§ミズシマさんの
           とっておき雑楽ノート§




                                  (第二十話)

                            
バッハの至高と戯れ

             
=アンサンブルヴェルデに参加して=


 

 1月の末から「アンサンブル・ヴェルデ」で新しい曲の練習が始まった。

アンサンブル・ヴェルデは教室の有志により


十数年に亘って活動が続けている合奏グループの名前で、

主にバロック音楽をレパートリーとする。

 
 このギターアンサンブルは使うギターの種類と共に、大まかに四つのパートで構成されている。

高音域を奏でるアルトギターは普通のギターより一回り小さく、音域は完全5度高い。

ファーストとセカンドの二つのパートを分担する。

普通のギターのことをアンサンブルではプライムギターと呼び、中音域を担当する。

低音域を奏でるバスギターは普通のギターより一回り大きく、重い。


音域はプライムに比べ5度低く、アルトギターとは丁度1オクターブの高低差がある。

メンバーにとって、どの楽器のどのパートをやるか、は重要な関心であるが、

これは行きがかりと相性を含めて先生が決めてくれる。

 
 私は教室に入って3年ちょっとになるが、入ってすぐからこの合奏に参加させてもらっている。


始めにプライムを1,2回やって、その後はメンバー移動があって今はバスギターをやっている。

合奏グループでは年に2回の発表イベントがある。

ひとつは3月に行われる「神奈川ギターフェスティバル」、

もうひとつは10月の「日本ギター合奏フェスティバル」である。

イベントごとに曲が違うので回を重ねると、当然こなした曲も増えてくる。

私が参加した時、ヴェルデはヘンデルの作品をやっており、

以後ずーっとヘンデルばかりが続いてきた。

そろそろヘンデルはいいのではと思っていると、今回はバッハ作品になった。

 
 バッハは私の大好きな作曲家であるが、好きと知るとは大違いで

正直分からないことだらけである。

それでも機会があると、この作曲家のいろんな作品を聞いてきたが、

今度は弾き手になれるので自身の期待も膨らむ。

曲は管弦楽組曲第2番の中の「ブーレT、U」と「バディヌリ」である。

これを3月下旬の「神奈川ギターフェスティバル」で弾くことになる。


長いアンサンブル・ベルディの歴史の中で


これらの曲は過去にも取り上げられたそうだが、私には初めてである。


バッハの管弦楽組曲はもちろん好きだが、

この2番の「ブーレT、U」と「バディヌリ」は同じ2番の「ロンド」や「ポロネーズ」に比べて

正直私には印象が薄い。


改めて曲を確かめるために買い置きの
CDを探してみる。


 
 1枚だけ出てきたCDはトン・コープマンとアムステルダム・バロック管弦楽団のものである。

コープマンのグループには以前から関心があり、昨年はアムステルダムで、

彼らの演奏によるバッハのカンタータを生で聞いてきた。

これは実に素晴らしかった。

これについては次回に詳細報告することにする。

 
 さて、コープマンの
CDで曲を確認すると結構テンポが速い。


特に「バディヌリ」がそうだ。


そもそも舞曲と違うこの言葉の意味は調べてみると、

冗談とか遊びという意味だそうで、出だしから駈けっこをするように速い。

メロディを追いかけるアルトギターは当然忙しい。


中間部のプライムもしかり。

私とKANEKOさんのやるバスだって結構忙しい。

 
 バスのパート譜では速い八分音符にさらに十六分音符がまとわりついてくるからややこしい。


バスギターは弦長が70cmと普通のギターより5cmは長い。

このためフレット間も広く、左手の移動も大きくなり、

スイートスポットを瞬時に押さえるのはかなり厳しい。

その上、右手は基本的に1弦から6弦まで親指一本で弾くことになっていて、

これがまた忙しい。

うっかりすると押さえている弦と弾いている弦が違うなんてことにもなる。

と言うわけで、難題を抱えながら、それでも大好きなバッハに取り組みだした。

忙しい曲の中からバッハの持つ深みが醸し出されればいいけれど。

 
 この原稿の時点で合同練習を3回やっているが進捗はいまいちで、


先生は本番までの練習回数を数えながら不安に顔を曇らせている。

ま、最後は何とかなるでしょう。

(おっと、これは生徒の言うセリフじゃありませんね!)-2011/02/17-

             


 


         
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