Dr:塩川
1986年製 Jose Ramirez FANA Special
(Madrid)
さて、ヘフナーを10本紹介しましたので、また、ここでクラシックギターを1本紹介します。
ホセラミレスFANAスペシャルクラシックギターです。
1986年にFANAの15周年にFANAが材料を厳選し、
特注品としてホセラミレスV世に限定15本製作させたものです。
そのうちのシリアルナンバーFANA-7のものです。
弦長664mm、バック、サイドは極上のハカランダ、トップはラミレスV世が初めて使用した米杉です。
このギターはわたしが1987年に初めて購入した10万円以上するギターです。
また、このギターを購入してから、箍が外れたのか、いろいろなギターを実際に楽器店で弾き、
少しずつ気に入ったものを購入して、
だんだんとギターコレクターとしての人生を歩み始めたと言ってもよいでしょう。
ちなみに、エレキギターで最初に購入したのは、Gibson175Dです。
このホセラミレスを私はFANAから新品で購入したわけですが、
そのとき、もう1本バックサイドがインディアンローズウッドのラミレスがあり、それと弾き比べて購入しました。
それまで、ヤマハの1万2千円のギターを弾いていたわけですから、
もちろん、ローズウッドのラミレスで充分でしたが、
2台を弾き比べてこんなに材料で音が異なるものなのかと多少なりともカルチャーショックを受け、
思い切ってハカランダ仕様のこのギターを購入しました。
購入したときに、
新しいギターは2年くらいで音が固まるので毎日弾いてあげないと音が出なくなるとアドバイスされ、
ほとんど毎日1時間以上はギターの練習をしていたと思います。
仕事も忙しく毎日よく練習できたなと今でも思うのですが、
初めて買った高いギターを駄目にしてはいけないという気持ちが大きかったのでしょう。
おかげさまで、このラミレスは今でも音が良く気に入っています。
まあ、もともと音が良かったのか、それとも弾きこんだおかげかわかりませんが。
実は、数年後に、
1969年製のMTマーク入りのラミレスをもう1本購入したのですが(もちろんハカランダ仕様です)、
同じような音質のギター2台は必要ないということと愛着の度合いがぜんぜん違うということで、
1年後に手放してしまいました。
クラシックギターを弾いている人にとってホセラミレスは晩年セゴビアが使用していたギターとして有名ですが、
実は、ジョージハリソンが映画「ビートルズがやって来るヤア!ヤア!ヤア!」の
「And I love her」でホセラミレスを使用しています。
おそらく録音もラミレスを使用したと思われます。
ですから、ビートルズフリークが憧れるクラシックギターはホセラミレスなのです。
ラミレスV世が、ギターのトップ材として初めて米杉を用いたのが1963年です。
そのすぐあとにジョージハリソンが映画で用いたのです。
このことからも、当時ラミレスV世が、
この新しい材料を用いたギターの普及活動を精力的に行っていたことがわかります。