どうしてお応えくださらないのですか、酔いのせいで舌足らずな声。酒の匂い、体の熱。全てが理性を捨てろと叫んだ。「俺もお前のことは大事に思っているぞ」頭を撫でてやればにへらと笑んだくせに、返ってるのは的確な言葉「答えになっていません。」頭に載せた手を振り払いあろうことか抱きつかれる。挙句ほお擦りをされて、仕方なく両手を背中へ回してやる。幸せそうにじょりじょり〜などとつぶやく陸孫をあやすように、抱きしめ返す。「お、やっぱここか。」指先にくるくると陸孫の帽子を弄びながら、甘寧が顔を出だした。向けられた下世話な笑いに、無言で経緯を問う。「孫権様と勝負したんだよ。」まさか勝っちまうとは思わなかったから、その言葉はまた頭痛の種。いっそ楽だろうと進められた酒は断った。陸孫の重みは増していて、寝息が聞こえ始めている。明日の朝が見ものだといって去った甘寧が恨めしかった。舌足らずに名前を呼ばれてどうしたと返しても返事はもうない暖かい夜。
これは企画です