「違う・・・俺は、この道を《走っていた》―――」

 長く連なるテールランプを見つめていた。
 いつものように大通り沿いの客を目当てに走っていた。
 そう、それは《いつものこと》で、《慣れたこと》だった。
 だらだらと続く下り坂も、緩やかなカーブも、《慣れたこと》だった―――

 

 だが、突如視界に飛び込んできた一台の大型トラック。
 避けることも、ブレーキを踏むことも間に合わなかった。
 銀色のコンテナが視界いっぱいに広がる―――

 

 キーンと激しい耳鳴りがし、こめかみからは、ねっとりとした液体が流れる。その液体は、赤黒く、生温かい。

 




 「あの事故は―――・・・俺だ」

>>Next