彼女は少しはにかみながら口を開いた。

 「好きな色?・・・う〜ん、、かな」

 清楚という言葉の良く似合う彼女の口から、そんな話を聞かされたのは、僕たちが初めて出会ってから7日たった頃だった。普段から、それほど派手な服を着るわけでもなかった彼女が、好きな色と聞かれて『』と答えたのは意外だった。なんとなく彼女の見た目の印象から、ピンクとか水色とかの淡い色味が好きそうに思えただけに―――。

 「あのね、じつはって、わたしのラッキーカラーなの」

 照れくさそうにそう言った彼女は、「似合わないって思ったでしょ?」と続ける。

 そんなことはない。色白な彼女には、鮮やかなが良く似合うだろう。それに別に好きだからって、毎日その色の服を着るわけでもないし・・・。
 細く華奢な腕を組み、テーブルに身を乗り出すと、彼女は目の前にあったアイスコーヒーのストローを指先でもてあそび始めた。その傍らにあるバッグから覗く携帯電話には、可愛らしいビーズのストラップが揺れていた。

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