「白熱灯の明かり」incandescent lamp 部屋の天井にまだ照明がない、引っ越したばかりの頃。 デスクランプを天井に向けてその反射光で過ごしていたんだ。 ほんわりとやさしい白熱灯の明かりが一層やわらかく部屋を包んでいたよ。 部屋全体の境界線が薄れていく。自分自身も部屋にとろけていく。 ここが自分の居場所なんだって実感できる場になったんだ。 蛍光灯は目にまぶしすぎる。すべてをこれでもかと見せつける。 太陽よりも月を選んだのは、そんな理由からかもしれない。 [96.06.07]