5月15日

この日は朝から、落ち着けなかった。
やっと娘といっしょに暮らせる。やっと・・・。

片道一時間。二人の会話は弾んでいた。
これからのこと。娘との暮らしのこと。
あっという間に病院へついた。

退院説明を夫婦で聞いた。
入院中はとても元気だったこと。
そして、一通り検査したという報告。
特に目立った異常は見られなかったということ。
ほっとした私たち両親の目をまっすぐ見つめ、先生はこう切り出した。
----ただ・・・。脳に少し気になることが。----
えっ?何?
先生は、そんな私たちをよそに、娘の脳のレントゲンを取り出した。
生まれたばかりで、こんな検査を…と涙が出そうだった。
「しっかりしなきゃ」頭の中はそればかりだった。
先生の話をちゃんと聞こうと思う自分で精一杯で、
実際にはちゃんと聞けていなかったように思う。
私が覚えていることは、
脳内に出血の後が見られたこと。
その血の塊のせいで脳が発達できていないこと。
そこから起こりうる事は、発達障害、てんかん、痙攣。
そして、精神的にイライラしたり、ということ。
だけど、とても可能性が低いということ。
これからも定期的に検診に来てほしいということだった。

よくテレビで見るシーンだなあ・・なんてぼんやり思った。

でも、やっぱり、娘の退院はとても嬉しくて、
娘を抱っこすると、ただただ、退院できたことの嬉しさだけが
私の中にあった。


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