私の王様

カレン・シュタットフェルトには好きな人がいる。

それを聞いて、まず悲鳴を上げたのはシャーリーだった。
「まさか、カレンッ、」
「ルルーシュじゃないから!」
シャーリーはルルーシュが好きだ。周りから見てそれはもう分かりやすい。ただどういうわけかルルーシュはそれに特に気づいている様子ではない。ルルーシュは変なとこ鈍いからなぁ、とは彼の悪友の言葉だが、その鈍感のおかげで迷惑を被っている人間もいることにいい加減気づいてほしいとカレンは思う。
じゃあさ、面白そうにこちらを伺っていたリヴァルが身を乗り出してくる。
「じゃあ、カレンが好きな人って?」
好奇心に目を輝かせるリヴァルに、真剣な目で頷くシャーリー(だから、ルルーシュじゃないから)、ちらちらとニーナまでもがこちらを伺ってくる。勘弁してくれ。逃げ出したくなるのを堪え、カレンは微笑む(病弱なんて設定にしなければ!)
「そいつ、カッコイイ?」
戸惑うカレンに、リヴァルが首を傾げる。格好いいかって?カレンは質問を反芻して、頷く。
「ええ。」
もちろん。自信を持って頷ける。だって、彼はわたしの王様だもの。
カレンの笑顔に、そっかとシャーリーとリヴァルは頷いた。時に笑顔は言葉よりも雄弁に物語るものである。
「カレンは、その人のどんなところが好きなの?」
シャーリーの言葉に、カレンは首を傾げた。どんなところ、どこだろう。わからない、首を左右に振る。全てと言えば全てなのかもしれない。けれど、カレンの中で彼は全てを超えたところにいる人なのだ。彼にならば、全てを預けてもいいと思えるほどに。
シャーリーに向かって、カレンは決意を込めて微笑んだ。
「どこが好きって言われると、わからないけど、でも、私はあのひとをまもりたい。」
何を犠牲にしてでも。私が、彼を守るのだ。
壮絶だなぁ、リヴァルの言葉に、ええそうとカレンは内心で頷く。

だって騎士が王を守るのは当然でしょう?



written by 雨梓[raku] 2007