彼らは今日も元気です / ヘタリア (地中海+菊)
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こんにちニャー。
私はヘラクレスさんの飼い猫の内の一匹ニャー。残念ながら名前はありませんニャー。
あ、でも以前、ヘラクレスさんの友人の菊さんへは「ネコ伍長」と紹介されたことがありましたニャー。
もしかすると私の名前はそれかもしれないですニャー。
…いいかげん猫語尾は疲れたので普通でいくニャー
ゴホンッ。
今私の目の前では、もはや恒例と化しつつあるとある二人の喧嘩が行われています。
説明するまでも無いと思いますが、一人は私の飼い主のヘラクレスさん。もう一人はサディクさんです。
「サディク、嫌い…アッチヘ行け…」
「なんだと!てめぇ、バーローめ!おめぇの方こそ向こうへ行きやがれってんだ!!」
「ダメ…俺……人待ってる…」
「んだとぉ!それはこっちの台詞でぃ!」
何年もおんなじ様なことをやってて、いいかげん飽きないんでしょうかねぇ…。
ふぁぁ…と欠伸をしていると向こうから誰かがやってきました。
あの姿は…
「あ、これはこれはお二人とも、お久しぶりです」
「「菊!!」」
案の定。やってきたのは、着物という服を纏った二人の友人である本田菊さんでした。
…ああぁ、なんだか面倒な事になりそうな気がします。
しかし私の心配などこの場にいる人達に通じる筈もなく、三人は更に会話を続けます。
「お二人ともお揃いでどうしたんです?」
「ん、…人…待ってる」
「俺もだ。運の悪いことに、丁度こいつと待ち合わせ場所が一緒になっちまったんだよ」
「…うるさい、サディク…だまれ。菊は俺と…話してる」
「なんだって!んなの誰が決めたんでぃ」
「ん……俺」
「このヤロー!!」
「ちょっ、お二人とも・・・!」
菊さんが来てから、益々2人の喧嘩が激しくなってしまいました。って言っても別に菊さんの所為ではありませんよ。
何かあれば言い争う2人ですから。
ってあぁぁ、菊さんがおろおろしてる! 誰でもいいから2人の喧嘩を止めてください!!
そんな気持ちをこめてニャーにゃー鳴いてみます。
しかしそれでも2人は止まりません。それどころか取っ組み合いにまで発展していきました。
ハァ、と私が頭を垂れた時、フッと影ができました。何でしょう?と思って顔を上げると、そこには新たな人物の登場です。
しかも今の状況を打開してくれるかもしれない、強力な助っ人です。
その人は私の熱い視線を浴びながら、土埃を立てて取っ組み合っている2人の方へ向かいます。
「・・・あ」
傍で成り行きを見守るしかなかったなかった菊さんも、彼に気付きました。
声を掛けようとする菊さんにフッと笑いかけ、喧嘩真っ最中の2人の元まで行くと――
ゴッ、ゴンッ
「イタい・・!!」
「いてぇ!!」
持っていた壷で2人の頭を容赦なく叩きました。凄く・・・痛そうです。
その証拠に、ヘラクレスさんもサディクさんもしゃがみ込んで叩かれた部位を押さえています。
「〜〜〜っだ、だれでぃ、こんなことしやがるのは!!」
ちょっと立ち直ったサディクさんが叩いた張本人を見上げました。それに遅れるようにヘラクレスさんも。
そしてそこで見た人物に驚嘆したようです。
「な、、おめぇは・・・」
「おまえは・・・」
「「グプタっっ!!」」
最後は綺麗にハモりましたね。
2人の言葉から分かるように、そこには大事そうに壷を抱えたグプタさんの姿がありました。
・・・ってさっきはその壷で殴ったんですよね?割れてません?
グプタさんは念入りに壷の様子を確かめた後、2人の方を向きました。そして。
「喧嘩はいけません」
((((しゃ、喋った!!!))))
恐らくこの場に居る者全ての感想だったと思います。
皆が驚きに戦慄いている中、グプタさんはクルッと方向転換をし、菊の方へ向き直りました。
「・・・・・・・・・・・」
そして何かを訴えるように見つめます。それに菊さんは何かに気付いたようで、ハッとした表情をしました。
「さっきの事で危うく忘れそうでしたが、そういえば私は此処へはグプタさんに会いに来たんでしたね」
コクッと頷くグプタさん。
しかしそれには何やら言いたそうな方がお2人程・・。
「ちょ、ちょっとまてよグプタ。おめえ、俺と待ち合わせてたんじゃなかったのかい?」
「ん・・違う。俺と約束・・してた」
「え?それはどういうことなんですか?」
何やら、ややこしい展開になったきましたよ。
3人の意見をまとめると、3人ともグプタさんと会う約束をしていました。けれども、他にも同じ様に約束をしていた人がいるとは思いませんでした。・・・こんなところでしょうか。
菊さん、サディクさん、ヘラクレスさんの3人は、説明を求めるようにグプダさんを見ます。
するとグプタさんは、少し顔を赤らめながら、
「・・・・うっかりしてました」
そう、消え入りそうな声で話しました。
「「「・・・はあっ!!??」」」
ああぁ、今日はグプタさんに何度驚かされればいいのでしょうか・・。
3人とも固まってしまっていますよ。当の本人であるグプタさんは非常に申し訳なさそうにしています。
「・・・・・・ま、まあ、グプタさんにもそういう時がありますよね・・・ハハハ、ハ・・」
逸早く金縛りから解けた菊さんは、グプタさんをフォローしようと頑張ります。
それにつられて後の2人も言葉を発します。
「ま、そう言われちまったら、しょうがねぃ」
「ん・・・確かに・・」
「あ、でもこういったことは是っきりにしろよ」
サディクさんの言葉に、コクリと頷くグプタさん。
ほっと空気が和んだところで菊さんが、良い案を思いついたとばかりに手をポンと打ちます。
「あ、ではこれから皆さんご一緒に出掛けませんか?」
「お、そりゃあいい。さっすが菊だ」
「ん、俺も・・賛成」
「・・・・・・(コクリ)」
「では、行きましょうか」
そう言うと、4人で仲良くどこかへ出掛けて行きました。 めでたし、めでたし。
・・・・・Σあ、ヘラクレスさん!私たちを置いて行かないでくださいいいいぃぃぃ。
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written by 咲菜
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