「カメちゃん僕のこと好き?」
雑誌を読んでいると、軽くステップを踏みながらリュウタが近づいてきて、僕の隣に座った。この行動も突拍子もない質問もいつものことなので、たいして驚いたりはしない。
「答えは聞かないんじゃないの?」
雑誌から眼を離さずに返すと、機嫌を損ねたのか肩をぐいぐいと揺すられた。力だけは馬鹿みたいに強いので結構痛い。でも顔は何でもないふうを装う。
「答えてー」
「じゃぁ、嫌いじゃないよ?」
あくまで、何でもないふうに。
直接的な言葉は使わないで。
そうすれば、リュウタの関心は僕に向けられたままだから。
「?好きってこと?」
「さぁ、どうだろうね?でも、僕は好きだとは言ってないよね?」
リュウタの眼の色が変わった。
感情の起伏が激しいのも僕に関心がある証拠。
「好きじゃなきゃだめ!」
「リュウタが答えを聞いてきたんだよ」
「それでも、だめ!」
そんなに、必死にならなくても、僕は君が好きだよ。
でも、簡単に言ってしまったらつまらない。焦らし焦らされ、が釣りの醍醐味だしね?
僕が“愛してる”って言ったら君はどんな顔をするんだろうね?
これは企画です