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0-3 prologue

扉を開けるてすぐ、むわっとしたタバコの匂いが鼻についた。
そして目に飛び込んでくるゴミ……いや、本や資料の束の山。

えーっと、確か水さんはさっきここにカイムさんがいるって言ったよね。
……この山の中に? 居ると言うか、埋もれてる?

ガサッと大きな音がしたかと思うと、一番奥の本の山が雪崩を起こして……。
本の山からしわくちゃの白衣を着た人が現れた。
呆気にとられている私をよそに、その人は白衣についた埃をパンパンと払い、私に一瞥くれると「あー……誰?」と言った。
この人が……カイムさんでいいのかな。

「えーっと、あの、今日付けでこちらに配属になった」
「……あー、思い出した」
私の言葉を遮って、白衣の人が言う。
リーベアデムか」
タバコに火をつけて、ゆっくりと煙を吐き出す。
「リュー・カイムだ。……今日からお前の上司になるな」
「は、はい!よろしくお願いします!」
元気よく挨拶したけれど、カイムさんは顔をしかめて「うるせーよ」と呻いた。
「ここ2,3日あんまり寝てないんだから、でかい声出すなよ」
カイムさんはそう言うと本の山を押しのけて、下から出てきた椅子に深く腰掛ける。
「そこの机にIDカードあるだろ?」
そう言って、書類の束が積まれた机を指さす。
「……えーっと、ここですか?」
その机の上にはカードなんて見当たらない。と、言うよりは書類が山になっていてよくわからない。

「そー、多分そのゴミ退けたら出てくるから」

きっぱりとゴミと言い放ったけれど、書類には『重要』の印が押されているものばかりだ。
これ、勝手に漁ってもいいものなのかな……。
カイムさんは椅子に座ったまま、立ち上がる気配がないし、自分で探すしかないってことだよね。

「そのIDカードがお前の身分証明だ。ここではそれを手放すな。どうなっても俺は知らん」
書類の束の前でまごついている私に向かって、カイムさんが言う。
どうなってもって……どう言うことなんだろう。
言葉の真意はわからないけど、IDカードがないと大変な事はよくわかった。
となったらやる事はひとつしかない。

「ここ片づけますよ?いいですよね!?」
カイムさんの返事を聞くよりも先に、私は机の書類の束を掴みとった。
「おー、綺麗にしてくれよー」
カイムさんは気だるそうにそう答え、タバコの煙で輪っかを作っていた。