リトアニアは笑顔を作るのが得意なんだろうな、と思う。嫌なときでも簡単に笑えてしまうんだろう。私には到底それが理解できないし、いつまでたっても私はそうやって笑うことが出来ないんだろうな、と思う。別にそうやって笑ったって、私みたいに誰かが気づいてしまうだろうし。まあ、リトアニアと私くらい、お互いのことを知っていないとそれはわからないのかもしれないけど。
 とにかく、そういうことなのだ。
 私は微笑むことくらいはできるけど、彼はいつも微笑みを絶やさない。私には絶やすことしかできないのにな。私はいつも微笑んだり笑うことについて考えようと思うけど、やっぱり私には理解できないところにそれはあるらしい。
 リトアニアを見上げると、時々笑っていないように見える。それは私が低い位置から彼を見ているからであって、決して彼は笑んでいないわけではないのだろう。
 微笑んでいるのは彼の美徳で、決して悪いところなんかではない。だけどいいところでもないな、と私は思う。逆に言えば私がいつも笑わないのは悪いところでもあるし、いいところでもあるんだろう。

 でも彼が微笑んでいると何年も何百年も前の彼の勇姿を忘れてしまいそうになるから、それだけはちょっとやだな、とは思う。