきた。
どこまでがお友達がしらないけれど、快く「がんばれ」メッセージを寄せてくれた人の顔をみていると、
だんだんとワクワクした気持ちが湧き上がってくる。
ラストはダウンタウンの二人で「HEY HEY HEY」の収録中にTERUのビデオカメラで撮影されたメッセージが流された。
短いSEのあと、黒いスーツに白いシャツ、黒のリボンタイを結んだTHE PINK SALMONSのメンバーが無表情で登場。
・・・といってもTAKUROとHISASHIとJIROなんだけど、あまりの無表情さがかえって滑稽だった。
何の動きもなく、直立不動の状態で演奏をはじめると
「フルメイク・フルもみあげ・フル憑依」のTELVISがギターを抱えて登場。
観客は正直いって、1歩も2歩も引いた感じだった。
そでに長さ1mぐらいありそうなフリンジ(?)のついた白のジャケットに白のパンツ、白のウェスタンブーツ。
「こんばんは、TELVISです。みんな〜、今日は俺のためだけにきてくれてありがとう。でもなんか少ないね〜。俺は普段はこの100倍ぐらいの観客の前でリサイタルをしてるからぜんぜん緊張なんかしてないぜ〜」
(かなり違うかもしれないけど、こんなことを言った)
TELVISも「滑ったー」と思ったのか?
この後、少し演奏をして「GOOD MORNING N・Y・C」後ろのTHE PINK SALMONSのメンバーはひたすら無表情。
その前で腰をくねくねしながら歌い踊るTELVISはまさしく「フル憑依」(笑)。
歌い終わるとギターに上着の袖のフリンジがひっかかってしまったらしく、
わざとアクション大きめに右腕を振る。
観客の冷めた(・・・というかついていけない?)笑いを聞いたTELVISはいたくご立腹だったようで、
ギターのTAKUROの元に近づいていって耳打ち。
「TELVISはこう言っています、選挙には行ったか?」
TAKUROがあくまでも無表情で事務的に通訳(?)してくれる。
この日は参議院選挙の投票日。
私は前もって不在者投票にいきましたが、 TELVISさんは日本の政治動向についても興味がおありのようでした。
「あ〜、俺は今日、友達のGLAYっていうバンドに頼まれて、 1000万のギャラでリサイタルをすることになりました。
自家用コンコルドでやってきたんだけど、1000万じゃ俺のたばこ代にもならないぜ〜」
さすが世界のTELVISさん、きっとたばこが純金でできていたりするのでしょう。
どうもいまひとつついてこない客席にいらだつTELVISはまたスポークスマンTAKUROに耳打ち。
「TELVISはこう言っています。俺に恥をかかせる気か?」
いやいや、とんでもないです。でも、ちょっとびっくりしちゃったもんで・・・。
その後、ご機嫌をなおしたTELVISは「俺の好きな極上のバラードを集めてみたんで、聞いてくれ。今夜ははなさないぜ〜」
この言葉に目を覚ましたような客席からまさしく「黄色い」歓声がとんできて「TELVISのバラッド」を歌ってくれた。
いつだったかTAKUROが「RADIO FACTOY」で「TERUの"TSUNAMI"はすばらしかった、今度歌ってもらいましょう」と
勝手な企画をたてていたけれど、ここに来て実現。
GLAYの曲を中心にサザンの「TSUNAMI」と「真夏の果実」も歌ってくれました。
サザンも大好きな私としてはうれしくてうれしくて。「TELVISのバラッド」を歌い終えたあと、
再び軽く演奏しながら変なステップを踏みつつ舞台袖に消えたTELVIS。
すぐに戻ってきて最後の挨拶をして帰っていきました。帰りの飛行機に間に合わないそうなんで・・・。
「Thank you〜!」と後ろを向いたTELVIS・・・後頭部がっ・・・ハゲていた。
細かい演出・・・気づいていない人の方が多いのではないでしょうか?
その後を追うように最後まで無表情のTHE PINK SALMONSも退場。
画面に「TELVIS FOREVER」とTELVISのブロマイドがアップになって、お祭りのコーナーは終わったのでした。
しかしあまりもの「フル憑依」っぷりにこのあと「GLAYのTERU」に戻れるのか、ちょっと心配になったりして。
約10分間の休憩。再びSEとともにドラムセットの裏側から登場したGLAY。
TERUは金髪でスカイブルーのジャケット。襟の部分にたくさんの缶バッジがついている。
中に白地の黒で「CANDY STRIPPER」と書かれたWネームTシャツをきて、
ボトムスはおなじみになったチェックのエプロン風のスカート(?)とパンツ。
TAKUROはAXのライブのときと同じ外ハネ銀髪。
くるぶしまである長いスカイブルーのコート、しかもラメつき。
なかにゼブラ模様(よく見るとなんかアルファベットが書いてある)のタンクトップを着て、明るめのパープルの皮パン。
頭にはコートと同じ色のテンガロンハット。しかも孔雀の羽つき、グリーンのリボンつき、パッチワーク風。
なんだか「ちょっと勘違いしたロビンフッド」のよう。(それでもかっこいいと思うのはTAKU組だから?)
JIROは長かった金髪を少しきって、真っ赤なサッカーのユニフォーム。
胸に白で「SHATTER SPEEDS」と書いてあり、ボトムスも赤いパンツに赤いハイソックス。
どっからみても「ベーシスト」というより「サッカー少年」。
HISASHIは・・・なんというのでしょう?
赤い髪、前身頃のすそが段違いになってるきれいなスタイルの赤いチャイナ。
中に黒い長袖インナーを着ている。うまくいえないので、スポーツ紙など見ていただきたい。
「STAY TUNED」からライブが始まった。
♪バスに揺られて、ジェットに乗って、それぞれに好きな服をきて〜
TAKUROも「みんなもそう思ってくれると思っていた」と話す GLAYのライブに来る人たちを象徴するような歌詞。
99年のエキスポでも幕張の駐車場をぐるりと囲んだツアーバスの列!
東京駅はひと目でGLAYファンとわかる子達がウロウロしていて、
幕張駅から会場につづく道は人、また人・・・。
ちょうど東京八重洲口のホテルに宿泊した私は、帰りに通りかかった八重洲口の夜行バス乗り場で、
地方に帰っていくファンを見ていた。
念入りにほどこしたはずの化粧も日焼け止めももはや意味をなさず、
鼻や頬骨などでっぱった部分は日焼けして真っ赤っか。
シャワーを浴びるすきもなかったはずなのに、みんなとてもすがすがしい顔をしている。
日本全国から、いやもしかしたら海外からも電車やバス、飛行機もしかしたら船もありかな?
この日のために一生懸命仕事や、勉強や日々の生活を送り、
それぞれの希望や期待に胸をワクワクさせながら会場にあつまってくる人たち。
「ライブがあるかららがんばれる」そういって胸をはる人々。
私自身を含めて、そういう時間を持っている人たちの集中力と瞬発力の強さに圧倒される。
「グロリアス」「More than LOVE」と続いてMC。
「YEAH!東京スタジアム!正真正銘のGLAYです!
みんな〜、もうばててる?GLAYのパワーに負けてないか?
押されてないか?君らは5万人だよ。俺たちは6人なんだよ。どんどん盛り上がっていこうぜ〜!」
そういうTERUはすでに汗びっしょり。
「Super Ball 425」「MERMAID」と激しいナンバーが続く。
いくら陽がかげっているとはいえ、真夏の野外ライブはちょっと飛び跳ねただけで汗が流れ落ちてくる。
同じ「汗をかく」という生理現象でも出勤の途中にかくのと、
ライブで飛び跳ねてかくのとではこうも感じ方がちがうのか。
汗が首筋を伝う感覚も、Tシャツが背中にぴったりくっつく感覚も、
隣の人と肌が触れるときのベタベタした感じも、
みんな「またライブに参加してるんだ!」という証明のようで気持ちいい。
ふたたびTERUのMC。
「ちょうど2年前に幕張でやったときもそうなんですけど、
今日もこんなに大きな会場で5万人もの人に全国から集まってもらってうれしいです。
中にはね、ここにくるまですごくたいへんだった人もいると思うんだけども、
今日は思いっきり楽しんで、夏のでっかい思い出を作っていってください。
それじゃ、次は前回の"HEAVY GAUGE"ツアーの時からとても大切にしてきた曲があります。
それを聞いてください。ひとひらの自由」
確かSHIBUYA AXのシークレットライブでも「ひとひらの自由」を歌うとき、
今日と同じように「とても大切にしている曲」だとMCしていた。
「HEAVY GAUGE」ツアーのファイナルの際に「21世紀のGLAYの活動を占うような曲」だとTAKUROも言っていた。
シーンと静まりかえった会場内、曲は「pure soul」へと続いた。
だんだん薄暗くなっていく空。冷たさを増す風。
大好きな人が心の底から搾り出し、身を削る思いで書き綴った心をふるわせる言葉たち。
その言葉たちを心地よい風に吹かれながら噛み締められる幸福。
私の周りには大勢の同じ思いの人がいて、痛いほどその気持ちが伝わってくる。
今いる自分を支えてくれた人、この歌が聴こえてるだろうか・・・
今日、私がこのライブに参加できることになったのには、たくさんの人の協力があった。
もちろんすべてが円く収まっているわけではないのだけれど。
「そんなに夢中になれるものがあるっていいね、うらやましいよ」といって笑う職場の先輩にこの歌を聞いてもらいたい。
どんなに言葉をつくしても、24時間熱く語っても、今の私の気持ちは1/100も伝わらない。
でも、朝早くからこの会場にきて、みんなと同じ風に吹かれながらこの歌を聴いたら半分くらいは伝わるかもしれない。
理解してほしいとは言わない、感じてほしい。
「私たちにはこんなにすばらしい空間・時間がある」ということを。
「ひとひらの自由」を歌った後も、「pure soul」を歌った後も、
TERUは腰を90度にまげて深々と頭を下げた。
手をまっすぐ伸ばして、「気をつけ」の姿勢から足に手を沿わせて90度の最敬礼。
あまりほかのアーティストのライブは見たことがないのでよくわからないのだけれど、
ここまで深くお辞儀をするロックバンドのボーカリストってほかにいるのだろうか?
普通だったら「Thank you!」と叫んでおしまいだと思う。
でもTERUはいつも最敬礼。そんなところがファンの胸をうつのかもしれない。
ステージの照明が落ちて、ほんの少しだけ時間があった。
JIROの地を這うようなベースの音がしたあと、会場にいっせいに照明が落ちる。
まだ完全に陽が沈んだわけではないけれど、確実に暗闇が空にしめる割合が多くなってきた。
「Back-Up」「carry on!(「VIVA VIVA VIVA」タイトルはどっちが正しいんだろう・・・)
「ROCK ICON」と再び激しいナンバーが続けばせっかくクールダウンした体もすぐにヒートアップ。
バッタンバッタン上半身を倒しながらヘドバンしているTAKUROを見ていると
TERUが後ろを横切ってステージ袖に消えた。
JIROがベースを弾きながら中央にでてきた。
「Yeah〜!東京スタジアム〜!盛り上がってるねえ〜。俺の衣装どう?」
JIROは真っ赤なサッカーのユニフォームの上着の胸のあたりをパタパタさせる。
「赤ってさ、浦和レッズみたいだよね?ここをホームグラウンドにしてるチームの色じゃなくてごめんなさいっ。
でも、東京スタジアムでライブをするのって俺たちが最初なんだけど、
柿落としができてうれしいです。昨日もすごい盛り上がったけど、
今日もそれ以上に盛り上がって、この後もどんどんここでライブができるようにしようぜっ。
あ・・戻ってきた」
いったん袖にさがったTERUは上着を脱いで戻ってきた。ここでJIROとMC交代。
「え〜、今回もねえ、ライブをやるにあたってどの曲をやろうか悩んだんだけど、
久し振りにこんな曲を聞いてもらいたいと思います。May Fair」
意外な選曲に会場から感嘆の声があがる。
確かに季節はずれではあるけれど、次の「SPECIAL THANKS」とともに、
ぽっかりあいた空に吸い込まれていくような声だった。
再び会場とステージの照明が落ちたとき、空は真っ暗だった。
いつのまにこんなに暗くなったんだろう。
ステージ中央よりもやや定位置よりのところにいるJIROにスポットがあたり一気にペースアップ。
「ビリビリクラッシュメン」でTERUが背中越しに自分の体を両手で抱きしめるようにすれば、
TAKUROは足元に置かれているカメラに顔を近づけて小さくKiss!
JIROとハモるTERUはJIROの肩に手をまわして・・・というより、 JIROの首根っこをひっつかまえるような勢い。
TERUの前髪がJIROの目に刺さりそうで、ちょっとJIROが気の毒だった。
そのまま「COME ON!」になだれ込んで、私は頭の血管切れそうだった。
今度はTAKUROがTERUの「前髪攻撃」の餌食になった。
鳥が翼を広げるように会場の端まで伸びる長いステージをTERUが全力疾走する。
中央に戻ってきたTERUが胸をはって腰に手を当てていう。
「このステージね、だいたい長さが130mぐらいあるんだけどね〜・・・まだまだやれるじゃなーいっ!」
小学校の運動会で1等賞をとったこどものようにニコッと笑う。
調子のいいときのTERUはMCまでハツラツとしているね。
何を話していいかわからないときは「あ〜」とか「え〜」といった言葉が多くなるんだけど、
調子がいいときはすごく良くしゃべる!それも函館なまりで!
おかげでこちらはレポがたいへんです。
「次の曲は・・・えっと、今回のGLAY EXPOは"GLOBAL COMMUNICATION"ってタイトルでやってるんだけど、
みなさん、GLOBAL COMMUNICATIONしてますか?」
このあともまったりといっぱい話てくれましたが覚えきれませんでしたっ。
最後に「ONE LOVE」の精神で盛り上がろう!とシャウトしてました。
はじめて「TERU ME」でこの曲を聞いたとき、申し訳ないんだけど「タイトルの割にはこじんまりした曲だなあ」と思った。
だけどCDが発売され、聞く回数が増え、PVもみると、自分の認識の甘さを思いしらされた。
ごめんなさい、GLAYのみなさん。すごい壮大な曲、SHIBUYA AXで初めて生できいたとき改めて思った。
わざとかどうかわからないけど、ライブだからといってあえてテンポアップすることなく
どちらかといえば一音一音確かめるような感覚で、
その場にいるみんなと「ONE LOVE!」と叫べばそのとき感じた一体感が「GLOBAL COMMUNICATION」の第一歩なのかもしれない。
世界を股にかける商社マンも、小泉首相も、田中外務大臣もコミュニケーションの基本は個人対個人。
お互いに理解しあい「ONE LOVE」をつなぎあわせていけば、
それがいづれ「GLOBAL COMMUNICATION」になるんだね。
メンバーと一緒に会場のみんなで大合唱する歌声がスタジアムの上空を突き抜けて、
世界中に広がっていくようだった。
そしてまたまたハードナンバーが続く。
「2年前のエキスポを思い出そうぜ〜!」と「サバイバル」。
その後JIROがでてきて会場を煽りまくって「SHUTTER SPEEDSのテーマ」。
切れ間なく「誘惑」とつづいてTERUの大ジャンプで本編終了。
私の頭の中にはHISASHIの記憶がほとんど残ってなくて HISAファンの人にはたいへん申し訳ないんだけど、
JIROは今回もジロウズジャンプ炸裂しまくりで、どこまでも楽しそうだった。
メンバーが舞台裏にきえて、会場もステージも真っ暗になった。
すぐさま「アンコール」の声があがったけれども、それはあまり長くは続かず、
特にスタンド席の人たちは疲れたのか、それぞれの席に座り込んで、水分をとったり、
隣の友達と感想を話し合ったりしていた。
その後も「アンコール」の声が大きくなったり、小さくなったり、一気にそろったり、またバラバラになったり・・・。
5万人というその場にいる大勢の人たちの行動をひとつにすることの難しさを感じていた。
あの「GLOBAL COMMUNICATION」や「誘惑」で感じた一体感はなんだったんだろう。
そのまま5分ほどすぎた。すっかりくつろぎモードに入っていた私にものすごい歓声が飛び込んできた。
北スタンド(ステージ正面の席)のややTAKUROよりの席にいる人たちが一斉に立ち上がって両手を挙げている。
ウェーブだ!! そのウェーブはそのままTAKURO側のステージサイドを目指して走り始めた。
途中にある関係者席はちょっとよけて、客席の一番端まで届いて折り返してきた。
「おおおおおおおおおっ!」地響きのような歓声があがる。
そのとき真っ暗だった客席後方の照明がともる。
ぼんやり浮かぶスタンド席をウェーブが通過する。照明さんの心にくい気配り。
メインスタンド・北スタンド・そして私がいたバックスタンドまで波は押し寄せ、
通りすぎては再び重低音を響かせながら戻ってきた。
あちこちでタオルやうちわやTシャツや荷物や・・・いろんなものが飛び上がっていた。
アリーナの人たちはほとんどの人が立ったままアンコールが始まるのを待っていたので、
なかなかウェーブがおこらなかったが、しばらくスタンドのウェーブを観察したあと、
HISASHI側最前列のあたりから小さな波が起こってきた。
「おおおおおおおお〜っ!」再び大歓声。
アリーナもスタンドもウェーブが端までいって折り返してくるたびに「おおおおおおお〜っ!」と重低音の大歓声がわく。
スタンド席を駆け抜けるウェーブと同じように、地鳴りのような大歓声が波となってよせてはかえす。
手拍子・歓声・ウェーブ・・・どれもこれも自然発生。
誰に指揮されることもなく、そこにいたみんなが心の底からの笑顔を浮かべて自分たちの力でライブを盛り上げている。
「こんなに盛り上がったら・・・メンバー、出てきにくいんじゃない?」思うほどだった。
大きな東京スタジアムのスタンド席をウェーブが何周も駆け抜けたあと、ようやくメンバーが登場。
TERUとTAKUROは黒地に白でネームの入ったCANDY STRIPPERとのWネームTシャツ。
TAKUROはノースリーブのリーダー特権バージョン。
JIROは白地に黒で自画像?の入った自作のTシャツ、
HISASHIはFCでも販売されたbinaryとのWネームTシャツ、白バージョン。
JIROが中央にでてきてMCする。
「すっごい盛り上がってたねえ。
あのさ、おれさ、裏でこうやって(カーテンをほんのちょっとあけて覗くしぐさ)みてたんだけどさぁ〜、
・・・だめだよぉ、みんな。GLAYのライブで盛り上がろうよぉ」
(会場大爆笑、もちろんメンバーも)
「なんかさ、ライブより盛り上がってなかった?」と続く。
確かに・・・ライブより盛り上がってたかも知れない。
「なんだよ〜、あとでみんなでやろうと思ってたのに、先にやられちゃったよ。」
TERUがスネている。
「昨日さ、TELVISさんもやってたけど、思いっきりバラバラだったんだよね?
だから今日は最後にみんなでやろうと思ったのにぃ。」
会場からのブーイングを受けてTERUが続ける。
「最後にみんなでもう1回やろうね、あっ、盛り上がったら・・・だよ。盛り上がったらね」
ここまで盛り上がってしまった客席・・・この後盛り上がらないわけがない。
アンコール1曲目はTERUもアコギで参加して「Good Bye Bye Sunday」
この曲、HEAVY GAUGEツアーでもあまり聞いたことがなかったのだけれど
、やはり屋内で聞くのと、屋外で聞くのでは雰囲気がちがった。
とてもすがすがしい気分、次回はもっと明るい時に聞きたい。
少し時間があって、TERUがアコギをスタッフに手渡した。マイクスタンドを両手で包み込むように握りしめる。
静かになった会場にやさしいピアノの音が流れる・・・。 HOWEVER。
となりで友達が感極まっているみたいだ。
「良かったね」と声をかけるべきか・・・でも、ここはそっとしておいて心ゆくまで浸らせてあげたい。
マイクを両手でつつみこんで、首をやや傾けて、眉間にしわを寄せて、ややかすれた声で歌うTERU。
とても心のこもった「HOWEVER」
誰も声をださない。物音ひとつ聴こえない。呼吸するのも忘れているようだ。
背後のビジョンに目を閉じて歌うTERUがアップになっている。
そして・・・ハプニングはおこった。歌が2番にはいったとき・・・TERUが歌詞を飛ばしてしまった。
続きが思い浮かばないらしく、「あっ・・・やっちゃったぁ」と顔を両手で覆い、
金髪をくちゃくちゃにしている。その後は無難に歌い、
マイクスタンドをドラムセットの前において、水を飲んだ。
少し、リラックスした気分。「WET DREAM」に続いて、「生きてく強さ」。
どんなに強烈な印象も、インパクトのあるできごとも、時間とともに記憶は薄れ、
やがて色あせてセピア色になってゆく。
でも「生きてく強さ」は違う。
いつ聞いても、何回聞いても胸をうつメッセージは新鮮で、強烈。
今まで何度となくライブで聴いたこの曲、私の記憶に残っている「生きてく強さ」はいつまでも色鮮やかだ。
全員で「生きてく強さ」の大合唱。
いつもなら、隣の友達と抱き合わんばかりの勢いで大泣きしている私だけど、
今回は泣いてるヒマなんてない。楽しい!楽しい!楽しい!
ドリカムに「うれしい!たのしい!大好き!」というタイトルの曲があるけれどまさしくその気分。
GLAYファンでよかった、今日来てよかった、今の気持ちを誰かに大きい声で伝えたい!
勤めている会社からマイクとアンプとBOSEのスピーカかりてきて、
TERUみたいにスピーカに足をのっけて、フルボリュームで「たのし〜い!」って叫びたい。
曲はそのまま「ACID HEDA」になだれ込み、久し振りに足つりそうな思いでジャンプを繰り返した。
昨日までのイライラも、職場のイヤなヤツの顔も、これからの仕事のことも、みんな吹っ飛んでいった。
息がきれる・・・TERUもめずらしく肩で息をしていた。
何かしゃべろうとしていたけれど、すぐにTAKUROにふった。
TAKUROは一瞬、「ん?」という顔をしていたけれど、用意されたキーボードを前に、椅子に座りなおして語りはじめた。
「俺たちGLAYもずいぶん長いこと活動してきて自由にやらせてもらってるんだけど、
いろんなことがあったり、いろんな人にあったり、勉強させられたりしてます。
最近ではいろんな悲しいニュースとか、腹が立つニュースとか、難しいこととか耳にするけど、
オレはね、もっとHappyなニュースが流れてもいいんじゃないかとおもいます。
俺は曲を作るとき、自分の心を癒すために詩を書いているんだけど、
これからもいい曲をつくってそれをみんなに聞いてもらって・・・ってそれだけじゃなくてね、
それから先、その曲を使って何かできることはないかなあって思うようになった。
GLAYの曲をきいてね、あ、別にGLAYじゃなくてもいいんだけど、
音楽でみんなの心をHAPPYななにかで満たすことができれば・・・。」
「俺って、昔から音楽が得意っつーか、音楽しか脳がない男だったから。」
客席から拍手が沸きあがる。
背後のビジョンにアップになっているTAKRUO 長く伸びた前髪の隙間からのぞく両目がなんだか照れくさそう。 MCは続く。
「ごめんね、しゃべりがヘタで(照笑)
俺ね、今回の北海道の展示ブースの方でね、いっぱいラジオ局のブースがあるんだけど、
その中のひとつの局の人にね、"願いごとを絵馬に書いて展示してください"って言われてさ、
"もっとしゃべりがうまくなりたい"って書いたんだ(笑)」
会場からも笑い声が起きて、さらに照れくさそうに笑う。
でもちょっと目がうるんでいるように見える。
泣きそうになっているのを必死でこらえているのかもしれない。
「そうそう、今回なんでこのエキスポを東京からスタートさせたかってゆうとね、
東京ってやっぱり日本の情報発信地でしょ? なんでも東京からはじまるし・・・
それは俺たち、北海道に住んでたからよく知ってるのね。
だからね、今回エキスポを東京からスタートさせることによって、
俺たちがこれからやろうとしていることや、伝えたいことを早く発信するために東京からスタートすることにしたんだ。」
東京からツアーがスタートしたりすることに、何か意味があるなんて思ってもみなかった。
北海道や九州の盛り上がりに対して、ちょっと弱いんじゃない?と思っていた私はちょっと恥ずかしい気がした。
まだまだ何もわかってないのかなあ。
再び拍手が起きて、「ありがと」って感じで客席をみているTAKURO。
一息ついたかと思うと、突然声をだした。
「うん・・・俺ね、なんかちょっとだけ勇気でた。
みんなの笑顔をココから見てると俺たちが今までやってきたことは間違いじゃなかったんだって確信した。
ありがとう!それじゃあ、次が本当に最後の曲だから、心をこめて演奏します。」
HEAVY GAUGEツアーのラストに搾り出すような声で自分の弱い部分をさらけ出したTAKURO。
あのときの不安げで寂しげな目はどこへやら。
唇を真一文字にキュッと結んでキーボードに向かうとマイクをグッと自分の方に引き寄せて
「I'm in LOVE」を演奏し始める。
SHIGEさんとはちがって、全ての音符がフォルテシモ。
ギタリストらしいといえばギタリストらしいかもしれない。
2年前の光景がよみがえる。
2年前のあの日、私がいたブロックはアンコールステージのすぐとなりのTAKURO側。
ブロック最前列にいた私からは佐久間さんとTAKUROしか見えなかった。
どこまでも広がる人の海を眺めるTAKUROは本当に幸せそうで、
子供のころからの夢を実現させた達成感みたいなものがあふれ出ていた。
「TERUが見えないよぉ・・・」ってちょっと文句言っていた私だけど、
次第にあの笑顔に引き寄せられて、いつしか目が離せなくなっていた。
あれからもう2年・・・こんなとこまで来ちゃったよ(^^j)
TOSHIのリズムだけを頼りにみんなで歌う。
北海道や九州で待っている人たちにも、残念ながら今回は参加できない人たちにも届けばいいなあ・・・と思う。
私はこんなに楽しかった、きっとみんなも楽しいはずだよ。
今回来れなかった人たちは次回は必ず、一緒に楽しもうね。
意外とさっぱり終わったしまった「I'm in LOVE」これでおしまいかあ・・・とちょっと寂しくなった。
ステージ中央にメンバー全員が集まってきた。
「みんなにお願いがあります!今日はすごいいいライブで俺もすごい楽しかったんだけど、
心のこりがあるのはイヤなので、"HOWEVER"・・・もう1回歌わせてくださいっ!」
TERUの声に客席からひときわ大きな拍手が起こった。
TAKUROの周りに全員集まってきて、しばらく何か相談をしていた。
「HOWEVER」・・・言うまでもなくGLAYの代表曲。
きっとこの曲に特別な思いを抱いている人も多いはず。
TERUだって、同じ思いだろう。そんな人たちに「ごめんね、歌詞とんじゃった」で済ませられるわけがないし、
プロとして彼自身も許せないんだと思う。
再びマイクスタンドに向かって、気持ちを込めて歌っている。
TAKUROのずいぶんと規模の大きな、どちらかといえば抽象的な話とちがい、
TERUの言葉はとても具体的だ。
「今日、こんなに楽しかったから、ヨーシ、明日からがんばるぞっ!」
TERUの言葉を聞いているといつも思う。
「天然」と言われる少年のようなpureな笑顔の間に、時折垣間見える「プロの顔」、
歌に対する「真摯な姿勢」・・・歌い終わると一歩後ろにさがって、再び深々と頭をさげた。
静まり返った会場に余韻がひろがる。
TERUが歌い終わるのを待っていたかのように TAKUROがマイクをスタンドから抜き取るとこう言った。
「俺、自信が沸いてきたよ。
今までやってきたことは間違いじゃなかったし、みんなの思いもちゃんと届いたよ。
これから俺たちは北海道・九州とまわってくるんだけど、
きっとみんなにとってもいい結果になるようにがんばるからっ!
みんなの気持ちはちゃんと届いたからっ!ありがとう!」
うれしかった。 HEAVY GAUGEツアーのラストのTAKUROはほんとに痛々しいほど何かに打ちのめされているようで、
こんなに遠くちゃ何もしてあげられない、と思っていた。
TAKUROの寂しさも、心の痛みも、怒りも、悲しみも・・・受け止めるだけで精一杯で何もできない。
「私たちファンが、その孤独を癒すことはできないんだろうか」と思ったけれど、そうではなかった。
なんだかこんなに遠くてもちゃんと私たちにだって、できることがあるんだ。
それがわかって本当にうれしかった。
ステージを降りがたそうにステージの端から端まで手を振ったり、
タオルやピックを投げたりしていたメンバーたちだったけれど、
誰からともなくステージ中央に集まりドラムセットの横あたりで、最後にひとりずつ自慢のTシャツをアピールしていった。
TERUはキャンディストリッパーとのWネーム、 HISASHIはBinaryとのWネーム、
JIROは自らデザインしたTシャツ。一通り自慢すると大きく手を振りながらステージを降りていった。
一番最後に唯一、自分がデザインしたTシャツではなく、
TERUデザインのTシャツを着ていたTAKUROはドラムセットの横よりちょっとだけ前にでてきて、
得意の大きく両手を横にひろげるポーズをして歓声に応えていた。
胸をはって大きく目を開いて、会場を見ていた。
そして客席に背をむけ、舞台裏に向かうため歩き出した。
客席からTAKUROの姿がみえなくなる寸前、背を向けたまま左手で「ばいばい」と手を振っているのが見えた。
客席では大きな拍手がいつまでも続いていた。
今ごろステージから続く階段を下りながら、待ち受けるスタッフたちとハイタッチを交わしていることだろう。
いつもの通り、ビジョンには今回のエキスポにかかわった多くのスタッフの名前が並んでいる。
文字が小さくてひとつひとつ読むことはできない。
ロールアップしていくスピードもかなり早い。それだけたくさんのスタッフがいるのだろう。
ぼんやりビジョンを眺めているとメンバーからのメッセージがあった。
あわててオペラグラスを用意したが、それでも遠くて見えなかった。
「僕たちは・・・」で始まる文章。長さは15行ぐらいだったように思う。
一番最後に「また会いましょう。再見・・・」と書いてあってそのあとアジアの言葉が並んでいた。
とても幸せだった。あっという間のできごとだったけど、ライブが終わってしまった寂しさはなかった。
Happyな気持ちでいっぱいだった。
私は今回のツアーは今日でおしましだけど、次のツアーの会場で必ず待っているから・・・。
最高の笑顔でまた会おうね。
keep on smiling
石原都知事、ジャッキーチェン、アップルコンピュータ社長などなど、さまざまなメンツが勢ぞろい
「TELVISのテーマ」
「GOOD MORNING N.Y.C」
「TELVISのバラッド」
(TSUNAMI・生きてく強さ・春を愛する人・I'm in LOVE・真夏の果実・とまどい・HOWEVER etc・・・のワンフレーズメドレー)
STAY TUNED
グロリアス
More Than Love
superball 425
MERMAID
ひとひらの自由
pure soul
BACK UP
carry on!((VIVA VIVA VIVA)
ROCK ICON
MAY FAIR
SPECIAL THANKS
ビリビリクラッシュメン
COME ON!
GLOBAL COMMUNICATION
サバイバル
SHUTTER SPEEDSのテーマ
誘惑
GOOD bye bye SUNMDAY
HOWEVER
WET DREAM
生きてく強さ
ACID HEAD
I'm in LOVE
HOWEVER〜アコギver.
<< Back