Live Report
−GLAY EXPO 2004を思う存分楽しんだレポート−

GLAY EXPO 2004 "THE FRUSRATED"

待ちに待った2004年7月31日午後5時30分、天気くもり。 10万人のカウントダウンが奇跡の夜の幕開けになった。 いや、朝から、台風がそれたときから「奇跡」は始まっていたのかな。 オープニングムービーは15分にわたる超大作。 ムービーが終わるとステージセットの一番高いところにスモークがたちあがり、 TERUが姿をあらわして、40m下をめがけて飛び降りた。(もちろんワイヤーはついてる) 思わず「うわっ」と両手で目を覆った。 「大阪〜!行くぜ〜」 着地とともに「誘惑」のこぎみよいドラムの音が響いてライブスタート。

10万人で振り上げる腕も、少し緊張気味のメンバーの表情も もちろんステージのメイン画面でしか見えないんだけど、 みんなでライブを成功させようという気持ちがとてもとても近くにある気がした。 前半はシングル曲を中心の構成。 途中のMCでTERUがメンバー全員に今日の10周年を迎えた感想を聞いた。 TOSHIさんがマイクを向けられたときに「この場を借りて10周年おめでとう」と言った。 なんだか律儀な人だなあと思った。 TERUも「TOSHIは今年20周年だそうでおめでとうございます、 この人がいたからここで俺たちが(ライブが)できるんだと思ってます」といって頭をさげた。 10年たっても変わらないもの、TERUは「みんなとGLAYの笑顔」だと言ったけれど、 有名になっても変わらないメンバーの飾らない謙虚な姿勢もそのひとつだと思う。 この日、一番気合が入ってるらしいJIROは「俺が言いたいのはひここと、みんな大好きっ!」だって。 本当にうれしそうで、JIROってイイヤツだと心底思う。

「生きてく強さ」が終わるとメインのモニターに背番号10のサッカーのユニフォームを着たTERUが登場。 ゴールキーパーの大男に向かって映画「少林サッカー」並みのシュート炸裂。 ゴールが決まるとステージ最前列から大きなサッカーボールがいくつも飛び出してきた。 客席を大玉ころがしの要領で後ろへ送って・・・いきたかったんだろうけど、 折りからの強風でステージ側に戻ってしまうものや、通路に落っこちてしまうもの、 思わぬ方向に転がっていくものもありうまく行かない。 幸運にも私はそばをボールが通りかかったので指先ちょっとだけボールに触れることができた。

「週末のBaby Talk」ではゲスト佐久間さんが登場。 派手な赤と白のジャケットとサングラス姿で華麗なキーボードを披露。 みんなで両手を左右に振ったりしてるうちにTERUの姿が見えなくなった。 と思ったら・・・メイン画面にヘリコプターに乗ってるTERUの画像が! TERUが乗ったヘリはステージの裏側から見る見るうちに会場上空にやってきてホバリング。 ドアを開け放ち、半身を外に乗り出し、片足を空中でブランブランさせてるTERUの姿があった。

「大阪史上初!10万人のビッグウェーブやってみよう!」

ドラムのリズムに合わせてTAKURO側からHISASHI側へ、HISASHI側からTAKURO側へ大きな波がかけぬけていった。 続いてステージ前から後ろに向かってウェーブをやってる間に TERUが乗ったヘリが急降下しながらステージの向こう側に降りていって わずかな間奏の合間にステージに瞬間移動!する荒業を見せた。 プリンステッコースーパーイルージョン???

引き続き花道の途中まで歩いてきて、人で埋め尽くされた会場をバックにメンバーが記念撮影。 「3・2・1」で撮った写真はTERUがダブルピースでにっかーと笑っていて ちっともロックバンドらしくなかったり、 とりなおした写真はHISASHIが切れてたり、TAKUROがTERUとかぶってたり・・・。 何回か取り直してようやくOKが出たと思ったら、TOSHIと佐久間さんを入れるの忘れてたりとテンヤワンヤ。

写真を撮り終えるとそのまま花道の先端にできたBステージに移動。 「BELOVED」が始まると、ようやく緊張がほぐれてきたらしかったTERUの様子が変わってきた。 ところどころ歌詞を飛ばすというか、言葉に詰まるというか・・・。 一呼吸おいて「HOWEVER」。始まって間もなく、もうこれはだめだと思った。 メインの画面にアップになってるTERUの目はずーっと閉じていて、 2番に入ると完全に涙で声が震え、終わりになればなるほど苦しそうに声を張り上げていた。 曲が終わるとタオルで顔を抑え、涙をふいて「ごめんなさい・・・10年間のこと思い出して」とうつむいてしまった。 曲は「I'm in LOVE」に続いても、TERUの涙は止まらなかった。 でも派手に音程をはずすこともなくだんだん元の調子をとりもどしていくように見えた。 メインステージに戻って「pure soul」を張り上げるような声で歌い終えると、いつも通り一歩下がって深く頭をさげた。

「詰まったりしてごめんなさい。この10年ってすっごく長かったんだなと、今思いました」

雑誌やラジオではデビューしてからの10年間を「あっという間でした」と振り返っていたTERUだけど、 実際には本人さえも思い及ばなかった苦労があったんだろう。 話せば話すほどあふれてくる涙を必死でタオルで隠し、上を向いて涙がこぼれないようにしてるTERUの背中を 会場のファンも、ステージ上の他のメンバーもじっと見守っていた。 少しして照れくさそうに笑いながらTERUがマイクの前に立ち、 みんな気分を新たにして「BLUE JEAN」でライブは後半に入っていった。

「MISERY」「彼女の"Modern・・・"」「SHUTTER SPEEDSのテーマ」と激しい曲が会場を盛り上げた。 気がつけばあたりは暗くなっていて、ステージ上の照明がまぶしく短い点滅を繰り返した。 ここからは約20分に及ぶ10周年記念豪華メドレー。 「天使のわけまえ」から順番に年月をさかのぼって、前回のエキスポのテーマ曲「GLOBAL COMMUNICATION」、 20万人を動員した初エキスポの「サバイバル」など次々に(新聞記事調に言えば)ヒット曲を聞かせてくれた。 正直、どの曲も細切れなメドレーよりもフルでききたかったけど、 メドレーにしなければ演奏しきれないほどたくさんの「聞かせたい曲」があるのかと思うと、 TERUが言う「10周年の重み」をひしひしと感じることができた。

なかでも印象的だったのが「月に祈る」。 思い返せば99年幕張の20万人ライブの帰り道、わずかな疲労感とそれ以上の達成感に浸りながら 駅まで歩く私たちをきれいな月が照らしてた。 友達と「この月を一生忘れないでいようね」って話をしたのを覚えてる。 残念ながら好天には恵まれなかったけど、天気がよければあの夜と同じ月に照らされながら、この曲を聴いていたのかもしれない。 メドレーが終わると間髪いれずに「千ノナイフガ胸ヲ刺ス」「BURST」。 「BURST」ではTERUが上半身裸になって熱唱し、TERUファンの友達の顔が次々に浮かんでは消えていった。 みんな、きっとトロトロになってただろうなあ。

爆音とともに火花が上がってステージが暗転。 ラジオ等で「ステージも模様替えする」と聞いていたから、今がちょうど模様替えの最中なんだとは理解できたけど、 私がいたブロックからは暗すぎて何もみえなくて・・・。 後から海賊さんたちのワイヤーアクションがあったことを友達に教えてもらった。 ステージから大きな火柱が上がって、照明がともり、 メンバー全員がシックな黒い衣装に着替えて登場、「BEAUTIFUL DREAMER」でライブ再開となった。 TAKUROのテンガロンハットがHEAVY GAUGEツアーを思い出させて壷でした。 そのまま曲は「ACID HEAD」へ。 もちろん恒例、イントロ前のTAKUROソロ?もあって、TAKUROファン心をくすぐられました。 (もちろんTERUの投げキッスもあり) 野外ならではの花火が、それだけで空がお昼間ぐらいの明るさになるぐらいの数が打ちあがり、 全員でジャンプして本編終了となった。

アンコールではメンバーはホバークラフトに乗って登場。 一気に花道を駆け下りて、あっという間に広い会場の真ん中にできたCステージへ到着。 もう私がいたブロックからはTOSHIの後ろ姿すら見えない。 後ろにいるだろうメンバーと前の円形モニターを交互に見ながら手拍子してた。

「そういえば、雨降らなかったね。スゲーすごしやすいよね? それはね、ここにいるみんなが晴れてくれと願ったからだ! 願えば、願いは必ず届く!」

本当だ。午前中は強風で中止になるかも・・・と心配していたのに、 結局雨が降ったのはオープニングのときにたった数分だけ。 GLAYとファンのパワーが台風を押しのけたのか。 今はもう汗と熱気でカッカしてる頬を、少しひんやりした風が心地よくなでていくだけ。

「THANK YOU〜!GLAYは、オマエラが大好きだ〜!」

TERUが満面の笑みで呼びかけてライブは終了。 Cステージから降りるとメインステージまでの道のりを肩を組み、横一列になって歩く。 どの顔も誇らしげで、達成感に満ちていていて、 花道に掲げられた旗と客席からのおしみない拍手に気持ちよさそうにつつまれてた。 花道までたどり着くと誰からともなく走り出す。 いい年をした大人が6人、まるで競争でもするようにステージに駆け上がった。 ステージの中央でかっちり握り合った手が 見えないけれど、長年にわたって培われた強い強い絆のように思えた。

メンバーがいなくなったステージでは 前々回のツアーで数回演奏された未発表曲をBGMに 今までのGLAYを追う懐かしい映像が流れていた。 デビュー当時のロングヘアのTERU、初のドームツアー、 不可能を可能にした幕張ライブ、I'm in Loveを歌いながら迎えた朝、 歴史を変えた北京ライブ、しかめっ面の警備員が口元をゆるませた。 言葉を超え、歴史を超え、観客わずか数人のライブから一歩一歩、階段をのぼってきた。 北海道の片隅の小さなステージから始まった物語はこれから新しいページを開く。

「これからも一緒に歩いていってくれますか?」

「BELOVED」を歌う前にTERUが言った言葉。 次はどんな景色を見せてくれるのか、行き着く先にどんな景色が広がっているのか、 少しだけ後ろを、鼻歌まじりにゆっくりとついていこうと思う。 「これから」をとてもとても楽しみにしていよう。

SETLIST

Aステージ
01誘惑
02ビリビリクラッシュメン
03SOUL LOVE
04グロリアス
05春を愛する人
06生きてく強さ
07ピーク果てしなく ソウル限りなく
08週末のBaby Talk
Bステージ
09BELOVED
10HOWEVER
11I'm in Love
Aステージ
12pure soul
13BLUEJEAN
14MISERY
15彼女の"Modern…"
16SHUTTER SPEEDSのテーマ
17
メドレー
天使のわけまえ
Billionaire Champagne Miles Away
GLOBAL COMMUNICATION
STAY TUNED
SURVIVAL
YOU MAY DREAM
RHAPSODY
ALL I WANT(イントロのみ)
口唇
月に祈る
Yes, Summerdays
千ノナイフガ胸ヲ刺ス
18BURST
19BEAUTIFUL DREAMER
20ACID HEAD
Cステージ
21 EC南東風
22 EDso far yet and so close