失った 教室


『私の心にある教室で、今1つ席が空きました』

大切な人を失うという気持ち。

私の中に、沁みていく、水滴が
とげのように冷たくて、
目を覚ましなさいと言う。

今まで私は何を見てきたの?


いかないで、いかないで、いかないで。


その隙間から、ひんやりとした風が、
どわあっと私を殴りつけるから。
内側が、どくんどくん痛い。

水滴がしたたればしたたるほど、
沁みて、沁みて痛い。

分かっている。
私の方が、人を大切にしていなかった。
ただじっと、そばにいて、そばにいた。

手を繋いでいればよかった。
微笑みかけてあげればよかった。
大好きって一言。

だけど、もう遅い。

『相手を失った机と椅子は、テキパキと片付けられ』
教室はきゅっと小さくなる。
私はきゅっと小さくなる。

余裕が持てないまま。
明日へと進まなくてはならない。


2006/02/26

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