| 俺の父親は、偉大なカメラマンだった。 新聞社の報道カメラマンとして、常に最前線で『生きた写真』を撮り続け、それは国内のみならず、海外でも高い評価を受けるほどだった。父の撮る写真には、そこに写る人や物の息吹と、それにまつわる多くのドラマが焼き付けられていて、見る者の心を惹きつけてやまなかった。 そんな父は、去年、この世を去った。 ジシャッ。 重厚なシャッターの音が心地良い。俺もまた父の跡を継ぎ―――いや、正確には、父と同じくカメラマンとして活動し、今年で早7年となる。気がついた時には、父と同じ道を歩み始めていた。誰に言われるでもなく、まるでそれが始めから決まっていたかのように、俺は新聞社のカメラマンになっていたのだ。 だが。 |