灼熱氷菓


「やー、久しぶり。相変わらず寒みぃなここは」
「こんにちは。・・・神」
「どうだい、この頃は」
「・・・嬉しくないこと、ばかり」
「ん。ああ。なんだね。問題、なのか」
「わたし独りが良いと思ってた。今も、思ってる」
「んー」
「それなのに、そう、ならない」
「でもなぁ。お前は一人以外になりたいとも感じてるだろ?」
「アナタは知ってる?わたしのことを」
「・・・ま。大体は、な。」
「うん。アナタは、知ってる。けれど、あの男は違う。わたしを知らない」
「・・・気持ちは、判るが。それは、お前自身が、」
「それも、知ってる。でも、時々、怖くなる。焼かれてしまうんじゃないかって」
「お前の力は強いだろ?」
「・・・あの男は、たぶん。それよりも強い。気がする」
「お前よりも?」
「・・・・そう。あの男を前にすると、身体が、苦しい。」
「溶かされそうになる?」
「・・・そう。嫌悪、じゃない。・・・恐怖。」
「ん。一応、こんなのを作ってもらってはいたんだがね。・・・いる?」
「・・・これ、は?」
「守ってくれる力を物質化したもんだってよ」
「守って、くれる。」
「そ。持ってりゃ、一定のとこまでは助けてくれるらしい」
「助ける・・・わたしを?」
「追い払うのは難しいかもしんねぇが。
 もしヤバい行動に出たらそいつがどうにかしてくれるよ」
「・・・・ありがとう。うれしい」
「なあ」
「なあに?」
「お前はあの男が、嫌いな訳じゃないのか?」
「・・・珍しい。神が変なことを言うなんて」
「そうか?別に、普通だろ」
「変。あの男のことを、わたしに考えさせようとしてるように見える」
「あはは。・・・・まさかぁ」


おんなのこ&MZD
























冬虫夏草


「お前は、どうして私の邪魔をする」
「・・・貴方が間違っているから」
「どうして私が間違っている?」
「人は人の尊びの上に生きている。貴方は、それを踏みつけようとしている」
「・・・人は醜い。醜く、愚かだ。私はそれを正そうとしているだけだ」
「それが、間違っている。神を宿して、その身体で世界を焼き払うつもり」
「そこに偽りが存在するのか?神は私を待っておられる」
「・・・確かに、貴方は稀な身体を持っている。神をもこの地に降ろす力・・・」
「そうだ。私は選ばれている。選ばれた者だけが、神の告げを行えるのだ」
「神はそんなことを望んでいない」
「何故お前がそんな事を云える?お前はただ神に服従するだけの踊り手だろう?」
「・・・貴方は自分の力を妄信しすぎている」
「この力が絶対的な事実は変わらない。お前は私を畏れている。違うか」
「違う。下手をすれば貴方は死ぬ」
「ふん、死ぬ、か。お前には似合わない脅しだな」
「聞いて。事実よ。今、貴方を失ったらこの島はどうなるのか判る」
「・・・お前がまた、神の手を得るのではないか?・・・シャラ?」
「今は、全てが、貴方の行動によって定められ、動いている。それを、貴方は・・・」
「知ったことか。私は今更、何を疑ることもしない。私の中の神こそが、真実だ」


シャラ&ナディ
























漂流中継


「え?なに?もうムチャ。もうお前、道連れ。上海行ったら目処つく。ガマン」
「だ、だからちょっと、お願いですから待ってくださいよ!
 私はしがないサラリーマンで、明日も会社で、家には家族が・・・!」
「それもう20回ぐらい聞いた。でも無理。最初は港までって思ってた、けど、すごいね、ニホン」
「は?な、なにが?ですか?」
「ガード。とか、そのへん。裏で動いてるやつ凄腕。自分だったらたぶん、すぐつかまる」
「あ、はあ、なんでしたっけ、逃げてる・・・?」
「そう。トモダチ、助けに来た。けど、見つかった。せっかく、銀河列車こっち着たのに」
「・・・オクターヴさんの?あ、あれに乗ったんですか、よく掴まりましたね」
「運良く宇宙帰りの犬に会った。あの人とあの列車、紹介してくれた。感謝してるね」
「犬?誰だろう・・・知りませんね。お名前は?」
「セ・・・ル・・・セル、ナントカ。わるい、忘れた」
「恩人なのに、忘れちゃったんですか。なんとまぁ・・・軽薄な人ですね」
「お前、案外度胸あるな。自分、こう見えてもマフィア敵に回す力あるぞ?」
「あ、いや、そ、そうでした。すみません、一サラリーマン、出過ぎました」
「あはは。いいね、どっちにしろもう一回そのセルナントカには連絡、取らなきゃいけない。
 あー、誰だ。その、列車の、車掌のやつに」
「オクターヴさん、ですか?」
「そう、オクターヴ!あいつを掴まえなきゃいけない。お前、あいつと知り合いらしい、助かる」
「い、いや!一度間違えて列車に乗ったときに助けてもらっただけで、ですね・・・!
 別にあの人と私は知り合いとかそういうのじゃ!」
「・・・どっちにしろ、自分たちだけじゃ、動けない。早くアイツ助けないと、大変なこと、なる」
「・・・大変な、こと?」
「そう。あいつ、機械技師。天才。むこうでどんなヤバいもの作らされるか分からない」
「ええ!?ちょっ、と、そんな!いや!だから、私は一般人で何の関係も・・・!」
「電車、うるさい!お前、もう、仲間。諦めるね」
「うう、そんな・・・私はただ会社から帰る途中だったのに・・・・・」


クモハさん&ホンコンニャミ
























痛む悼む


「苦しい?」
「ええ、苦しくなんかありませんよ、大丈夫です」
「そうね。ここはあまりに広くて、巨きくて、滞りのない、蒼さですもの。」
「そしてあまりに優しすぎるのですね。真実が透き通るのは、いつでもそれが美しいからですよ」
「如何なのかしら。嘘というものは尊すぎて、私は濁ってしまったわ。」
「それならば恐れなければいい。恐れなければ、甘い真実は嘘を持て囃して下さる筈です」
「そうなのだわ。それも、知っている。理解しているからこそ、私は苦しい。」
「苦しみは、生きているから起こり得るものなのでしょう?」
「そう。哀しいからこそ生きるのだわ。苦しいからこそ生きるのよ。」
「・・・教えてもらったのですね?」
「そうよ。そうよ。私は、知ってしまったのだわ。
 苦しいけれど、辛いけれど、それでも、それでも、ただ、生きるのだわ。」


釈迦





















跳ぶ科白


「彼女、私たちとは別の意味で哀しいわね」
「実体の無い生き方、だなんて・・・・」
「己で願った訳なく産まれたと言う意味では壱ノ妙やあの電磁波の娘と似ているな」
「どっちも今の生活には満足してるけどね。彼女は違うわ」
「ああそう。見捨てるわけ」
「わ、た、し。わ、た、し・・・・・」
「わっ、喋んないで!だいじょうぶ。そのまんまで」
「こんなもんが魂の、器になるの?」
「どう考えたっておかしい。先ず、投影される意味は?」
「触れることさえ出来ないのよね」
「唄う歓び、ってか」
「じゃあなに、望まれたんだから死ぬなって言うの?」
「・・・若干、似ている。これは粒子の欠乏・・・か?まさか消耗しているんじゃないだろうな」
「大体、僕達だけがあれこれ論じたって意味無いじゃないですか!」
「わたくしは尊重したい」
「何処に行く事もない、とか言うだろうけどね」
「『その人』は誰だって話だろ」
「愛だけでここまでできるの?それとも愛だからここまでしたの?愛ってそんなに罪なものなの?」
「起こせばいいんじゃん。・・・あ、そっか、触れないんだっけ」
「コノカラダ、ワタシ、スキダヨ」
「前代未聞。たかだか20キロの銅版よ?」
「そんならいっそ、これ壊せば。彼女が願ってるんでしょ。違うの?」
「なんで俺まで連れてこられなきゃいけねえんだよっ!」
「お前が持ってきたからだろうが!バカ神!!」


フロウフロウと誰かや誰か


















十夜炎上#2


「・・・つまり、何だ?」
「アンタ方がまァ御丁寧に行ってる実験とやらは強ち間違っちゃ居ないって訳です。
 あの鬼は確かに・・・、ヒトの潜在能力だけでは如何にも太刀打ち出来ませんからねェ」
「成程、己で吹かすだけあって多少は物を知っているようだな。あの娘はなかなか良い素材だろう」
「アレ、ですかァ。ありゃア一つ遣り方を間違えば、簡単に制御等効かなく為りますぞ。
 単純な捕獲器具と捉え続けるのは如何なモンかと思いますがなァ」
「我々は彼女・・・、いや、彼女らを完全なる武器として育て上げなければならない。
 対.淀ジョルにあの娘が欠かせないことは貴様も理解しているのではないか?」
「使命!は、ヒトの力はアンタ方が考えて居るより余程弱卒な存在ですぞ。
 だからこそ・・・謂わば「ヒトが獲るただ一つの白星」の為に、あたしが態々、
 こんな処迄来て遣ったんじゃア無いですかねェ?・・・慢心に肥えた学者様」
「・・・狸がよく吼えるな。私が貴様を信用する必要がどこにある。
 四方や、貴様こそが淀ジョルだという可能性もあるんだ」
「信用、ねェ・・・アンタは重要な事を悉く解っちゃ居ませんな」
「今し方現れ、無遠慮に異形の格好をする奴が何を知っていると言う?笑わせるな」
「成らば訊きましょう。アンタは異能の何を御存知だと謂うんです。
 あの小さな娘一人にすら、其の力を満足に与えられないで」
「・・・黙れ。異能の制御は「保持者」でなければ感知出来ないエネルギーによって成される!
 彼女の力が我々のレベルまで達していないのだ!」
「ほォ、アレを散々弄繰り回して居るアンタ方のレベルねェ!・・・御粗末ですなァ。
 そんな悠長な構え方じゃア、ヒトは鬼に喰われて死ぬだけです」
「それ程言うなら、示してみろ!出来るはずも無かろう!!
 貴様が、人でない故に、人が知り得ない情報を持ちえているという、その証拠だ!」
「そうですなァ・・・異能とは、百々の詰まり人体を凌駕した能力、ですな。現在は鬼のみが完全に所持して居る」
「だからどうした?その程度は我々も知っている」
「然し、ヒトにも其れを保有する者・・・「アオイ」が現れ、異能は鬼が単一に利用する能力では無い、
 と謂う仮定が産まれましたな。更に、娘は鬼と異なる能力を所持して居た」
「・・・彼女の名を、知っているのか」
「証拠を示せと謂ったのはアンタでしょう。・・・続けても?」
「・・・・」
「其れに拠って、娘はIDAAの最重要案件と為り、アンタは研究と実験の結果から、
 考えた論を破棄せざるを得なくなった。鬼と娘の能力の差異。使用に必要な媒体の存在」
「・・・そうだ。だからこそ、私は戸惑った。もしや異能とは同一能力が伝播したものではなく、」
「選ばれし個々が各々持ち得る個性的「特一能力」で或るのでは、無いか・・・」
「!」
「此れは、未だ学者様が思考に制止して居る推測・・・でしたかな?」
「な、・・・貴様、何故・・・、どうして、それを」
「何度も申上げた筈ですが?あたしは、異界から遣って来たと。そして、凡てを知って居ると」
「まさか・・・!馬鹿な!嘘だ!」
「此の言葉を誠と取るも虚と取るも其れはアンタの勝手で御座いますがなァ。
 ・・・ヒトの力のみで異能を扱えると尚妄信するならば、
 其の先に或るのは業火の地獄だと謂う事を、努々御忘れ無きよう」
「お前、は、・・・・・、一体・・・何者、なんだ・・・」
「唯、あの狂った鬼を捕えたい独り、で御座いますよ。学者様と同じ、ねェ」


ダース淀&鴨川


















十夜炎上


「死神、とでも謂いますかねェ?学者様」
「・・・ち、違う・・・、あれは・・・あれは、悪魔だ!」
「随分とまァ蒼ざめた顔で・・・景気良く仰いますなァ」
「き、貴様こそ、奴の、差金か!」
「戯言ですな。あたしは只の第三者です」
「・・・・・・・貴様も、異形、だろうが」
「少しは御黙り戴きたい物ですな。下らん鬼と一緒にしないで貰いたい」
「知、るか・・・・奴は、貴様と、同種だろう!」
「素性等如何でも宜しい事です。凡ては今夜、終ります故」
「な・・・!私、を、どうするつもりだ・・・!」
「さて・・・如何致しましょうかねェ?」
「ふざ、けるな、私は、決して・・・・」
「決して、応じないと?其の脅えきった眼で、ですか?震えて、掠れて、醜い・・・其の声で?」
「言、うな・・・!化物・・・!」
「浅ましい顔をして・・・揚々と、善く此処迄為しましたなァ」
「私は・・・私は、渡、さんぞ!」
「・・・戴く物は戴きます。あたしは達さねば成りませんのでね」
「だめ、だ・・・駄、目だ!」
「・・・為らば。力を以って奪うだけです、支部長殿?」


淀×鴨川


















竜頭蛇尾


「この身体がもう永く持たぬ事は解っている」
「そうかねぇ。いい技師は知ってるけど?」
「・・・それが条件か」
「どうかな。丁度いいねって言ってるだけだろー」
「私は・・・奴を追わねばならない」
「だからこそ、その力が必要なんだろ?違う?」
「どうしてそこまで肩入れする?何も関係ないお前が」
「あー・・・・・・面白そうだから?」
「・・・不可解だな。理解出来ない」
「理解なんてどうでもいいさ。あんたを引き抜けりゃ、俺、それでいいから」
「・・・‥総て、直るのか?」
「もッちろん!下手な条件出しても仕方ないしな〜」
「・・・判った。連れて行ってくれ」
「お。いいねえ。・・・ところでさ、やっぱ理由は聞かせてくれないの?」
「MZD。理解なんてどうでもいいのだろう?」
「・・・ん、あ。そうだった・・・」


ヴィルヘルム&MZD


















外周討論


「例えば、だな。そういう仮定の話になることは避けられないだろ」
「ふーん。言いますね、旦那」
「そうだなぁ・・・上手くいかないんだね、そういうトコは」
「ま、なー。全部良くしようとすりゃ、必ずどっかに綻びが出来るもんだ」
「でもさ、むしろ今現在が綻びだらけって感じじゃないすか」
「ま・・・それは・・・なあ?」
「わお。口濁すなんてキャラじゃないじゃん」
「あれだけ真っ正面にアレコレされちゃ、そりゃねー」
「・・・どっちにしろ、俺の力だけで解決出来る問題じゃねってことよ」
「えー?はぐらかすかぁ、そこで?」
「そもそもこっちで何から何まで「そのまま」ってのも変っちゃ変じゃん。
 神のことだから、そりゃ、歪めてまで正すって訳じゃないと思うけど・・・あー・・・?」
「なに、兎。どした」
「・・・や。ちょっと嫌なこと考えただけ」
「なになに?」
「一瞬、全部わざとやってるんじゃないかって思った」
「あー・・・・まっさかぁー・・・」
「お前らね。本気で俺がんなバカバカしくて面倒なことすると思ってんのかおい」
「や、アナタならやりかねないっていうか・・・」
「や、アナタはバカバカしくて面倒なこと大好きだろっていうか・・・」
「じゃあなんだ。俺は何から何まですっかり自分で用意しときながら、
 こうやってその議論に2時間48分も費やしてるって言いたいのかお前らは、ああ?」
「だってさー、なんでもイベントにしたがるフシあるしさー」
「・・・言いたかないけどね、俺がカミサマって言っても全部どうこう出来るわけじゃなくってね、
 むしろそいつらの「自由」を尊重したいってのがあるんだよとりあえず俺としては。
 好き勝手に遊ばせて、何が飛び出すかわからんところが面白いんじゃねえか。
 個人の意志で思い通りに動いてる世界が楽しいって、お前ら本気で思ってんのか?」
「・・・んなに捲し立てなくっても」
「あたし達だって本気で疑ってるわけじゃないよ。ただあたし等でも、
 神の一番奥までは知ることが出来ないからさ。言ってみただけ、気にしないで?」
「いいさいいさ。結局俺の監督不行届きみたいなことになるんだろーし、グスン」
「え、それは違うんじゃないのかなぁ。だって、困ってるって訳じゃないじゃん。
 んー・・・あたし達が自分勝手に願ってる、ってだけでさ。グスンはともかく」
「そうだよ。たまたまそうなったってことも、そこから産み出されるかもってことも、
 この世界がまた、新しい可能性を引き出すみたいで面白いだろー・・・って神が言ったんじゃんか」
「まあね。興味深いのは確かだよ。俺の手からはみ出す「何か」を願ってたのは俺自身だしな。
 今までも、重ねるたびにいろんな驚きが俺の中から零れてたけど、
 ここまで顕著なのは初めてで正直、俺もびびってるわ」
「それは私らだって同じだってば!今になってまた常識変わるようなことが起きちゃって。
 なーんか、無駄に保身に走ってるような考えしてる自分に自己嫌悪だよ、ホント。
 一番大事なのは理解して受け入れるってことなのにさ」
「だねー。変化は楽しむものだってこと、忘れてた。思い知らされたな」
「どっちにしろ、俺が根本からどうにかするってことはできないって結論になるぜ。
 産まれちまったものを消すなんてことはありえねーし、手助けするにしても、だな・・・」
「じゃあ上手くいく算段あるっての?私らが動いても結局最後は神頼み、ってことになるよ、これ」
「むしろ私たちの出番あるんか、って感じだよ。今回は。状況が状況だし」
「ですってよ!?神!?」
「・・・じゃ、とりあえず検討してみるか。言っとくけど、八方上手く納まる方法なんてねーぞ」
「わかってますよ。「やるだけ」、だよね」
「んむ。前進しかないですな、今は」


MZD&ミミニャミ


















口頭弁論#3


「しあわせなのね。あなたは。」
「ええ。僕は幸せだ」
「でも私はしあわせになれないのよ。どうしても。」
「・・・何故?」
「そういう風になってしまったのだから、仕方ないわ。」
「また、どうして」
「飛び越えられないのよ。そう決めた私を。」
「貴方が望んでいる、・・・とでも言うのですか?」
「というよりは、許して頂けないのね。」
「・・・・誰に?」
「私自身という、神さまにかしら。」
「貴方という神」
「そうよ。私は私の神さま。だから抗うことなんて出来ないのよ。」
「しかし。では・・・貴方は貴方自身に支配されているのか?」
「私は正直に生きすぎているだけなの。そうでしょう?電波を統べる神さま。」
「・・・何を仰りたいので?」
「あなたの方がよほど支配に恍惚しておられるのだわ。枷がお好きなのね。」
「・・・・・・不愉快な人だ。貴方は」
「ああ・・・あなたの愛の言葉は本当に誰よりも素敵よ。美しい・・・」
「貴方は不幸に恍惚しておられるようですね。お金持ちのお嬢さま」
「・・・やめて。その言葉はいけない。神さまがお怒りになってしまうわ。」
「ご自由に?・・・僕は、生憎貴方の神など恐れていないもので」
「・・・アンテナ屋さん。」
「何です?」
「では、私の神さまを殺して下さるとお言いになるの?」


釈迦



















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